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山コンビ大好き。

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きらり

ありふれた日常 part26(徹子の部屋)

2014-03-26 17:58:53 | 山コンビ ありふれた日常


[短編の続きをと思っていたのですが、先にこっちをアップです]








『ただ、あの人若く見えるから、ニューヨークで会った時


 拐われないかって思って、みんな見ててさ』


『ええ?』


『大野くんなんか見てるとさ、なんかすごい可愛いじゃないの』


『あーそうですか』


『あら、さらわれないといいけどなんて思って、ニューヨークの街の中で』


『いやぁ、よかったですよ無事に帰ってこられて』









「今日さ、徹子さんの部屋だったんだ」

「あ~言ってたね。どうだった?」


家に帰ってまったりとしている時間。
ソファでくつろいでいる智くんにそう話しかけた。


「いやぁ、智くんが可愛いからニューヨークで
さらわれないかって心配してたよ」

「さらわれねーよ」


そう言うと智くんは、ふって笑って
さらわれるはずないじゃんって顔をしてそう言った。


まぁね、最初言われた時意味分かんなくて
聞き返しちゃった位だから智くんがそういう顔をするのも
わからなくもないけどね。


そんな事を思いながら、あの徹子さんが言った意味は
一体どういう意味だったのだろうと考える。
嵐のメンバー全員を指してのみんな見てという意味だったのか
それとも智くんの事一人を指して、ニューヨーカー達が
みんな智くんの事を見てるからという意味だったのだろうか。


まぁどちらの意味でも智くんとは普段一緒にいる事が多いから
親の欲目みたいな感じでそう思うのかとも思っていたけど
第三者の目からみた率直な感想もやっぱり
若くみえて可愛いって事らしい。


とはいっても智くんの事をニューヨーカーがみんな見ているから
拐われないか不安って意味だったらかなり危険ではあるけども。
そう感じざる負えない容姿で、しかも何だかふわふわしているから
ホント心配なんだよね。


それにしても若い人が、例えば芸人さんとかが言うならまだしも
人生経験が豊富で、考えられない位たくさんの人と対談してきた
徹子さんがそういうのだから本当に若くて可愛らしく見えるのだろう。


そう言えば以前まごまご嵐という番組で。
おじいちゃんが智くんに柔道の技をかけてる写真を
見ながらつぶやいた言葉があったっけ。


『これ、この女の子はどこの子?』

『いや、女 俺だよ』


そう、おじいちゃんが素で言った。


ずっと孫として智くんと一緒にいたにも関わらず
しかも自分が柔道の技をかけている写真にも関わらず
そして当の本人が隣にいるにも関わらず
本当に女の子と間違えてたんだよね。


智くんは、その言葉に何とも言えない顔をして俺だよって言ってたけど。
それは、おじいちゃんが面白おかしくするために言った言葉ではなくて
本当に女の子に見えるくらい可愛くて、出てしまった言葉なんだよね。


今でもあの時の智くんの何とも言えない顔を思い出すと
つい笑ってしまうのだけど。
昔からずっと女の子と間違えられてしまう位
可愛らしい顔をしていたんだよね


でも本人にはまったくそんな自覚はないから
セントラルパークで一人で昼寝してたとか
後でこちらが卒倒してしまいそうなことを平気で
やってしまってるんだよね。


本当に自分が他人から見てどう見えるかとか全然気にしないし、分かってない。
まあ、自分の美しさとかに無頓着だからこそ
ああやって平気で真っ黒黒になるまで日焼けもできちゃうんだろうけど、ね。
そんな自然体な智くんが凄く好きだけど心配でもある。
しかもフラフラって一人でもいつの間にか海外に行ってそうな気もするし。





「そう言えば、何か最後に正ちゃん帽っていうのかぶったんだけどさ」

「んふふっ正ちゃん帽?」


そう言うと智くんは何それって顔をして
可愛らしく笑う。


「そう、赤いやつね。それかぶった時もさ、徹子さん
かわいい、可愛いわよ、ちょっと大野くんみたいでって言ってたんだよね~」

「へぇ?」

「何だかさ~それ聞いて徹子さんのカワイイの基準って
智くんなんだなって思ったんだよね」

「んふふっ何だそれ」


やっぱり自分の容姿に自覚がない智くんはそう言って
おかしそうに、んふふと笑う。


「まぁとにかく海外では気をつけてよ?
徹子さんの言うとおり若く可愛く見えるんだからさ」

「ん~でもそれは翔くんもでしょ?」

「いやぁ智くんほどじゃないから」

「そうかな?」

「そうだよ」


ホント自分の可愛さを分かっていない。


そう思いながら可愛らしく笑っている智くんの唇に
ちゅっとキスをした。

山 短編6 後 

2014-03-14 18:34:06 | 短編




先生を


見つめているだけで


視線が合うだけで


心臓はいつもバクバクいう。






でも先生は


じっと見つめても


視線が合っても


いつも何でもない顔して


余裕な顔で


見つめ返してくる。









先生は教え方が特別上手だとか
ユーモアがあって話が面白いとか
面倒見がいいとか
そういうタイプでは全然なかったけど
生徒達からはなぜか人気があった。


そして先生が放課後、美術室にいるという話は
あっという間にクラス中、学年中、学校中と知れ渡った。


そして、美術部とは関係のない生徒が何かと訪れ
先生がこれでは仕事にならないと、美術部以外の生徒は
とうとう出入り禁止になった。


そんな人を惹きつける容姿と、魅力を持った人だった。



HRや授業中は、相変わらず先生のことを見つめた。
そして帰る時は、美術室の窓を見つめた。


先生は、いる時といない時があったけど
視線に気付くと先生もこちらを見る。
先生は、いつも気にする様子もなく余裕の顔で見つめ返してくる。


先生と視線が合うと心臓がバクバクいった。
そしてだんだん先生の視線に耐えられなくなって
自分から視線を外す。


そんな毎日だった。





そして季節は変わり冬になった。


その頃噂で、先生が3月までという事を耳にする。
先生は元々臨時職員だったからわかってはいた事だったけど
それは自分が考えていた以上にショックな出来事だった。










「最近元気がないですね?」

「え? そう?」


ニノが二人きりになるとそう話しかけてきた。
ニノは昔から人の感情とかに敏感でよく気がつく人だった。


「先生のせいでしょ? 行っとかなくていいんですか?」

「え?」


にののその言葉に一瞬意味が分からず
呆然とその顔を見つめる。


「先生の事、好きなんでしょう? だからあの噂を聞いてそんな顔してるんでしょ?」

「……」


にのはそう言うとクスリと笑った。
その言葉に何も言えなくなる。


「もう、いなくなっちゃうんですよ? いいんですか?」

「……」


そしてニノは真面目な顔になるとまたそう言ってくる。
その言葉にやっぱり何も言えなくてその顔を見つめた。


「先生の事、好きなんでしょ?」

「……」




先生の事が好き?


確か以前にもニノにそんなこと言われた。





そう


先生の事が好きだ。


多分初めて見た時からずっと。






「先生のとこ行ってみたら?」

「……でも美術室は出禁だし」

「翔さんなら行っても大丈夫だと思いますよ?」

「……え? 何で?」

「何でも。それに、このままじゃ何も変わりませんよ」


にのはそう言って笑った。




先生のいる美術室に行く?




『何も変わらない』


にのの言った言葉が頭に残った。











「はい?」


ノックの音に先生が答える。
胸がドキっとした。
音をたてないようにそっと扉を開けると先生は書いていた手を休め
その美しい顔をこちらに向けた。


「……あの」

「……?」

「お邪魔じゃないですか?」

「ふふっお邪魔じゃないですよ」


先生はそう言って、ふふって笑う。
そして部屋に入っていいよって感じで手を向けた。


「……先生」

「はい?」


出入り禁止なのに入ってもいいの? と思いつつ
先生に促されるまま椅子に座った。
そして思い切って話しかける。


「……3月までって本当ですか」

「そう、赤ちゃん産んで半年たたず復帰ってすごいよねぇ」


部屋に入りそう話しかけると先生は感心したようにそう言う。
二人きりの空間で何気ない話をしているだけなのに
胸はドキドキしたまま、とまらない。


「……」

「……?」


そして先生の言葉に何も言えなくなってじっと見つめた。
先生が不思議そうな顔をして見つめ返す。


「先生が…」

「……?」

「先生がいなくなってしまうなんて考えられません」

「んふふっそう?」


先生は元々臨時職員として配属されたので
当たり前と言えば当たり前のことなのだけど
やっぱり考えられない。


「……先生」

「ん?」


先生、と言うと先生は優しい顔で見つめてくる。
クラスでは目があっても何でもない顔してるくせに
こんな時だけそんな風に優しい目で見るなんてずるい。


「……」

「……?」


そんな事を思いながら、やっぱり何も言えなくなって黙ったままでいる。
先生は急かすふうでもなく優しく微笑みながら言葉を待っている。


「……先生が好きです」


そう言うとなぜか涙が片方の目から流れた。
慌ててそれを拭おうとしたら先生がその綺麗な手を
近づけてきて指でそっと涙を拭う。


「ふふっ綺麗な顔してっから、涙流しても綺麗なんだね」

「……」


思いがけない言葉を言われその顔を見つめる。
先生はまた優しい笑顔でふふって笑った。


「でもそれは、勘違いだと思うよ」

「勘違い?」


そして優しく諭すような口調で勘違いだという。
その言葉に思わず聞き返した。


「そう。しかもここ男子校だし」

「……」

「まぁその年代には、たまにあることだけどね」

「……」


先生はそう静かにそう言って優しく笑った。
その言葉に何も言えなくなる。


「……勘違いじゃないです」

「ふふっ、そっか」

「先生を初めて見た時から好きでした」


そう言うとまた片方の目から涙が流れた。
先生は、また手を伸ばしてきて指で涙を拭ってくれる。
そして顔を見つめたまま少し考える顔をした。
思わず恥ずかしくなってしまって俯く。


「そっか。どうしよっかね」

「……」

「……」

「……」


何も言えず黙ったままでいると先生も黙ったまま見つめる。
そして先生は突然立ち上がると、そばによってきて
手を差し出し右手を優しく掴んだ。


「……?」


訳が分からずその顔を見つめる。
そのまま立ち上がらせると右手を掴んだまま
窓際の方に引っ張っていく。


何がなんだか分からずただその後を
手を引っ張られるままついていく。
そして先生はドアから隠れるように机の横の床に座らせた。
そして先生も向かい合うように一緒に座った。


「俺のこと好き?」

「……はい」


先生は至近距離でその綺麗な顔を向けそう聞いてきた。
心臓はバクバクいっている。


「ふふっ、そっか」

「……」


先生は、そっかといって、ふふっと笑う。
何も言えずその綺麗な顔を見つめた。
先生の顔を見るとまた胸がドキドキした。


「じゃあ、内緒だよ?」

「……?」


先生はそう小さな声で言うと、両手を伸ばしてきた。
そして頬を両手で優しく挟んだ。
胸は相変わらずドキドキしている。
先生はその綺麗な顔で余裕の笑顔を向けてくる。


その顔をドキドキしながら見つめる。
先生は顔に手を置いたままゆっくりゆっくりと
角度をつけて顔を近づけてくる。


そしてそっと


唇に


その唇を重ねてきた。








「……!」


びっくりして先生の顔を見つめる。
先生は驚いている自分に構うことなく
ゆっくりと唇を離す。
そしてその綺麗な顔を向け、ふふっと笑った。


「今日だけ、特別」


先生は驚いて何も言えない自分に気にすることなく
そう言ってまた、ふふっと笑った。
そして先生はよいしょと言って立ち上がる。
そして左肩をポンポンとした。





「可愛い顔してんだし、気をつけて帰るんだよ」


そしてそう言うとまた、その綺麗な顔でふふっと笑った。
そのまま動くことができずそのまま床にへたりこんだ。














「どした?」


いつまでも動かない自分に先生が心配そうに
座って顔を近づけ覗き込んでくる。


「……ずるい」

「え?」

「先生、ずるいです」

「……?」


先生は意味がわからないって顔してみつめてくる。
その座って顔を覗き込んでいる先生の両肩を掴み
そのままその華奢な身体を床に押し倒した。


「ちょっ」


先生は驚いた表情を浮かべ慌てて腕から逃れようとする。
それを力ずくで押さえ込む。
しばらく押さえつけたりそれを外そうとしたりを繰り返す。
そして先生は堪忍したのか手の力を緩めた。


「先生?」

「……ん?」

「今日だけ特別って言いましたよね?」

「……」


上からその綺麗な顔を見つめる。
心臓はバクバクいっている。
先生は何か言いたげな顔をしているが何も言わない。


心臓はずっと


バクバクいっている。


「先生?」

「うん言った。言ったけどとりあえず、どいて」


先生はそう言ってまた身体をどけようとする。
だからまた力ずくでその身体を押さえた。
そして至近距離で先生のその綺麗な顔を見つめた。
下にいる先生はいつも以上に儚く弱く見えて
ゾクゾクした。
先生は諦めたのか腕の力を弱める。


「先生好きです」


声が掠れている。
そして胸はドキドキしたまま、止まらない。
その綺麗な顔にゆっくりと顔を近づけていく。
先生は抵抗しないで見つめている。


心臓はずっとバクバクいっている。


そしてその唇に


そっと


唇を重ねた。



心臓は、ずっと


ずっとバクバクいっている。















「先生、すみませんでした」

「いいよ」


櫻井は神妙な顔をして謝ってくる。
最初にしたのこっちだし文句は言えない。
まさかこんな展開になるとは思わなかったけど。


「でも本当に先生のこと好きなんです」

「わかったよ。でも思春期って一時の気の迷いみたいなとこあるから」

「気の迷いなんかじゃないです」


そう言うと真剣な顔でそう答える。


「でもまぁ、そうだとしても教え子相手ってつーか、高校生相手って、ね」

「じゃあ高校卒業したらいいですか?」

「……まぁ、な」


そう言うとやけに嬉しそうな顔を見せる。
可愛いんだけどね?


「マジで? よっしゃ」

「よっしゃじゃねーよ」


そして、よっしゃなんて言ってる。
櫻井さん、アナタもっとクールな感じじゃなかったっけ?


「えへへ」

「あ~あ、こんなはずじゃなかったんだけどなぁ」

「え?」

「いや、なんでもねぇ」


まさかこんな展開になるなんて想像していなかった。


「でも先生がここの先生じゃなくなったらあんま関係ないですよね?」

「へ?」

「えへへっ」


そう言ってまた嬉しそうに無邪気な顔で笑った。
ほんと、こんなタイプじゃなかったよね?











窓から外を眺めると櫻井が両手を万歳させて
バイバ~イって感じでこちらに笑顔を向け帰っていく。




なんかやけに、すっきりしたすげぇいい顔してるね。


好きだと思われているのは薄々気づいていたけど
まさかこんな展開になるなんてね。



っつうか、アイツあんなタイプだったっけ?

見つめたら俯いてなかったっけ?





やっぱ、高校生って、わかんない。





そんなことを思いながらコーヒーを煎れると


窓際に立ち外を眺めた。



山 短編6 中 

2014-03-05 21:25:44 | 短編



その日から美術室の窓を見て帰るのが日課となった。


先生の姿は、日によって見える時と見えない時があった。


見える時は決まってコーヒーカップ片手に


窓に寄りかかって外を見ていた。








そしてその日の帰りも美術室の窓を見上げた。


先生はいつものようにコーヒーカップ片手に
窓に寄りかかりながら外を見ている。


その視線はグラウンドの方を見ているのか遠くの方にあった。
そして時々思い出したようにコーヒーカップを傾ける。
その日の帰りは一人だったからその姿をじっと見つめた。
その姿が美しくて目が離せなくなる。


あまりに見つめていたせいか先生が
ゆっくりとこちらに視線を向けた。


目が合う。


先生は表情を変えることもなく
その綺麗な顔で見つめる。
その視線に目を逸らす事ができない。


どのくらいの時間がたったのだろう。
数秒だったのかもしれない
数分だったのかもしれない
先生と目が合ってる間中、ずっと胸がドキドキしていた。


でもだんだんそのまっすぐに向けられる視線に
耐え切れなくなって思わず俯く。
自分の足元を見た。


先生はまだこちらを見ているのだろうか。
それともまたグラウンドに視線を戻したのだろうか。
そんな事を思いながらまた見上げた。


先生と視線が合う。
先生は相変わらず表情を変えることもなく
まっすぐな視線で見ている。


「……何 で?」


先生と目が合うと、また心臓が大きな音でドキンという。
やっぱり耐え切れなくなってそのまま深く深くお辞儀をすると
門に向かって駆け出した。
そのまま学校が見えなくなるまで夢中で走る。
そして200m位走ってようやく走るのをやめた。



歩いていても


立ち止まっても


心臓はいつまでも


いつまでもずっと


ドキドキいっている。













外を何も考えずに見るのが昔から好きだった。



空を見たり


自然を感じたり


人の動きを見たり





この美術室は最高だ。


もし


美術室がこの場所ではなく
もっと右側にあったならそこから見える景色は
空の一部分と無機質なコンクリートでつまらなかっただろう。
そんな事を思いながらコーヒー片手に外を眺める。


校庭では今日も陸上部の生徒が走っていて
野球部の生徒が練習をしている。
他の部も活動しているのだろうけど
ここから見えるのはその二つの練習風景。


そして校庭の手前には校門があって学生たちが


一人でだったり
二人でだったり
数人でだったり


帰っていく。








ふと視線を感じてそこを見ると櫻井がいた。
あの時と同じように視線を向けてくる。


その茶色い髪は外にいるせいか
とても明るくて、そしてとても綺麗で
彼によく似合っていた。


遠くから見ても分かるその端正な顔立ち。
しばらくその顔を何ともなく見つめていたら
櫻井が俯いた。


そのまま目をそらす事もせず見ていたら
また見つめ返してくる。
そしてそのままこちらに向かって深く深くお辞儀をして
そして走っていってしまった。
その姿をずっと眺めていた。











クラスでの先生はいつもと変わらない。


いつものように
ホームルームでは伝達事項を伝え
そしていつものように授業を行う。


その姿を頭の先から
足の先まで見つめた。


自然な感じで後ろに流してある髪
長い睫毛
うす茶色の目、そして唇、頬。


腕まくりをしているシャツの下から見える腕は
意外と筋肉がついているように見える。
そしてその先に続く綺麗な手
そして細くて長い指。


話を聞いているフリして
授業を受けているフリして


ずっと見てた。













「今日いってみる?」

「そうだなぁ後で先生に確認して、学習室で勉強した後にでも行くか」

「おお~いいねぇ」


昼休み。
3人が何やら盛り上がっている。


「行くってどこに?」

「翔ちゃん声でかい」


思わずそう聞くと相葉ちゃんは唇に指を立てて
大きな声を出しちゃダメってかんじで言ってくる。
隣にいるにのや松潤を見るとうんうんと頷いている。


「え? そう? いつもと変わんなくね?」

「これは内緒の話だから、しーっなの」


そう言うと相葉ちゃんは真面目な顔になりそう言った。


「内緒の話?」

「そう。あのね、美術室におーちゃん先生がいるの」


美術室という言葉に心臓がドキっとする。


「ああ、うん」

「あれ? 翔ちゃん知ってた?」

「いや、知らねえけど。で?」


相葉ちゃんがそう聞いてくるから
そう言って誤魔化した。


「でね、今日、おーちゃん先生に会いに行こっかって」

「え?」


先生に会いにいく?
大野先生に?
美術室に?


「翔さんも、もちろん行くっしょ?」


突然の話にびっくりして言葉が出ないでいると
松潤がそう言ってきた。


「当たり前っしょ。翔さん、先生の事好きだもん」

「え?」

「違うんですか? いつもガン見してますけど」

「……」


ニノがそう言ってくるから何も言えなくなって
その顔を見つめた。


「俺もおーちゃん先生かわいくて好きー」

「俺も結構タイプ」

「タイプってアンタ」

「いいでしょ」

「俺も何か好きなんだよなぁ。癒されるっていうか」

「……」


思いがけないことを言われ、何も言うことができない自分に
3人はお構いなしに盛り上がっている。
その3人の姿を呆然と見つめた。







「おーちゃん先生、遊びに来たよー」

「おおっ、でもすぐ帰れよ」

「ひでぇ来たばっかりなのに」


4人で美術室に訪れると先生が書いていた手を休め
こちらを振り返りながらそう言った。
一瞬目が合う。
先生はそのまま何ともない顔をしている。


「あ、これおーちゃん先生が描いたの?」

「まぁ一応美術部の顧問だし?」


相葉ちゃんが部屋に入ったとたん
描きかけの絵を見つけ駆け寄っていく。
にのや松潤もすげぇすげぇと言いながら
一緒になって絵のそばに駆け寄る。


「つっても誰もこねぇけど」

「マジで? 俺が美術部だったら毎日通っちゃう~。
それとも今からでも美術部に入っちゃう?」

「今からは無理でしょ」


先生がそう言うと相葉ちゃんが一人テンションが上がって
そんな事を言い出す。
それを松潤が冷静に無理だと答える。


「あっそういや、こないだ一人きたな。美術部の生徒じゃなかったけど」


そう言って立ち止まったまま動けないままでいる自分の方を見る。
そして先生はその美しい顔を向けそう言って、ふふっと笑った。
何も知らない3人は、何それだのなんだの、やんややんや言って
また盛り上がっている。




「その髪の色、似合ってるよ」


先生は立ち上がってこちらにゆっくり歩いてきた。


心臓がバクバクいっている。


そして先生は小さな声でそうささやくとまた綺麗な顔向け


そしてまた、ふふって笑った。


そしてそのまま何事もなかったように3人がいる絵の方に歩いて行った。



心臓はバクバクいったまま、とまらない。