「悲しみよこんにちは」(Bonjour Tristesse、1957英・米、94分)
監督:オットー・プレミンジャー、原作:フランソワーズ・サガン、脚本:アーサー・ローレンツ、音楽:ジョルジュ・オーリック、タイトルデザイン:ソウル・バス
ジーン・セバーク、デボラ・カー、デヴィッド・ニーヴン、ミレーヌ・ドモンジョ、ジュリエット・グレコ
原作の小説を読んだときより相当前の公開、名画座の類でも見ていない。後にビデオで見たとは思うけれど、あまり真剣には見ていなかっただろう。今回はWOWOWで見た。
台詞は英語だし、プロデュースにいかにもアメリカ風なところがあるけれども、それがあまり悪く出ないのは、要所要所で原作の強さが出ているのだろうか。ドラマとしての起伏はそんなにないのに、最後まで引っ張っていくところなど。
悲劇的な最後を、どうにか受け止めることが出来るようにした演出は納得できた。
娘と父親、離婚している父親と女、それも母親の世代と自分と近い世代の二人の女、娘の嫌悪と時々出てくる倫理観など、南仏の風景をバックに、これはやはりサガンの世界の見事な反映だろうか。
アンニュイになり過ぎないように、アメリカ的なものでうまくバランスが取れているのかもしれない。
父親のデヴィッド・ニーヴンと娘のジーン・セバークの取り合わせがいい。
父が再婚しそうになるデボラ・カー、まだ若いが、娘が反発しそうになる立派さを出している。父の遊び相手、若い女はミレーヌ・ドモンジョ、うまくはないけれど、こういう人が映画には必要。
ドモンジョとセバークが同じ歳とは意外、そしてセバークは髪型(セシール・カット)から想像していたより体格がよく、歩き方がいい。
もちろん彼女が次々と繰り広げるリゾートのファッションは見所で、楽しい。
ダンス・パーティの長いシーンは映像としても秀逸であった。またジュリエット・グレコが本人役でこの映画のテーマソングを歌っているが、若い!
1年前のシーンをカラー、今をモノクロというのは、うまく工夫したつもりだろうが、むしろ説明的すぎたのではないだろうか。