yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

謎解きは… part5

2013-03-19 17:05:14 | 謎解きは…


自分の髪を触れる優しい手の感触を感じ目を覚ますと、
困り果てた表情の智が見つめていた。
どうやら看病していてそのまま眠ってしまったらしい。


「あ、智。目を覚ましたの?よかった。気分はどう?」
智が目を覚ました事が嬉しくてそう話しかけるが、
智はただただ困惑した表情を浮かべるばかりで、
言葉を発しない。


「……智?」
どうしたのかと心配になって名前を呼ぶと
「……あの?」
智は自分の状況がよく理解できないようだった。


「夕食を準備してもらっている時に倒れちゃったんだよ。
憶えてない?」
そう言うと智はびっくりした表情をうかべる。


「……申し訳ございません。只今用意いたします」
智はそう言って慌てて起き上がろうとするが、
まだ熱が高いせいか身体に力が入らないようで
起き上がる事ができない。


「ううん、いいのいいの。
夕食作ってくれてたのがあったから、それを勝手に食べたし。
それよりこのまま寝てて。まだ熱があるみたい」
そう言ってその額に手を当てるとまだかなり熱かった。
顔もかなり紅潮しており辛そうな表情が見て取れる。


智はされるがままで困り果てた表情で翔を見つめている。
「まだかなりあるね。
きっと俺が無理言ったせいだよね。ごめんね。
体調が良くなるまで、このままここで寝てて」
そう言って寝ているように促した。


「そんな訳にはまいりません。」
智はそう言って再度起き上がろうとするが
やはり力が入らず起き上がる事ができない。


「いいからいいから。
元はといえば俺のせいなんだから。
休みも取った事だし看病させてよ」
そう言って起き上がろうとする智の肩を掴むと
優しく横たえた。


智は相変わらずそんな訳にはいかないだの
自分の部屋に戻るだの言って動こうとするが、
どうにも自分の身体が思うように動かせないようで
困りきった表情を見せた。


“ああ、なんだか可愛い”
もともと華奢な身体ではあったが熱のせいか
ますます華奢に感じるその身体。
そして普段の完璧な執事からはとても想像もできない
とても弱々しい姿。


また高熱のせいで紅潮している顔は童顔の智の顔を
より幼く見せている。
そして眼鏡をかけていない智はいつもの智とはまた違う
可愛さがあった。
そしてなにより困りはてている顔はたまらなく
可愛くて愛おしい。


最初見た時からその存在が気にはなっていたが
その気持ちが好きだという事を確信した。


無理に動こうとした智は、ますます体力を消耗してしまったようで
そのまま身動きが取れなくなってしまったらしい。
目を閉じ辛そうにしている。
「お願いだから良くなるまでこのまま寝ててね」
そう言って額に手を置くとその顔を見つめた。


しばらくその顔を見つめる。
目を閉じている智は睫毛が長く鼻筋が通っていてとても綺麗な
顔立ちをしていた。
“女の子みたいだな”
どれだけ見つめていても飽きない。
一日中でも見てられると思った。


しばらくその顔を見つめ続ける。
そしてそのまま顔を近づけていってその唇にちゅっとキスをした。
智はびっくりしたのか薄く目を開いたが、
何も言わずただ顔を見つめる。


「朝になったら家のホームドクターも来て
診察してくれる事になってるからそれまでゆっくり寝ててね」
自分のしてしまった事にちょっと照れながら、
智の視線を感じつつそう言ってごまかした。


智は相変わらずボーっと見つめていたが
「おやすみ」
そう言って額に手を当て目を閉じさせると
その頬にちゅっとキスをした。



[ちんたらちんたら進んでます〜]

謎解きは… part4

2013-02-26 16:55:52 | 謎解きは…


ある日、また事件が起こった。
解決の糸口が見つからないまま時間ばかりが過ぎていく。


翔は智の知恵を借りたかったが
その事件は難解でその現場を実際に見ないと
解明は難しいと思われた。


時間が勝負なこともあり翔は焦っていた。
家に帰り智にどうしても現場を見て解明してほしいと頼む。
しかし智はまだ家の仕事が終わっていないだの
写真かビデオなどに撮ってきたものをみせてほしいだの
なんだの言って家から出ることを渋る。


翔はますます焦る。
何とか智を言いくるめ車に乗せ現場に向かった。
智はあれほど嫌がっていた割には
現場をくまなく検証し事件解決へと導く答えを出した。
そして事件は無事解決にむかう。
翔は智に感謝し家へと送り届けた。


「今日は、ありがとね。
あと2時間位したら家に帰るから」
そう言って翔はまた仕事に戻っていった。


そしてきっかり2時間後、翔は家に帰ってきた。
智はいつものように翔を迎え入れる。
しかし難事件が解決にむかった事で翔はかなり上機嫌になっており
智の異変に気付かない。


智はいつものように食事の準備を始めた。
しかし身体が思うように動かないのか
思考が働かないのかちょっとしたミスを繰り返す。


「……?どうかしたの?智らしくない ね」
と言い終わる終わらないかの瞬間に
智は膝から崩れ落ちるように倒れてしまった。


「智っ?」
智は完全に意識を無くしてしまっており反応がない。
額に手をやるととても熱く頬は真っ赤になっていた。
翔は慌ててベッドに寝かせるとホームドクターを呼んだ。


祖父母の時代からであるホームドクターはドクター自身の
代も変わったとはいえ相変わらず親身で
すぐに来てくれ診察をしてくれる。


診察の結果、炎天下にいた事による発熱と
元からあると思われる貧血が重なったせいだろう
との事で今日は点滴をし、
また翌日診察をするという事でドクターは帰っていった。


翔は目を閉じたままの智を見つめる。
メガネを外して目を閉じている智は
熱のせいで頬を真っ赤に染めていたが、とても綺麗な顔をしていた。


翔は智の額に優しく手をおいた。
「無理をさせてしまったかな?」
そう独り言のように呟いた。
そしてしばらくその綺麗な顔を眺める。


智は一向に目を覚ます気配はない。
翔は額に当てているタオルを冷たいタオルに変えると
そのままその唇に自分の唇を近づけていき
ちゅっとキスをした。
この時翔は智の事がずっと好きだったのだと気付いた。


謎解きは… part3

2013-02-22 17:02:02 | 謎解きは…


智の素顔を見てからというもの
翔はますます智に興味がわいてくる。


智の事を少しでも知りたくて様々な質問をぶつけるが、
智の方はというと相変わらずで
自分の事は全く答えようとしない。
謎ばかりが深まっていく。


そしてその後も相変わらず事件の相談は続けており
その度に智は全て解決していったので
その事に対する尊敬も強くなっていった。
翔の中で智の存在がどんどん大きくなっていく。



ある日いつものように夕食を食べながら事件の相談をする。
そして翔が食事をしている間、
智はいろいろ本を見たりして調べていたが
翔が食べ終わるとダイニングテーブルの上を片付け
事件を図解を用いて説明を始めた。


自分の目の前にある綺麗な横顔。
じっとその顔を見つめるが一生懸命説明している智は
その視線に気付かない。


そしてそのままそっとその頬に顔を近づけていく。
そしてその頬にチュッとキスをした。
智はびっくりして驚いて顔を離す。
「何をされるのですか?」
顔を真っ赤にしてそう言った。


「ごめん、つい。
何か目の前に可愛らしい顔があったから」
翔は特に悪びれた様子もなくそう言って笑った。
「……?」
智はびっくりして言葉を失う。


「ダメだった?」
あまりにも智がびっくりした表情をうかべていたのでそう聞くと
「困ります」
智は顔を真っ赤にしたままそう言ってうつむいた。


何だかカワイイ、そう思いながら
「ごめん、だって智の頬がやわらかそうで
ちょっとチュってしてみたかったんだもん」
翔は、正直にそう言った。
その言葉に智は呆気にとられる。


「だってさ、智は秘密主義で何にも話してくれないでしょ?」
翔は真面目な顔になるとそう言った。
「それとこれと、どういう関係が?」
意味が分からないといった顔で尋ねる。


「だからさ、ちょっとずつスキンシップを多くしていったりして
仲良くなれたらなあ、何て思って」
そう言って照れくさそうに笑った。
「…仲良く ですか?」
智は戸惑いの表情を浮かべる。


「うん。もうちょっと智と仲良くなりたいんだけど。
でもなかなか智は心開いてくれないじゃん?」
そう言うと自嘲気味に笑った。


「……」
自分と翔とでは立場が違うので
仲良くしたいと言われても、ましてや頬にキスをされても
どうしたらいいのか、ただ困惑するばかりだった。


「ごめん困らせるだけだったね?
自分で遮っといてアレだけど説明の続きをお願いしてもいいかな?」
あまりにも智が困惑していた表情をうかべていたので諦めてそう言った。
その言葉に智は安堵するような表情を浮かべた。
そして分かりましたと言うといつものように事件の解説を始めた。

謎解きは… part2

2013-01-23 19:07:39 | 謎解きは…


ある日、どうしても素顔が見たくなった翔は、
何気なく智に話しかける。
「智の眼鏡とった顔見てみたいなあ」
智は困った顔を見せながら困ります、とだけ答える。


「いやー寝ているところやシャワーを浴びているところに
入り込んで見てみたり、
わざとコップの水をかけたりして、
なんて事も考えたんだけどさあ。
でもそれはやっぱりフェアじゃない気がしてさ」
翔は真面目な顔でそう言う。


「どうしてそんなに、私の顔を見たがるのですか?」
子供のような事を言う人だなと思いながら智は聞く。
「だって智は自分の事何も話してくれないでしょ。
だからせめて、素顔が見てみたいなと思ったんだけど…
でも嫌ならもうこれ以上はしつこく言わないよ」
無理強いしないところがいかにも良家の坊ちゃんらしいな、
と思った。


智は仕方なく
「分かりました。そんなにおっしゃるなら少しだけ。
ただそんな期待されるような顔はしていませんが。
でもお風呂を覗かれたり水をかけられたりするのは、
たまったものではありませんので」
そう言うと少し呆れたように苦笑いをした。


「冗談だってば、そんな事しないよ」
そう言って翔は笑った。
「では、少しだけ」
そう言って智はその黒縁眼鏡に手をかけると
ゆっくりとそれを外した。
そこから覗く顔はビックリする位、童顔で
可愛らしい顔をした智の姿があった。
が、あっと思っている間にまた戻されてしまう。


「ああもう、なんでもう付けちゃうの?
もう少しだけお願いだからもう少し見せてよ」
そう強請る。


「もう勘弁してください」
智も、譲らない。
「なんでいいじゃんー。
可愛い顔しているんだから。
減るもんじゃないんだしさあ」
どうしてももう一度見てみたくて頼むが
「可愛くなんてありませんから」
そう笑いながらもぴしゃりと言われてしまう。


それからというもの翔はその顔が頭から離れなかった。
ああ何だか凄く可愛らしい顔してなかった?
男とは思えないくらい綺麗な顔じゃなかった?
しかも自分より年上とは思えない位
童顔で愛らしい顔をしてなかった?
あんな可愛らしい顔を出さないなんてもったいなくない?
そんな事が頭の中をぐるぐると回る。


それからは
「コンタクトにしたら?」
「メガネとったほうが似合うよ?」
自分でもなぜそんなに執着してしまうのか
わからないがしつこく勧める。
しかし智は、これが私の顔なのでと苦笑いしながらも、
全く取り合う様子も見せない。


翔はそんなやり取りをしながらも
自分の方が主人のはずなのに、
智の顔が見れたこともそうだが
智が少しずつ心を許してくれているように
感じられる事が嬉しかった。

謎解きは… part1

2013-01-22 17:07:30 | 謎解きは…


執事が定年となり
新しい執事を迎える事になった。
その新しい執事の名前はオオノ サトシ。
その執事は前執事の知り合いとの事で
執事として優秀な人物だと太鼓判を押されていた。


そして初めてその執事を見た時、あまりの若さに驚いたが
実際の歳は自分より一つ上との事で二重に驚く。
新しい執事は寡黙ではあったが仕事はどれもそつなくこなし
前執事の太鼓判通り申し分無かった。


また智は余計なことを一切話さず、また口も硬かったので
翔は仕事であった未解決事件について何気なく話す。
智は話を聞いて少し考えていた様子だったが、
独自の見解を述べ始める。


それはとても的確で、翔はその意見を参考にし解明していくと
事件は一気に解決してしまった。
それからというもの何度か未解決事件が起こる度に
翔は相談する。
するとどんな事件でも智は的確に捉え
あっという間に解決に導く。


そんな事が続き翔にとって智はなくてはならない存在になっていた。
それと共にだんだんと新しい執事である智に興味が湧いてくる。
智の顔は黒縁眼鏡と少し長い前髪で隠れていてよく見えないが
とても綺麗な顔をしているようだった。


「ねえ、眼鏡とった顔見せてよ?」
智の素顔に興味があった翔は
何気なくそう聞いてみる。


智は少し困った顔をして
困りますとだけ言って顔を反らし自分の仕事に戻ってしまう。
その後も懲りず、また好奇心が抑えきれず頼み続けるが
智はただ困りますとだけ言って決して素顔を見せたがらない。


そればかりではなく、
もう少し仲良くなりたいと思っていた翔に対し、
智は主人と使用人という関係を決して崩そうとはしなかった。
翔はそれを少し寂しく感じていた。


また智は自分のことについても何も語ろうとはしない。
「智は今までどんな恋愛をしてきたの?」
「家族は?」
などと聞いても、無言で困ったように微笑むだけで
決して自分のことは語ろうとはしなかった。


ただ事件についてだけは、饒舌になるので、
ならばと事件絡みで話を引き出そうとするが
ミステリー小説が好きでよく読んでいたので
そのせいだと思いますとだけ言うと、
さっさと自分の仕事に戻ってしまう。


そんな感じで智の事は何一つ分からなかった。
しかも謎が深まれば深まるほど興味が湧いてくる。
前執事にもそれとなく探りを入れてみるが
ご自分で聞いてくださいとの一点張りで
全く要領を得ない。


翔は根っからの良家の坊ちゃんらしく
大らかで人の嫌がることを強引にやったり
また、問いつめたりするタイプではなかったため
余計に謎は深まるばかりだった。


大きな屋敷に二人きりで過ごす毎日。
歳も近く、もう少し和やかに話をしたり
時にはハメを外してもいいのに、と翔は思っていたが
智にはいつまでたっても全くそういう気配はなかった。


「じゃあ行ってくるね」
そう言っていつものように仕事に向かう翔に対し
「お気を付けて」
そう言って智は深々と頭を下げ見送る。


そんな風にいつもどおり日々は過ぎていく。
しかしそんな業務的な話しかしてないはずだったが、
翔はなぜかだんだん家に帰るのが楽しみになってきていた。


今までは年の離れた執事だったせいか、
また自分が一人っ子で育ったせいで
同年代の者と一緒に暮らすという経験が
なかったせいなのかわからないが
家に帰ると同年代の智が迎え入れてくれることが
なぜだか無性に嬉しかった。


ただ家に帰っても智は相変わらずで
「お帰りなさいませ」
と言ったかと思うと淡々と自分の仕事をこなす。
それが何だか翔は寂しかった。