前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

SOUL'd OUT『COZMIC TRAVEL』(10th Anniversary Premium Live “Anniv122")

2024-06-28 19:53:02 | クラシック以外の音楽
SOUL'd OUTの音楽とは実は"リアルタイム"で出逢っています。
2003年にリリースされたメジャー2ndシングル「Flyte Tyme」を発売時に買いました。
奇しくも当時ガッツリ嵌っていたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTが解散した年ですね。


「Flyte Tyme」

スカパーやケーブルテレビなどで音楽専門番組を観ていて「Flyte Tyme」を知りました。
ミッシェル以外にも邦楽ロックばかりを聴いていた時だったので
HipHop(という括りでいいのかわかりませんが)にはほとんど興味はありませんでしたが
耳に馴染む気持ちの良いメロディーと同時に、メインMC・Diggy-MOさんの"声"と"歌い方"と"英語の発音"
そしてそれらを最大限に活かす独特の"言語感覚"で作られた歌詞が癖になった、という感じです。

因みに「Flyte Tyme」のPVは曲に合わせて踊る"きれいなお姉さん"が何気にいいんですよね。
ただ、その後嵌っていかなかったので、まだHipHopに対する抵抗感があったのでしょうか。


2014年にすでに解散したSOUL'd OUTを思い出したのは、御多分に漏れず例の「コロンブス騒動」です。
「コロンブス繋がりでSOUL'd OUTが突如トレンド入り」

ということで改めて「クリストファー・コロンブス」が登場?する『COZMIC TRAVEL』を聴いてみました。


2013年リリースのベスト盤「Decade」


2007年リリースの『COZMIC TRAVEL』という曲は過去にねとらぼで行われた人気投票でも1位でした。
まあ、それも当然のカッコいい曲ですよね。

相変わらずDiggy-MOさんは、他にあまり類例が無いような"混り気のない""全く雑味のない"独特の歌声です。
アップテンポの曲ですので、日本語と英語とDiggy語が混ざった歌詞は殆ど聴き取るのは不可能ですが
その中で印象的に叫ばれる「クリストファー・コロンブス」

思わずYouTubeでいろいろな動画を漁った結果、ライブ映像に辿り着きました。


「10th Anniversary Premium Live “Anniv122"」

ライブ会場でファンが爆音の中で(勝手に)一緒に歌ったりするのはよくあることですが
SOUL'd OUTの曲、とりわけ『COZMIC TRAVEL』(の歌詞)は難しすぎて無理です。

そんな難曲でも、このライブでの『COZMIC TRAVEL』は別格ですね。
Diggy-MOさんの歌声と、要所要所、絶妙のタイミングで客席に向けられたマイクにのる観客の歌声。
「会場全体が一体となって・・・」というような、よくある陳腐な表現では収まらない。
ある種の「崇高さ」すら感じます。

いいライブ映像を観た時「(自分も)この会場に行きたかった(観たかった)」というコメント・感想があります。
(勿論、自分もそのように思う時があります)

でもこの映像、2013年1月22日・新木場STUDIO COASTでのライブ映像を観ると
SOUL'd OUTと観客が創り上げた"あの瞬間"が完璧な形でパッケージされているように感じます。
観客もSOUL'd OUTのメンバーも、さぞ気持ちよかったことでしょう。
その気持ちよさは、ライブ映像を観る自分にも十分に伝わります。


今更ながら『COZMIC TRAVEL』に出遭えたことに感謝です。

チバユウスケ逝去

2023-12-05 22:37:14 | クラシック以外の音楽
稀代のロック・ヴォーカリスト
THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケ氏が2023年11月26日に逝去されました。

今では彼らの演奏はYouTubeで多数聴くことができますが
アベフトシのギター同様、自分も、そして何より若い人達がもう二度と彼の歌声を生で聴くことができない
それが残念であり悲しいです。
ご冥福をお祈りいたします。



あのさあ
一回死んだ星はまた生き返ると思う?
俺は生き返ると思う

Ado 『唱』

2023-11-18 21:07:55 | クラシック以外の音楽
妻からの紹介?で
YOASOBIさん『アイドル』、米津玄師さん『KICKBACK』を聴いたのですが
その流れ?でAdoさんの『唱』に出逢いました。

米津玄師さんは「Lemon」「パプリカ」や、映画「シン・ウルトラマン」の「M八七」を知っていましたが
YOASOBIさんは、やはり妻の紹介で「夜に駆ける」を聴いていた(観た)くらい
Adoさんに至っては「うっせぇわ」とか話題になってたなあ、程度の認識しかありませんでした。

ちょっと大袈裟かもしれませんが「日本の音楽って、こんなことになってたのか」という感想です。

YOASOBIさん(ikuraさん)の恐ろしいまでの安定感や
スローな曲ばかりだと思っていた米津玄師さんの「ロック」もよかったのですが
とりわけAdoさんの表現力には驚かされました。


別に音楽理論(楽典)に詳しいわけではありませんが、クラシック音楽の"文法"からは外れた転調の頻発や
様々な曲調、旋法が複雑に組み込まれた楽曲は、もはやジャンルの定義が不可能です。
ガラパゴス日本で謎の進化を遂げた「音楽」ですね。


長年クラシック音楽を聴いていますが
小学生時代は「YMO」に嵌り、中学生時代から今に至るまで「ULTRAVOX」は聴き続けています。
30代くらいには「ミッシェル・ガン・エレファント」をはじめ「邦楽ロック」もよく聴いていました。

今回、遅ればせながらこれらの楽曲に接して、ふと思い出したことがあります。
それは1970年前後に出てきた、そしてその後の「(主にロック系の)邦楽」にとっては意外と無視できない
「日本語ロック論争」です。

私の場合はYMOを好きになったあと
メンバー(細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一)それぞれのYMO以前の過去作に触れる中でこの「論争」を知りました。
曰く、細野晴臣が在籍していた「はっぴいえんど」が日本語ロックの先駆であり画期的だった云々・・・
それが事実かどうかは分かりませんし実際に聴いてみてもピンときませんでしたが。


定義は様々ですが、大雑把にいうと「日本語でロックは歌えるのか?日本語でロックをカッコよく歌うには?」
というような論争だと思います。

日本語を英語風に発音する歌唱や、英語(英単語)と日本語をごちゃ混ぜにした歌詞などが解決策?の一つで
個人的には1980年前後に登場した桑田佳祐や佐野元春などが、その成功例?かなと感じていましたが・・・


それが(論争から半世紀が経って)こんな形で出現してくるとは!
Adoさんの『唱』は(勿論、作り手はそれを意識したわけではないでしょうが)
「日本語ロック論争」の"究極の回答"の一つのような気がします。
(『唱』がロックか否かという別の議論があるかもしれませんが)

前出の「日本語を英語風に発音する歌唱」「英語と日本語をごちゃ混ぜにした歌詞」を踏襲しつつも
更に「日本語だからこそカッコいい」のだというレベルに到達している
というか、そう確信するほどの圧倒的な説得力を持った歌声です。


それにしても、Adoさんの歌唱力を最大限に生かした『唱』という曲はなんなのでしょう!
(ご本人も「過去一難しい」と語っているそうですが)
僅か3分という時間の中に、こんなにも様々な表現が詰め込まれた楽曲を私は知りません。
毎日10回くらい聴いています。

「人間の声こそが最高の楽器だ」という実例を改めて見せつけてくれました。感謝!




YouTubeには日本武道館でのライブで『唱』を初披露する映像もあがっています。

冒頭「Okay たちまち独壇場・・・」のところ
ここはまだ曲が走り始めておらず、歌詞も若干噛み易い?からかAdoさんの緊張感も伝わってきます。

スタジオ録音の音源は
繰り返しレコーディングした中の"いいとこ取り"やエフェクトで如何様にも加工できると思いますが
このライブ映像でAdoさんの歌声が本物の「最高の(生)楽器」であることが証明されています。

本当に素晴らしい!!

キース・ジャレット『ケルン・コンサート』(THE KÖLN CONCERT)

2023-05-20 21:57:17 | クラシック以外の音楽
歴史的名演奏、名盤の誉れ高い
キース・ジャレット『ケルン・コンサート』を聴きました。


1975年1月24日 ケルン、オペラ劇場にてライブ録音


ジャズは、マイルス・デイヴィスとビル・エヴァンスのCDを何枚か持っている程度で詳しくないので
キース・ジャレットがどのくらい凄いピアニストかはよくわかりません。

最初の出会いは、バッハのゴルトベルク変奏曲でした。


1989年1月 八ヶ岳高原音楽堂での録音
ハープシコードで演奏しています。

ジャズ・ピアニストだがクラシックも演奏する、という程度の認識でした。
因みにこのCD、大変素晴らしい演奏です。


完全即興によるソロ・ピアノ・コンサート。
『ケルン・コンサート』は果たしてジャズなのかという議論?は発売当初からあったそうですね。
ベスト・セラーになる一方で特に硬派?なジャズ・ファンには批判的な方も多かったそうです。

専門的なことはわかりませんが兎に角美しい。音も旋律も美しい。
とりわけ「PARTⅠ」は26分ほどありますが、あっという間に時が過ぎていきます。


音の美しさは発売元の「ECMレコード」に依るところも大きいと思います。
ECMといえばクラシック・ファンには現代音楽を中心とした静謐な作品を扱うレーベル
という印象が強いです。

今、手元にあるCDでは
アルヴォ・ペルト(Arvo Pärt)
スティーブ・ライヒ(Steve Reich)
デヴィッド・ダーリング(David Darling)
ギャヴィン・ブライヤーズ(Gavin Bryars) など
キース・ジャレットのゴルトベルクもそうです。

たとえ作曲家の名前や収録された曲は知らなくても「一定以上」のクオリティが保証された
信頼できるレーベルでしたね。

録音も素晴らしいですが、ジャケットも"音の美しさ"を反映したような余計な飾りのないものが多いです。

下は『ケルン・コンサート』CDの裏面です。

見えますか?

無駄な音、無駄な説明、無駄な装飾はいらない。

「沈黙の次に美しい音」(The Most Beautiful Sound Next To Silence)が
ECMの音作りのコンセプトだそうです。

納得

『透明少女』 by PEDRO

2020-08-09 21:22:26 | クラシック以外の音楽
音楽の繋がりというか、縁?というものは不思議なものです。


人生の後半戦というか終盤戦にさしかかり
「終活」というわけではないですが、少しずつモノを少なくしています。

CDの処分もその一つですが
「思い出」というか「青春」として、なぜか心に引っかかり続けていたのが
(改めて「心に引っかかっていた」ことに気づいた、という方が正確かも)
前にも書きましたがNUMBER GIRLです。

NUMBER GIRLがライブで『透明少女』を演奏する前
いつもボーカル・向井さんの短い、でも印象的な語り(独り言?)があります。


あるいはそう、そうだね
蝦夷の地に一人佇む江戸から来た女の子がいましたね
あの娘って誰? そう、それが例えば透明少女
(RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO)

最後の「透明少女」の言葉とももに、
田渕ひさ子さんのギターがかき鳴らされ曲が始まります。


THEE MICHELLE GUN ELEPHANT以降
久しぶりに「ライブを観てみたい」と感じさせてくれたのがBiSHでしたが
YouTubeなどでMVやライブ映像、インタビューなどを漁る中で
BiSHのメンバー、アユニ・Dさんのソロバンド・プロジェクト「PEDRO」に辿り着きました。


2018年9月に都内で開催されたファースト・ライブは
アユニ・Dさん自身がヴォーカルとベースを担当し
ドラムに毛利匠太氏、ギターに田渕ひさ子さんを迎えて行われました。


途中、アユニ・Dがまるで独り言のように語り出します。

そういえばわたし
目に焼き付いてずっと頭から離れない女の子がいるんですよ
わたしが思うに、例えばあの子は透明少女

そしてあの時と同じように
最後の言葉とともに田渕ひさ子のギター


『透明少女』のカバーです。
まさかこんな(BiSHからの)流れでNUMBER GIRLに再度出会うとは思いませんでした。


アユニ・Dの語りの途中で男性の歓声が聞こえます。何が始まるのか分かったのでしょう。
BiSHファン、アユニ・Dファンだけでなく、田渕ひさ子ファンもいたのだと思います。


BiSHやPEDROの作品すべてを知っているわけではありませんが
そこから見えてくる世界観は、明るくポジティブなものよりは
(彼女たち自身を含めた)同世代の人たちの"痛み"や"葛藤"、"闇"を
描いたものが多いように感じます。

私としては、この世界観の『透明少女』の方が好きかもしれません。



今日、整理が終わったCDを「ディスクユニオン」に送りました。
売るつもりだったNUMBER GIRLのCDは、まだ手元にあります。


ライブアルバム「シブヤROCKTRANSFORMED状態」