昼間管理職のつぶやき

【英さん。の写真俳句プラスアルファの世界☆☆☆もっと・・・俳句オリティー】

ネタは探さない。ネタはそこにある。

海を見る合掌さえもできぬまま

2011-12-22 06:13:08 | 雑詠




〈町の広報紙・川柳コーナー入選作〉
町の川柳は、テーマありの、いわゆるベタ川柳だ。
今回のテーマは「合掌」だった。
写真の1枚目は、以前に紹介した、震災前の被災地の写真集。
仙台に来てから仕事や所用で被災地にも行ったが、ほとんど写真を撮る気にはなれなかった。
まさに句のとおりの気持ちだった。
少しは撮ったのがあるので、今回一部をアップすることとした。
以下は、私の知人の話である。
写真とは直接関係はない。

被災地の海岸近くに、知人の夫婦が住んでいた。
体調が悪く寝たり起きたりの夫を、妻が介護していた。
そして、あの3月11日。
大地震、さらに大津波警報。
妻「あなた、津波警報が出たわよ。早く逃げましょう。」
夫「俺は走れない。お前一人で早く逃げなさい。」
妻「何言ってんの。一緒に逃げましょう。早く。」
二人は手を繋いで走り出した。
いや、歩き出した。
迫り来る津波。
足から腰、胸と浸かり始める。
もう駄目か。
その時、脇の土手から差し伸べる手があった。
妻の片手をつかんで引っ張り上げようとしてくれている。
夫を離すまいと、もう片手で後ろから抱え、全力で頑張る妻。
しかし、波が来る。
妻は力尽きた。
いや、夫が自分から振りほどいたように思えたそうだ。
数日後、夫の遺体が見つかった。
別な所で助かった娘が言った。
「お父さん、あんまり苦しまないで良かったね。」
夫は癌で、あと半年位と言われていたそうだ。

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コメント (2)
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