前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

マーラー交響曲全集(ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)

2013-02-25 17:58:24 | クラシック音楽
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏の、
マーラー交響曲全集のDVD(11枚組)を買いました。

第1番から第9番と「大地の歌」、第10番(クック版全曲)、
それに交響詩「葬礼」が収録されています。

マーラー生誕150年/没後100年に合わせて開催された"マーラー・チクルス"
の演奏会を収録したライブ盤で、指揮者は

  第1番:ダニエル・ハーディング
  第2番:マリス・ヤンソンス
  第3番:マリス・ヤンソンス
  第4番:イヴァン・フィッシャー
  第5番:ダニエレ・ガッティ
  第6番:ロリン・マゼール
  第7番:ピエール・ブーレーズ
  第8番:マリス・ヤンソンス
  第9番:ベルナルド・ハイティンク
  第10番:エリアフ・インバル
  「大地の歌」と「葬礼」:ファビオ・ルイージ

です。

前々から気にはなっていたのですが、中古で8,000円で売ってたので。


古い人間にとっては「ロイヤル・コンセルトヘボウ」よりも
「アムステルダム・コンセルトヘボウ」の方が馴染み深いのですか、
例の如く"物識りウィキさん"によると

 1988年に創立100周年を迎え、ベアトリクス女王より「ロイヤル」の称号を下賜され、
 現在の名称「ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団」に改称

とあります。

なるほど、レニングラード・フィル→サンクトペテルブルク・フィルとは
全然違うのですね。


コンセルトヘボウの演奏は、CDでは色々聴いていますが、
オケの実力は?というとどの辺に位置するのか、イマイチピンとこない。
まあ個人的には「コンセルトヘボウだから」と好んで買うことはなく・・・。

取り敢えず第1番と第5番を聴いた(観た)のですが、なんと素晴らしい演奏!
恥ずかしながら、こんなに実力のあるオケとは露知らず、ご無礼をばお許しを。


第1番指揮のダニエル・ハーディングの演奏は初めて聴きました。
CDのジャケット写真から勝手に「カッコつけタイプか?」と想像していましたが、
意外に指揮振りは激しくて、それに結構「顔で表現する」タイプ?
表情豊かで、ちょっとアーノンクールを思い出してしまいました。

第5番指揮のダニエレ・ガッティという方は全く存じ上げなかったのですが、
これまた、細部までコントロールされた素晴らしい演奏!!
演奏後の表情とかを見ると、オケもガッティ自身も会心の出来だったのでは。


マーラーの交響曲の面白さは「演奏風景込み」だと思うので、
こうやってまとめて観られる(聴ける)のは、大変嬉しいですね。

最近は比較的古い録音のCD全集とか、びっくりするような安価で売ってますが、
このDVD全集はマーラー入門編としてもうってつけだと思います。


ブルーレイ盤もありますが、もう少し安くなったらこっちも買ってしまうかも。




この色使い、デザインセンスもオランダぽくてイイです。
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第5回恵比寿映像祭 (東京都写真美術館)

2013-02-19 21:03:54 | 美術関係
東京都写真美術館で開催されている『第5回恵比寿映像祭』を
観てきました。

映画やトークイベントなど有料のものもありますが、
展示作品は無料で観られます。

無料とはいえ、作品のクオリティーはとても高く、
むしろお金を払って観ても損はないと思わせるものばかりでした。


何万(何十万?)もの蝙蝠が飛び回る様を3Dカメラで撮影した
ジェレミー・デラー『エクソダス』



気持ち悪さと気持ちよさを同時に感じるような、凄まじい映像です。


田園風景や都市、川や高速道路など
複数の風景が重なり合いながら、入り混じりながら進んでいく
宮永亮『arc』



画面中央の「消失点」がちょうど目の高さくらいにあるので、
画面が視界を覆うような位置に立って観たときのなんともいえない幻惑的な感覚!
まるで自分がその映像の中に入り込んだような・・・。
いつまでも観ていたい・・・と思わせます。


ヴェトナムで人気の高いHONDAのバイクを放置し、
解体され部品が持ち去られる様子を定点カメラで捉えた
ザ・プロペラ・グループ『The Dream』



以前に報道写真展で観た、
食糧不足のためにあっという間に骨だけにされてしまった象の写真を
彷彿とさせました。


あと、3階エレベーター前の休憩スペースのモニターで上映されていた芝居?
テレビドラマ(だったかな?)のセット、出演者、ストーリーをそのまま利用して、
台詞をすべて「泣く演技」に置き換えたドラマ。
観ていた人、例外なく"プッ"って吹いてましたね。


こんな素晴らしい無料の展覧会があったなんて!



恵比寿ガーデンプレイスセンター広場に置かれた巨大なノート
鈴木康広『記憶をめくる人』
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NHKスペシャル 『運命の一枚 ~"戦場"写真 最大の謎に挑む~』

2013-02-11 21:33:32 | テレビ番組
先日、NHKスペシャル
『沢木耕太郎推理ドキュメント 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~』
を観ました。

戦場カメラマン、ロバート・キャパの有名な写真「崩れ落ちる兵士」の謎。
あの写真が実際に戦場で撮られたものなのか・・・を検証する推理ドキュメンタリーです。


「崩れ落ちる兵士」


「崩れ落ちる兵士」自体の謎は、近年の研究もあり、ほぼ明らかになりました。

  この写真と同時に撮られたほかの写真が発見されて、撮影場所が特定できたこと
  写真に写っている銃が、すぐに実弾を発砲可能な状態ではない(ものが多い)
  そして写真が撮られた時点では、その場所では戦闘がなかったこと

などの観点から「崩れ落ちる兵士」は、演習中にバランスを崩した人物を偶然撮ったもの、
と断定されます。


しかし番組はここから別の話に進みました。


「ロバート・キャパ」という名前は、エンドレ・フリードマンと彼の恋人であったゲルダ、
二人の競作ネーム(架空の写真家名)であることは知られています。

番組では、「崩れ落ちる兵士」の直前に撮られたと思われる写真に注目し、
この時の一連の写真も二人(キャパとゲルダ)で撮っていること、
CGによる仮想空間での分析・検証と二人が使っていたカメラの違いから、
「崩れ落ちる兵士」そのものはゲルダが撮ったものとの推論に至ります。

(被写体の身長や撮影場所である斜面を走り降りる速度など、
 幾つかの"仮定"が含まれていますので、断定はできませんが)


実際の戦場ではない場所で撮られた(撃たれてもいない)「崩れ落ちる兵士」という写真が
アメリカの写真誌「LIFE」に掲載されたことで、
戦場カメラマンとして一躍、世界的に有名になってしまった22歳の若者。

しかも、その写真を実際に撮った(とされる)恋人ゲルダは、写真が「LIFE」誌に掲載され、
名声を得る直前に戦場で命を落としています。

その後「崩れ落ちる兵士」は、反ファシズムの象徴として一人歩きし始めてしまい、
その写真に対して、何も語れなくなってしまったキャパ・・・
(キャパもユダヤ系ハンガリー人でした)


"大きすぎる負債"を抱えたキャパが「運命の一枚」と決着をつけるために立ったのが、
1944年6月6日のノルマンディーでした。




ノルマンディー上陸作戦で最も多くの犠牲者を出した第一陣の部隊に同行し、
四万のドイツ兵が待ち受ける浜辺に命がけの上陸を試みる兵士達を
"発砲するドイツ兵に背を向けて"正面から撮影し続けたキャパ!

写真がぶれているのは、単に現像に失敗したという説もありますし、
「カメラマンの手も震えていた」との説明もあります。
しかし、そんなことはもう、どうでもいいでしょう。

本当の戦場で、死と隣り合わせの場所に立ち、本物の戦争を撮った・・・
その"事実"こそが、キャパ自身には必要だったのではないか・・・

あの「運命の一枚」に決着をつけることができたのではないか・・・


そう結論付けて番組は終わります。



震えるような、凄い番組でした。
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ハイドン 交響曲第101番ニ長調『時計』 (トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ)

2013-02-10 19:43:07 | ハイドン先生の作品
トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズの演奏会を
三鷹市芸術文化センター(風のホール)で聴いてきました。

曲目は

  ハイドン 交響曲第101番ニ長調『時計』
  ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調『英雄』

指揮は鈴木秀美さんです。


古典派交響曲は少人数のオケで聴く方が好きなのですが、今日の演奏は、
管楽器群(ティンパニ含む)が13人(英雄は14人)に対して弦楽器群が24人
という、コレギウム・アウレウム並みの編成です。

ハイドン先生の『時計』は、演奏の出来、という面で不満もなくはないですが、
(あと演奏前の指揮者の「お話」ね。あれ、いらないです)
ハイドン先生の曲をこの少オケの生演奏で聴けた、というだけでも大満足です。

ホールもこじんまりとしていて、古典派交響曲にはピッタリです。

こういう素晴らしい曲を沢山残しているんですよ!ハイドン先生は!!
ハイドン先生の誇らしげな顔が浮かんできて、涙がでそうになりました。


照れるハイドン先生

と、この『時計』一曲でコンサートが終わっていたなら、
ハイドン先生の偉大さを熱く語りつつ、大満足で家路についたのですが・・・


後半は私の"天敵"?ベートーヴェンの『英雄』です。

「超有名で超人気があって音楽史的にも超重要な超傑作だけど、どうにも好きになれない曲」
ランキングの不動の一位です。
(少し離れた第二位は『未完成』)

今日のような少オケ小ホールで、その上、ハイドン先生の音楽を聴いていい気分でしたので、
この『英雄』を好きになる条件が揃っていたと思うのですが・・・(T_T)


やっぱり、この曲、ダメですわ。どうにもこうにも好きになれない。
今日、聴いていて感じたのは、"好きになれない理由"の7割は第2楽章ですね。
(あとの2割9分は第4楽章)

あまり好きではない曲でも最終楽章がよかったりすると、それなりの満足感があるのですが、
この曲の場合、私のピークは第1楽章で、後はひたすら退屈で長い・・・。
(演奏自体はとても良かったです)


指揮者も演奏者も、お客さんもみんなこの曲が好きなんだろうなあ、いい気分なんだろうなあ・・・
という"孤独感"も、好きになれなさ具合に拍車を掛けています。


『英雄』を好きになるチャンスがあるとすれば、あとは
「楽友協会大ホールでのウィーン・フィルの定期演奏会で聴く」くらいかなあ。
(チャンスが巡ってくる可能性はほぼないですが)

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チャイコフスキー 交響曲第5番ホ短調 (ヨーゼフ・クリップス指揮)

2013-02-04 20:57:30 | クラシック音楽
ヨーゼフ・クリップス指揮、ウィーン・フィル演奏の
チャイコフスキー交響曲第5番ホ短調を聴きました。
1958年のステレオ録音です。

ヨーゼフ・クリップスという指揮者は、前にも書きましたが
ディスクユニオンスタッフ、中馬和博さんの『猫丸しりいず』で知りました。

そのとき聴いたモーツァルトの交響曲第40番がとてもよかったので、
今回のCDをブックオフの「500円コーナー」で見つけて即購入!


チャイコフスキーの後期交響曲の中では第5番が最も好きです。
魅力的な旋律に溢れていますし、第1楽章冒頭の「運命の動機」が他の楽章にも現れて、
曲全体に統一感もありますし。
ただ・・・

どこがどう・・・というわけではないのですが、
第4番の力強さや第6番の完璧さに比べて、この第5番はなんというか
「不安定さ」というか「割り切れなさ」というか、そういう"モヤモヤ"した何かを感じます。
(そこが魅力でもあるのですが)

物識り"ウィキ"さんによると、チャイコフスキー自身、
第5番について「こしらえ物の不誠実さがある」と言ったとか。
う~ん、さすがにうまい表現です(作った本人だから当然か)。


そんな曲のせいか、色々な演奏を聴いていますが、
「お気に入りはこれ!」というものもない代わりに皆それなりに楽しめる?

と、言いつつも、例えばムラヴィンスキー&レニングラード・フィルの
「どうだ!これが本物!!」ってな演奏もあまり食指が動かず、
かといって情感たっぷり、お涙頂戴の演歌的な演奏も鬱陶しいし・・・。
(インバル盤が比較的好きなのですが、オケがもう少し上手ければ・・ね)


そんな中、クリップス師匠の登場です。
『猫丸しりいず』の影響で、そういう聴き方をしているせいかもしれませんが、
まさに「普通は非凡なり」。
派手さや奇をてらったところがなく、でも「いい曲」に仕上げています。
「そうそう!この曲はこういう演奏が一番!」

50年以上前の演奏とは思えないDECCAの素晴らしい録音にも満足です。



永らく"空席"だった第5番の「愛聴盤」になりそうです。
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