アレテスとクリテスは、スダヌスの説明でイクラリオンまでの今日の残りの行程を、判らないながらもこうであろうといった認識でニケの進行に心を砕いた。押す風は衰えることなく、ニケは快調に航走を続けた。
パノルモスを過ぎて2時間くらいは経ったであろう、海岸線は入り組んでいる、想像もしていなかった崖のせり出している海岸線であった。しかし、総じて海岸線はまっすぐ東に向かってのびていた。
さらに、ニケは、東へ1時間半余り、陽が西の海にその姿を消そうとしている頃になった。崖の連なりが90度の角度で南へとまがっていた。航路の目安となっている崖の岬であった。名があるのかないのかは定かではない。
アレテスは進路の変更を指示した。
『ホーカス!進路を南東に!南東方向にニケを向けろ!漕ぎかた櫂を持て!漕ぎかた始め!』
ニケが進路を変えると同時に帆に受ける風が弱まった。
『アレテス、進行方向を若干東へ向けてくれ!』
スダヌスが声をかけてきた。
『ホーカス、少し東の方向へ舵を修正してくれ!』とアレテスが指示してきた。
『判りました』
ニケは、進路を若干東方へと方向を変えて進んだ。アレテスは、振り返って夕陽を見ようとしたが、陽はすでにその身を海に沈めてしまっていた。陽の沈みがつるべ落としなら、宵の残照も長くはない、宵は急激に暗さを増して来ていた。
クリテスはスダヌスに問いかけた。
『向かう方向は、イラクリオンの右手の浜か、イラクリオンの街区なのか、はたまた、イラクリオンの左手の浜か、どちらへと?』と問いただした。
『おう、イラクリオンの左手の浜を目指してくれ』
『判りました』
聞き終わってクリテスは、アレテスにその旨を伝えた。
アレテスは、ニケの進行方向に目を凝らした。宵闇の暗さが増していく、風は微風、泡立てる白い航跡をひいてニケは波を割っている。目に映るイラクリオンの街区の灯火がちらちらと見える。灯火の左手の浜へとニケは進んだ。
『おう、クリテス、ここからの水先案内は俺がやる』
スダヌスはアレテスにことわりを入れて、ホーカスの操舵を指示することにした。
パノルモスを過ぎて2時間くらいは経ったであろう、海岸線は入り組んでいる、想像もしていなかった崖のせり出している海岸線であった。しかし、総じて海岸線はまっすぐ東に向かってのびていた。
さらに、ニケは、東へ1時間半余り、陽が西の海にその姿を消そうとしている頃になった。崖の連なりが90度の角度で南へとまがっていた。航路の目安となっている崖の岬であった。名があるのかないのかは定かではない。
アレテスは進路の変更を指示した。
『ホーカス!進路を南東に!南東方向にニケを向けろ!漕ぎかた櫂を持て!漕ぎかた始め!』
ニケが進路を変えると同時に帆に受ける風が弱まった。
『アレテス、進行方向を若干東へ向けてくれ!』
スダヌスが声をかけてきた。
『ホーカス、少し東の方向へ舵を修正してくれ!』とアレテスが指示してきた。
『判りました』
ニケは、進路を若干東方へと方向を変えて進んだ。アレテスは、振り返って夕陽を見ようとしたが、陽はすでにその身を海に沈めてしまっていた。陽の沈みがつるべ落としなら、宵の残照も長くはない、宵は急激に暗さを増して来ていた。
クリテスはスダヌスに問いかけた。
『向かう方向は、イラクリオンの右手の浜か、イラクリオンの街区なのか、はたまた、イラクリオンの左手の浜か、どちらへと?』と問いただした。
『おう、イラクリオンの左手の浜を目指してくれ』
『判りました』
聞き終わってクリテスは、アレテスにその旨を伝えた。
アレテスは、ニケの進行方向に目を凝らした。宵闇の暗さが増していく、風は微風、泡立てる白い航跡をひいてニケは波を割っている。目に映るイラクリオンの街区の灯火がちらちらと見える。灯火の左手の浜へとニケは進んだ。
『おう、クリテス、ここからの水先案内は俺がやる』
スダヌスはアレテスにことわりを入れて、ホーカスの操舵を指示することにした。