『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  724

2016-02-25 11:30:00 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスが一同の目を見る。
 『ないようだな。統領、一同に言っておくこと、何かありますか?』
 『これと言ってない!』
 『よしっ!会議を終了する!パリヌルス、調査費用の木札を取りに来てくれ』
 『判りました』
 『では、散会する。次回会議は、明後日の夕刻とする、オロンテスのキドニアからの帰りを待って開く!オキテス、原価計算の算出、パリヌルス、木札の勘定についてだが、今日を含めれば3日ある。この期間で完了するようにな』
 『その予定でやります』オキテスが答えた。
 『パリヌルス、調査の件もそれまでに完了すること、いいな』
 パリヌルスがイリオネスに話しかける。
 『軍団長、木札の勘定の件ですが、今日の午後からかかります』
 『そうか、それなら、木札の収納庫の方へ行こう』
 二人は連れ立って歩き始めた。
 木札の収納庫は、軍団長の宿舎の内部を仕切って作られている。彼はその量を見て驚いた。並みの量ではない、木札の詰まった袋が庫内に雑然とではあるがぎっしり詰めこまれていた。
 歩きながら思案してきた整理方法について説明した。
 『軍団長、一枚の袋に木札500枚詰めとします。処理にあたる人員は、7名とします。明日の午前中には作業を完了させます。なお、使用する袋はオロンテスに言って、麦の空き袋を使用する予定です』
 『おう、それはいい。そのようにしてくれ』
 『出来上がった袋は、こちらの部屋に積んでいきます。よろしいでしょうか?』
 『それでいい!』
 『昼めしを終えたらすぐに作業を開始します』
 『おう、解った。あ~、それから、オロンテスに手が空いたら、俺のところへ来るように伝えてくれ』
 『はい、判りました』と答え、調査に使用する木札20枚を受け取ってその場を後にした。
 パリヌルスら三人にとって多忙の三日間が始まった。
 オキテスは、新艇建造の場に立って、原価計算の要領について思案している。彼にとって思考未踏の領域であるだけに慎重であった。基礎数字の条件設定をどのようにすればいいかを思案している。正確算出を命題として取り組むにはと脳漿を絞った。
 こまごまとした用事を済ませたオロンテスがイリオネスの宿舎に姿を見せた。
 『おう、オロンテス、来てくれたのか、ご苦労。木札のことだが、パリヌルスの予定では、明日、午前中に作業が終わるといっている。明後日、ドラクマ銀貨と交換するために集散所へ届ける。交換のための都合も相手にあるだろうと思う。明日にでも集散所側と段取りを話し合ってくれ』
 『判りました。ドラクマ銀貨と交換、受領の件、間違うことなく行います』