『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  711

2016-02-08 06:16:14 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼は話を継いでいく。
 『皆さん、集散所の木札の交換比率について、理解いただけたようですな。皆さんがこの交換比率をご存じなかったということを私が知っていなかった。交換比率を耳にされて、大変、驚かれたようですな。これは一個人がどうのこうのできることではありませんな。この集散所の決まり事です。2ドラクマ銀貨の価値だと、私どもは銀貨を仰ぎ頂いているといったところです』と述べて、オキテスと顔を合わせた。
 オキテスが口を開く。
 『浜頭、私らは、ドラクマという交換価値単位とその価値について理解した。ここまで浜頭から聞いたことについては質問はない。次の話に進もう。あの木片に書き記された集散所からガリダ方に支払われる新艇健造用材の金額について話してもらいたい』
 『解りました、あの木片をお持ちですか?』
 オキテスがイリオネスに顔を向ける。 
 『軍団長、例の木片持ってこられましたか?』
 『おう、持って来ている』と言って、腰につけている袋より木片を取り出して、オキテスに渡した。木片はスダヌスの手に渡る。
 スダヌスは、木片に書かれた数字を確かめた。
 『お~お、そうです。この数字がガリダに支払われる金額です。単位は、ドラクマで書かれています』
 スダヌスがここまで話したことで一同の理解が早かった。スダヌスは例を挙げて、この金額がどれほどのものかを説明した。
 一同が質問をする。彼らの質問には、見当はずれの質問もあるが、スダヌスは、丁寧に対応している。質問をする一同、答えるスダヌス。
 一同の理解が進む。アヱネアスが気にかけていた件について質問した。
 『浜頭、説明しにくい質問もしたが、解りやすいように答えてくれた、ありがとう、礼を言う。私がこれから質問することに答えてもらいたい。浜頭が知っているように、今、我々が新艇を建造している。あの新艇クラスの新船が、このクレタでどれくらいの価格で取引されているかを知りたい。浜頭の知っている範囲でいい、ズバリ、答えてほしい』
 アヱネアスの言葉は、丁寧な言い回しが感じられるが、語気は鋭かった。
 『解りました。クレタにおいて取引の多い新船は、ヘルメス艇より、二まわりくらい、いや、三まわりくらいかな、小さい新船が多いのです』