前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

教会探訪【File.068】:カトリック下井草教会

2021-10-27 21:48:04 | 教会など
都内近郊にある色々な教会を観て回っています。
旅行先でも観光地だけでなく、その地の教会を訪れたりしています。
それぞれに歴史と個性がありますね。

整理と備忘録を兼ねてアップしていこうと思います。

★聖堂内は「祈りの場」なので
 信者の方々の邪魔にならないよう
 可能な場合のみ撮影しています。


◆カトリック下井草教会(教会堂名:キリスト信者の扶助者聖マリア)
住所:東京都杉並区井草(西武新宿線井荻駅)
創立:1956年


1956年に完成したネオロマネスク風の聖堂だそうです。



【File.005】カトリック碑文谷教会と同じくサレジオ修道会が運営しています。
そういえば碑文谷教会(通称「サレジオ教会」)も屋根がミントグリーンでした。



聖堂内です。
歴史を感じさせる立派な聖堂ですね。



左右のステンドグラスです。



これらも形など碑文谷教会のステンドグラスとよく似ています。






祭壇です。



後方です。振り向いてもそこには十字架が。



二階左にパイプオルガンがあります。
ステンドグラスと共にイタリアから贈られたものだそうです。



聖堂左手奥にある小聖堂です。


「サレジオ教会」と同様、独特の雰囲気がありました。
落ち着いた華やかさ、とでもいいましょうか。美しい。




聖堂外にあるルルドの聖母像
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『ゴルトベルク変奏曲』の物語について②

2021-10-26 00:10:13 | ゴルトベルク変奏曲
前回の続きです。

それぞれの演奏家は第30変奏とアリア(Aria da capo)をどう演奏したのか。


グールドは1955年のデビュー盤について生前インタビューで語っていたそうですが
録音は30の変奏曲を先に行い、その後で冒頭および繰り返しのアリアを録ったようです。
それも「中立な性格」が達成されている21テイク目を採用したとのこと。

私の記憶違い(もしくは誰かの創作?)かもしれませんが、その"意図"は次のようなことだそうです。

30変奏もの長い長い"旅路"の果てに再び現れる「アリア」を
最初の「アリア」と同様に"真っ白"な気持ちで演奏する必要があった・・・
その後の様々な変化(変奏)をまだ知らない「無垢な姿」を表現するために・・・

事実かどうかわかりませんが、でも説得力のある、かつ魅力的な「物語」です。


1955年録音のデビュー盤『ゴルトベルク変奏曲』


シトコヴェツキー盤は大変素晴らしい大好きな演奏なのですが
「物語」という点でいうと、一箇所だけどうしても気になってしまう部分があります。
第30変奏の後半繰り返しです。
(青の部分)


ここで彼らは徐々にテンポを落とし音量を上げ、情感たっぷりに演奏します。
それこそ、聴くたびに涙が出るほど感動的に!
でも劇的で感動的であるがゆえに少し残念な気持ちにもなるのです。

曲はここで終わりではありません。第30変奏がクライマックスではないのです。


一方、グールドは第26変奏~第29変奏を颯爽と弾き切った後、
第30変奏は前半の繰り返しのみで静かに終わっていきます。
再び現れる「無垢なアリア」に引き継ぐように。


塚谷水無子さんが奏でるブゾーニ編曲の『ゴルトベルク変奏曲』は
また違った「物語」を聴かせてくれます。




ブゾーニの編曲では第29変奏~第30変奏~アリアを殆ど途切れなく演奏します。
2つの変奏曲はかなり編曲が加えられ、まるで一つの曲のように前の曲の余韻が残る中、次の曲を紡いでいきます。

そうして再び現れた「アリア」は、冒頭の「アリア」とは全く異なります。
ところどころ声部が消され、輪郭がかなり朧げになっています。
それはあたかも長い旅路の果て、遠い昔(若かりし頃の姿?)の記憶が薄れてしまったかのように・・・

曲の最後は本来4つの音(レ ソ ファ ソ)で終止しますが、ブゾーニの編曲版は終わりません。
同様の音型を2度繰り返した後、3度目でようやく全曲を閉じます。
この"拡大されたコーダ"を塚谷さんは「別れを惜しむかのように・・・」と記しています。


塚谷さんが弾くブゾーニ編曲版を聴くたびに感動する秘密がここにあります。


まだまだ聴いていない『ゴルトベルク変奏曲』が沢山ありますが、
その中からまた、新しい「物語」を聴かせてくれる演奏に出逢えるかもしれません。
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『ゴルトベルク変奏曲』の物語について①

2021-10-23 00:45:44 | ゴルトベルク変奏曲
もともとバッハ大先生の『ゴルトベルク変奏曲』は大好きなのですが
いくつかの盤(版)を聴き直してみて改めていろいろ感じることがありました。


バロックから古典派の作品には楽譜に「繰り返し(演奏)」の指示が多々あります。

バロック時代は1回目は楽譜通り演奏し、2回目(繰り返し時)は即興を加えるということもあったようでが、
それ以上に「曲(旋律)を覚えてもらう」という意図が大きかったのではないでしょうか。

当時は音楽作品が聴けるのは生演奏のみで、それも頻繁にあったわけではないでしょうし、
今のように個人が(自分で演奏するのではなく)音楽そのものを繰り返し(好きなだけ)聴く
というようなことができないのですから。


「先生、大事なことなので2回言いました」という感じ。


『ゴルトベルク変奏曲』は32小節の低音主題が含まれている「アリア」で始まり
それに続き30曲の変奏が展開された後、再び「アリア」が奏でられて曲を閉じます。
(全32曲)

それぞれの曲は前半・後半に分かれており、その全てに「繰り返し」の指示があります。
これを"楽譜通り"に演奏するとCD1枚に収まらない場合もよくあります。
(つまり80分を超えるということ)


個人的な好みや"原典主義"的な方もおられると思いますが
私は正直「全部繰り返し」は飽きてしまうのであまり聴きません。

最初にグレン・グールドの演奏に慣れ親しんだからかもしれませんが
「適度」にもしくは「全部」省略されている方が好き、というより好きな演奏は全部そっちです。


グレン・グールド(1932.9.25-1982.10.4)


試しに、好きな演奏3種類の繰り返し状況?を比較してみました。
(○が繰り返し)

一部、他の方の資料を参考にしている部分もあります。
(私の勘違いもあるかもしれません)
ちなみにグールドのデビュー盤(1955年盤)は繰り返し一切なしです。


グールドはカノンと他数曲、それも前半部分だけの繰り返し。
シトコヴッツキー編曲(演奏)の弦楽三重奏版は、グールドの演奏にかなり"寄せている"印象があったのですが、
比較すると、繰り返しに関しては割と異なりますね。
前半・後半両方とも繰り返してますし。

第16変奏は「曲全体の後半部」の開始という意味合いで「序曲」と名付けられています。
この前半はかなり荘重な曲なので、繰り返すとさすがに重くなると判断したのでしょうか。
後半だけ繰り返しという、かなり珍しいパターンです。
(ピンク色の部分)

ただ、曲と曲との繋げ方など、やはりグールドを意識していると思われます。



ドミトリー・シトコヴェツキー(Vn)/編曲
ジェラール・コセ(Vla)
ミッシャ・マイスキー(Vc)


グールドの新録音(1981年盤)の魅力の一つは1曲1曲を「独立した曲」として扱うのではなく
場合によって数曲を「一纏り」として捉えて、殆ど間を置かず続けて弾いているところにあります。

特に第25変奏の長いアダージョが終わった後、第26変奏~第29変奏をほぼ同じテンポで一気に弾き切るところは圧巻です。

このあたりはシトコヴェツキー盤にも引き継がれています。


32曲を一つの「物語」として完結させるような・・・
これは改めて考えると凄いことだと感じますね。
その後の(この曲の)解釈や世界観を一変させたような気がします。


そして第30変奏とアリア(Aria da capo)をどう演奏するか(演奏したか)という点ですが
ここにも、それぞれの演奏家の新たな「物語」が・・・これは次回。
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MA2 Gallery 『中世装飾写本と像刻|前川秀樹』

2021-10-16 15:00:09 | 美術関係
恵比寿にあるMA2 Galleryで
『中世装飾写本と像刻|前川秀樹』を観てきました。
ギャラリーですので、全て"売り物"なのですが。

以前に国立西洋美術館「ゴシック写本の小宇宙」で観たのと同じく
中世装飾写本の零葉(写本として綴じられていた頁を切り取ったもの)と
現代の像刻作家、前川秀樹さんの作品が展示されていました。



MA2 Gallery(恵比寿駅から徒歩10分ほど)



写本と像刻が並んで飾られています。



中世金彩装飾時祷書の零葉(1460年頃)
詩篇85:4
私たちの救いの神よ、私たちのもとにお帰り下さい。私たちのための苦悩を静めて下さい。



装飾的なベネディクト会の典礼書の零葉(1520年頃)






フランス中世初期の聖書の零葉(1250~1275年頃)



中世金彩装飾時祷書の零葉(1475年頃)
聖アントニウスと豚






流木を使った像刻(前川秀樹作)


中世装飾写本は皆「羊皮紙」に書かれています。
およそ13世紀~15世紀に制作されたもので、どれも貴重なのだと思いますが6桁台のお値段。
1桁安ければ欲しかったのですが・・・
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教会探訪【File.067】:聖オルバン教会(日本聖公会)

2021-10-14 22:51:04 | 教会など
都内近郊にある色々な教会を観て回っています。
旅行先でも観光地だけでなく、その地の教会を訪れたりしています。
それぞれに歴史と個性がありますね。

整理と備忘録を兼ねてアップしていこうと思います。

※礼拝堂内は「祈りの場」なので
 信者の方々の邪魔にならないよう
 可能な場合のみ撮影しています。


◆聖オルバン教会(日本聖公会)
住所:東京都港区(東京メトロ日比谷線神谷町駅)
創立:現在の聖堂は1956年に完成



聖アンデレ教会の隣にあります。こちらも日本聖公会の教会です。
礼拝等、全て英語で行われるそうです。



【File.033】カトリック目黒教会
【File.052】カトリック豊島教会と同じく
アントニン・レーモンド氏による設計。



カトリック教会ではないので、あまり期待していなかったのですが・・・
さすがはアントニン・レーモンド!

剝き出しの梁が重なる向こうにライトアップされた十字架。
この荘厳な雰囲気は目黒教会、豊島教会に通じます。



祭壇です。






すぐそばを車道が通っていますが、そんな喧噪を忘れさせてくれます。



後方にパイプオルガン。
屋根の傾きに沿ってパイプが並んでいます。


都内近郊にはまだいくつか、レーモンド氏設計の教会・聖堂がありますので
是非とも訪問したいですね。
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