『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  344

2014-08-22 08:08:23 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『オウ、親父!何だ?』ぶっきらぼうだが親子の情を含んだ声音である。
 『おう、どうしている?』『変わりはない。連れがいるではないか』
 『お前、昼めしは?』『早めに済ませた』
 『もう一度、食べないか』『う~ん、いいだろう』
 『客人だ。スダヌス頭の友人たちだ』
 『スダヌス頭が見えたのか』
 彼は戸外へ目をやった。スダヌスと目があった。歩み寄るスダヌス。父親のわきを抜けて戸外へ出るアドラン。
 二人はヒッシと抱き合った。顔を見合わせる。再度二人は肩を抱き合って、久しぶりの再会を喜び合った。
 『アドラン、元気そうだな、何よりだ』『頭こそ元気そうで何よりです』
 『仕事の方は、うまくいっているか?』『俺の思いではうまくいっていると思っている』
 『そうか、それは重畳、何よりだ』『親父の評価が手厳しい』
 『親とは、そういうものだ』『頭、ゆっくりしてください。俺、食事の準備をしなければ、、、』
 『そうか、俺らも手伝う』『向こうの庭で準備します』
 『野焼きだ。むつかしく考えるな』『わかってるって』
 二人は話し合いながら裏庭に向けて歩を運んだ。イリオネスらも手を貸して食事の場づくりに取り掛かった。手っ取り早く整った。
 『おいっ!アドラン!酒はあったな、酒杯も持ってこいや。酒と一緒にだ』『判った』
 裏庭には炉が作られている。食事準備のためのテーブルも据えてある。
 大ぶりにカットされた肉を金串に刺して焼く、まあ~、豪快にふるまう食事風景が展開した。イリオネスがアレテスの方を向いて小声でささやいた。
 『パンは持ってきているな』『はい、持ってきています。安心してください』
 『アレテス、頃合いを見て、パンを配ってくれ』『判りました』
 アレテスは、据えられているテーブルを使ってパンを金串に刺して軽く火を通して一同に配った。
 『おっ!パンか』
 スダヌスが声をあげる。
 『おいっ!アドラン!これを食べてみろ』
 『おおっ!これは旨い!初めて口にするパンの味だ。いいね!』
 一同は、いい具合に焼けた羊肉、酒、そして、パンを味わった。
 彼らの昼食は終わった。食事を充分に楽しんだ。