メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇

2014-12-11 16:20:18 | 映画
カミーユ・クローデル ある天才彫刻家の悲劇(Camille Claudel、2013仏、95分)
監督:ブリュノ・デュモン
 

ジュリエット・ビノシュ(カミーユ・クローデル)、ジャン=リュック・ヴァンサン(ポール・クローデル)
カミーユ・クローデル(1864-1943)、ロダン、ポール・クローデル(劇作家、外交官)については、漠然と知っているだけだった。なにしろポールはカミーユの兄と勘違いしていたほどだから。
 

この映画にロダンは出てこない。長い間愛人関係にあったロダンと結婚できないとなってから精神に変調をきたし、カトリック系の治療院に入ってかなり経ってからの話である。
 

前半はそこの生活が淡々と描かれ、他の患者、神父、修道女たちとのやり取りは、時に少し激することもあるが、静かに進行することもあり、ビノシュの演技力もあって、こういうものかなと納得させる。
後半になって、弟のポールが訪ねてくるが、以前カトリックに回心するところの述懐、それに関する神父との会話から始まり、彼がここに多くを寄付し、冷静に姉をここに置いていることがわかる。カミーユはそれを非難し、出してほしいとは言うが、ポールは取り合わない。もっともカミーユの言い分も長くは続かず、結局悪いのはロダン、それも彼より才能がある彼女を憎み、後々まで彼女の邪魔をするという主張が繰り返される。

 
そしてポールは帰っていく。あとの説明によれば、何度も繰り返し訪れていたようだが。
最後は外の畑を望むところに座ったカミーユを捉えたカメラで終わる。斜め上からの日差しでその顔に少し平安を感じるが、それが救い。
 

カトリックに詳しければ、もう少し何かわかるのだろう。見て損をしたとは思わないが、なんともこの映画と作った意味、見る意味は、はっきり出てこない。音楽は一切ない(クレジット部分にはあるけれど、本編にはない)。
 

でも、このポール・クローデルという人、20世紀前半のフランス文学、演劇に、確かそれらを通じて音楽家にも、大きな影響を与えたはずで、その人の一面(あくまで)を見ることができた。それに彼は関東大震災の前後、駐日フランス大使で、日仏会館も彼が作ったというから、日本にはきわめて関係深い人である。

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