伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

原発労働者の思いに応え支えることが大切・実名告発者が証言

2013年12月23日 | 原発
 12月22日、しんぶん赤旗の購読と原発の廃炉を求める署名をお願いして党支部の方と訪問活動をしました。この中で、大熊町に住んでいた家族が避難をしたという方は、住宅の再建やお墓の確保など今後に多くの課題を抱えているというお話をしてくださいました。

 避難をされている方は、多くの方がこうした問題を抱えているのだろう。あらためて思いました。それだけに原発事故をおこした国と東電の責任の重大さを痛感します。また、今朝のしんぶん報道にあった「避難指示解除後1年以内に帰還する住民に、『早期帰還者賠償』として1人当たり90万円程度を支払う。列車、バスなどの不通による交通費の増加分などに充てることを想定している」(福島民報)が、賠償に関する金銭の多寡で格差を付けることが新たな避難者分断策になるのではないかと考えると、こうしたやり方をやめ、帰還する方にも、帰還できない方にも、生活再建をしっかり補償するあり方を責任を持ってとることの重要性をつくづく感じました。

 同日、午後から元原発労働者で、労働基準法違反を実名で告発した上地剛立さんが証言する集会がありました。上地さんは、「震災復興に伴う現場でのお仕事です。※簡単な作業」という東建興業の募集に応じ、2012年7月から同年12月まで汚染水タンクの建設などに従事したといいます。

 会社側に経験がないと伝えると「やる気があれば良い」と言われ採用。勤務地に行ってみると、考えていなかった東電福島第一原発での収束作業だったといいます。「東建興業から給与振込はあるものの、給与の明細は渡されないと教えられ、おかしいと思ったので東電に相談した」ら「今後はテックが給与を払う」と雇用先がテックに変わったといいます。偽装請負の疑いが強いもので、原発の収束作業に従事する労働者が置かれている環境がよく分かります。

 また、現場での労働者は「神経がピリピリしていて、周りのことは考えていない状況だった。もう少し冷静であってもより思った。指示系統も隔離されていなかった」と、厳しい労働環境にあったことを証言しました。

 汚染水タンクの基礎工事では、「鉄筋が入らず構造的に耐久性がないワイヤーメッシュが使われた。(上部に)1,000tの水がのるのだから鉄筋が使われるべきだった。鉄筋を入れないことから構造計算がないのではないかと思った。また打設したコンクリートは1週間ほど乾かして重機など重いものを入れるべきだが、2、3日で入ることもあった」と証言。

 また「専門家でも、(コンクリートの)ならしは長い定規などを使うが、素人がコテだけで仕上げるためにデコボコになった」とし、タンクと基礎のコンクリートの間に、折れた特殊なボルトの先端が入っていたこともあり、現場では「隙間にボルトが入ると定番が痛むこともある」と現場の認識があり、「傷つき腐食することもあると思う」とも語りました。

 急ぐあまりなのか、疑問を抱く作業が行われていた状況も証言されました。
①締め付け部などのサビ止め剤のコーティング作業で、本来、サビを落とし水分も丹念に拭き取る必要があるのに、これが十分に行われずサビ発生のげんいんになった可能性があること
②汚染水の注水口にガムテープで蓋がしてあり、この交換作業に携わったことがあり、「テープを剥がした際、中の汚染水が見え、何とも言えない気持ちだった」などとし、「施工法の悪さが汚染水漏れにつながったのではないか」と考えていること
③ピン打ち付け作業の轟音がタンク内に響く中で上地さんが作業。これが耳に悪影響を与えたといいます。「時折キーンという耳鳴りがするため、別のことに集中して(気を紛らわす)生活をしている」と、劣悪な作業環境があったこと
です。

 上地さんは実名告発に至った心情を、「何より説得力があると思います。そして福島第一の環境を良くし、また働きたいという思いがあります」と語りました。こうした原発労働者の心意気に応えていくことが大切になってきているでしょう。東電は、賃金の割増分について1万円増額する、給食センターを開設する、休憩所を整備するなどの労働環境改善策を打ち出しましたが、引き続く改善を求めるとともに、多層下請け構造におかれる原発労働者の実態を考えれば、こうした改善措置が末端の労働者にしっかり行き届く措置を、国と東電に求めていかなければならない、そう思います。


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