前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

ULTRAVOX『RETURN TO EDEN』

2011-04-24 21:02:24 | ULTRAVOX
ULTRAVOX(ウルトラヴォックス)というバンドをご存知でしょうか?


このブログでも、好きなバンド、カッコいいと思うバンドのことを度々書いています。
でも、ULTRAVOXは自分にとっての意味合いが全く違うのです。

唯一無二、絶対的、もう"神"と呼んでもいいのかもしれません。


2008年再結成!
2009年に行ったツアー『RETURN TO EDEN』のライブCD&DVDを買いました。

DVDのオープニング曲。あまりのカッコよさに唖然!


書きたいことが山ほどあるのですが、多すぎてかえって何も言えず・・・。



マーラー 交響曲第1番ニ長調 『巨人』 (N響定期/ノリントン)

2011-04-23 20:12:48 | NHK交響楽団
N響定期公演を聴いてきました。

 マーラー:花の章
 マーラー:さすらう若者の歌
 マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』

 指揮:ロジャー・ノリントン
 バリトン:河野克典
 演奏:NHK交響楽団

ピリオド奏法の第一人者、ノリントンによるオール・マーラー・プログラムです。

N響&ノリントンは、2006年の初共演時に
ヴォーン・ウィリアムズの交響曲第5番ニ長調を聴いています。
極力ヴィブラートを排した響きがとても新鮮でよかった記憶があります。


今回も、花の章、さすらう若者の歌、共にとても美しい演奏でしたので
メインの交響曲第1番も大いに期待しましたが、期待以上の素晴らしい演奏でした。


まず楽器の配置がいつもとは全く違います。
いわゆる「対抗配置」で、舞台下手に第1ヴァイオリン、上手に第2ヴァイオリン。
第1ヴァイオリンの後方にホルンと打楽器群。
第2ヴァイオリンの後方にトランペット、トロンボーン&テューバとティンパニ2台。
コントラバスは木管楽器群の後方(ステージ中央の最後列)です。

慣れないとどこから音が鳴っているのかちょっと探してしまいます。


ノリントンが目指しているのは「ピュア・トーン」で、
当たり前のように全ての音にヴィブラートをかけるのではなく、
一旦音を白紙に戻すことのようです。

そのせいでしょうか。音が"裸"になったような、とても澄んだ響きです。
その分、アンサンブルのずれは目立ちますので演奏は難しいのでしょうけど。

何度もN響は聴いていますが、改めて「生演奏だ~」などと感じてしまいました。
いい意味での、ワクワクするような緊張感が漂います。


それから、これも「対抗配置」のせいかもしれませんが、
マーラーの交響曲第1番は全ての楽器群がバランスよく活躍する曲だなあと実感しました。
金管楽器が左右に分かれている分、全奏でも木管楽器がよく聴こえます。
(これからもこの配置でやってくれないですかね)

7人のホルン隊は素晴らしい出来でした。
今回、第4楽章のコーダでホルンが立ち上がって演奏するのを初めてみましたが、
さすがに誇らしげでした。



会場入口に、東日本大震災への義援金箱が設置されています。
帰りに○○○位入れようかな・・・などと思っていましたが、
素晴らしい演奏だったので、気持ちよく倍額入れさせてもらいました。

ストラヴィンスキー 『兵士の物語』(組曲版)

2011-04-16 22:21:39 | クラシック音楽
ストラヴィンスキーの『兵士の物語』は1918年の舞台作品です。

原曲?は登場人物3人(語り、兵士、悪魔)が登場する1時間の大作です。
ポリスのスティングが兵士役をやった録音などもありますが、
私が聴いているのは、25分程度に縮小された組曲版(1920年)です。

編成は、ヴァイオリン、コントラバス、ファゴット、クラリネット、
トランペット、トロンボーン、それに打楽器の7人。
第一次大戦直後の人手不足の中でも演奏できるように考えられたらしいです。


高校時代、部活が終わった後、毎日のように中野の「クラシック」という名曲喫茶に行きました。
入口付近にリクエストを書く小さな黒板があります。
知らない曲がかかるとその黒板を見て何という曲か調べることができます。

ある時、とても奇妙な曲がかかりました。
唐突に管楽器の旋律で始まり、響きは古典的で難しくはないですがリズムなどが独特です。


リクエスト黒板には、いつもは現在かかっている曲に矢印が貼ってあるのですが、
その曲とも違うようです。

先輩に「この曲なんですか?」と聴くと「ストラヴィンスキーの『兵士の物語』だ」
と教えてくれました。
リクエストにはないのですが、どうも喫茶店のマスターが好きな曲のようで
たまに勝手にかけていたそうです。
(喫茶店にある曲目リストには「兵士の話」とありました)


実はストラヴィンスキーの作品で初めて聴いたのが、この『兵士の物語』です。
「火の鳥」や「春の祭典」を知ったのはそのあとです。

いかにもストラヴィンスキーらしい(と後々感じました)旋律が、何度か出てきます。
勝手に「悪魔の旋律」と呼んでいましたが、この旋律が耳から離れませんでした。
(最終曲<悪魔の勝利の行進曲>の冒頭にも出てきます)


私が当時買ったCDは
演奏がロサンジェルス室内管弦楽団の首席奏者、指揮がジェラード・シュワルツです。
『兵士の物語』組曲版の録音は、買う際にあまり選択の余地がなかった記憶がありますが、
今でも最高の演奏だと思います。

好きな曲は色々な演奏で聴き比べたりしますが、この曲に関してはこのCDしか持っていません。
自分にとって、当時の思い出とともに唯一無二の演奏になっています。

加えてこのCDには、
ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番と、プロコフィエフの古典交響曲が収められています。
こちらも素晴らしい演奏で、私にとっての"お宝CD"の1枚です。



穂村弘 『世界音痴』 (小学館文庫)

2011-04-03 14:58:58 | 
歌人、穂村弘さんを知ったのはもう20年近く前になります。


その時、第一歌集『シンジケート(SYNDICATE)』を読みました。
普段、短歌、俳句などは全く読まないのですが、
「現代短歌」(といっていいのでしょうか?)とは面白いなあと感じました。

  ★子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」
  ★ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は
  ★桟橋で愛し合ってもかまわないがんこな汚れにザブがあるから

当時、とても心に染みました(今読んでもそうです)。


こんなのも好きです。

  ★「猫投げるくらいがなによ本気だして怒りゃハミガキしぼりきるわよ」
  ★「酔ってるの?わたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」
  ★サバンナの像のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい
   (穂村弘『シンジケート(SYNDICATE)』沖積舎)

その後も歌集を数冊読みましたが、最近はご無沙汰しておりました。
本屋で待ち合わせをしている時にこの『世界音痴』が目に留まり、
思わず買ってしまいました。


「自分が見ているのとは違う世界」を見せてくれる作品が好きだと常々書いておりますが、
"詩の世界"、詩人(歌人や俳人も含む)が見ている世界というのは、
そういうこととは少し違うかな、と感じていました。

確かに、自分と同じ世界に住んでいても、見ているところが違う、目の付け所が違う、
とは感じますが、それよりも「言葉の選び方」の方が重要なのかな、と・・・。


穂村弘さんの『世界音痴』を読んでいると、それともちょっと異なります。
この方は、私たちが住んでいる"この世界"に違和感を感じています。


穂村さんは「自然さ」を持てない・・・といってます。

例えば、寿司屋で注文する時、板前さんに「自然に」声をかけるのが、
飲み会では、両隣の人とのバランスを気にしすぎて「自然に」話をするのが、
場が盛り上がってきて、ほかの席に「自然に」移動するのが・・・。


決して"非社交的"な方ではない、人と接したり話をしたりするのが
嫌いな人ではないと思われますが、「自然に」することが苦手だ、と。
この感覚は何となくわかる気がします(穂村さんほど極端ではありませんが)。

  「自然さ」を奪われたものは世界の中に入れない。

同じ世界に住み同じ世界を見ていながら、その世界に入れていない。
その違和感、"入れなさ"を作品にしているのだな、と感じます。


例えば穂村さんは、毎年半袖に着替えるのが人より一日だけ遅れる、と言います。
他の人達が半袖に着替えたのを発見してから自分も半袖を着るからだと。


私もこの季節、出勤の際にいつまでコートを着るかに悩みます。
もちろん、朝のニュースでその日の天気や気温を確認したり、
自分自身の気温に対する感覚(暑がり、寒がりなど)を頼りにするわけですが、
それとは別に、「コートを着ている人が少なくなったなあ」といった"反応"も気にします。

私だけではなく他の人もおそらく同じでしょう。
でも私(や他の人)はそれを「自然に」行えています。「不自然」だと感じたことはありません。
だから私は、世界の中に入れています。


「音痴」という言葉を辞書で引くと、
  ・音程や調子が外れて歌を正確にうたえないこと
  ・あることに関して感覚が鈍いこと
などの説明があります。
後者の例として「方向音痴」「運動音痴」「味音痴」などがあります。

  「自然さ」を奪われたものは世界の中に入れない。

世界の中に入れない、上手に"世界"が出来ない・・・それを称して『世界音痴』という・・・。


この、言葉の選び方に感動します。

正当に怖がること

2011-04-01 13:30:34 | そのほか
今、船山信次著『<麻薬>のすべて』(講談社現代新書)という本を
読んでいます。


冒頭、この本の"意義"として、
<麻薬>に関しては、恐ろしいイメージばかりが先行して
その来歴や社会的側面、身体への影響などをわかり易く著したものがないので・・・
という点をあげた上で、寺田寅彦氏の随筆から次の言葉を引用しています。

 ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが
 正当にこわがることはなかなかむつかしい

身に沁みるお言葉です。