『統領、わかりました』
イリオネスは短く答えた。
『イリオネス、お前なら俺の考えを理解してくれると思っている。俺がいては一同の中に話しにくい者もいると思う、俺はしばらく座をはずす。おまえたち、遠慮なく話し合ってくれ。ではな』
アエネアスは、広間を出て回廊に登った。彼の気持ちはすがすがしかった。今日も天気は晴朗である、乾いた空気、吹きすぎていく風は心地よい、遠くに広がりを見せるエーゲ海を見渡した。彼は何となく感じる不思議さに気づいていた。話していたのは己であるのに自分ではないような気がしていた。『事が成る』のに不思議な一面があることに気がついた一瞬でもあった。
『往こう!』 霞んで見える『エーゲ海の向こうに俺の建てる国がある』 彼は、この思いを強くした。決断するまでは重かった。決断してしまえば重くはない、心の中に抱いていた未来の恐怖は消えうせていた。
回廊にイリオネスが姿を見せた。
『あっ!統領、こちらにおいででしたか。一同の議論が出尽くしました。おいでください。皆がまっています』
二人は、歩を広間に向けた。
イリオネスは短く答えた。
『イリオネス、お前なら俺の考えを理解してくれると思っている。俺がいては一同の中に話しにくい者もいると思う、俺はしばらく座をはずす。おまえたち、遠慮なく話し合ってくれ。ではな』
アエネアスは、広間を出て回廊に登った。彼の気持ちはすがすがしかった。今日も天気は晴朗である、乾いた空気、吹きすぎていく風は心地よい、遠くに広がりを見せるエーゲ海を見渡した。彼は何となく感じる不思議さに気づいていた。話していたのは己であるのに自分ではないような気がしていた。『事が成る』のに不思議な一面があることに気がついた一瞬でもあった。
『往こう!』 霞んで見える『エーゲ海の向こうに俺の建てる国がある』 彼は、この思いを強くした。決断するまでは重かった。決断してしまえば重くはない、心の中に抱いていた未来の恐怖は消えうせていた。
回廊にイリオネスが姿を見せた。
『あっ!統領、こちらにおいででしたか。一同の議論が出尽くしました。おいでください。皆がまっています』
二人は、歩を広間に向けた。