ドニゼッティ:「マリア・ストゥアルダ」
指揮:マウリツィオ・ベニーニ、演出:デイヴィッド・マクヴィカー
ジョイス・ディドナート(マリア・ストゥアルダ:メアリー・スチュアート)、エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー(エリザベッタ:エリザベスⅠ世)、マシュー・ボレンザーニ(レスター伯爵ロベルト)
2013年1月19日 ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場 2014年7月WOWOW
ドニゼッティのチューダー王朝もの3部作のひとつ、「アンナ・ボレーナ」に続くものである。前作のアン・ブーリンが処刑され、その幼子がエリザベス、スコットランドのメアリー・スチュアートを幽閉、メアリーが処刑されるまでの二人の確執、闘いが描かれる。
メアリーは最初から捕まっており、結末はほぼ想像されるから、勝負はドニゼッティの音楽、その演奏特に女声二人の歌唱ということになる。
メアリーは実際は相当悪いことをしてきていて、最後の懺悔にもそれは少し出てくるが、ここではシラーの原作をほぼ踏襲しそこはシンプルにしているようで、この運命にどう歌で立ち向かうかということになる。そうなるとディドナートには感心するばかりで、一瞬一瞬しみてくる。
一方エリザベスのヒーヴァーはこれがメトデビューらしいが、素直に作品に入っていったようにみえるところがむしろ成功しているようで、力いっぱいディドナートにぶつかっていて、それがいい。
それにしてもこの作品、メト初演だそうで、このところベルカントが充実しているところとしては意外である。ドニゼッティの中でも最高傑作のひとつだろう。コンパクトなプロットの中でのドラマ性、その音楽、ヴェルディでもこれに匹敵するものは少ない。
ベニーニの指揮、合唱も秀逸だった。
演出も無駄がなく効果的。最後の赤い衣装は血とイングランド?
さて話は現在、スコットランドは独立するのだろうか。