「映画狂時代」 檀ふみ 編 (2014年7月 新潮文庫)
女優であり、著述もあるからこういう本があって不思議はないが、著でなく編というところで、どういうものを選んでいるのか想像ができなかった。
映画を見ることが好きな人が選ぶ、ということから勝手に想像したものとは随分違っていた。
具体的な映画そのものというより、映画と人とのかかわりに関するものが主になっている。
武田百合子、谷崎潤一郎、江戸川乱歩、太宰治、内田百閒と並ぶと、渋いといえば渋い。
若い人では、私もファンである西川美和、それと三浦しをんは昔の世界を描いてなかなか楽しませる。
武田百合子が松本清張特集の情景を書いていて、その清張の「顔」も収録されている。[顔」はまさに映画がキーになっているが、本書の中ではこれだけ読んだ記憶がある。
ただ、清張作品は一時読んだあと、なにか出てくる人物が善悪は別として貧乏臭さばかりで、その後はなれてしまった。あの時代がそういうものだったということはわからないでないのだが。
なぜ檀ふみが編者ということはあとがきの解説を読むとわかる。女優になったきっかけも。
さて壇ふみといえば「日本の面影」、1984年NHKのスペシャルドラマ(80分が4回)で、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の妻を演じたこれが記憶に残っている。ハーン役はなんとジョージ・チャキリス、最初は見逃し、だいぶ後に再放送で見たのだが、またやらないだろうか。