yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

短編集 part8

2018-10-23 21:24:15 | 超短編










久々に家でまったりと過ごす時間。
ZEROが変わったんだね、なんて他愛のない話をしながら
ゆったりとした時間が流れていく。


「……」

「……」

「…藤子不二雄A先生に、絵、贈ったんだってね?」

「見たの?」


そう言えば、とネットで見たのを思い出し智くんにそう話しかけると
智くんはびっくりしたような表情を浮かべた。


「うん、見た。凄く智くんらしくて、凄く先生らしい絵だった」

「俺らしくて、先生らしい絵?」

「うん、凄く良かったよ。素敵だった」

「……」


そう言うと何かを考えるような顔をして、じっと見つめてくる。


「ん?」

「いつも翔くんはそう言って褒めてくれるよね」

「いや、だって本当にそう思ったから。ダメだった?」

「ううん、ありがと」


何か思うところがあったのか。
それとも少し不安を感じていたのだろうか。


そう言うと、少し安心したようにふっと笑みを浮かべた。












「それに、もともと俺は智くんの絵が凄く好きだし…」

「ふふっよく俺が描いているといつも隣に座ってきてずっと見てたよね?」

「うん、多分うざかったと思うけど」


そう、昔から。ジュニアの時から、智くんが描いている姿を見るのも、
描いている作品を見るのも好きだった。
その綺麗な手から魔法の様に次々と描かれていく絵。
それがどんな絵になっていくのか、どんな作品に仕上がっていくのかといつもワクワクしながら見ていた。


そしてそれは今も変わらない。


俺にとって重要なもの。


重要な事。


そして。


智くんにとって、とても重要なもの。










でも。




この人にとって絵を描くことが。
絵を描いている時間が。
絵の事を考えている瞬間が。
何よりも重要だってことを知っていたけど。





知っていたけど。






知っていたから。


ずっと、描けない。


描いていない、という言葉を聞くたびに心配していた。



智くんの生活の一部でもある絵。
精神的にも重要な作用を持っていて、そして自分自身を切り替えるためにも
そして自身を保つためにも重要な、絵を描くという作業。
それはきっと子供のころからずっと変わらずそうであっただろう、大切な作業。


でも、それができないと。
できていないと言っていたその姿が、なんだか苦しそうでずっと心配していた。
心配でたまらなかった。
だから今回、藤子不二雄A先生に描いて贈ったと聞いて
そしてその贈られた絵を実際に見る事が出来て


描いていたんだ、と。


もしかしたら断続的なのかもしれないけど、描けるようになったんだ、と凄く嬉しかった。


そして。


それが。


智くんが子供の時から好きだった藤子不二雄A先生の絵だと知って。
そして思い入れのある怪物くんの衣装を着た先生の絵を見て。
そしてなによりも智くんらしさが溢れた絵だと知って嬉しかった。



「よかった…」

「え?」

「いや、何でもない」








でもそれを言ってしまったら、何だか智くんが負担になってしまうような気がして。



だから何でもないといって誤魔化すと、不思議そうな顔をして見つめる智くんの唇に、



ちゅっと触れるだけのキスをして



心の中でもう一度“良かったね”と小さくつぶやいて



そして、



その唇にもう一度キスをした。





















『大野くんの事を抱きしめたくなりました』


『大野くんにずっとオファーしている』


『大野さんの為に船舶2級の免許を取りました』






ダンス、歌、性格、芸術的なこと、字の上手さ…
この人の凄い所はたくさんあるけど
でも本当に凄い所は実はこういう所なんじゃないかなと思う時がある。


普通でいるのに。


普通でいるはずなのに。


愛されようと努力しているわけでもなく
マメでも物凄く気が利くわけでもなく、媚びを売るわけでもなく、自分からアピールする訳でもなく


ただ自然で。


自然体でいるだけで、愛される人。







それは本当の智くんの姿を知っているから。
そして裏では考えられない位の努力をしているしているのを知っているから、というのもあるのだろうけど。
でも普通、男の人が男の人に対して抱きしめたくなるなんて、言葉に出しては言わない気がする。


でもそう言わしめてしまう不思議な人。


それもここ最近だけでも大物の著名人だったり監督だったり。
智くんに対して何気なく発せられた言葉一つ一つをとってもそう感じざるを得ない。
そしてそれ以外にも先輩や後輩、そして共演者スタッフ。
そう言えば、一緒に携わった芸術家の方々にもことごとく愛されていたっけ。

















「これって、週刊誌?」

「ああ、これ智くんのこと書いているあったから見せたいと思って持って来たんだった」

「俺の事が?」

「そうアツヒロさんが語ってたんだけど読む?」

「うん、読む読む」


そういって持ってきた女性週刊誌を静かに読み始める智くんのその姿を見つめる。






そこには事務所の大先輩であるアツヒロさんが見た、大野さんの姿が描かれている。






『嵐がデビューしてまだ3~4年のころかな。
プーシリーズを見に行ったら、あまりにも大ちゃんが良かったから、びっくりしました。
立ち回りや芝居、立ち姿がいいなって』


『人は見かけによらない、っていうけど、大ちゃんはまさにそう。
普段は眠そうにしているけど、本番になったらめっちゃ力を出すんです。
そのギャップが凄い。絶対、陰で練習していると思います。そうでないとできない』


『大ちゃんはやっぱり、ふだんはボーっとしてるんだけど、ステージに立つとスイッチが入る。
それを見てみんなもスイッチが入る。オーラも凄かったです』












「何かいつも周りからすごく愛されるよね、智くんて」

「え~そう? でも俺には翔くんみたいにアニキ会とかないし」

「いやいやあれは…」

「凄くみんな翔くんの事アニキアニキって慕ってくれてるじゃん。面倒見もいいし、さすが翔くんて思うもん。おれには絶対できない」

「いや智くんだって加藤くんとかに慕われてんじゃん。そう言えば、いつの間に船舶2級も取ったんだか…」


テレビで初めて知って本当にびっくりしたんだよね。
しかもプライベートでなんて。


「ね~」

「ね~ってあなた知ってたでしょう?」


みんなは驚いていたけど、智くんは前から知っていたようだった。
全然驚いていなかったし。照れくさそうにしてたし。


「え?」

「え? じゃないよ、バレバレなんだよ。それに何か凄く嬉しそうじゃなかった?」

「え、そっかな?」

「そうだよ。しかも何だか妙に照れくさそうな顔してたし」


後から見てもあれは何だか嬉しさを堪えているようにしか見えなかった。


それが。


「そんな事ねーよ」

「そんな事あるよ」


それが、何だか無性にムカついた。


「も~いいじゃん加藤の話は」

「よくない。ね、そんなに嬉しかった?」

「いや、別に?」

「正直に。」

「まあちょっとは、ね。ちょっとだよ?」


そう言って胡麻化しているけど本当は相当嬉しかったんじゃないかと思う。


「くそ~加藤くんめ抜け駆けして~」

「ぬけがけって」


そう言ってクスクス笑っているけど。
でもその為にプライベートの時間を割いて
自分の為に船舶2級を取りに行ってくれて。
嬉しくないはずはないだろう。








「いや、メンバーならまだしも加藤に先を越されるとは」

「んふふっ」

「笑ってる場合じゃないよ、俺は悔しいんだよ。先を越されたこともそうだけど、あの加藤君の行動力にも、それに対して凄く嬉しそうな智くんにも」

「いやそんな大げさな」

「大袈裟じゃないよ」


そりゃあ一緒に乗って撮影なんかしていたら自分も取って助けたいって思うのは当たり前の感情かも知れない。
でもあの嬉しそうな顔。
やっぱり、悔しい。


「俺も取る、船舶2級」

「ええぇ? 翔くんが? そんな暇あるの?」

「わかんない」

「わかんないって」


確かに今日明日とすぐにできないことなんてわかりきっている。


でも。


「でもとるって言ったら、とる」

「まあ翔くんだったら頭的には問題ないだろうけど…。でも問題は時間だよね、翔くん忙しいしそんな時間…」

「いや必ず、とる。とるったら、とる」

「んふふっわかった。待ってる」


そう言ってこちらの気持ちを知らない智くんは可愛らしくクスクス笑い続けている。


「うん、待ってて?」

「うん」

「ふふっそしたらこんどは朝活とコラボだな。朝、俺と智くんと船に乗って交代で運転してさ。
で、市場とかにいってそこで新鮮な魚食べたりして…」

「翔くんはどうせ貝でしょ?」

「おっ貝いいね。採れたてのサザエなんかをつぼ焼きにしたらいいよね。醤油とかかけてさ」


忙しいけど、もし船舶2級が取れたら、と夢がどんどん膨らんでくる。









「んふふっそうだね」

「ってバカにしてるでしょ?」


それなのに。


「してないよ」

「今、笑った」

「んふふっ笑ったけどさ」


智くんてば他人事のような顔をして笑ってるし。


「ひどいっ俺の夢を笑うなんて」

「いや…夢って」

「あ、今度はめんどくさいって顔した」

「してないよ、もう」


そんな事を言い合っていたらめんどくさくなったのか、
智くんが俺をソファの上に押し倒してきてそのまま身体の上にのった。


「何でたまに子供みたいになるの?」

「子供⁉」


そして俺を上から見つめながら、くすくすと笑ってそう言った。


「ま、そんな翔くん嫌いじゃないけど」

「子供じゃねえしっ」

「うん、知ってる。子供相手にこんなことしないでしょ?」


そして、そう言ってにっこり笑ったかと思うと
ゆっくりと顔を近づいてきて唇にちゅっとキスをしてくる。


「今度は翔くんの持ってるクルーザーでいこうよ」

「持ってねーよクルーザーなんて!」


そして可愛いらしく笑うと、そんな事を言ってくる。










「え? そうだっけ?」

「当たり前でしょう~。ま、ちょっと考えちゃったけどさ」

「ほんと⁉」


その言葉に途端に智くんの目がキラキラと光り出す。
いや、キラキラなんて可愛らしいものではなくメラメラ、か。


「いや考えただけ、本当にちょっとだけ頭の中をかすめただけで、買うわけじゃ…」

「翔くん~」


でも燃え上がった智くんには一切届くことはないようで、嬉しそうに抱きついてくる。
まあ、嬉しいんだけどね。


「翔くんなら買えるよ。お仕事頑張ってるし」

「いや、あなたも頑張ってるでしょ? それに中村監督からもずっとオファーされ続けてるって聞いたよ?」

「中村監督? 」

「聞いてないの?」

「うん、知らない。だから、翔くん~」


いや知らないって。確かに大野君には届いていないかもしれないけどと監督は言ってだけど。
でも、だからって、だから翔くん~じゃねえし。
船だよ?
クルーザーだよ?













「考えて? 考えて? たくさん考えて?」

「う、うん。考えるだけね。まだ買うとか何とかじゃなくて…ちょっと頭の中をかすめただけで…」

「うん、わかってる、わ~ってる」

「本当に?」


でもそんな俺の思いは一切届くことなんてなくて
本当に分かってる? 何だか最後わ~ってるなんて言っちゃてるけど本当に大丈夫?
何だかとんでもなく妄想に走ってない?
もしかしてもう船長さんになった気分になってない?と心配になってくる。


「翔くん大好き」

「俺も好きだけどさ」


でもそんな心配をよそに智くんは頬を染め、嬉しそうにぎゅうぎゅう抱き着いてくる。
嬉しいし、可愛いんだけどね?


でもやっぱりもうちょっとだけ考えさせて欲しい。
ほんとにちょっとだけ頭の中をかすめただけなんだから。
なんて話は当然智くんの耳に届くはずもなく俺の上にのっかたままぎゅうぎゅうと抱きついてくる。


「考えるだけね?」


だから、仕方なくそう言ってその智くんの背中に優しく手を回すと
負けじとその身体をぎゅうっと抱きしめる。


「んふふっわかってる」











そして。


身体をゆっくり離すと、いたずらっこみたいな無邪気な顔でクスっと笑って、わかってると言う。


わかってるって、わかってるって? どういうこと?


そう思っていたら、そのまま俺の顔を両手で包みこむように優しく触れると


そのまま唇に唇を重ね深くキスをしてくる。


だからそのキスに応えるように下を絡ませ背中に腕を回す。


そして。


「んふふっ冗談だよ」

「え? 冗談?」


そして、長いキスが終わって唇が離れると智くんは冗談だよと言って笑った。


「もし欲しかったら自分で買うからそんなに心配しないで」

「え?」

「んふふっ翔くん好き」



そう言うと、智くんはにっこり笑ってまた唇にちゅっとキスをすると


ぎゅっと身体に抱きついた。






























余談



『大野さんと僕』すごく素敵でした。


絵が描けるって本当に素敵です。
絵で表現できるって凄い才能です。
本当に、本当に、羨ましいです。


私はほとんど漫画で育ってきたようなものなので。本と漫画1対9くらい💦
なので本当はここのブログも漫画で描きたかった。
でも全然才能がなくて。思えば美術の成績も散々でした。
でもたまにここの場面を絵で表現できたらもっとわかりやすいだろうなあって
描いてはみるのですが、やっぱりできなくて撃沈という感じで。
本当に絵で表現できる方って凄いです。羨ましいです。


でもまたまたやっぱり大野さんと僕を見て懲りずにちょっと描きたくなったので
ちょっとまねて描いてみました。







でもやっぱりまねてかくことは、かろうじてかけたとしても
自分で考えて顔がかけない。姿が描けない。構図が考えられない。
そしてこんなことをしているからなかなかUPもできない💦って感じで
この短編の2個目の話とか天神祭の話とかをどうにか漫画で、と無茶な事を考えていたのですが、諦めました(当たり前)。


でもいつか本当に本になって発売してくれたら嬉しいな。





短編集 part7

2017-07-07 20:47:20 | 超短編







6月23日 






顔を洗い、鏡に映る自身の顔を見る。



まだ、ダメ だ。




 




「……ここにいたんだ?」


その言葉に驚いて振り向くと智くんが扉の前に立っていた。


「……何 で?」

「ちょっとだけ探しちゃった」


その言葉にくすっと照れくさそうに笑う。



この場所は普段みんなが使うトイレとは別の場所にある。
人気のない離れた場所にあってめったに人も来ない。


その場所に。


多分いつまでも戻らない自分の事を心配して
探しに来たのだとすぐにわかった。






「……」

「行ける?」


何も言えず立ち尽くしたままでいると、智くんが気遣うようにそう言った。


「……」

「大丈夫」


その言葉にやっぱり何も言えないでいると大丈夫だと頷く。


大丈夫って?


大丈夫ってどういう意味?


そう思いながらやっぱり何も言えず立ち尽くしたまま動けないでいると
智くんがゆっくりと自分に近づいてきて右手を差し伸ばしてくる。


思わずつられるように右手を差し出すと、智くんがぎゅっとそれを掴んだ。


そして引っ張られるように引き寄せられて、
そのまま智くんの左手が背中に回ってきて抱きしめられる。


「……!」


びっくりしてそのままされるがままでいたら
智くんの背中に回された腕にギュッと力がこめられる。


そのまま呆然と抱きしめられた状態でいたら
智くんの回した手から、とんとんと優しく背中をたたく音が聞こえてくる。
その規則正しく奏でる音を聞いていたら
気持ちがだんだんと落ち着いてくるような気がした。


しばらくそのまま規則正しく奏でる音を目を閉じながら聴いている。


そしてその手を止めゆっくりと身体を離したかと思ったら
優しく顔を覗き込むように見つめてくる。


視線が合うとまたニコッと可愛らしく笑った。


「行こう?」

「……」


やっぱりまた何も言えないでいるとニコッと笑って小さく頷いた。


そしてまるで自分が頑張るから無理しなくてもいいと言わんばかりに
力強く手をぎゅっと握りしめた。






多くを語る人ではない。
多くを語らせる人でもない。


でも。


その言葉に
その存在に、


大丈夫だと、勇気をもらう。


無理しなくていいのだと、安心感をくれる。






うん、行ける。


行こう。





その扉を開け、足を踏み出した。














夜会





『初めて見直した』



その人は心底驚いたようにそう言って笑った。


そう言ってくれるのは自分の事のように嬉しい事だ。


でも。


以前に共演した時に散々話したよね?
コンサートDVD も渡したよね?


それなのに、今 か。
初めて見直した か。


その言動に一瞬言葉を失った。





でも。


悲しいけど智くんの世間一般の認知度ってこんなものなんだよね。


どれほど素晴らしい人なのか。
どれほど才能にあふれている人なのか、
どんなに伝えても伝わらない。
どんなに語っても伝えきれない。


こんなにも凄い人なのにね。


そう思いながらも。


今回の事でまた一人、そしてまた一人と
智くんの実情を知ってもらえた事に満足感を覚える翔さんなのでした。






翔くんの果てなき布教活動はまだまだ続く。








VS嵐






「最近努力をしていることを言うようになったね?」


部屋で二人でまったりと過ごす時間。


「ん~」

「何で?」


ずっと聞きたかったこと。


「だって天才じゃないもん」


それを何でもない事のように答える。


「……」


でも。


ずっと昔から凄い人だと
天才だと言われ続けていたけど
それはただの天才ではなくて努力の上に成り立っていることを知っている。
そしてそれを見せないようにしてきたことも知っている。
そしてそれを知られることを恥ずかしい事だと思う事も。


でもだからって天才という言葉一つで誤解されたくないという意味もあるのだろうか。


相葉ちゃんの例もある。
もう本当に、素直というか真っ直ぐというか。
まあそこが可愛らしい所でもあるんだけどね。
そう思いながらあの時の言動を思い出し思わず笑ってしまう。





でも。


ずっと前から天才だって知っている。


そして努力をする天才だってことをイヤってほど思い知らされている。


そしてそれがどんなに最強かってことも。





でも、そんな事を微塵も感じさせず



隣にのんびりと座っているその人に



そう言うところがやっぱり好きなのだと言って、



ちゅっとその唇にキスをした。







何だかうまくまとめられずすみません。

短編集 part6

2015-03-10 21:16:57 | 超短編






嵐にしやがれ 2/14 二階堂ふみさん





「……」

「どうしたんですか?」


楽屋に戻ると翔さんが難しい顔をしていた。


「ん? いや」

「……?」

「イヤ、反省中で さ」

「……反省中? って、もしかして大野さんのこと?」

「そう だけど?」


そう言うと翔さんは何でわかったの?
って顔をして見つめてきた。


「やっぱし」

「ふふっ。やっぱしって何だよ」


やっぱり大野さんのことかと思いながら
そう言ったらなんでだよって顔をして
そう言ってくる。
本当にいつも大野さんのこととなると
自覚がないんだよね。翔さんって。


「いやいや。で、どうしたんですか? そんな難しい顔しちゃって」

「いやさ、出来て当たり前って思っちゃいけないんだろうけど
でも実際見ちゃうと、ついそう思っちゃうんだよね」

「あ~あれね」


今日の収録はトランポリンだ。


「そう。先生も何ヶ月もかかる非常に高度な技だって
何度も言ってたのに
智くんだったら出来んじゃねえかなって目でどうしても見ちゃう」


トランポリンは見た目と違い全身のバランスをとるのが難しくて
思ってる以上にとてもハードな競技だ。



「まあね」

「でも、それは本人にとってはやっぱ負担な事だよね」

「まあ確かに。いくら身体能力が高いっつっても
反射神経にしても体力にしても20代の頃とは全然違いますからね」


まあ大野さんに関してはなぜかあまり感じないのが
不思議なんだけど ね。


「そう。わかってるのに、なのに見てると期待しちゃう」

「まぁ、しかも裏切らないですからね。
しかもあれも途中でやめちゃったけど
もう少し時間あったらできてましたよね」

「そう。本当は出来て当然ってことじゃ全然ないのに
気づくとそういう目で見てしまっている自分がいてさ。
で、そのことに今、反省中」


そう言って照れくさそうに、翔さんはふふって笑った。


「ふふっやっぱり大野さんのこといつも深く考えてますね」

「そんなことねえよ。
ただ、何でもデキる人だからついそういう目で見ちゃうけど
歳とかも考えて見ていかなくちゃねって話」

「ふふっそうですね。もうおじさんですしね」

「おじさんじゃねえよ」

「はいはい」

「その返事、やっぱり、おじさんだと思ってんな」

「バレました?」

「当たり前」

「ま、あんな可愛いらしいおじさんいないですけどね」


そんな事を言いながら二人で笑いあった。
















嵐にしやがれ 2/28 嵐の休日INロス&









「……松潤ってさ、ホント友達多いよねぇ」

「あ~そうね。そう言えばロスで妙に感心してたね」


二人で久々にまったりとする時間。
智くんがふと思い出したように小さく呟いた。


「だって30人以上だよ? 信じらんない」

「まあ、松潤は交友関係が広いから」

「翔くんもそうでしょ?」

「え? 俺?」


そう言って頬を膨らませる。
可愛いすぎる。


「そうだよ。学生時代からの友達やらスポーツ選手やらなんやらかんやら」

「ふふっなんやらかんやらって」

「ホント多すぎ。信じらんない」

「ふふっそればっか言ってんね?」

「だってぇ信じらんないんだもん」

「ふふっ智くんだって趣味の友達とかたくさんいるでしょ」

「30人もいねえよ」


そう言うと智くんは不満そうにそう言った。






「……そういえばさ、あれ、読んだ」

「うん」

「……辞めたんだってね。何か、読んでて泣けた」


その人は智くんと同期で
そして智くんが嵐になる前まで同じグループだった人。
ずっと智くんとはシンメで踊っていて
京都でもずっと一緒で
智くんにとって多分すごく特別な人。


「翔くんが?」

「そう。あれって一言一言が凄く深いよね」


智くんは意外そうな顔をしてそう聞いてくる。


「まあ ね」

「心の友って言える人って、なかなかいないよ」

「まあ ね」

「なんだかあれを読んで本当に凄い深い所でつながっている二人なんだなって思った」

「うん……」


そんな人が同じ舞台から去ると聞いてどんな気持ちだっただろう。


「そんな心の友って言える人が一人でもいるなんて凄いことだよね」

「……うん」

「それにさ、自分が応えないだけでお誘いはめちゃくちゃあるでしょ?」

「んふふっ」

「んふふじゃないよ。熱烈ラブコール送ってくる人たくさんいるくせに」

「えへへっ」

「えへへじゃないよ。自分がめんどくさがって応じてないだけでしょ」


そう。
本人は気づいているのか気づいていないのか
智くんと近づきたいと思っている人は昔から
たくさんいた。


もし


もしも


智くんが松潤みたいな性格と行動力だったら?


想像するだけでも恐ろしい。





「ふふっ智くんはこのままでいいよ」

「え~?」


智くんは納得がいかないって顔をしてるけど
今でも心配でたまらないのに
これ以上ってなったらこちらの身がとてももちそうもない。
そんな事を思いながら不満そうに見つめるその可愛らしい唇に
チュッとキスをした。












ミュージックステーション 2/27









「……」


何か


何か、変だ。


いや、確かに今までも誕生日プレゼントに
トースターを選んだりとおかしなことは
これまでもいくつかあった。


まぁ、一人だけお土産の内容が違うのも珍しいことだし
中身が二人はTシャツで、翔さんだけがクッションだというのも
ちょっとおかしいといえばおかしい。


でも


それより何より翔さんの表情が
何だか必死に誤魔化しているというか
焦っているというか
平然を装おうとしてるというか
なぜか言い訳をしているようにしか聞こえないというか。


なんとも微妙な顔で一生懸命説明している翔さんに対し
こちらは妙に平然とした顔で答えているし。


“こういうところが二人らしいっちゃあ二人らしいとこだよなあ”




そんな事を思いながら


なんとも言えない


空気に包まれている


対照的な二人を見つめた。












「も~何だか焦っちゃったよ」

「何で?」


生放送が終わり二人でゆっくり一緒に過ごす時間。
そう文句を言うと何も考えていないのか
平然とそう言ってくる。


「何で? じゃないでしょ?
いつもは同じ物を買ってくるか
みんなバラバラにするかなのに今回は俺だけ別で
しかもクッションなんて~」

「ダメ?」

「ダメじゃないけどさあ」

「じゃあ、何?」


そう言うと何か問題でも?って顔をして平然とした顔で
そう言ってくる。


「何って」

「……?」

「だって さ」

「だって?」

「それは……」

「別にこうやって使ってるだなんて誰も思っちゃいないから大丈夫だよ」

「いや、まあ そうかもしれないけどさ」


そう言うと智くんは何でもないことのように
そういった。


でも本当にそうだろうか。


そのクッションはクッションでもアメリカンサイズで
日本のそれよりかなり大きく
頭二つ分のせられる大きさだ。


そのクッションをいつもソファの肘当てのところに置いたり
床に置いたりして二人頭を乗せてぼーっと天井を眺めるのが
二人でいる時の恒例になっている。


まあ確かにその事は誰も知らないからいいのかもしれないけど
そうは言っても何だかそのクッションの話題が出ると
妙に照れくさくて恥ずかしい。


「ほら、頭のせてごらん」

「頭のせてごらんって」


そんな思いも知ってか知らずか智くんは
ニッコリしながらそう言ってくる。


「ほらほら、いいからのせてごらん」

「……うん」

「ね、いい感じでしょ」

「まあいい感じだけどさ」


そう言いながら智くんも同じように頭をのせた。


「いい買い物だったでしょ」

「そうだけどさ」


そして二人で並ぶように頭をのせると
智くんは満足そうにそう言った。


「不満なの?」

「イヤ、そうじゃないけどさ。でも、やっぱりなんだかちょっと照れくさくて」

「何で?」


そう言うと智くんは不満そうな顔をしてそう言ってくる。


「だってさ、この上で さ」


そう言ってを身体を起こし上から智くんを見つめる。
クッションの上に頭をのせた可愛らしい智くんの顔がある。
その智くんの顔を見つめると智くんも上を見あげ見つめてくる。



「この上で、何?」


そう言ってその綺麗な顔でクスッと笑う。


「この上で、こんなことする し」


そう言ってゆっくり顔を近づけると
その唇にチュッとキスをする。
そして唇をゆっくり離すとお互いまた見つめ合う。


「それは、確かに照れくさいかも ね」


智くんはそう言ってまたクスッと笑う。
その顔があまりにも可愛らしくて顔を近づけると
もう一度ちゅっとキスをした。







短編集 part5

2015-02-04 18:14:25 | 超短編





VS嵐 たろうチーム 1月15日






『大変ヨガが得意だと言うことで、見せていただくわけにはいきませんか?』


『何のポーズ?』


『なかなか出来ないぞっていうヤツ』


『オッケーオッケー八曲がりのポーズね』


『今のは、どこにいいんですか?』


『いいというか、体幹とかがしっかりしていないと出来ない』


『じゃあリーダーがすぐやっても出来ないんだ?』


『ムリムリムリムリムリ』


『え、じゃあ、ちょっとやってみて』


『普通の人がやったらどれだけ難しいか ですよね?』









『……(あっさり出来ちゃってるしっ)』


『……(やっぱ、リーダー。すごーい!)』


『……(やっぱり、出来ると思った)』


『……』






この日のプラスワンゲストは長年ヨガをやっていて
毎回特技にもヨガと書いていた人だ。
その人が一番難しいと思われるポーズを提案し
やったにも関わらず智くんは軽々とやってみせた。


しかもヨガを長年続けていて得意としている
児嶋さんよりも何故か妙に安定していて
そして相変わらず余裕だった。


やっぱり智くんはすごい人だ。
毎回思うけど一体この人の身体能力って
どこまであるのだろう。


しかもヨガって。
ヨガってポーズによっては
続けてないと難しいんじゃなかったっけ?
そんな事を思いながら、その姿を見つめた。


まぁ、ニノは智くんが、できてしまえるってわかってて
そう提案したんだろうけど。
そんな突然の提案にも動じることなく
そして出来てしまえる智くんが、やっぱり凄い人だと思った。








「……何してるの?」

「あ、イヤ」


録ってあったVSを見ながら
自分にも八曲がりのポーズとやらが出来るかどうか試していたら
風呂を終えた智くんが頭を拭きながら
不思議そうな顔をしてそう聞いてきた。


「……?」

「……イヤ、あのVSでやってたアレさ」


そんな風に見つめられるとちょっと照れくさいんですけど。
そう思いながらも、なあにって顔をして
可愛らしくじっと見つめてくるから仕方なく答えた。


「……?」

「智くん、すごく簡単にやってたから
俺でもできんのかなって、ちょっと試してたんだよね」

「ああ~あれね。結構、簡単でしょ?」


智くんはそう何でもないことのように言ったけど
見るのと実際自分でやってみるのとでは大違いだ。


「全然、簡単じゃなかったよ」

「そう?」


全然お尻も上がらないし、あの体勢で2本の腕だけ全身を
持ち上げるってバランス的にも難しすぎる。
あん時は笑って見てたけど実際やってみたら
児嶋さんすげえなって思ったもん。


「そうだよ~。それに何の予備知識も練習もなく
簡単にできちゃうって、やっぱすげえわ」

「そっかな?」


相変わらず自覚がない智くんはそっかな? 
なんていっている。


「やっぱ智くん、かっこいいわ」

「え~?」


そう言うと、なぜか意外そうな顔を見せる。
やっぱり全然自覚がないんだよね~。
まぁあれだけ難なくこなしちゃったら仕方ないといえば
仕方がないのかも知れないけど、ね。


そう思いながら、風呂を終えご機嫌に飲み始めた
可愛らしい智くんの顔を見つめる。
そしてそのまま顔を近づけると
その頬にちゅっとキスをした。


「……ん? 何?」


突然キスをされたからか
智くんは、なあにって顔して見つめてくる。


「ふふっ尊敬のチュウ」

「何だそれ?」

「えへへ」

「……翔くんって時々発言がバカっぽいよね」


その顔を見てると、その姿を見てると
意味なんてなくて、ただキスしたくなっちゃう
それだけなんだけどね。


「だって、何でもできる智くんが、かっこよすぎるから」

「……」

「またそんな顔してぇ」


そう言うと智くんは少し呆れたような顔をして
見つめてきた。


「頭良いくせに、やっぱバカっぽいんだよね」

「ふふっ智くんだけにね」


そしてやっぱり呆れた顔をして
バカっぽいだなんて言ってくるから
智くんだけにねって言って今度は唇に
ちゅっとキスをした。









まさに『体幹がしっかりしている』その一言に尽きます。














嵐にしやがれ せかおわ 1月17日






『大野さんは?』


『え?』


『歌詞書こうと思わない?』


『昔一回書いたことがある』


『凄い。それいつごろ?』


『ちょっとそれ何』


『昔、書いたことがある?』


『10年くらい前に』


『何系の歌詞だったの?』




その意外すぎる返答にメンバーは一斉に
表情が変わり、瞳がキラキラと輝き興味を示す。


あからさますぎるでしょ~


そうは思ったが
元々仲もいいし、それだけ興味があるのだろう。
だからちょっとあからさますぎるとは思ったが
それもまぁ仕方がないかって思いながらそのままカメラを回した。







全然関係ありませんが私も話が浮かんだら2時間かからない位です。
(って、ホントに全然関係ないっ)










VS嵐 川崎フロンターレ 1月22日








『もうそろそろ翔さんが誕生日』


『改めて何歳になられるんですか? ちょっと発表していただいて』


『31歳になります』


『嘘つけバーカ』




おそらくバーカと言われてこんな嬉しそうな顔を見せるのは
翔さんくらいなものだろう。


まぁ以前も深夜の番組でもバーカバーカと言い合ってた時も
この二人に関してはただイチャイチャしているようにしか
見えなかったけどね。


そんな事を思いながら、まあ二人とも幸せそうだし
いいかって思った。







短編集 part4

2014-09-09 20:21:10 | 超短編


嵐にしやがれ 8/16 女子力






「どうしたんですか?」


楽屋に戻ると翔さんが一人椅子に腰掛け
難しい顔をしていたからどうしたのかと話かけてみる。


「いやぁ不思議だなあって」

「何がですか?」


まあどうせ大野さん関連だろうとは思いつつ
近くの椅子に腰掛け聞いてみる。


「綺麗なのと女子力って、比例しないんだなって」

「それって、リーダーの事ですか?」


やっぱり大野さんのことか。


「そう。あんなにダンスの時はしなやかで柔らかくて綺麗なのに
女子力っていうと、何か違う気がするんだよね」

「まぁ、そうですね。
リーダーは、はっきり言って女子力は高くないですね」

「不思議だよねぇ」


そう言って翔さんは不思議そうな顔をする。


「翔さんはリーダーに女子力が高くいて欲しんですか?」

「女子力が? いや、智くんは今のままがいいな。
女子力が高い智くんなんて想像つかねえし」


確かにリーダーのダンスにはしなやかさと柔らかさがある。
手先足先まで神経が配られていて動きがとても
キレがあるのに綺麗だ。


でもかと言ってそれが女子力かというと、そうではない気がする。
力強さと繊細さを持ち合わせていて動きも身体も綺麗なのに
不思議と言えば不思議な気がしなくもない。
本人は全く自覚していないところが、またすごいところだけど。


「でも、女子力で言ったら翔さんの方が高いんじゃないんですか?」

「え~俺ぇ?」


翔さんは意外って顔をする。
あんなノリノリだったくせに~。

「ぬいぐるみ抱いている姿、可愛かったですよ」

「え~でもあんなの演技だし」

「ふふっまあ、そうかもしれないですけどね」

「でもさ、そう言ったら、にのの方が女子力高いじゃん?」

「俺が?」


突然思いもしないことを言われて思わず聞き返す。


「そう。まあ松潤は間違いなく高いけど、
ニノのあの床に座っている姿とか、ソファの横に座っている姿は
女子力が高くて可愛かったよ」

「そう言われても、あんま嬉しくないですけどね」

「ふふっ」

「でも、リーダーと決定的に違うのはリーダーが無自覚ってことですよね」

「そうなんだよね」

そう。あれだけ指先まで神経が行き届いた綺麗なダンスを
踊ったり色気があったり艶やかだったりするのに
すべて無自覚なんだよなぁ~凄いよなぁ~なんて思いながら
翔さんと笑いあった。











部屋に帰ってから二人で久々に過ごす時間。
シャワーを浴びてお互い自由な時間を過ごしながら
お酒飲んだりして過ごす。


そして今日ニノと話したことを思い出し
思わずその身体をゆっくりと押し倒す。
智くんは突然どうしたの? って顔をして見つめてくる。


その智くんの綺麗な顔、そして顔の横には
智くんの美しい手があってそれを見つめた。


智くんの手って静止画でも動いていても色気があって
すごく綺麗な手なんだよね。
でもかと言ってやっぱり女子力ではないんだよね。


不思議だな~なんて思いながらその手を見つめていたら
智くんが不思議そうな顔をして見つめてくる。


「ふふっ何でもない」


この無自覚な美しさがまたいいんだろうな。
そんな事を思いながらその美しい手にちゅっとキスをした。









VS嵐 8月7日 ホットロードチーム






『やっぱスピードですよ。言ってたやつです』

『そうねぇ』

『大野さん毎回そう言ってるんですけど本当にできるのかって
 すごく不思議がってて。今投げたら赤ピン取れるんですか?』

『取れますよ』

『じゃあエキシビションで投げて頂いて~』







「にの喜びすぎだったよ~」

「へ?」


セットの交換の合間、一人でいたにのにそう言って
話しかけた。


「さっき智くんが赤ピン倒したじゃん?
そん時すごい喜んでたじゃん」

「ああ、あれ。
なんだろう? 俺ああいうの、めちゃくちゃ楽しくなっちゃう人なんだよね~」


にのは他人事のようにそう言って可笑しそうに笑った。


「ふふっ。でも、いつもそんな感じだよね」

「そうですか?」

「そうだよ~」


いつも冷静で周りをよく見ているにのだけど
智くんのああいう場面を見るとはしゃいで
子供みたくなっちゃうんだよね~。
そこがすごく可愛いとこだけど。


「でもあの人って、やっぱりやる時にはやる人、
そして結果を出す人なんですよね」

「うん、そうなんだよね」


普段はのんびりしているけどいざとなると
すごい力を発揮するんだよね。
昔はそれさえもあまり表にはだそうともしない人だったけど
最近は少しずつどこがどうって訳でもないけど変わってきた気もする。


まあそうはいっても俺が俺がって前に出るタイプでないと
言うことには変わりないけどね。


「ああいうとこが、やっぱかっこいいんですよね」

「まあね」


そう言って二人でやっぱり相葉ちゃんとのんびり話をしている
智くんを見つめた。








嵐にしやがれ 8/2 内田選手




『良かったんですか? この5人で』

『それは良かったよ』

『一人チェンジできるとかなったらどうします?』

『スゴく良い質問だと思うけど
 一人チェンジしちゃうとね、嵐にならないんだよね』

『バランス変わっちゃうからね』

『いやぁなくなるだろうね』





「不思議だよね」

「ん~?」


二人でベッドに入ってそろそろ寝よっかって感じに
なってきた時、智くんが上を向いたままそう言った。


「俺らって性格も考えてることも、てんでばらばらなのにさ
この点だけは昔から5人とも考えが変わらないんだよね」

「ああ、今日の収録のこと?」


智くんはまっすぐ上を向いたままそう小さく呟いた。


「そう」

「まあ、そうだね」


確かに5人とも性格とかはバラバラだけど
この一点だけは昔から共通している。


「よくさ奇跡の5人って言われっけどさ。
そん時は、そっかな? なんて思うんだけど
改めてああいう話になるとやっぱりそうなのかなって
思うんだよね」

「うん、そうだね」


そう。自分たち5人はこの5人でないとダメだ。
そしてそれぞれそうみんな思っている。


この5人でないと嵐にはならない
だから一人でもかけたらニノの言うとおり
そのものがなくなるんじゃないかと思っている。


何年か前、ニノが撮影で海外に行っていた時、4人で活動をしたことがあった。
たまに撮影とか入院とかでってことはあったけど
あんなに長く離れていたのは初めてだった。


で、その中で歌番組の収録とかもあって4人で
歌ったりもしたのだけど、その時の違和感は
今もまだどこか残っている。


そして、やっぱり5人じゃないとダメだと強く思った。
多分5人ともそう思ってたんじゃないかと思う。


「ずっと、これからも5人でやっていこうね」

「当たり前じゃん。それにこの5人じゃなければ考えられないし
 それに一番凄いところは5人がみんなそう思っているところだよ」

「そうだね」


そう言うと智くんはどこか、ほっとしたような顔をした。


「うん、そうだよ」

「何か、不思議だね」

「まあね。でも、もう家族よりも一緒にいるから、ね」

「ふふっそうだね」


そう言うと智くんは可笑しそうに笑う。


「5人ともなんやかんや言っても好きじゃん?」

「そうだね」

「だから変わんないよ、俺たちは」


そう言って身体を少し起こすとちゅっと
その唇にキスをした。