[100話目~]
また抱き合ってるし~。
ボウリングが終わった後、智くんと相葉ちゃんは
お互いの健闘をたたえ、ぎゅっと抱き合った。
といっても。
赤ピンを始め次々にピンを倒してヤッターと
智くんが腕を伸ばしたら、相葉ちゃんの腕はハグの体勢だったので
それを察した智くんがすぐに相葉ちゃんに合わせ抱き合った
というのが本当のとこだけど。
本当に、空気を読める人というか何というか。
智くんは、相手の行動に合わすのが上手な人だ。
いつも周りの様子を見て瞬時に察し、行動を合わす。
相葉ちゃんもそうだけど、みんなそれが分かっているから
安心して飛び込んでいけるんだろうなと、そう思った。
相葉ちゃんと智くんとの関係は、何か特別で自分たちとは
また違った二人の世界がある。
それはコンサートの夜、二人で泣きながら語り合っていたとか
プライベートでも色々な逸話があったりと、たくさんあるけど
多分結成当時から本人たちも言っている通り波長が合うのだと思う。
そう言えば昔、結成当時まもなくのラジオで
メンバーの誰と付き合いたいかという質問に対して
相葉ちゃんが言ってた言葉を思い出す。
『俺は、大野くん』
『何で?』
『いや、だってね。俺、大野くんといると、何かいい感じ』
『確かに、君ら相当波長が一緒なとこあるけど』
『何かね、ちょっと普通に生活するとするよ。そうすると絶対離れていくの。俺は
何か合わないわけ、人と。
それが、大野くんが同じところにいるから、あ~、この人もそうなのか』
そう。デビュー当時から、自然とこの二人は気づくと一緒にいることが多かった。
ニノも智くんのことが大好きで一緒にいることが多かったけど、
何となく自然と一緒にいるっているのはこの二人の方が断然多かったように思う。
だからきっとずっと基本は変わらないんだと思う。
下3人は智くんのことが大好きで、よくくっついたりもしているけど
でも不思議と相葉ちゃんとは何か特別だと感じる。
明るく元気一杯なイメージだけど本当は
人見知りでとても繊細で優しい相葉ちゃん。
きっと智くんと一緒にいるとお互いにホッとするのだろう。
そんな二人がほんの少しだけ、羨ましく感じた。
「最近よくあそこでハグしてない?」
「んふふっ、そっかな?」
家に帰りソファでまったりしている智くんにそう話しかけると、
あまり気にもしてないであろう智くんは、んふふっと笑いながら
そっかな、なんて言っている。
「そうだよ。でも、相葉ちゃんって珍しいよね~」
「う~ん、そうかな?」
「ふふっそうだよ」
まぁ、相葉ちゃんと智くんとはコンサートや雑誌とかでも
結構ハグしてる事多いけどね。
「でも、あれって智くんが相手だったからだよね?」
「う~んそうなのかな?」
やっぱり自覚がない智くんは、そうなのかな? なんて言っている。
「うん。だってあそこに立ってたのが、俺やニノや松潤だったら
絶対ハイタッチだったと思うよ」
「んふふっ、それはそんな感じがする」
智くんは、穏やかで絶対受け止めてくれるってわかってるから
みんな安心してスキンシップできるんだよね。
その愛らしく優しげな顔と佇まいで思わず
抱きしめたくなってしまうんだよね、と思う。
特に今回の収録の時の衣装は、首周りがあいていて
いつも以上に儚げな感じで、そして袖も智くんには少し長くて
可愛らしさを倍増させていた。
だから余計守ってあげたくなるような存在だった。
それにしても下三人は昔も今も変わらず抱き合ったりしているのに
自分は昔と同じような感じであまりできなくなってしまった気がする。
なんでだろう?
「そう言えば、翔くん誕生日って言ってたよね? おめでと」
「ふふっまだだけどね。でもありがと」
そんな事を思っていたら智くんがそう言ってきたから
まだなんだけどねって言って笑った。
「んふふっ何か欲しいものある?」
「そうだなぁ。何がいっかなぁ?」
「……?」
智くんは、可愛らしい顔をして何を言うのかと待っている。
“可愛すぎる”
「じゃあ」
「……?」
智くんは、ん?って顔をした。
「ふふっ、とりあえずチュウでも、もらおっかな~」
「取り敢えずって何だよ」
その顔があまりにも可愛くて思わずそう言うと
智くんは何だよ、と言いながらも笑いながらゆっくりと顔を近づけてきて
ちゅっと唇に触れるだけのキスをした。
そして唇が離れると智くんは、ふふっと照れくさそうな顔で笑う。
その顔がやっぱり可愛くて、もっとって、おねだりしたら
智くんがまっすぐな視線で見つめる。
そして視線が合うと、ふふっと可愛らしく笑った。
そして、もう一度顔を近づけてきたかと思ったら
その小さな唇を少しだけ開き唇と唇を重ねる。
そしてそのままお互いに絡めあうように深いキスをした。
ゆっくりと唇と唇が離れる。
「翔くん、お誕生日おめでと」
「ふふっ全然今日じゃないけど。でも、ありがと」
「んふふっそうだったね~」
そう言ってきたから今日じゃないんだけどねって笑ったら
智くんはそうだったねって言いながら可愛らしくクスクス笑う。
思わず顔を近づけて言ってその唇にちゅっとキスをした。
「智くん、好きだよ」
「うん、知ってる」
好きだと言うと智くんは、やっぱり照れくさそうに笑って、知ってるって言う。
こんなに可愛らしい存在で、何でも受け止めてくれる人だったら
思わず抱きしめたくなってしまうのは仕方がないよね。
そんな事を思いながらその華奢な身体をぎゅっと抱きしめた。