伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

廃炉も賠償も回答に変化なし 東電現地説明会

2013年04月30日 | 原発
 二本松市の福島県男女共生センターで、東電を招いて「東電現地説明会」が開かれ、参加しました。県民の意見を東電に伝えると同時に、県内原発全廃炉や完全賠償などの実現についての東電の考えを、あらためて質すために開かれたもので、全国公害被害者総行動実行委員会や原発事故の完全賠償をさせる会などが呼びかけたものでした。

 会には東電復興本社の石崎代表の出席を求めていました。これまでの東電との交渉・話し合いで、東電側の出席者が額面通りの答弁しかできず、その場で判断をできるしかるべき立場の人物に出席してもらわなければ、時間をイタズラに浪費することが理由だったようです。

 ところが石崎代表の出席はありませんでした。その理由をただしても「質問項目をいただき、それに回答するメンバーを決めました。その決定は会社として決済したもの」とするだけで、なぜ出席できないのかは、ついぞ答えることがありませんでした。

 さて、廃炉についての東電の回答は従来と変わらず「廃炉は現時点では未定」というもの。福島県が復興計画で県内原発ゼロを盛り込むなど、県内原発廃炉は県民の圧倒的な声。県内各地の原発事故被災者が、「相次ぐ事故への不安。核燃料の廃棄など問題がたくさんある中で、6機の原発が運転を続けたら双葉郡に戻る人はいなくなる。廃炉なくして復興はない」と繰り返し求めても、その姿勢は全く変わりません。

 なぜ廃炉の方針を決められないのか。再稼働をする気満々だということもあるでしょう。東電の将来の経営のためには原発という資源を使いたいというのがあるのでしょうね。同時に以前、テレビのニュース番組でコメンテーターがこんなことを言っていたことがあるような気がします。廃炉にしていない現状では東電福島第一原発5号機、6号機、そして第2原発の4機は資産となるが、廃炉にすれば損失となって経営の打撃になるという内容だったと思う。本当にそんなことになる。

 また賠償についてはどうか。「原子力損害賠償紛争審査会の指針と追補により相当な因果関係があるものに対応している」と、これも従前と変わらない回答。「放射性物質が放出されたために避難した自主避難者の多額な負担。残った被災者も水、食べ物など余計にお金がかかっている。実態を知っているのか」「除染費用をかけても賠償されない」「ここに食べたいものがあっても100bqを超えると食べることができない。子どもはもちろん、年寄りだった食べるとは言わない」などと、参加者は繰り返し県民の被害の実情を訴え、東電の真摯な対応を求めていました。しかしこれもダメ。最後まで回答は変わりませんでした。

 さらに賠償の時効の問題です。東電が被災者に損害賠償の書類を発送してから3年で時効が成立し、賠償請求ができなくなってしまいます。この時効を適用させないよう求めますが、東電は「もう一度ダイレクトメールを送り時効の中断を図る」と回答します。これはおそらく1回目の損害賠償を送ったにもかかわらず請求がなかった人にはもう一回送ってさらに3年間の時効延期を図ろうということのようです。これでは1回目も、2回も居所不明の方の請求権は消滅しかねない。しかも1回目の損害賠償(8万円+4万円)を請求した人には、被害の実状によって個別の請求ができるのですが、これも時効がやがて来るということになるのでしょう。繰り返しの求めにも、時効を適用させないとは決して言いませんでした。

 次回の「現地説明会」は6月6日に行うよう東電に求めているといいます。しっかりした話し合いで、県民の要求が少しでも前進する実りある説明会になるよう。心から願います。

   ★

 二本松に向かう途上、安達太良山は雲をかぶってほとんど見えませんでしたが、帰りには雲が晴れ、夕方の空に山体が美しく見えていました。雲を通して太陽も見えていたのですが、これも入れた写真を撮っておくべきでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿