『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  踏み出す  21

2011-02-21 08:04:30 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 北部エーゲ海の空はみごとに晴れて、深く、澄み、青く高かった。
 空を駆ける太陽の速度が真夏の頃に比べると速くなってきている、東に姿を見せた太陽の昇る速さ、そして、一日を終えての太陽の沈み行く早さに感じられた。
 アエネアスは、ユールスと3人の従者の5人で砦の東方に広がっている原野を目指して砦をあとにした。
 歩を進める足は、朝露にぬれた。彼ら5人の出発は、日の出直前の早朝であった。歩速をユールスに同調させていた。5人は、黙して進んだ。
 砦ではいつもと変わらない朝が始まっていた。
 朝食を終えたイリオネスは、昨日の会議のメンバーを招集して打ち合わせを終えたあと、イリオネス、パリヌルス、オキテス、オロンテスの四人を残して、アレテス、ギアス、アカテスの三人は担当の持ち場へと腰を上げた。
 残った四人は、今日のスケジュールを打ち合わせた。
 『パリヌルス、交易船が浜につくのは、いつ頃だな』
 『そうだな。昼めし時の少し前頃ではなかろうかと思っている。あいつらも足元のグラつかないところで、めしを食べたかろう』
 『判った。先ず昼食だ。全体で談話のあと、交易の話といこう、この四人で話を進める。商談はアーモンドのことから始めようと思うが君らの思いはどうだ』
 『いいだろう』
 オロンテスが口を開いた。