yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

つないだ手 1

2012-07-24 17:35:10 | つないだ手
人に興味なんてなかった。

あの人に出会うまでは。


その人と初めて会ったのは中学の時。
その美しい顔に目を奪われた。
そしてその人の踊るダンスに夢中になった。


「大野くん、今日は何していたの?」
そう言って大好きなその人の手に自分の手を回す。
3歳年上のその人は手を繋がれても特に嫌がりもせず
「う〜ん、別にい」
と言いながらされるがままでいる。

「そっか」
そう言って大好きなその人の手を見つめる。
綺麗な手。男の人の手じゃないみたい。
細くて長くて綺麗な指。

「だ〜い好き」
そう言って腕に手を絡めると
ふふっといってその人は笑う。

こんなに一人の人に執着したのは初めて。
そんな自分に自分が一番ビックリなんだけど。

この場所に来て一番にする事はその人を探すこと。
もう日課というか癖みたいになってしまっている。
そしてその人の踊るダンスを嫌ってほど見つめる。
綺麗なダンスを踊るその人は、その周りだけ空気が違ってみえた。


あの手この手でその人に近づき、やっと話せるようになったのはつい最近。
好き、という気持ちを伝えたくて手を繋いだり好きだと言ったり。
まあ3歳年下の同性から言われてもって感じだったとは思うけど。

もっと話したくてもっと一緒にいたくて話しかける。
その人は嫌がらずに何でも聞いてくれるから。
手をつないだり抱きついても嫌がらずにそのままでいてくれるから。
ますます自分の中でその人の存在が大きくなる。
好きって気持ちが強くなる。

俺ってこんなタイプだったっけ?
もっとクールで斜めから見ているタイプじゃなかったっけ?
こんな自分から好きとか手を繋ぎに行くとか言うタイプじゃ絶対なかったはず。

でもその人は別。その人は自分にとって特別な人。

その後 3

2012-07-21 21:51:03 | 日記
大野のその言葉に言葉を失う。

もう大野がいない生活なんて考えられなかった。

毎日一緒にいられることが幸せだったのに。
それを自らから手放してしまう行動を取ってしまっていたなんて、
自分は何て愚かだったんだろうと思った。

イライラの原因は分かっていた。
趣味友達に対する嫉妬。
馬鹿らしいとは思ったが趣味のために出掛けその友人たちと
会う事を考えるとどうしても嫉妬が抑えられなかった。

その事を正直に告げるしかないと思い、大野に正直に言う。
「嫉妬?」
びっくりした顔で聞き返される。
「そう。バカだと思われるかもしれないけど。」
恥ずかしそうにそう言った。

「・・・。」
言っている意味が分からず無言で櫻井の顔を見る。
「バッカじゃないの?」
そして呆れ顔でそう一言だけそう言った。
「・・・。だって智可愛いもん。可愛いって思っている奴や好きだって思っている奴絶対いるよ。」
顔を真っ赤にし、いつも思っていた事を正直に言った。
「・・・。」
櫻井の思いがけない言葉に言葉が出ない。
暫く無言で見つめ合う。

「可愛かねーよ。それにそんな目で見てる奴なんていねーよ。
もうほんとバカじゃないの?」
呆れた顔で言う。
それは自分がかわいいって自覚していないだけなんだけど。
入院中もDrやNsの間で凄くかわいい人が入院してきたと
ひそかに騒がれていたのを俺は知っている。
そう反論したかったが全く自覚していない大野にそれを告げても
無駄だと思い諦める。

「・・・ごめん。そうだよね。俺の考えすぎだった。
もうこんな事言ったりしたりしないから許して?」
そう言ってソファに大野を引っ張っていく。
「・・・本当に?趣味とかで出かけても嫌な顔しない?」
ソファに並んで腰掛けると、疑った顔でそう聞き返した。
「絶対しない。だからお願いだから一緒に暮らさない方がいいなんて言わないで。」
泣きそうな顔で懇願する。

「・・・わかった。」
あまり納得はできていなかったが仕方なくそう返事をする。
「ほんと?ほんとにほんと?」
その言葉に櫻井はつい嬉しくて何度も聞き返す。
「・・・うん。」
何度も確認する櫻井に少々呆れた感じで答える。
「良かったあ。」
心底安心したような顔を見せる。
「じゃあ・・・仲直り。」
そしてそう言ったかと思うとゆっくりその身体を抱きしめる。
そしてそのままその身体を優しく横たえると
顔を近づけその唇にキスをした。

そしていつものようにとしようとするが何故か大野は口を軽く閉じたまま
まっすぐ櫻井を見つめている。
そのいつもと違う違和感に気付き唇をはなす。
「どうしたの?やっぱりまだ怒っているの?」
そう情けない声で聞く。
その顔があまりにも情けなくて可愛かったので大野は許すことにした。
「もう怒ってないよ。」
そう言ってふふっと笑った。
そして目を閉じると、その身体を自分の方へゆっくりとひきよせる。

そして
仲直りの
深いキスをした。

その後 2

2012-07-15 23:26:38 | 日記
仕事を終わらせいつものように帰るとメールをし家に帰る。

いつも電話ではなくメールなのは大野が仕事に集中している時にその集中力が電話によって
途切れてしまわぬようにするためで大体連絡はいつもメールでとっていた。
そして仕事に集中しているときはメールに気づかないこともしょっちゅうで
返事がない事も度々あったので今回も返事はなくてもあまり気にはしていなかった。

またあれから大野と一度も連絡は取れていなかったが
もう釣りも終わっていつものように家にいるだろう。
こないだ言ってしまったことを詫びてまたいつものように過ごそう。
そう思いながら家に急いだ。

そして何とか家に着きインターホンを鳴らし家に入る。
しかしいつもなら部屋には明かりがついていて
愛しの大野が待っているはずなのに部屋の中は真っ暗で大野の姿はなかった。

もしかして帰ってない?
嫌な予感に襲われる。
慌てて荷物だけを足元に置き大野の元に電話をかけた。

何回かのコールのあと大野が出る。
「あ、智?今どこ?まだ釣りしてるの?」
慌てて話しかける。
「・・・ううん。・・・もう帰ってきてる。」
しばらくの沈黙のあと大野は答える。
「え、帰ってきてるって?」
家には誰もいない。意味が理解できず聞き返した。

「・・・うん。・・・釣りから帰ってきて今は友達のところにいる。」
そう静かに大野は答えた。
「友達のところって。」
愕然とし言葉が出ない。
「・・・でも話がしたいから今そっちいく。」
帰ると言わずにそっちに行くという言葉に何だか嫌な予感がしたが、ぐっとこらえる。
「わかった待ってる。」
そうなんとか答え電話を切った。

やっぱりあの言葉に相当怒っているのだろうか。話がしたいって何だろう。
どうしようもない不安に襲われながら大野の帰りを待つ。

暫くすると大野が帰ってきた。
「お帰り。」
何とか笑顔を作り大野に話しかけた。
「・・・うん。・・・翔、ご飯食べた?」
ただいまとは言わずに鞄を置きながら静かに聞いてくる。

「あ、いやまだだけど。。」
そう言えばまだご飯食べていなかった。そう思いながら答えると
「ちょっと待ってて」
そう言ってチャチャッと手際良くチャーハンを作ると
それを差し出した。
「・・・すみません。いただきます。」
そう言って変な緊張感の中、大野が作ってくれたご飯を食べ始めた。

大野は何も言わない。
「・・・あの、怒っているよね?」
沈黙に耐え切れず食べながら恐る恐る大野に話しかけた。
「・・・」
大野は無言で見つめ返してきた。

「あの、ごめんなさい。」
またもや沈黙に耐え切れず謝る。
「・・・」
大野は答えない。暫く沈黙が続く。
「・・・俺たちこの状態の方がいいのかな?」
しばらくの沈黙の後、大野は静かにそう言った。
「え?それはどういうこと?」
意味が理解できず聞き返す。

「翔はここんとこずっとイライラしていたよね?」
やっぱりあの時の話をしているのだと確信する。
「あ、いや。あれは・・・」
何と言っていいか分からず言葉につまる。
「一緒に住むってなった時に
お互いの空間、時間に対して干渉しないって約束していたよね。」
大野は責める風でもなく静かに淡々と話す。
「・・・はい。すみません。。つい」
確かに一緒に住むにあたって約束をしていた。それを守らなかったのは自分だ。
「・・・俺は今の生活は変えられない。
それで翔がイライラしてしまうのであれば一緒に住まない方がいいと思う。」
強い口調ではなかったがはっきりと大野はそう言った。

その後 1

2012-07-10 18:00:03 | 日記
終わりのつもりだったけどDr〜のその後の二人。



櫻井にもう二度とあんな寂しい思いはしたくないと言われ、
大野は何も言えなかった。
お互いのプライベートな空間、時間を尊重することを
条件に櫻井に頼み込まれるような形で、二人は一緒に暮らすことになった。

外で働く櫻井と家で働くことの多い大野とは、
適度な距離を保ちつつ二人の生活は案外上手くいっていた。

そしていつものように帰るとメールをし、家に帰る。
「ただいま〜。」
この時が一番幸せを感じる瞬間だなと思う。
愛しい人にやっと会える喜びについ顔がニヤける。

だが返事はない。

部屋に入ると大野は料理を作って満足してしまったのか、
ソファで寝てしまっている。
待ちくたびれて寝ちゃったのか。
それにしても、やっぱりかわいい顔をしている。
そう思いながら、仕事の疲れも忘れしばらくその寝顔を眺める。

一緒に暮らすようになって分かったことは、
大野がよく寝る人だという事だった。

そう言えばドライブに行った時も行きも帰りも爆睡だったっけ。
そう思いながら口元が緩む。
まあ、この綺麗な寝顔を見るの好きだし、
すぐ寝ちゃう所も可愛いくて好きなんだけどね。
そう思いながらまた寝顔を眺める。

しばらく寝顔を見つめるが大野は起きる気配がない。
顔を優しくツンツンとしてみるがやっぱり起きない。
顔を近づけ唇にチュッとするとようやく目を開けた。

かわいい〜。その可愛さに耐え切れずもう一度キスをした。
俺、この人の目を覚ます瞬間がダメみたいだ。そう確信する。
スイッチが入り止まらなくなる。大野もそれに応じる。
十分に満足行くまで堪能するとようやく唇を離し
「ただいま。」
と言った。

「ああ、翔。帰ってたの?お帰り。」
そう言って何事もなかったかのようにソファからゆっくり起き上がる。
「うん、今帰ってきたところ。眠かったの?」
そう優しく微笑みながら尋ねる。
「ううん、何だか待っている間に自然と寝ちゃってたみたい。」
そう言って立ち上がり食事の準備を始めた。

「いつも作ってもらっちゃってごめんね。」
必然的に家にいることが多い大野が食事の担当となっていることを
申し訳なく思っていた。
「いいよ、今までも作ってたし一人分も二人分も変わらないから。」
「でも、片付けと掃除はお願いね。」
そう言って笑った。


そんな風に二人の時間は穏やかに過ぎていっているように思えた。


いつものように櫻井が勤務先の病院へ行く準備をしていると
「今日、釣りに行くから帰らないかも。」
大野が嬉しそうにそう言った。
「え?また?」
確かこないだ行ったばかりだったような、そう思いついそう答える。
「うん、今いいのが釣れるんだあ。楽しみに待っててね。」
釣りが趣味な大野は楽しそうにそうウキウキしながら言う。

一緒に暮らし始めてもう一つ分かったことがある。
それは大野の趣味の深さだ。
とことんのめり込むタイプらしく趣味のない櫻井にとって
それは羨ましさを通り越し寂しさを感じていた。

最近は旬の魚がいるとのことで家を空けることが多く
櫻井にとっては非常に寂しく思っていた。
そこでつい
「最近、釣りばっかじゃない?仕事は大丈夫なの?
たまには家で大人しくしていたら?」
強い口調で言ってしまう。

その言葉を聞き明らかに大野は不機嫌になる。
「もう、約束しちゃっているから。」
そう言って自分の部屋に入ってしまった。

しまったとは思ったが自分も仕事に行かなくてはいけない時間のため
気にはなったが仕事に出かける。
仕事先から時間のあるときに謝罪のメールするが返事はない。

釣りに行ってしまっているときは圏外になってしまう事もあり
返事がない事は今までもあったので気にはなってはいたが様子を見る。

仕事が終わり家に戻るがやっぱり大野はいなかった。
寂しく一人でご飯を食べる。
「智。」
一人、いない人の名前を呼ぶ。
こんなに一人でご飯を食べるのが寂しいとは。
もう大野のいない生活は考えられなかった。
そして趣味を満喫している大野と自分との違いを感じ寂しく思っていた。


そして翌日にはいつものように魚を土産に帰ってくるものだと思っていた。

山コンビ小説 Drの翔くんと患者さんの智くん 7

2012-07-02 22:55:19 | 日記
「それって・・・」
なんと言っていいか分からず言葉につまる。

「翔と一緒にいたいんだ。翔がよければこれからもずっと。。」
大野はまっすぐな目で見つめはっきり力強くそう言った。

その言葉になぜか涙がこぼれる。
泣くつもりなんて全然なかったのに自分の意識とは関係なく涙が頬を伝う。
そんな自分に自分自身が一番驚く。
びっくりして慌てて涙を拭うが後から後から涙が頬を伝い止まらない。

この一ヶ月間どうしようもなく寂しかった。
どうしていいか分からずただ待つことだけしかできなかった。
毎日寂しさと不安の中過ごしていた。

そして自分はこれほどまでにこの人の事が好きだったんだと思った。
そんな気持ちが後から後から溢れ出し止まらなくなる。

大野は突然の事にびっくりして横になっていた身体をおこす。
そしてベッドの横に膝をついて中腰のままでいる櫻井をじっと見つめると
そのまま何も言わずにふわりとその身体を抱きしめた。

どの位の時間そうしていたのだろうか。
大野はずっとその間自分よりも大きい櫻井の身体を優しく包み込むようにして抱きしめていた。
そして涙と気持ちが落ち着いてきた頃、ゆっくりとその手を離した。

そして顔を見つめながら
「ごめん。中途半端な気持ちのままじゃいけないと思ったから。」
「でも本当に大切なものが分かったから。」
そう言ってまっすぐな目でみつめる。
そしてまたその身体を優しく抱きしめた。
今度は櫻井も大野の背中にゆっくりと手をまわす。

しばらくそのままの姿勢でいたが大野はゆっくりと優しくその手を離した。
そして櫻井を見つめゆっくりと顔を近づけたかと思うと唇にそっと優しくキスをした。

突然のことにびっくりして何も言えずに大野の顔を見つめると
まっすぐな目で見つめ返される。
耐え切れなくなり自分から力を込めて
ぎゅっとその華奢な身体を抱きしめた。


好き過ぎる。。
そんな気持ちがあふれて止まらない。

こんなにも人を好きになったのは初めてだと思った。
そしていつまでもこの手を離したくないと強く思った。


そして今度は自分から深い深いキスをした。







とりあえずおわり。