『おう、やっているな!なかなかの風景だ。建造の場が五つもあるとはな。これは壮観だ。このようにやっているお前たちがうらやましい。パリヌルス、これは本音だ、包みもせず、隠しもしない俺の本音だ』
新艇建造の場の風景を目にしたテカリオンの偽らざる言葉であった。
『そうか、そんなに驚くことはないだろうが』
『船の建造はたいていの場合、一船づつというところだ、5船同時建造なんてありゃせん』
『そうかな』
首をかしげてうなずくパリヌルス。
『それにしても壮観な眺めだ。お前ら、やることがでっかい!この俺が驚いている。なあ~、パリヌルス、アテネのだな、ピレウスあたりの交易船、軍船などの造船の場と比べるのは適当とは思わない。そして、このクレタの地でだな、このように船を建造する場はここ以外にない。クレタにおける造船の歴史はかなり古い。東地区には多数の造船の場があったのだが、今は、ところどころにといった状態だ。東地区には造船に使用する材木がないのだ』
二人は話をしながら造船の用材の置き場に来た。
テカリオンは用材を注意深く見つめて、パリヌルスに声をかけた。
『お~お,この用材、なかなかの良材ではないか。これなら、いい船ができる』
『お前、用材を見て、その良し悪しが解るとは、なかなかの眼力だな、見上げたもんだ』
『これでも、俺が取り扱っている品目は数々ある。木材もその中の一つだ』
『そうか、俺はお前を見直したぜ。何を見てもそれの良否を判別するとは大したものだ』
『考えてみろ!俺の仕事が仕事だ。よろずの物に水準の目利きができて、判別するだけの知識がないと仕事が成り立たないのだ。パリヌルス、見たところ大体のところが解った。あの用材で試乗した船を造るのだな。詳しい根拠は別にして、おおよそのところを算出する。それでいいか?』
『おう、それでいい』
『少々時間をくれ。夕方くらいまでに答えを出す』
『解った。承知!』
『統領、軍団長に挨拶をする。一緒に行こう』
『おうっ!』
二人は、アヱネアスとイリオネスの宿舎の方へ歩み始めた。広場への坂を登っていく、林間から二人の声が聞こえてくる。
『ご両人、健在にお過ごしのようだな。それは重畳というものだ』
『二人とも元気そのものだ』
『なあ~、パリヌルス。俺は、いつもこのように考えている。仕事をする俺たちは、人に会ってなんぼの仕事をしている。人に会って話をする、話し相手もこの俺も互いに健やかでないと正しい判断に基づく商いができない。健全な商談で、商談がまとまらないと必ずトラブルに見舞われる。それが俺の心の底の想いだ。お前もそうは思わないか』
パリヌルスは、テカリオンの想いに同調した。
新艇建造の場の風景を目にしたテカリオンの偽らざる言葉であった。
『そうか、そんなに驚くことはないだろうが』
『船の建造はたいていの場合、一船づつというところだ、5船同時建造なんてありゃせん』
『そうかな』
首をかしげてうなずくパリヌルス。
『それにしても壮観な眺めだ。お前ら、やることがでっかい!この俺が驚いている。なあ~、パリヌルス、アテネのだな、ピレウスあたりの交易船、軍船などの造船の場と比べるのは適当とは思わない。そして、このクレタの地でだな、このように船を建造する場はここ以外にない。クレタにおける造船の歴史はかなり古い。東地区には多数の造船の場があったのだが、今は、ところどころにといった状態だ。東地区には造船に使用する材木がないのだ』
二人は話をしながら造船の用材の置き場に来た。
テカリオンは用材を注意深く見つめて、パリヌルスに声をかけた。
『お~お,この用材、なかなかの良材ではないか。これなら、いい船ができる』
『お前、用材を見て、その良し悪しが解るとは、なかなかの眼力だな、見上げたもんだ』
『これでも、俺が取り扱っている品目は数々ある。木材もその中の一つだ』
『そうか、俺はお前を見直したぜ。何を見てもそれの良否を判別するとは大したものだ』
『考えてみろ!俺の仕事が仕事だ。よろずの物に水準の目利きができて、判別するだけの知識がないと仕事が成り立たないのだ。パリヌルス、見たところ大体のところが解った。あの用材で試乗した船を造るのだな。詳しい根拠は別にして、おおよそのところを算出する。それでいいか?』
『おう、それでいい』
『少々時間をくれ。夕方くらいまでに答えを出す』
『解った。承知!』
『統領、軍団長に挨拶をする。一緒に行こう』
『おうっ!』
二人は、アヱネアスとイリオネスの宿舎の方へ歩み始めた。広場への坂を登っていく、林間から二人の声が聞こえてくる。
『ご両人、健在にお過ごしのようだな。それは重畳というものだ』
『二人とも元気そのものだ』
『なあ~、パリヌルス。俺は、いつもこのように考えている。仕事をする俺たちは、人に会ってなんぼの仕事をしている。人に会って話をする、話し相手もこの俺も互いに健やかでないと正しい判断に基づく商いができない。健全な商談で、商談がまとまらないと必ずトラブルに見舞われる。それが俺の心の底の想いだ。お前もそうは思わないか』
パリヌルスは、テカリオンの想いに同調した。