『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  8

2011-02-02 08:38:28 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おうっ!皆、そろったか。お前たち、ヒマをもてあましているといった感じだな。そう言う俺もそうなのだが、今日は、皆で夕めしを食おうと思ってな。オロンテス、畑地の作物の具合はどうだ。畑で奮闘しているお前の姿を見たからな。ところでオキテス、今日の漁はどうだった。とにかく、俺は元気なお前たちの顔を見る、声をかけ、とりとめない話をするそれが何よりうれしいのだ。ところで砦の者たち皆に変わりはないか、イリオネスどうだ。皆に変わりなく健やかであってこそ、このアエネダナエが元気なのだ。うれしい知らせがあれば聞かせてほしい』
 『統領、うれしい知らせがひとつあります。テンダスの家内が腹に子を宿したようです』
 イリオネスが目じりを下げて言った。パリヌルスが続く、
 『統領、明後日、交易の船が来ます。話は聞いてみないと判りませんが。その船主には私が一、二度、接したことがあるのではないかと思いますが、ミレトスから来ます』
 『ほう、それは耳寄りな話だ。ここにいる皆で会おうか、どうだ。交易の話については、パリヌルス、お前と、イリオネス、オロンテスの三人で当たれ。皆で会うのは、情報の収集だ。エーゲ海南部と沿岸諸国の情況について聞きたい。それと注意したいのは、相手は、俺のことを知っているか、知っていないのかだ。それによって俺は同席を考える。それでいいな』
 『それがいいですね。判りました』
 パリヌルスは、情報の持つ秘密性を認識した。