『そうか。お前の気持ちを理解できるような気がする。オロンテス、お前が言おうとしていることが解る』
『そうか、解るか』
『パンの価格を決めた主役は誰だったのだ?その者の思惑はなんであったのか?であると思われるが、そこに人間の本姓がどのように働いたかが問題であると考えられる。パンの価格の正当性を市場の物の値段をもって推し量り、比較検討して探ろうと考えている。物の値段を調査しようと考えている。通貨制度を知って、その通貨単位も知った。木札1枚の持っている価値判断をしなければならないと考えてもいる。魚の取引きについても、そのあたりを探ろうと考えている』
『そうか、昨日、あの場でスダヌスの話を聞いていて、俺たちの焼いているパン1個が木札1枚であると集散所のハニタスが決めたのだが、思い返したら、大変なショックだったな、その時は、『はい、そうですか』と承認した。俺もよく考えなかったのかもしれん、抜かりがあったのではないかと考えもした。そこで言えることは、俺たちが、これらのことについて何も知らなかったということにも気が付いた。俺たちは、お人よしなのかとも考えた。お前の言うものの値段の調査をやろう。それでもって自分自身も知ろう。そして、彼らをも知ろう。出ないと新艇の価格もいい加減にされる。今の俺は、人間のやることに不信感を抱いている。と同時に、集散所の担当の者たちにも不信感を抱いている。この不信感を払拭しない限り、目標達成に向かう仕事に一体感をもって携わっていけない』
『そうだな、お前の言うとおりだ。その件についても計画の具体策を立ててやろう、ちょっとだが急を要するな。今日の会議で決定して、早速、行動をする。それから価値判断を全員総がかりで評価し、相手方の信頼度について意見交換する。それでどうだ、オロンテス!』
『解った。大変だが、相手と手を組む、それに必要なのは、信頼できる、信用できる相手でなければいけない。それがないと一体感をもって、この新艇の販売業務の遂行ができない』
『ヨッシャ!朝めしを終えたら、軍団長の宿舎に集合しよう』
二人の心が燃えた。パリヌルスは、この旨を伝えた。