古代日本国成立の物語

素人なりの楽しみ方、自由な発想、妄想で古代史を考えています。

博物館実習の報告(2日目)

2018年11月08日 | 学芸員
 博物館実習の2日目のレポートです。この日は午前中が発掘調査の見学、午後から和泉市が運営する「信太の森ふるさと館」の見学と、終日館外での活動となります。

 予定より早い目の9:15に館に到着し、指導担当の白石さんとともに車で発掘調査の現場に向かいました。場所は日本最大規模の環濠集落である池上曽根遺跡です。現場近くの大阪府立弥生文化博物館(弥生博)の駐車場に車を停め、歩いて3分ほどで到着。発掘は福祉施設の建設に伴う調査とのことでした。
 少し発掘体験ができると伺っていたので楽しみにしていたのですが、現場に到着してからは人生初めての遺跡発掘とあって緊張してずっと気持ちがフワフワしていました。発掘リーダーの上田さんや担当の呉ちゃん(くれちゃん、名前忘れました。すいません)の説明をドキドキしながら聴きました。二人の学生アルバイト君と、好きが高じて引退後に遺跡発掘にたずさわっておられるミヨシさん(漢字わかりません。すいません)は黙々と遺構を記録しています。パワーワーク担当はシルバーのオッチャン達。発掘調査はいろんな方々の共同作業で成り立っていることがよくわかりました。





 何となく雰囲気に慣れてきた時、白石さんが「やってみますか」とガリを渡してくれました(ガリは前日のスライドの説明のときに教えてもらっていた発掘のための道具です)。すでに調査が一段落している場所でしたが、見よう見まねでガリを使ってみました。これもれっきとした発掘体験。私がガリガリやっていると、弥生博の方がやってきて私の後ろで、地層や遺構をどう判断するか、というような内容の会話が始まりました。去年行った鳥取県の青谷上寺地遺跡のことも出てきたので大変興味深いお話でした。

 お昼少し前になったので車を停めた弥生博に戻り、30分ほどの時間で常設展を見学しました。白石さんにいろいろと教えていただきながらの見学だったので、わずかな時間だったけど大変勉強になりました。

 ランチをとって午後からの見学先である「信太の森ふるさと館」に向かいました。信太の森は安倍晴明誕生の「葛の葉伝説」や和歌・文学のふるさとで、ふるさと館では葛の葉伝説にちなむ資料が展示されるだけでなく、植物、野鳥や昆虫や歴史なども紹介しています。学芸員の清水さんからは葛の葉伝説を教えてもらいながら展示の説明をしていただきました。





 植物・昆虫など自然担当は豊島さんです。豊島さん、白石さんと私の3人は館を出て近くの惣ケ池公園へ向かいました。この公園を含む一帯は弥生時代後期の高地性集落で「惣の池遺跡」と呼ばれ、8棟の竪穴式住居が保存されて公園全体が和泉市の史跡として指定されています。白石さんはここを発掘調査したそうです。





 この公園を通って惣ケ池湿地を見学、いや探検に行きました。池の奥に湿地が広がり、どん詰まりまで行くと湧水が流れ出ていました。和泉市というのは信太の森もそうですが、信太山丘陵を中心にまだまだ自然が残されています。和泉中央周辺がどんどん開発されて人口も増えているようですが、こういう自然を残す努力を怠らないようにしてもらいたいです。



 ふるさと館に戻り、清水さん、豊島さんにお礼を申し上げて車に乗りました。予定ではこのまま館に戻ることになっていたのですが、白石さんが気を利かせてくれて丸笠山古墳と信太狐塚古墳というふたつの古墳を見学しました。和泉市ホームページによると、丸笠山古墳は信太山丘陵の西縁部に築かれた全長100mほどの前方後円墳で4世紀末ころの築造とされています。かつて延喜式内社の丸笠神社の社殿が前方部にあったとありますが、たしかに小さな祠が建ち、鳥居もありました。これが式内社だったとは驚きです。和泉市最大規模で市内唯一の水濠を残す古墳であるとのこと。信太狐塚古墳は槙尾川下流域が一望できる信太山丘陵の西の縁辺部に築造された全長58mの前方後円墳で6世紀後半の築造とされます。信太千塚古墳群で唯一の後期前方後円墳で信太千塚古墳群の盟主墳とされます。前方部は完全に削平されて一見すると円墳そのものです。丘陵の縁とあってその眺望は素晴らしいものでした。白石さんによると、目の前に住宅が立ち並ぶ前はもっと眺めがよかったとのこと。







 以上で2日目の予定が終了。この日は和泉市の素晴らしさを感じた一日となりました。


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和泉市史編さん委員会
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