「ダメジン」(2006年、98分)
監督・脚本:三木聡
佐藤隆太、緋田康人、温水洋一、市川実日子、篠井英介、ふせえり、笹野高史、岩松了、麿赤兒、片桐はいり、村松利史、菅原洋一、伊藤美咲、吉岡秀隆、嶋田久作、園子温
2006年製作、公開となっているが、撮影のほとんどは2002年に済んでいたようだ。そう考えると何人かの俳優が妙に若いのも納得がいく。実質的には三木聡の初監督映画。
全体に黄色っぽい、埃っぽいトーンで写される界隈で、何をやっているんだかわからないダメな連中(ダメジン、佐藤、緋田、温水が中心)の生活、成り行きが、ナンセンスギャグを散りばめながら描かれる。一部ではロード・ゴーイング・ムービー風にもなる。
シュールとナンセンスの融合といえばそうだが、あまり難しく考える必要もないということは見ていてわかる。したがって疲れないし、そんなに後味は悪くない。もっとも他の三木作品に親しんでいない人に是非にと勧める作品でもない。
随所にこれを「時効警察」などに転用したなと思わせるところがある。太陽光線で火がつく、村松利史がいつも水の中にいる、など。
菅原洋一の起用も驚くとともに納得させられるが、顔が見える前からこの声でわかってしまうのはさすがだ。
岩松了が「結婚するって本当ですか?」といったときには吹出した。もちろんダ・カーポの歌が下敷きにあって、それをこの状況で岩松がこの演技で言ったからおかしいのだが、傑作!
佐藤隆太はこの中心となる何人かの中では、コミカルな演技を要求されていない。考えてみると、三木作品にはよくこういう普通の人が真ん中にいて、映画を見る人の定点になっているようなところがあり、喜劇の定石なのかもしれないが、うまく出来ている。