その頃、アエネアス隊も昼食を終えて帰途についていた。彼らは南下した上で、西に進路を転じて歩を進めていた。キノンがイリオネスに声をかけた。
『イリオネス様、今夜の食事の件ですが、途中、小休止の折に、私と荷役の者とで野ウサギ狩に出ようと思っているのですがどんなものでしょう?』
『おう、それはいい。俺はどうすればいいかな』
『そうですね、私たちが林の中で迷わないように気を使って、見張っていてください。』
『判った』
一行は、程なく、小休止に適した場所に来た。二人はイリオネスの持っている小型の弓を借り受けて場を離れ、林の中へ入っていった。
案内役のキノンは、動物的な勘も鋭く、林の中に、いい狩場を見つけた。
二人は、じい~っと、息を潜め薮影に身を隠し、狩を開始した。荷役の者が動物の声を模してた叫びをあげる。
野ウサギが姿を現す、すかさず、キノンが矢を射掛ける。第一矢は、外れた。
『俺としたことが』 と舌打ちをした。
そうこうして、二人は6羽の野ウサギをどうにかしとめた。