[短編の続きをと思っていたのですが、先にこっちをアップです]
『ただ、あの人若く見えるから、ニューヨークで会った時
拐われないかって思って、みんな見ててさ』
『ええ?』
『大野くんなんか見てるとさ、なんかすごい可愛いじゃないの』
『あーそうですか』
『あら、さらわれないといいけどなんて思って、ニューヨークの街の中で』
『いやぁ、よかったですよ無事に帰ってこられて』
「今日さ、徹子さんの部屋だったんだ」
「あ~言ってたね。どうだった?」
家に帰ってまったりとしている時間。
ソファでくつろいでいる智くんにそう話しかけた。
「いやぁ、智くんが可愛いからニューヨークで
さらわれないかって心配してたよ」
「さらわれねーよ」
そう言うと智くんは、ふって笑って
さらわれるはずないじゃんって顔をしてそう言った。
まぁね、最初言われた時意味分かんなくて
聞き返しちゃった位だから智くんがそういう顔をするのも
わからなくもないけどね。
そんな事を思いながら、あの徹子さんが言った意味は
一体どういう意味だったのだろうと考える。
嵐のメンバー全員を指してのみんな見てという意味だったのか
それとも智くんの事一人を指して、ニューヨーカー達が
みんな智くんの事を見てるからという意味だったのだろうか。
まぁどちらの意味でも智くんとは普段一緒にいる事が多いから
親の欲目みたいな感じでそう思うのかとも思っていたけど
第三者の目からみた率直な感想もやっぱり
若くみえて可愛いって事らしい。
とはいっても智くんの事をニューヨーカーがみんな見ているから
拐われないか不安って意味だったらかなり危険ではあるけども。
そう感じざる負えない容姿で、しかも何だかふわふわしているから
ホント心配なんだよね。
それにしても若い人が、例えば芸人さんとかが言うならまだしも
人生経験が豊富で、考えられない位たくさんの人と対談してきた
徹子さんがそういうのだから本当に若くて可愛らしく見えるのだろう。
そう言えば以前まごまご嵐という番組で。
おじいちゃんが智くんに柔道の技をかけてる写真を
見ながらつぶやいた言葉があったっけ。
『これ、この女の子はどこの子?』
『いや、女 俺だよ』
そう、おじいちゃんが素で言った。
ずっと孫として智くんと一緒にいたにも関わらず
しかも自分が柔道の技をかけている写真にも関わらず
そして当の本人が隣にいるにも関わらず
本当に女の子と間違えてたんだよね。
智くんは、その言葉に何とも言えない顔をして俺だよって言ってたけど。
それは、おじいちゃんが面白おかしくするために言った言葉ではなくて
本当に女の子に見えるくらい可愛くて、出てしまった言葉なんだよね。
今でもあの時の智くんの何とも言えない顔を思い出すと
つい笑ってしまうのだけど。
昔からずっと女の子と間違えられてしまう位
可愛らしい顔をしていたんだよね
でも本人にはまったくそんな自覚はないから
セントラルパークで一人で昼寝してたとか
後でこちらが卒倒してしまいそうなことを平気で
やってしまってるんだよね。
本当に自分が他人から見てどう見えるかとか全然気にしないし、分かってない。
まあ、自分の美しさとかに無頓着だからこそ
ああやって平気で真っ黒黒になるまで日焼けもできちゃうんだろうけど、ね。
そんな自然体な智くんが凄く好きだけど心配でもある。
しかもフラフラって一人でもいつの間にか海外に行ってそうな気もするし。
「そう言えば、何か最後に正ちゃん帽っていうのかぶったんだけどさ」
「んふふっ正ちゃん帽?」
そう言うと智くんは何それって顔をして
可愛らしく笑う。
「そう、赤いやつね。それかぶった時もさ、徹子さん
かわいい、可愛いわよ、ちょっと大野くんみたいでって言ってたんだよね~」
「へぇ?」
「何だかさ~それ聞いて徹子さんのカワイイの基準って
智くんなんだなって思ったんだよね」
「んふふっ何だそれ」
やっぱり自分の容姿に自覚がない智くんはそう言って
おかしそうに、んふふと笑う。
「まぁとにかく海外では気をつけてよ?
徹子さんの言うとおり若く可愛く見えるんだからさ」
「ん~でもそれは翔くんもでしょ?」
「いやぁ智くんほどじゃないから」
「そうかな?」
「そうだよ」
ホント自分の可愛さを分かっていない。
そう思いながら可愛らしく笑っている智くんの唇に
ちゅっとキスをした。