「ガウディ伝」 田澤 耕 著 (2011、中公新書)
まだスペインに旅行したこともないから、サクラダ・ファミリアを見てはいない。また今後どうなるかもわからない。
それでも読んでみようと思ったのは、ある書評でこの本ではガウディ(1852-1926)の生涯ばかりでなくその背景、特にカタルーニャ、その中心のバルセロナに関して詳しく書かれていることを知り、興味がわいたからである。
バルセロナについては、サッカーをはじめとして輝きを感じるし、ツール・ド・フランスのレース風景にあるのはここに近いところである。
バルセロナが18~19世紀のカリブ海植民、奴隷貿易にどうかかわったのか、言われてみればもっともなのだが、あまり考えたことはなかった。特にキューバについては良くも悪くもバルセロナとの関係が深いようだ。ラム酒の「バカルディ」はカタルーニャ人の名前だとか。
ガウディ、そして彼のパトロンたち、ピカソ、パリのカフェとの関係、ユトリロの出自との関係そのほか、時に細部に入りすぎるきらいはあるが、彼の生きた時代と社会は伝わってくる。