ジャズ演奏の会にヴォーカルで参加した。
二年ほど前から、ヤマハ「大人の音楽レッスン」でヴォーカルを習っている。題材はポピュラー音楽一般で特にジャズに限っているわけではない。
昨年は楽器のコースも含めて発表会をやり、それにも出たのだが、今回はジャズのサックス、トランペットの人たちが主で、ヴォーカルはそこにもぐりこんだという感じ。
現に12組ずつ2部にわかれてやったうち、私が入っている第2部ではヴォーカルは2人のみであった。
会場は横浜馬車道のライブスポットKAGOME、演奏者と客席が同じ高さ、近くていい。
歌ったのは作詞ハル・デヴィッド、作曲バート・バカラックのWIVES AND LOVERS、いわゆるスタンダード・ジャズよりは少し新しい感じのものをやりたかったのと、バカラックはやはり面白いから。
それと、こういうときにバックの人にもスコアを配るのだが、キーを変えると書き換えをしなければならず、我々のこういう機会ではオリジナルのキーで歌えるものに限られてくる。幸いこの曲は、少し高いキーではあるけれどもなんとか許容範囲であった。
初心者ゆえ、随分自宅で練習した。お手本はJack Jones、ジャズ・シンガーというよりはわかりやすいポピュラー・シンガー、エンターテイナーで、ほぼ楽譜どおりのジャズ・ワルツ。
もう一つ有名なのは、フランク・シナトラがカウント・ベイシー・オーケストラをバックに編曲と指揮はクインシー・ジョーンズという豪華メンバーのもので、こっちはもっとしゃれているけれども、4ビートになっているからもとの楽譜だとやりにくく、これはやめた。
出来はまずまずで、バックのピアノ、ギター、ベース、ドラムスの方々(いずれもこのスクールの先生)には感謝している。さらっと歌うと短く、シンプルすぎるので、間にワンコーラス、インストルメンタルを入れてもらったが、リハーサル時からちょっと変わっていたものの、前のものを録音しておいて慣れていたので、次に入るタイミングは大丈夫だった。特にこういうピアノをバックにすると気持ちがいい。
ところで、サックスやトランペットの人たちの演奏を聴いていて思うのだが、こっちのジャズ演奏とジャズ・ヴォーカルは、かなり違うのではないだろうか。
ヴォーカルはやはり歌詞あっての、それを意識したものになるけれども、楽器演奏はほとんど言葉との関係がない。だから、装飾、変奏、アドリブなどが占める部分は聴いていても大きいし、生徒のものも教科書どおりということはまずない。それがヴォーカルだと、たとえばプロのシナトラなどにしても、随分時自由度が大きいが、楽器プレイヤーとは異なる。
私が知っている狭い範囲でも、ヴォーカルで比較的楽器に近いのはメル・トーメ、ジョニー・ハートマンといった人たちだろうか。まあ、ジャズに限定されないポピュラー・シンガーでも、聴く側の楽しみはあるので、それがジャズ「演奏」とちょっとちがうといっても別にいいのだけれど。