ブリヂストン美術館で、その収蔵物を中心とした「都市の表象と心象 Paris Passages」が開催されている。(10月25日~1月18日)
ナポレオン3世、そしてオスマンによるパリの再計画により、都市の様相は大きな変化をとげた。それに対する賛否、特にパッサージュというパリ独特の通りと通りをつなぐ通路、アーケードの役割に焦点を当てている。
パッサージュについては、ベンヤミンの論稿(読んだことはないが)などもあり、かなり注目を浴びていることだけは知っているが、この展覧会ではそれと展示作品との関係は今ひとつよくわからなかった。
それでも、都市としてのパリを描いたシャルル・メリヨン(Charles Meryon、1821-1868)のエッチングに光が当てられ、まとめて見ることができたのはよかった。だからどうというほどの迫力あるものではないにしても、この時代を情感も持って記録したものとして、見ていて面白い。
そこにブリヂストン美術館所蔵品が少しかかわって展示される。こういう中で見ると、才能あふれるマネのすこし癖ある絵からドガに変わったときの安らぎ、というのも今回気づかされたことだ。
といってもマネがよくないというのではない。
そしてその次に、所蔵品常設展を見ると、やはりここは西洋近代絵画鑑賞のベンチマークになっていることがわかる。カラス越しでなく、しかもゆったり見られるのがいい。そして、その先に出てくるコンテンポラリーのいくつかも、予備知識なしに、いい絵だなという部分が感じられる。
またあまり大きくない彫刻がいろんなところに配置されていいるのも、楽しい。
ブールデルの弓をひくヘラクレス、風の中のベートーヴェン、マリノ・マリーニの騎手、ピカソの道化師など。
絵で今回気がつき気に入ったのは、アンドレ・ロートの「海浜」。