yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

another 3

2016-04-24 18:47:00 | another








『大野さんの事を聞かせて欲しいのです』







その言葉に


大野さんは、何で?って顔で


びっくりしたような表情を浮かべて


そして


ちょっと困ったような顔になると


話すようなことなんて何もないよと


そう言ってその以前と変わらない


美しい顔でクスッと笑った。


そして


もう用はすんだとばかりに


じゃあこれで、と


そう、いとも簡単に言ったかと思うと


つかんでいた手を優しくはがし


その場から去ろうとした。







やっと会えたのに
大野さんが気にしていたのは、そして聞きたかった事は
ニノの事だけだったのだと、その現実が悲しかった。


そして


ずっと会いたいと願い続けていたその人が
また自分の前から消えようとしていた。





「……」

「……!」


大野さんがびっくりした顔で見る。


涙が出ていた。


大野さんが明らかに困惑している。


けど聞きたいことはたくさんあった。


伝えたいことも山ほどある。


やっと8年ぶりに会えた。


でももうこのチャンスを逃したら、もう二度と会えない。


そう思うと止まらなかった。





「……」

「……」

「……翔くんって豆みたいだったよね」


しばらくの沈黙の後
突然、大野さんがそう言った。


『翔くん』とその懐かしい響きに
また、涙が出そうになった。


けど、まめ?


今、マメって、言った?


豆って豆?


その言葉に涙が一気に引く。


「翔くんが最初に入ってきた時、小さくて豆みたいで
凄く可愛い子が入ってきたなって思ったんだよね」

「……」


確かに入所当時、背がすごく小さくて
豆みたいだったかも知れない。


けど、豆?
っていうか自分の事覚えていてくれた? 
それとも思い出してくれたのだろうか?
それに凄く可愛いって言った?
色んな思いがぐるぐる回ってとても整理しきれない。


「こんなに立派になっちゃうなんてね」

「……」


そう言ってクスッと笑う。
その言葉にどういう意味だろうと何とも言えない気持ちになった。


「だからもう、後ろなんて振り返らなくていいんだよ」

「……?」

「ずっと前だけ向いて歩いていけばいいんだ」


困惑していると、大野さんがそう続けていった。
それって大野さんのこと?
過去の人の事なんて振り返らず、前を見てろとそういう意味?







「これからも、ずっとテレビの前で応援してるから」

「……待って」

「……?」


困惑しながらも、帰ろうとするその人を呼び止めた。


「ニノといつもあなたの事を話してました」

「……!」


その言葉に大野さんの足がピタッと止まった。
そしてわかってはいたけど
やっぱりニノの事となると表情が変わった。


「8年間、ずっとニノも会いたがっていました」

「……」

「会ってやってくれませんか?」


もしかしたらと思った。
ニノの事をずっと気にしていたから
そう言ったら、この人の事を止められるのではないかと。
このまま別れてしまったら、もうこの人とは二度と会えない。


「……ニノが?」

「そうです。ずっと会いたいと言っていました」

「……」

「大野さんもニノと会って話をしたいと
思っていたんじゃないんですか?
だったら俺が何とかしますから、会ってくれませんか」

「……」


そう言うと目を伏せた。


そして


ゆっくりと顔をあげ


躊躇いながらも


小さくうなずいたのだ。


その大野さんの姿に


やっぱりという気持ちと


そして少しの嫉妬を感じた。










ずっとこの人はアラシを見て
ニノの事を考えていたのだと思う。
自分が辞めたことでニノまで辞めてしまったことに対する
罪悪感を感じながらずっと見ていたのだと。


でも。


そんな風に思ってもらえるのなら自分だって
あの日一緒にやめていたのに、とその顔を見て思う。


もともと親にも高校卒業するまでという約束で
成績を落とさない事を条件に部活動の延長線上みたいな感じで
やらせてもらっていただけなのだ。


辞める事が大前提で始めたこの活動。
いつでも辞める事を考えていた。
ましてや大野さんがいなくなったこの場所に
自分自身いる意味なんてなかった。


でも、あの日。


ニノが辞めると社長に話しているのを聞いて
変わったのだ。


動き出している盛大なプロジェクト。
たくさんの人がもうこのデビュー話に携わっていて
もう一人辞めるなんて言える状況ではなかった。


いや、まだ高校生だったから投げ出してしまうことも
できたのかも知れない。でもそうしなかった。
これ以上迷惑をかけないために、進む事しか考えなかった。


だから高校卒業までという約束をしていた
両親を何とか説得し、大学を必ず4年で卒業すると
そう約束して、死に物狂いで頑張ってきた。


5人の予定が3人となり大変になるのは
わかりきっていたけど、やるしかなかった。
苦しくても辛くても、前に進むしかなかった。




でも今大野さんの頭にあるのは
自分のせいでやめてしまったと思っているニノの事。
確かに今テレビの前での自分たちの姿は
トップアイドルとして華々しく見えるだろう。
金銭的にも十分な対価をもらっている。


でも、と、ぎゅっとこぶしを握り締めた。












「あの大野さんに会ったんですか?」


ニノがびっくりしたようにそういった。


当たり前だ。


8年間、誰も連絡が取れなかったのだ。


そう、このニノでさえ。


ニノは入所してからずっと大野さんの事が好きだった。
甘え上手で人の懐にすっと入ってくのが上手なニノは
ちょっと手の届かないような近寄りがたい存在であった
大野さんにも難なく近づき仲良くなっていった。


その大野さんと同じグループでデビューできると知って
一番喜んでいたのは紛れもなくこのニノだった。
でもその大野さんが辞めてしまったと聞いて
落胆したその姿は今でもよく覚えている。


一緒にデビューできると思っていたのにできず
それどころかいつの間にか事務所自体も
やめてしまっていて連絡もつかない状態だった。


ニノは食事ものどに通らない状態になり
どんどん痩せていった。
そして社長にもデビューはしないと言い切った。
その姿を見て社長も無理だと悟ったのだろう
事務所に残る事を条件にニノのデビューの話はなくなった。


ニノはしばらく落ち込んでいたものの
元々夢だった舞台やコンサートの演出の仕事をするようになって
だんだんその才能を現し始める。
そして今では自分たちのコンサートでの演出に
はなくてはならない存在になった。







ニノは


ニノは、どうなのだろう?


嬉しそうに見えるけど


もしかして恨んでいるのだろうか。


それともずっと好きな気持ちは変わらなくて


思い続けていたのだろうか。


その表情からは読み取れない。


ニノに元気にしてたのかとか
今何をしているのかとか
色々質問されたけど元気そうにはしていたとしか
答えられなかった。


どうしていたのかも、何をしていたのかも
結局聞けずじまいで、ただニノの事を
心配していたと言ったら
頬を赤く染め嬉しそうに笑った。


その顔を見つめながら
もし自分が辞めていたらニノのように
心配されて気にされていたのだろうかと思った。


そしたらこんな風にいつまでもニノと同じように
思ってもらえたのだろうか。
テレビを見るたびに罪悪感を感じながら
自分の事を思い出してくれたのだろうか。


ニノが羨ましくて


そして


やっぱりちょっとだけ


妬ましい。







でも




辞める訳にはいかなかった。




前に進んでいくしか




なかった。












今日見たら200万超えてました。
ありがとうございます。
ここをはじめて1754日。
なのに記事数は160ちょいしかなくて、10分の1以下か…
と、ちょっと愕然としておりますが細く長くという感じで。
これからもどうぞよろしくお願いします♪


another 2

2016-04-19 16:02:40 | another






小学校の時家族旅行で訪れたのが最初で
高校の修学旅行も九州でした。
その後も数回旅行で訪れています。大好きな場所です。
2011年の時は九州新幹線開通のCMを何度も見ました。
どうか早く平穏な日々が過ごせますように。











「ニノの事、知ってる?」







8年間ずっと会いたいと願っていた人。


ずっとどうしているのかと


何をしているのかと


気になっていた人が


今、目の前にいる。


信じられないような気持でいると


その人が部屋に入った瞬間


そう聞いてきた。








そうか。そうだったのか。


その人が半ば強引に誘ったこととはいえその個室へと来てくれたのは


そしてこうして自分と話をしてくれる気になったのは


ニノの事を聞きたかったためだと


その言葉に妙に納得する。


じゃなかったらこのVIPと呼ばれるこの部屋に


決して強引に誘ったとしても入りはしなかっただろう。


ニノという名前が出た瞬間。


やっぱりという気持ちと、少しの嫉妬が


入り混じった。








元々アラシは今のアラシのメンバー3人と
大野さんそしてニノが入った5人で
漢字一文字での嵐としてデビューするはずだった。


それは社長の前からの希望だった。
でもそれは叶うことはなかった。


一番デビューさせたいと社長が思い願っていた大野さんは
自身の本来の事務所に入った目的である
ダンスを極めるという目標を達成してしまったため
デビューどころか事務所を辞めると社長に伝えたのだ。


でもその才能を高く買っていた社長はどうしても
大野さんという存在を世に出したかったのだろう。
半ば強引にデビューの話を進めていたのだが
大野さんの決意は固く社長の努力もむなしく
事務所を辞めてしまった。


その時の社長の落胆した顔を忘れることはできない。
それほど社長にとっては大きな存在だったのだろう。
でも当の大野さんは自分の才能には無頓着で
変わりはいくらでもいると思っていたと思う。


確かにあの当時(今もだろうけど)デビューしたいと
願い待ち望んでいた人は事務所の中にたくさんいた。
というよりか、デビューする事が目的でない人の方が
珍しい存在で大野さんのような存在はかなり特殊だった。


大野さん自身は5人でデビューするのなら自分ではなく
もっとデビューしたい人がデビューした方がいいと
思っていただろうし、またデビュー目前と言われていた人も
何人もいたからその中から選ばれるだろうと
楽観的に考えていたのかもしれない。


ただ、大野さんにとって唯一の想定外だった事がニノの事だったのだろう。
俺と松潤、相葉ちゃん、ニノそして自身の代わりに
もう一人誰かが入り嵐として5人でデビューするものだと
思っていたらそこにニノの姿はなかった。


多分、あのデビュー会見の日。
一番驚愕したのは、多分
この人だったのではないかと思う。









「ニノは今、演出の方をやっています」

「……演出?」


そう言うと意外そうな表情を浮かべる。


「元々夢だったみたいです。
コンサートや舞台の演出をすることが」

「……演出が、夢?」

「はい、今は俺たちのコンサートや舞台の演出も
担当していて頑張ってくれています」

「……」


大野さんは少し考えるような表情を浮かべた。


「夢だった仕事につけて、今すごく楽しそうですよ」

「夢だった仕事…」

「それにすごく評判もよくて、あちこちから依頼を頼まれていて
本人も充実した毎日だって言っていますよ」


その言葉に、そうなんだと言ってホッとした表情を浮かべた。


その表情にどれだけ8年間ずっと思い悩んできたのだろうと思った。


自分のせいでニノの運命まで変えてしまったのではないかという
罪悪感があったのかもしれない。
本来ならニノもデビューし人生が変わっていたのかもしれないと。
今のアラシの成功を見て余計にそう思い悩んでいたのかもしれない。


「……よかった」


そう安心したように小さくつぶやくと
じゃあこれでと言って席を立ちそのまま部屋を出ようとした。


「待って」

「……?」

「少しだけでいいから」


帰ろうとするその人の手を思わずつかんで
引き留めた。














あのデビュー当時の事は、昨日の事のようによく覚えている。


ニノがあの人がいないのなら自分がデビューする意味なんてないと
そう社長に言って社長の説得も聞かず
事務所に残る話と引き換えにニノはデビューの話を降りた。


社長は何で?とすごく驚いていたけど
傍から見ていてそれは当然の事のように思えた。
大野さんのことを誰よりも慕い尊敬し
憧れの先輩の欄にはいつもその人の名前を挙げていたニノ。


大野さんが京都に2年間行っていた時期は
毎日のように連絡を取り早く帰ってきてと訴え
時間とお金が許す限り京都にも行っていたという。


その大野さんと一緒にデビューできないのなら
自分もデビューする意味なんてないと社長に訴えていたニノ。


でも、それは自分にとっても同じだった。
華々しくデビューした時も
苦い思いをしながら頑張っていた時期も
こうして成功をおさめトップになった今も
どこかぽっかり穴が開いていて満足できなかった。


ずっと入所してきた時から見つめてきたのは
ニノだけではなく自分も同じだった。
一緒でなければ何の意味もないといった
ニノの言葉はまさしく自分の言葉でもあったのだ。


でもデビューを予定していた5人のうちの2人が辞め
もう引き返せないところまで来ていたから
突っ走って行くだけしかなくここまできただけの話なのだ。











もう二度と


この人に会えるチャンスはないかもしれない。


そう思ったら引き留めずにはいられなかった。


大野さんが手をつかまれたまま不思議そうに見つめる。


「……」

「……?」


無言のまま視線が合った。


「……あなたの」

「……?」

「大野さんの事を聞かせてほしいのです」


聞きたいことは山ほどあった。


この8年間どう過ごしてきたのか
どこに住んでいて
今、何をしているのか。


ずっと


ずっと


8年間ひたすら会いたいと願っていた。


地位も名声も手に入れたけど


でも、何か足りなかった。


成功し、トップになっても


国民的アイドルグループだと言われても


何かが足りなくて


隙間が埋まらなくて


心から満足することはなかった。








大野さんが静かにつながれた先に視線を向ける。


そしてゆっくりと視線が動いた。


視線と視線が重なる。


胸の鼓動が高まる。


昔と変わらずその綺麗な顔。


ずっと憧れていて


ダンスも、歌も格段に上だったけど


いつか同じ場所に立ちたいと願い思っていた


その人が目の前にいる。


その綺麗な顔をドキドキしながら見つめると




大野さんが




ふっと




小さく笑ったような気がした。





another 1

2016-04-12 17:38:40 | another






If 



もしも、あなたがこの世界にいなかったら







その人は自宅から見える


キラキラと瞬く東京の夜景を眺めて


『世界が違う』


と言って、ふふっと笑った。








いつも思い出すのはあの人の事。


でもどこにいるのかも


何をしているのかも


わからない。


もう


どの位あっていないのだろう。
















相葉ちゃんと松潤の3人でアラシとして
デビューしてから8年。


最初は事務所の力もあり華々しくデビューしたものの
決してここまでの道のりは順調とは言えないものだった。


デビュー後から数年で徐々に勢いは衰えはじめ
いつしかコンサートで満員にする事さえ難しくなり
事務所のお荷物と言われていた時期もあった。


3人で何度も何度も話し合いそしてお互いができる事を
一生懸命頑張っていこうと決め
相葉ちゃんはバラエティを中心に
松潤は俳優の仕事を中心に


そして自分は司会やキャスターを中心に
嫌な仕事もたくさんあったけど歯を食いしばり
必死に耐え頑張ってきた。


そしてようやくそれぞれの仕事が軌道に乗ってきて
グループとしての仕事も徐々に増え
大きな舞台でのコンサートも満員にできるまでになった。







そして、今。






東京中の夜景がまるで自分のために
あるのではないかとはないかと錯覚するほどの
都心の中心に立つ高層マンションの最上階にある
自宅からその夜景を見下ろした。















それは偶然だった。


一緒に飲もうと言っていた友達が
急にキャンセルとなり一人で個室で飲んでるのも
何だかなと思って出ようとした


その瞬間。


すぐにわかった。


それが、その人だと。


その瞬間、時が止まった気がした。


手が震え


口が『あ』の字に固まったまま


声を発する事も、歩き出す事も


何一つできない。


ただただ立ち尽くし何も言わない自分に


その人が気配を感じたのか振り返った。








「……」

「……」


ずっと会いたいと思い願い続けてきた
その人の姿があった。


「……あ、の」

「……?」


声が震えて上手く出せない。
突っ立ったまま上手く話せない自分を
その人は不思議そうに見上げる。


「……お、久しぶりです」

「……」


何とか絞り出すようにそう言うと
その人が静かな眼差しで見つめた。


「……あ、の、俺の事憶えていますか?」


8年前まで同じ事務所で一緒にダンスを踊っていたその人の姿。


でも一緒にダンスを踊るといっても
その人のダンスは他の子達とはまるで違かった。
ダンスも歌も別格だった。


そして事務所に入ったその日に後ろで手本にして踊るようにと
言われて踊ったその日からずっと憧れてきたその人。


いつも同級生や上級生たちに囲まれていて
年下である自分にはとても入っていけないような
雰囲気があってなかなか話す事さえもできず
見つめるだけの日々だった。


その人が自分の事を覚えているかどうかが不安だった。


「覚えてるも何も凄い活躍じゃん?」


その人はそう言うとその綺麗な顔でクスッと笑った。






変わってない。


あの頃と。


その綺麗な顔も


その人の醸し出す雰囲気も。


ちょっと気高くて


簡単には人を寄せ付けないようなところも


全然変わってない。


その人の顔を見て


その人の言葉を聞いて


顔が紅潮し


かっと身体が熱くなったのが分かった。





「あ、りがとうございます。
あの、それに突然話しかけてしまってすみません」

「いや、国民的アイドルグループの人に声かけられるなんて光栄だよ」


そう言ってまたクスッと笑った。





けど。



本当は



その人も同じグループのメンバーに



なっていたはずだった。



いや、違う。



あのダンスと歌唱力。



グループの中心的な



中核を担うメンバーになる



はずの人だった。





VS嵐

2016-04-12 15:25:00 | 無題



アップするほどの話でもないのですが
オチも何にもない(いつもだけど)妄想。


こんなのでも読みたいって思ってくれる方が
いるのかどうかもよくわかりませんし
おまけに1か月前のVSでのアカデミー賞の時の話です。


メレンゲを見る前に書いた話なので
またちょっとイメージが違うかも~。
そしてグループメールと言っていたけど見た感じ
何となくラインというよりかメールのイメージだったので。








あれ? 



あの日



一緒にいた?









二人でまったりお酒を飲んでいたら
お互いのスマホから同時に着信を知らせる。


誰だ?

何だ?


二人で顔を見合わせお互い自分のスマホをタップする。


「おおっニノすげえ」

「去年に引き続き快挙だね」


そんな事を言い合いながら
すぐに返信の文面を考え送り返そうとすると
智くんがそれをニコニコしながら見ていた。


「いやいやいや、見てないで智くんもお祝いメール
返信しといたほうがいいんじゃない?」

「え~?」


智くんは画面を見てその内容に満足してしまったのか
返信している姿を見て自分まで
返信した気分になってしまったのか
返信する気はないらしい。


「ほら、え~? なんて言ってないで早く」

「え~? 翔くんのメールに連名で返信しといて」


そう言って可愛らしい顔で笑う。


って。


連名って、おめでとう! 翔・智って送るの?


「いやいやいや、それはだめでしょ~」

「え~」


さすがにそれはまずいと思い
そう言うと何で?って不満そうな顔をする。


「それにもう俺の分は送っちゃったよ?」

「まじかよ」


そう言うと口を尖らす。
その顔も可愛いんだけどね。


「それにそんな事したら一緒にいる事バレバレでしょ?」

「いいじゃん、別に」


智くんは気にしていない様子でそう答える。


「いやいやいや、よくないでしょ~。
ほらっめんどくさがらないで智くんは智くんで早く返信!」

「え~」

「とりあえずおめでとうって一言だけでも、ね?」


そんな事を言いながら何とか返信させると
ほっと安堵の溜息をついた。








「……」

「……」

「……って、返事ねえ~」

「そうだね、おかしいね」

「せっかく送ったのに~」


智くんは不満そうな顔をしてぷうとほほを膨らませる。
その顔も可愛いんだけどね。


「まぁあの状況だし忙しいんだよ。
それに送ったことに意味があるんだからさ」

「え~」

「アカデミー賞最優秀主演男優賞だよ?
忙しいんだよ、許してあげよ」


そう言って、まだ子供みたいに不満そうに
頬を膨らませている智くんにちゅっとキスをして
そしてまたゆっくりと酒を酌み交わした。









「って、返信の相手はマネージャーだったのかよ?」

「ね~びっくりだねぇ」


収録後楽屋で顔をお互い見合わせると
苦笑いしながらそう言い合う。


「もう、翔くん頭いいんだから気づいてよ?」

「いやぁ全然気づかなかった」

「信じらんない」

「智くんだって普通に返信してたでしょ~?」

「それは翔くんが早く返信しろっていうから」

「その時ふつう気づくっしょ
他の二人は気づいてんだから」

「……」

「……」


そこまで言ってお互い無言になる。


「バカじゃん?」

「そっちもね?」


松潤も相葉ちゃんも気づいたのに
自分たち二人だけが気づかなかった事実に
何だかおかしくなってきて笑いがこみ上げてくる。


楽屋で二人、おかしさがこらえきれず笑っていると
三人が次々に楽屋に戻ってきて
何をそんなにおかしそうに笑ってるのだろうと
不思議そうな顔をする。


だから何でもないよって言って
お互い顔を見合わせるとまたふふっと笑った。