イリオネスは、宿舎に収納している膨大といってもいい木札の量を頭の片隅で考えていた。
パン事業に手掛けて1年、漁業関係の事業に着手して半年あまり、その間に蓄積した大変な量の木札のことに思いをはせた。その中から小麦の仕入れにテカリオン宛に支払った木札の量について考えた。彼はその内容を思い浮かべて考えた。
その支払額を耳にした交換比率でもって考えた。
『そういえば、そうだな。考えてみればうなずける』
その内容は、受け入れることのできる結果であった。
イリオネスはスダヌスと目を合わせて口を開いた。
『浜頭、理解した。銀貨一つと木札の枚数との交換比率について理解した。ちょっと間が開いたな、話を進めていい、続けてくれ』
その言葉にうなずくスダヌス、イリオネスの顔を見るパリヌルスら三人。
『うっう~ん、お前ら、何か言いたいのか!』
『そうです。今まで耳にした話が、このあたりにとどまっています。腹に収まろうとしません』と言って、胃のあたりを手で押さえていた。
『そうか、それは、お前らが解しかねている世の中の仕組みのせいだ。しかし、俗な言い方をするが、世の中がこのようなしきたりで動いているということを知ることだ。お前らが力もうが歯ぎしりしようが変わることではない。それが承知できないとなれば、世の中の仕組みをつくる立ち位置に立つことだ。解ったか、そういうことだ』
『解りました。言われてみればそういうことですな。なんとなく解りました。詰まっていたものが腹に収まっていくようです』
『オロンテスが理解した表情でいるではないか。オロンテス解ったのか?』
『ハイ、理解しました』
『オロンテスが理解したといっている。パリヌルスにオキテス、二人とも解ったのか?』
『はい、解ったような気がしています』
『おう、スダヌス浜頭、話を進めてくれ』
スダヌスは、イリオネスと三人の話のやり取りを黙って聞いていた。彼のオドロキは、イリオネスが話を締めくくった最後の一言であった。『世の中の仕組みをつくる立ち位置に立つ』この一言に驚いた。
今度はスダヌスが口を開けることができないでいる。開いた口がふさぐことができないのではない、閉じた口を開けない、スダヌスは自分自身を叱咤した。
『落ち着け!スダヌス!お前の行こうとするところは、彼らが行くところとは違っているのだ。しっかりせい!』
彼はやっとの思いで口を開いた。
アヱネアスと目を合わせ、イリオネスと目を合わせ、三人とも目を合わせて口を開いた。
『いやいや、話が中断しましたな。申し訳ない、話を続けます』
パン事業に手掛けて1年、漁業関係の事業に着手して半年あまり、その間に蓄積した大変な量の木札のことに思いをはせた。その中から小麦の仕入れにテカリオン宛に支払った木札の量について考えた。彼はその内容を思い浮かべて考えた。
その支払額を耳にした交換比率でもって考えた。
『そういえば、そうだな。考えてみればうなずける』
その内容は、受け入れることのできる結果であった。
イリオネスはスダヌスと目を合わせて口を開いた。
『浜頭、理解した。銀貨一つと木札の枚数との交換比率について理解した。ちょっと間が開いたな、話を進めていい、続けてくれ』
その言葉にうなずくスダヌス、イリオネスの顔を見るパリヌルスら三人。
『うっう~ん、お前ら、何か言いたいのか!』
『そうです。今まで耳にした話が、このあたりにとどまっています。腹に収まろうとしません』と言って、胃のあたりを手で押さえていた。
『そうか、それは、お前らが解しかねている世の中の仕組みのせいだ。しかし、俗な言い方をするが、世の中がこのようなしきたりで動いているということを知ることだ。お前らが力もうが歯ぎしりしようが変わることではない。それが承知できないとなれば、世の中の仕組みをつくる立ち位置に立つことだ。解ったか、そういうことだ』
『解りました。言われてみればそういうことですな。なんとなく解りました。詰まっていたものが腹に収まっていくようです』
『オロンテスが理解した表情でいるではないか。オロンテス解ったのか?』
『ハイ、理解しました』
『オロンテスが理解したといっている。パリヌルスにオキテス、二人とも解ったのか?』
『はい、解ったような気がしています』
『おう、スダヌス浜頭、話を進めてくれ』
スダヌスは、イリオネスと三人の話のやり取りを黙って聞いていた。彼のオドロキは、イリオネスが話を締めくくった最後の一言であった。『世の中の仕組みをつくる立ち位置に立つ』この一言に驚いた。
今度はスダヌスが口を開けることができないでいる。開いた口がふさぐことができないのではない、閉じた口を開けない、スダヌスは自分自身を叱咤した。
『落ち着け!スダヌス!お前の行こうとするところは、彼らが行くところとは違っているのだ。しっかりせい!』
彼はやっとの思いで口を開いた。
アヱネアスと目を合わせ、イリオネスと目を合わせ、三人とも目を合わせて口を開いた。
『いやいや、話が中断しましたな。申し訳ない、話を続けます』