第２章 トラキアへ ２７１

　星のまたたきがひとつづつ消えていく、陽の光が届く、夜が明ける。オロンテスと荷役の一人が力を合わせて朝食の準備に取り掛かっていた。
　彼らの朝食はというと、今日は朝から熊肉であった。彼らは、熊肉の全てを処理した。塩をやや多めにすりこみ焼き上げて昼食分にあてた。朝食を終えた彼らは、昨日の状況について語り、今日の方針と計画について打ち合わせた。『今日こそ、いい発見』の期待感が、彼らの言動に強く現れていた。
　アエネアスは、今日の行動について説明した。
　『今日の探索行動について、皆に伝えておきたい。今日も２隊で行動する。昼食は各隊でする。今夜の宿営はここでする。昼食を終えたら、この地を目指して帰路についてほしい、いいな。往路と復路が同じでも、また、違っていても、それはかまわない。隊に任せる。太陽の位置に注意して、迷わず、この宿営地に帰ってきてくれ』
　アエネアスは、皆の顔を見回した。