[しやがれでの新人ホストがツボだったので]
新人ホストとして同時期に入ったその人は
新人とは思えない程、風格があり堂々としていた。
同時期に入ったのは5人。
それぞれ年齢も経歴も性格も何もかもが違う。
それでも何とか店が借り上げたマンションで
お金が貯まるまでは、とお互いに気を遣いながら
一緒に暮らしそこから出勤していた。
特殊なこの世界。
周りはみな上を目指しギラギラとした雰囲気を
持っていたがその人だけはどこか違った。
みな、テンションを上げ、場を盛り上げ
お客に満足してもらい次に繋げていこうとしている中
その人だけはどこか冷めた感じがあった。
その人はいつも静かにお酒を飲みながら話を聞くだけ。
他のテーブルではアシストがついて盛り上げるのに
そこではアシストは口を挟まずただ飲みものなどの
フォローをするだけ、というのが暗黙の了解となっていた。
煌びやかで賑やかな店内。
その人のいるそこだけが空気が違って見えた。
ただ、そんな状態でもとても綺麗な顔をしていたし
なぜか一緒にいるだけで癒されると、新人ながらも
指名が途切れることはなかったから許されていたことかも知れない。
ある日たまたま指名がなく暇そうにしていた
その人にオーナがアシストに入るように声をかける。
「あれを歌ってくれ」
かったるそうに入っていたその人にオーナーは声をかける。
「…あれ ですか?」
その時に一瞬見せた笑顔。
その一瞬の笑顔にくぎ付けになった。
“可愛い。こんな顔もするんだ”
いつもの冷めたような大人っぽい顔から一転
笑顔になると少年のような可愛らしい顔。
そのギャップに驚きと戸惑いを覚える。
それから注意してその人の事を見てみると
度々オーナーが声をかけアシストにつかせている事に気づいた。
オーナーはあらゆる無茶ぶりを押し付けるが
その人は涼しい顔で何でもこなしてしまう。
“もしかして凄い人なのかも知れない”
そう思った。
「どんな無茶ぶりにも応えて凄いなぁ」
この日はアフターだの何だのでマンションにいるのは
基本アフターをしない智とそして自分の二人だけだった。
ここではお互い干渉しあわないのが暗黙のルールとなっていたから
プライベートで話すのは初めだった。
でもどうしてもその人に対する興味が抑えきれず
思い切って話しかけてみる事にしたのだ。
“急に話しかけて嫌がられるかな?”
ドキドキしながらその顔をみる。
「あの人につくとメンドクサイ」
その人は口を尖らせながら可愛らしい顔でそう文句を言う。
“可愛い”
この人は冷めてて大人っぽい雰囲気を
持ち合わせながら本当は可愛らしい人なんだなと思う。
思いがけず返事が返ってきて嬉しくなってそのまま話しかける。
「……こんな風に話すの初めてだね?」
「そうだね」
「あっごめん。嫌だったら言って?」
「ふふっ嫌じゃないよ」
そう言って智は可愛らしい顔で笑う。
一緒に暮らしているとはいえ
お互いの事は何も知らない。
嫌がられず話してもらえたことが嬉しかった。
それから二人になるとお互いの事を話した。
大学を卒業して就職したがやりたい事があり辞めた事。
2年と期限を決めお金を貯めるためにこの世界に入ってきた事。
智さんは?と聞くと
まだ考え中なんだ、と言って笑った。
「今日もオーナーの無茶ぶり凄かったね」
「ホントめんどくせー、あのオヤジ」
「ふふっ」
そんな他愛もない話をしながら仕事が終わった後過ごす。
今日も3人は外に出ていていない。
話が途切れると智が静かな目で見つめた。
「な、何?」
「翔くん、俺の事よく見てるね?」
そう言って顔を見つめたままクスリと妖艶に笑った。
「ごめん、つい」
いつもと違うその妖艶さにクラクラする。
自分でも顔が赤くなった事が分かった。
確かに自覚はある。
直ぐに謝った。
なぜかその存在が気になる。
何をしているのかと。
どんな表情をしているのかと。
だからつい目で追ってしまっていた。
「俺の事好きなの?」
そう言って顔を近づけてきたと思ったら
クスリとまた妖艶に笑う。
「……え?」
心を見透かされたようにそう言われたので
うろたえてしまう。
智は何を思ったのかゆっくりと顔を近づけてきて
唇にチュッとキスをする。
「……な、何を?」
「ふふっ翔くんって男とするの初めて?」
“当たり前でしょーー”
そうは思いながらも嬉しさの方が勝り何も言えない。
顔が、身体が、熱くなったのが分かった。
「ふふっ可愛いね」
そう言いながら智は妖艶に笑う。
「いつも翔くんの視線感じてたよ」
気づかれてた。
あれだけ見てれば当たり前か。
そうは思いながらも恥ずかしさで何も言えない。
「いつもいつも俺の事見てたでしょ?
そんなに気になる?」
「……ごめん」
智さんは責める風でもなくただただ妖しい顔をむけ
そう言って微笑んだ。
「もっとしたい?」
両手が伸びてきて頬を包み込むようにふれる。
もう何も考えられない。
うん、と小さく頷くと智さんはふっと笑う。
どうにでもしてくれという気持ちと
どうにかなってしまいたいという気持ちと。
唇が近づいてきて緩く口が開かれると
深いキスをしてくる。
ただその動きについていこうとに夢中になる。
「翔くん、顔、真っ赤。かわいいね」
顔をゆっくりと離すと
智はそう言ってまた妖艶に笑う。
思わずその華奢な肩を掴みそのまま身体を押し倒す。
そして上からその綺麗な顔を見つめる
「好きだ」
声にならない。
智はふっと妖艶に笑う。
そのままその身体をぎゅっと強く抱きしめ
自分からその唇に唇を押し当てた。
新人ホストとして同時期に入ったその人は
新人とは思えない程、風格があり堂々としていた。
同時期に入ったのは5人。
それぞれ年齢も経歴も性格も何もかもが違う。
それでも何とか店が借り上げたマンションで
お金が貯まるまでは、とお互いに気を遣いながら
一緒に暮らしそこから出勤していた。
特殊なこの世界。
周りはみな上を目指しギラギラとした雰囲気を
持っていたがその人だけはどこか違った。
みな、テンションを上げ、場を盛り上げ
お客に満足してもらい次に繋げていこうとしている中
その人だけはどこか冷めた感じがあった。
その人はいつも静かにお酒を飲みながら話を聞くだけ。
他のテーブルではアシストがついて盛り上げるのに
そこではアシストは口を挟まずただ飲みものなどの
フォローをするだけ、というのが暗黙の了解となっていた。
煌びやかで賑やかな店内。
その人のいるそこだけが空気が違って見えた。
ただ、そんな状態でもとても綺麗な顔をしていたし
なぜか一緒にいるだけで癒されると、新人ながらも
指名が途切れることはなかったから許されていたことかも知れない。
ある日たまたま指名がなく暇そうにしていた
その人にオーナがアシストに入るように声をかける。
「あれを歌ってくれ」
かったるそうに入っていたその人にオーナーは声をかける。
「…あれ ですか?」
その時に一瞬見せた笑顔。
その一瞬の笑顔にくぎ付けになった。
“可愛い。こんな顔もするんだ”
いつもの冷めたような大人っぽい顔から一転
笑顔になると少年のような可愛らしい顔。
そのギャップに驚きと戸惑いを覚える。
それから注意してその人の事を見てみると
度々オーナーが声をかけアシストにつかせている事に気づいた。
オーナーはあらゆる無茶ぶりを押し付けるが
その人は涼しい顔で何でもこなしてしまう。
“もしかして凄い人なのかも知れない”
そう思った。
「どんな無茶ぶりにも応えて凄いなぁ」
この日はアフターだの何だのでマンションにいるのは
基本アフターをしない智とそして自分の二人だけだった。
ここではお互い干渉しあわないのが暗黙のルールとなっていたから
プライベートで話すのは初めだった。
でもどうしてもその人に対する興味が抑えきれず
思い切って話しかけてみる事にしたのだ。
“急に話しかけて嫌がられるかな?”
ドキドキしながらその顔をみる。
「あの人につくとメンドクサイ」
その人は口を尖らせながら可愛らしい顔でそう文句を言う。
“可愛い”
この人は冷めてて大人っぽい雰囲気を
持ち合わせながら本当は可愛らしい人なんだなと思う。
思いがけず返事が返ってきて嬉しくなってそのまま話しかける。
「……こんな風に話すの初めてだね?」
「そうだね」
「あっごめん。嫌だったら言って?」
「ふふっ嫌じゃないよ」
そう言って智は可愛らしい顔で笑う。
一緒に暮らしているとはいえ
お互いの事は何も知らない。
嫌がられず話してもらえたことが嬉しかった。
それから二人になるとお互いの事を話した。
大学を卒業して就職したがやりたい事があり辞めた事。
2年と期限を決めお金を貯めるためにこの世界に入ってきた事。
智さんは?と聞くと
まだ考え中なんだ、と言って笑った。
「今日もオーナーの無茶ぶり凄かったね」
「ホントめんどくせー、あのオヤジ」
「ふふっ」
そんな他愛もない話をしながら仕事が終わった後過ごす。
今日も3人は外に出ていていない。
話が途切れると智が静かな目で見つめた。
「な、何?」
「翔くん、俺の事よく見てるね?」
そう言って顔を見つめたままクスリと妖艶に笑った。
「ごめん、つい」
いつもと違うその妖艶さにクラクラする。
自分でも顔が赤くなった事が分かった。
確かに自覚はある。
直ぐに謝った。
なぜかその存在が気になる。
何をしているのかと。
どんな表情をしているのかと。
だからつい目で追ってしまっていた。
「俺の事好きなの?」
そう言って顔を近づけてきたと思ったら
クスリとまた妖艶に笑う。
「……え?」
心を見透かされたようにそう言われたので
うろたえてしまう。
智は何を思ったのかゆっくりと顔を近づけてきて
唇にチュッとキスをする。
「……な、何を?」
「ふふっ翔くんって男とするの初めて?」
“当たり前でしょーー”
そうは思いながらも嬉しさの方が勝り何も言えない。
顔が、身体が、熱くなったのが分かった。
「ふふっ可愛いね」
そう言いながら智は妖艶に笑う。
「いつも翔くんの視線感じてたよ」
気づかれてた。
あれだけ見てれば当たり前か。
そうは思いながらも恥ずかしさで何も言えない。
「いつもいつも俺の事見てたでしょ?
そんなに気になる?」
「……ごめん」
智さんは責める風でもなくただただ妖しい顔をむけ
そう言って微笑んだ。
「もっとしたい?」
両手が伸びてきて頬を包み込むようにふれる。
もう何も考えられない。
うん、と小さく頷くと智さんはふっと笑う。
どうにでもしてくれという気持ちと
どうにかなってしまいたいという気持ちと。
唇が近づいてきて緩く口が開かれると
深いキスをしてくる。
ただその動きについていこうとに夢中になる。
「翔くん、顔、真っ赤。かわいいね」
顔をゆっくりと離すと
智はそう言ってまた妖艶に笑う。
思わずその華奢な肩を掴みそのまま身体を押し倒す。
そして上からその綺麗な顔を見つめる
「好きだ」
声にならない。
智はふっと妖艶に笑う。
そのままその身体をぎゅっと強く抱きしめ
自分からその唇に唇を押し当てた。