ストラヴィンスキーの『兵士の物語』は1918年の舞台作品です。
原曲?は登場人物3人(語り、兵士、悪魔)が登場する1時間の大作です。
ポリスのスティングが兵士役をやった録音などもありますが、
私が聴いているのは、25分程度に縮小された組曲版(1920年)です。
編成は、ヴァイオリン、コントラバス、ファゴット、クラリネット、
トランペット、トロンボーン、それに打楽器の7人。
第一次大戦直後の人手不足の中でも演奏できるように考えられたらしいです。
高校時代、部活が終わった後、毎日のように中野の「クラシック」という名曲喫茶に行きました。
入口付近にリクエストを書く小さな黒板があります。
知らない曲がかかるとその黒板を見て何という曲か調べることができます。
ある時、とても奇妙な曲がかかりました。
唐突に管楽器の旋律で始まり、響きは古典的で難しくはないですがリズムなどが独特です。
リクエスト黒板には、いつもは現在かかっている曲に矢印が貼ってあるのですが、
その曲とも違うようです。
先輩に「この曲なんですか?」と聴くと「ストラヴィンスキーの『兵士の物語』だ」
と教えてくれました。
リクエストにはないのですが、どうも喫茶店のマスターが好きな曲のようで
たまに勝手にかけていたそうです。
(喫茶店にある曲目リストには「兵士の話」とありました)
実はストラヴィンスキーの作品で初めて聴いたのが、この『兵士の物語』です。
「火の鳥」や「春の祭典」を知ったのはそのあとです。
いかにもストラヴィンスキーらしい(と後々感じました)旋律が、何度か出てきます。
勝手に「悪魔の旋律」と呼んでいましたが、この旋律が耳から離れませんでした。
(最終曲<悪魔の勝利の行進曲>の冒頭にも出てきます)
私が当時買ったCDは
演奏がロサンジェルス室内管弦楽団の首席奏者、指揮がジェラード・シュワルツです。
『兵士の物語』組曲版の録音は、買う際にあまり選択の余地がなかった記憶がありますが、
今でも最高の演奏だと思います。
好きな曲は色々な演奏で聴き比べたりしますが、この曲に関してはこのCDしか持っていません。
自分にとって、当時の思い出とともに唯一無二の演奏になっています。
加えてこのCDには、
ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番と、プロコフィエフの古典交響曲が収められています。
こちらも素晴らしい演奏で、私にとっての"お宝CD"の1枚です。