『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  624

2015-10-01 05:58:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 キドニアからの帰りの航走は、西風をまともに受けた。漕ぎかたの懸命に漕ぐ姿がそこにあった。
 パリヌルスが声をかける。
 『おう、オキテス、どうだ、俺らも汗をかかないか』
 『おう、それもいい』
 返事を聞いたパリヌルスは、ギアスに声をかける。
 『ギアス、俺たち二人、櫂を握りたい』
 『判りました』
 ギアスは漕ぎかた二人に漕ぎ座を交替させた。パリヌルスとオキテスは、漕ぎ座に就く、櫂を握る、二人は、漕ぎの律調に合わせて漕ぐ、額に汗が浮かぶ、風が汗を拭き消す、とめどなく汗が流れた。
 二人は燃焼する、漕ぎ座について四半刻(約30分)、ヘルメスはニューキドニアの浜に着いた。
 二人は目を合わせて、ヘルメスから浜に降り立った。
 『パリヌルス、いい汗をかいたな。櫂操作だが考えていたより軽い』
 『そうか、俺もそのように感じた。このあと軍団長の宿舎の方へ行く、お前どうする?』
 『そうか、俺も報告して、明日の事を打ち合わせておかないといかん。オロンテスの都合を聞く』
 『おう、そうしてくれ』
 オキテスとオロンテスが言葉を交わしている。
 『おう、オキテス、俺、一足先に行くからな』
 『おう、判った。俺はオロンテスと同道する』
 『おうっ!』
 パリヌルスがイリオネスの宿舎の戸口に立って声をかける、返事がない、『統領のところかな?』と考えた。彼は、統領の宿舎へと向かう、図星であった。
 アヱネアスとイリオネスが宿舎前の草地で歓談中である、二人はパリヌルスに気づいた。
 『統領、軍団長、ただいま帰りました』
 『おう、ご苦労!今帰ったのか、試乗会はどうだった?』
 『はい、報告します。試乗会参加者は総勢11人でした。集散所から4人、ガリダ方から3人、スダヌス方から3人、それにテカリオンの11人です』
 『ほう、11人とはな。俺が考えていたより多いではないか』
 『軍団長は、何人ぐらいと?』
 『俺が考えていたのは、7人くらいかなと考えていた』
 『そうですか。私もそれくらいと考えていました』
 『少ないより多い、いいではないか。そして、なに、テカリオンが来たのか』
 『はい、明日、こちらへ来ると言っていました』
 『おっ!そうか。タイミングがいい、グッドタイミングではないか』
 話はすすでいる。オキテスとオロンテスが姿を見せた。