yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

1126誕生日(2013)

2013-10-25 17:57:16 | 山 誕生日

[ちょっと(だいぶ?)早いのですが…]





「来月誕生日だね~?」

「ん~」


ソファの上で雑誌を読んでいる智くんにそう話しかけると
あまり誕生日というものを重要視していない智くんは
気のない返事を返してくる。


「ね、何か欲しいものある?」

「んふふっ。早くね?」


お互い忙しい毎日。
これから年末に向け益々時間に余裕が
なくなってくることは目に見えていた。
だから早めに欲しいものを聞いておいて選べる時に
じっくりといいものを選びたかった。


「ふふっ。いいじゃん。ね、欲しいものとかない?」

「……」


智くんは無言になるとなると、う~んと言って考え始めた。


「……じゃあ」

「うん?」

「船 とか?」


何と言ってくるのかとワクワクしながらその顔を見る。
智くんはニコッと意味深に笑ったかと思ったらそんな事を言ってきた。


「……何度も言っていますが、それはダメです」

「んふふっ。ダメかぁ~翔くんなら買えそうなんだけどなぁ」

「ダメに決まってるでしょ」


そう言うと可愛らしい顔で、んふふっと笑った。
智くんはあまり物欲というものがない。
しかも不思議な事に昔からよく色々な人からものを貰う人だった。
だから自分としては特別な何か残るものを贈りたいと
いつも思っているのだけどさすがに船は、ね。


「船以外でお願いします。お姫様」

「姫じゃねーし」

「ふふっ」


そう思いながら可愛らしく微笑んでいる智くんにそう言うと
姫じゃねーしと言って頬を膨らませた。
でも本人が気づいていないだけで
周りはきっとそう思っているんじゃないかと思う。


本人が求めてなくてもいつも誰かに守られて、構われて。
本当は一人で何でもできてしまう人だけど
こちらから手を出したくなってしまう不思議な人。


前に雑誌の対談で、相葉ちゃんが言っていた
周りの人が何でもやってくれる星の下に生まれてきている人だ
という話をしていたことを思い出す。


その時に船もないのに知り合いの船長が船を出してくれたり
車の免許も持っていないから誰かが必ず
送り迎えをしてもしてくれていると。
誰かが間違いなく何かしてあげたいと思うはずだからと
言うような話をしていたっけ。


本当に不思議な人。
自分からは一切求めないのに、ね。


「じゃあ、翔くんからの愛でいいや」

「あ、愛?」


そんな事を思っていたらとびきりの可愛らしい笑顔になり
愛でいい、とか言い出していた。
確か去年もそんなような事を言ってなかったっけ?
これだけありとあらゆる人に愛されているのにまだ求める?


家族からの愛はもちろんメンバーからも愛されて。
そして事務所の先輩や後輩からも慕われているというよりかは
愛されているという言葉がぴったりな気がする。


そして共演者や芸人の方々からも愛されていて。
そう言えば、だちょうの上島さんは自身の会のメンバーから
7年もメールを覚えるように言われていたのにも関わらず覚えようとせず
智くんと共演してすぐに智くんとメールがしたくて覚えたって言ってたっけ。
本当に智くんって不思議な人。


「……何か難しくてよく分かんないんですけど」

「翔くんの困った顔、好き」


そんな事を思いながらそう言うと智くんはじっと顔を見つめてくる。
そして好き、と言って首に腕を回してきてちゅっと
触れるだけのキスを唇にしてきた。
唇が離れると目と目が合う。


「どうしたの?」

「んふふっ」


そのままじっと見つめてくるからどうしたのかと聞くと
可愛らしい顔でんふふっと笑った。


「……ずっと5人で一緒にやってこうね」

「……? 当たり前でしょ」


そして急に真面目な顔になったかと思うとそんな事を言い出す。


もしかしたら


智くんは最近あったあの出来事を
ずっと気にしていたのかも知れない。
昔からずっと5人でって言い続けていた人だったから
そんな事があって心配し不安になるのは仕方がない気がした。


「俺たちは大丈夫だよ」


そう言ってその華奢な身体をぎゅっと抱きしめると
背中に手が回ってきてぎゅっと抱きしめ返してくる。
そのまましばらく抱き締め合う。
そしてゆっくりと身体を離すとお互い見つめあう。


「大丈夫だよね?」

「うん、大丈夫」


そう確認してくる智くんが何だか泣きそうな顔をしていたから
大丈夫だと言って強くまたその身体を抱きしめた。


そして少しその力を緩めるとその額にちゅっとキスを落とす。
智くんが上を見上げてきたからその唇にもちゅっとキスをした。
唇が離れるとまたお互いに見つめあう。


「好きだよ、智くん」

「うん」


“自分が守る。智くんも、そして嵐も”


そう強く思いながら智くんの身体をもう一度ぎゅっと強く抱きしめた。


山 短編4

2013-10-22 19:47:04 | 短編


その家は蔦に覆われていて
そこだけ時間が止まっているように見えた。




閑静な住宅街。
その日は友達の代理バイトで犬の散歩をしていた。


犬は全部で3匹。
大型犬(ラブ)と中型犬(柴)と小型犬(ポメ)という
大きさも性格もてんでバラバラな犬達。


だけどしつけが行き届いているせいか散歩は思ったほど
大変ではなく言われた通りの道順に沿って
地図を片手に散歩をしていくだけだった。


30分程歩くと散歩にも慣れてきて周りの景色を
堪能するまでになっていた。
その頃にはポメはもう歩けないと足を引っ掻いてくるから
時々抱っこしながら散歩を続ける。


ふと、一軒の家が目に入った。
その家は一面にツタが覆われていて
人が住んでいるのか住んでいないのかそれさえも分からない。
ただそこだけ時が止まっているように見えた。


そのままその家を眺めていたかったが
わんこ達が先を急ぐので仕方なくその場を去る。


“後でまた来てみよう”


犬達を無事飼い主に返すと先程まで歩いていた道順を
思い出しながら歩く。


“あった”


その蔦に覆われた家を見上げた。







退屈な毎日。
ネットにもゲームにも飽きた。
テレビもつまらない。映画も本も見尽くした。
仕方なく子供の頃少しだけ習っていた絵を描いてはみたものの
家の中のものはもうすべて描きつくしてしまった。


“自分はいつまでこんな生活を続けるのだろう?”


今日も蔦の葉の間から外を見る。


“ん?”


自分よりも年下と思われる男の人が好奇心いっぱいの目で
家を見上げているのが目に入った。
思わず目が合ってしまったのかと思い目をそらす。


“いや、こんな葉っぱだらけで見えるはずなんてない”


そう思いながら自分自身に苦笑いした。
そのまま見つめていたら3匹のわんこ達に引きずられるように
その男の人は行ってしまった。


“どっちが主導権握られているんだかわかんねーな”


思わず笑ってしまう。


“それにしても初めて見た顔だった”


なぜか家を好奇心いっぱいの目で見つめていた。
もう一度戻ってこないかな?
もう一度その顔が見たくて蔦の葉の間から窓の外を見つめ念じる。
しばらくすると周りをきょろきょろしながらその人が戻ってきた。


“戻ってきた”


その人はまた好奇心いっぱいの可愛らしい顔で見つめる。





「俺の家になんか用?」
思わず駆け出し玄関を開け道路に出る。
そしてその人に声をかけた。


「あっ、ごめんなさい」
その人はびっくりした表情を浮かべるとすぐに謝り
そして慌てて立ち去ろうとした。


「待って。さっきも見てたよね?」

「ご、ごめんなさい」


慌ててその人を呼び止めるとそう聞いた。


「……別にいいんだけど。何かあるのかなって」

「……何かって いうか」

「……?」


何でそんな好奇心いっぱいの目で見ていたのか気になり
そう聞くとその人は言葉に詰まりながら一生懸命言葉を探している。
その顔をよく見るととても綺麗で可愛らしい顔をしていた。
そう言えば外に出てその人を見た瞬間とても綺麗な横顔を
しているなと思ったんだっけ。


「……何だか 無性に惹かれるものがあって それで」

「ふふっ。惹かれるっていう意味がよく分からないけど?」


どんな答えが返ってくるのかと思い興味津々でいたら
思いがけない言葉が返ってきた。
ひかれるって、惹かれるって事だよね?
引かれるって事じゃないよね?そう思いながら思わず笑ってしまう。


「……」

「まあ、いいけど。で、さっきのわんこ達は?」

「あれは、散歩のバイトで」

「バイト?」

「今日は代理だったんですけど」

「あ~だからか」

「……?」


確か近所の家で散歩をバイトにお願いしているという家があったっけ。
でもいつも散歩している人と違うと思ったらそう言う事だったのか。
そう思いながらその顔を見つめていたら
その人はなぜ突然犬達の事を聞いてくるのかと不思議そうな顔を浮かべている。


「ああ、ごめん。そう言えば代理って言ったっけ?」

「……はい」

「だったら今度から俺のところでバイトしない?」

「……」


その人は突然思いがけない事を言われて不審そうな表情を浮かべた。


「いや、今さ絵描いてるんだけど家の中のもの描きつくしちゃって
飽きちゃったんだよね。だから絵のモデルとしてどうかなって」

「……」

「……まぁ、突然こんな事言われても不審に思うだけだよね」


突然そんな事を言われて困惑しているのがありありと分かった。
確かにそんな事を言われて、はい、そうですかなんて思えるはずもない。
怪しく思われても仕方がない、当然断ってくるだろうと思った。


「……えっと、絵のモデルって 脱いだりとか?」

「ちっ 違うよ。そんなんじゃないよ」


そんな事を思っていたらその人はとまどいながらそう聞いてきた。
思いがけないその言葉にびっくりしながらも慌てて否定すると
よかった、と安心したような表情を浮かべた。


そして思いがけずOKを貰う。
そしてそのままお互い自己紹介をするとそのままその日は別れた。
その人は都内の専門学校に通う学生で自分よりも一つ年上。
来週から毎週水曜日に来てもらう事が決まった。






約束した時間ぴったりに智はくる。
もしかしたら来ないかもしれないと思っていたから
凄く嬉しくて飛び上がりそうになった。


「家の人は?」

「いないよ」

「ふぅん」


家の中に案内すると智はきょろきょろしながら
不思議そうにそう聞いてくる。
いないというと、ふぅんと言ってまたきょろきょろしている。


「あ、この窓。葉っぱがあっても外が見えるところは見えるんだね」

「まぁね」

「中から見るとどんな感じなんだろうって、ずっと不思議に思ってたんだよね」


通りがかった窓から外を見つめると嬉しそうにそう言った。
そしてアトリエに案内すると結構本格的なんだねと言って笑った。
「そりゃそうか。バイト代出してまで描くんだもんね」
そう言いながら自分自身の言った言葉に一人で納得している。



バイト代出してって言うのは今回が初めてなんだけど
それは言わないでおいた。
そして窓際の椅子に座ってもらうと角度を打合せする。
正面の絵も考えたけどその目に見つめられたら
気恥ずかしくてとても絵が描けそうもないと思い横顔を描く事にした。






「いつもいないね、家の人たち」


何回か家に通い家族の誰とも会わないのを
不思議に思ったのか智がそう聞いてくる。


「まぁね、一人で暮らしてるから」

「一人で!?」


そう言うとびっくりした顔をする。
そりゃそうだろう。
家族と暮らしていた家なんだから。


「そう。みんないなくなっちゃったけどね」

「いなくなった?」

「事故でね、あっけなく」

「ご、ごめんなさい」


そう言うと智は慌てて謝った。


「別にいいよ。こうやって家も、それに一生困らないだけのお金も残してくれたしね」

「……」

「もしかして言ってはいけない事を言ってしまったと思い悩んでる?」

「……」


智が思いつめた顔をしていたから心配になりそう聞くとこくりと頷いた。


「俺は気にしてないから智もこの事を気にして、もう来ないだなんて言わないでね」

「……うん」

「よかった」


自分にとっては現在進行形ではあるけど過去の事。
言う必要のなかった事なのかもしれないけど
智には何故か知っててもらいたくて伝えた。
でもこれを気にして智が来てくれない事、それだけが心配だった。






「だいぶ、絵、出来上がってきたね。
俺がここに来るのもあと何回かって感じ」

「……」


何週間か通ってもらってだいぶ絵は完成に近づいていた。
絵を眺めながら智は満足そうにそう言う。

もうすぐ絵が完成する。


「……ね?」

「ん?」


絵を描いていると智は言おうか言わないか迷っている感じで
横を向いた状態のままそう話しかけてきた。


「ずっと翔くんはこのままでいるの?」

「……何 で?」


智の思いがけないその言葉に何で、としか言えなかった。


「……何か」

「……」

「……もったいないって思って」


そう言ったまま智は押し黙ってしまった。
言いたい事は自分自身が一番よく分かっている。
それにいつまでもこんな生活を続けていても
意味なんてないって事も十分わかっている。
そして智自身それを分かっていてあえて
それだけしか言わないんだという事も分かっていた。








智が来る最後の日。


「……どうしたの?」

「ふふっ。ちょっと待っててね」


家に梯子をかけ家に覆われているツタの葉を取り除き片づけていたら
智がやってきてびっくりしたように声をかけてきた。


「どうしたの?」

「心境の変化、かな」


智は何が起こったのかと心配そうな顔でそう聞いてくる。


「俺、ずっとこんなことがあって悲劇のヒーロー気取って
殻に閉じこもってたんだよね」

「……」


部屋に一緒に入ると智に定位置についてもらい
絵を描き始めながらそう言った。


「明日から大学にも行く。今日大学にもそう伝えてきた」

「……」


智は不思議そうな顔でこちらを見た。
でもそのまま絵を描き続けていたら顔の角度を
いつもの状態に戻す。


「考えてみたら俺ずっと探していたんだよね」

「……え?」


智は言われた角度のままの状態でえっとびっくりした声を上げる。


「ずっと家の中に籠っていてネットもゲームも飽きちゃって
しまいにはたいして上手くもないのに絵なんかに手なんか出しちゃってさ」

「……」


智は黙ったまま聞いている。


「それにもとうとう飽きて外に出るきっかけを探していたのかもしれない」

「……」


絵を描き続けた状態のまま話を続ける。


「で、来る日も来る日も窓の外を葉っぱの陰からのぞいててさ。
で、出会ったんだよね」

「……」

智はまっすぐ言われた角度を見ている。


「最初見かけない顔だな~って思ってたんだけど
好奇心いっぱいで見ているその顔がやたら可愛くてさ。
犬を連れているんだけどそれがまた完全に犬達に主導権握られててさ。
で、もう一度戻ってくるように念じてたら、
これがまた戻ってきたんだよね~」

「……」

「で、どうしようと思ってさ。で、考えたのが絵のモデルってワケ」

「……」

「でもこんなに好きになるなんて思わなかったなぁ
まぁ、考えてみたら初めて会った時からずっと好きだったんだけど、ね。
で、その人に言われた言葉にグサッと来て歩み出そうって決めたんだ」

「あの、翔くん?」


智は我慢できなくなったのかそう言ってこちらの顔を見た。


「あ、ごめん。一方的に喋っちゃって。
でも今日最後だしそれだけどうしても伝えたかったから」

「……」


智はそのまままっすぐな視線で見つめる。
恥ずかしくなって目をそらし
そして絵を描き始めると智はまた角度を戻した。


「……」

「……」


お互い無言になり絵に集中する。



「……できた」

「ほんと? 見せて」


そう言って智は椅子から立ち上がると絵の前に立つ。


「翔くんらしい絵だね」

「ふふっ。それってどういう意味?」

「んふふっ。温かみがあって、優しい絵」

「ありがと、智。
それに突然変なバイトお願いしちゃってごめんね」

「……」


そう言うと智は黙ったまままっすぐな目で見つめる。
そのまま目が離せずに見つめていたら智の顔が近づいてきた
そしてあっと思った瞬間唇にちゅっとキスをされた。


びっくりしてそのまま見つめていたら頬を手で包み込むようにされ
今度は角度を変えまたちゅっとキスをしてくる。


「あ、あの、智?」


唇が離された瞬間そう思わず話しかける。


「黙って」


そう言って智は角度を変えながら口づけを続ける。
頭が沸騰しそうになる。


「あの、智?」


そう思わず声をかけると
智はにっと笑い今度は緩く唇を開くとそのまま深いキスをしてきた。
もう何も考えられない。
ただ無我夢中でその口づけについていく。


そして唇が離されると智は目を見つめたまま
ご褒美と言って可愛らしい顔でにっこりと笑った。

ありふれた日常 part18(ホンマでっかTV)

2013-10-10 20:58:11 | 山コンビ ありふれた日常


「え~!」
二人で久しぶりに過ごす時間。
シャワーを浴び、飲み物やつまみを準備していたら
智くんが急にびっくりしたような声を出した。


「ん? なになに?」
何だろ? と思いながらリビングに戻り
智くんの座っているソファの隣に座る。
そして智くんが見ているTV画面を見た。


「あ~これ」
そう言えば、こないだ会った時に出たって言ってたっけ。
それに智くんがコメントを出したって聞いていたから
ずっと見たいと思っていたんだよね~。


「何かね、松潤、リーダーになりたがっているんだって」
そんな事を思っていたらなぜか隣で妙に興奮している智くんがいた。
珍しく興奮してるね~。
まぁ、そんな智くんもかわいくていいんだけどね。
そう思いながら可愛らしく興奮している智くんを見つめる。


“松潤がリーダーになりたがっている?”
そんな事言った事あったっけ。
いや言っていなかっただけで実はって事なんだろうか?


「何だよなぁ~そうと分かっていたら譲ってたのに~」

「えぇ?」


そんな事を考えていたら智くんが譲るとか言い出していた。
慌てて、ちょっとごめんねと言って画面を巻き戻し確認すると
確かにそうは言われているけど
松潤自身が一番意外って顔していた。


「んふふっ。それとも、明日からリーダー交代しちゃう?」

「いやいやいや」


智くんは可愛らしく妄想を膨らませていて交代しちゃう?
なんて嬉しそうに言っている。
本人はどう思っているのか分からないけど
そこで言われている通り嵐のリーダーは智くんで
本当に良かったと思っているし智くん以外では考えられない。


自分自身もそうだし松潤もそうだけど
もしリーダーが智くんじゃなかったらワンマンになってしまって
今みたいな和やかな雰囲気のグループには決してならなかっただろう。


確かに最初の頃はリーダーぽく指示されるという事は
なかったけど(今も本人がそういうのを好まないからそれはないけども)
最初から誰よりも陰で努力する人で、歌もダンスもその才能は群を抜いていた。


でもそれだけの才能がある人なのにそれを一切鼻にかける事もなく
しかもこういう場でこういう事を言えてしまうような
懐の深さを持ち併せた人でもある。


“本当にこの人は新しいリーダー像を確立してしまっているな”


「なんか度々俺の名前が出てきて複雑な気分なんですけど」
そんな事を考えていたらDVDを見ていた
智くんが複雑そうな顔をしてそうつぶやいた。


「いやぁ、同じグループとして全然名前が出てこない
俺らもそれはそれで複雑だよ。
しかも俺なんてこないだゲストに出たのにさ」
そう言うと、智くんはそれもそうだねと言って
お互い顔を見合わせ笑った。


そう言えば自分が前回出た時は理想の女性について話たんだっけ。
でも、放送後そんな女性はありえないだの
いるはずはないだのって書かれていたのを
どこかでちらっと見た気がする。


人を立てることができる
人に流されない
家族思い
損得勘定で行動しない
裏表がなく嘘をつかない
同性から信頼される


ってそんなにありえない内容だろうか。
現に智くんはすべてに当てはまっている。
そう言えば今回のコメントでもちゃんと智くんらしい
松潤を立てるコメントを出していた。


という事は智くんがやっぱり理想の人って事なんだろうか。
なんて事を考えていたらすでに松潤のコーナーは終わっていて
智くんが不思議そうな顔をしてみつめていた。


「何、ニヤニヤしてたの?」

「……え? 俺ニヤニヤしてた?」

「うん、ニヤニヤしてた。何考えてたの?」


智くんは話すまでは許してくれないって顔。


「いや、前回ね、俺がこれ出た時に理想の女性を挙げていったんだけど さ」

「……うん?」


まっすぐな視線で見つめるから恥ずかしくなってきて
ついしどろもどろになってしまう。


「それがさ、智くんにすべて当てはまるなって 思って」

「……俺、女性じゃないけど」


仕方なく話すと智くんは複雑そうな表情を浮かべ
戸惑いながらそう言った。


「うん、それはもちろん分かってる。番組上って事ね」

「……」


智くんは嵐のリーダーとしても最高の人で
自分にとっても理想の人という事になるのだろうか。
その言葉に智くんは意味が分からないって顔をしている。


「智くん、好きだよ」

「……」


複雑そうな表情を浮かべている智くんに
顔を近づけていって頬にちゅっとキスをする。
智くんは無言のまままっすぐな視線で見つめる。


こんなにずっと一緒にいても
ずっとずっと大好きで
そして理想の人。
きっと本人は気づいていないだろうけど、ね。


「愛してる」

「……うん」


何度も伝えているけどやっぱり伝えたくて
その言葉を口にする。
そして何度も言っている言葉なのに智くんは
いつもその言葉に照れくさそうな表情を浮かべる。
そしてうん、とだけ言って頬を赤く染める。


こんなに理想そのものの人と一緒にいたら
他の人なんて全然目に入らないのは仕方のない事だよね。
そう思いながら顔を近づけていき唇に唇を重ねる。
そしてそのまま深いキスをした。

山 短編3 スピンオフ

2013-10-01 18:48:49 | 短編
[山です~]




「智、好きだよ」


「俺もニノの事、だ~い好き」


「……」



2年生になり同じクラスなったその人の事を
ずっと前から知っていた。
今まで他人には興味がなかったはずなのに
その人だけは特別だった。


その人はとても綺麗な顔立ちをしていて人目を惹いた。
決して身体が大きいとか、声が大きいとか
目立つタイプではなかったけどなぜか存在感があって目立つ。
だから入学してすぐその存在を知った。


近づきたい。
話がしたい。
友達になりたい。


だけどいつも同級生に囲まれているその人に
学年の違う自分が入っていく隙間なんてとてもなくて
ただ指をくわえて見ているだけだった。
それが無性にもどかしかった。


でも、ある日から突然その姿が見えなくなった。
噂で病気で休学しているという事を知った。
何の病気かは知らないけどそのうち回復すれば
またその姿が見られるだろう。
そう楽観的に捉えていたら結局そのまま一度もその姿を
見せる事はなかった。


そして春になり2年生になった。
そこにその人がいた。
しかも同じクラス。
以前は指をくわえて眺めているだけの存在だったのに
自分がその位置に立てる。
そう思うと嬉しくてたまらなかった。


他のクラスメートなんて目に入らない。
その人に声をかけまくり何とか仲良くなる。
その人は見かけの美しさとは違ってかなりおっとりとした
そしてとても優しい人だった。
最初はその美しさに惹かれたけどその存在を知るたびに
その人自身に惹かれていく。


そしてその人にふれるたびに大好きになっていく。
その人は何をしても、されるがままで決して怒らない。
だから嬉しくなって人目も気にせず手を繋いだり抱きついたり。
好きで好きでたまらなかった。


「智、好きだよ」
いつも言ってるけどやっぱり伝えたくてそう言う。
「俺もニノの事、だ~い好き」
智は無邪気な可愛らしい顔で大好きだと答えてくれる。


「……」


智はきっと冗談で言っていると思っているだろうけど
結構本気で言っているんだけどね。
そう思いつつその綺麗な顔を眺めた。


自分の言っている好きと智の言っている好きは多分、違う。




1年の時からつるんでいた相葉ちゃんと翔ちゃんと
2年でも一緒のクラスになった。
そしてその中に智も加わった。
智は温和な性格だからかこの学校ではあまり前例のない
留年という特殊な状況にも関わらずクラスメートともうまくやっていた。


ただ、翔ちゃんと智が二人きりになると
微妙な空気になるのは気付いていた。
それが自分のせいだという事も分かっていた。


翔ちゃんは智とくっついていると途端に嫌そうな顔になる。
はっきりと「(くっつきすぎて)気持ち悪ィ」とも言われた事もある。
だけど全くと言っていいほど気にならない。


智の事が大好きだったし何よりも智自身が
くっつきたくなるような存在だったから。
これはどう説明したらいのか分からないけど
ただ大好きで、触れたくなる人、ただ単純にそれだけだった。


でもそれが翔ちゃんにはどうにも理解できないようで
二人くっついているととたんに不機嫌になる。
それが分かっている智は翔ちゃんに変に気を遣う。
そのせいか二人の間には微妙な空気が流れていた。




ある日、いつものように翔ちゃんの家で
4人で宿題を始めようとしたら呼び出しがかかる。
そんな状態の二人を置いていくのは不安だったけど
智は多分このまま帰るから大丈夫だろう、そう思った。


次の日から二人の雰囲気が微妙に違う事に気づく。
翔ちゃんが二人くっついていると不機嫌になるのは同じだけどどこか違う。
どこがどう違うと聞かれれば答えようがないのだけど
やっぱりどこかが違う。


そして決定的だったのは相葉ちゃんと二人呼び出しがかかった時。


「じゃ、帰ろっか」


その翔ちゃんの言葉に智はうん、と頷いた。
いつもだったら二人きりにならないように
お互い図書室によるだの何だの言って
決して二人きりにならないようにしていたのに。
不安を感じながらその姿を見送った。








あの時以来、二人きりになるのは始めてだった。
二人きりで並んで歩く道のり。
何だか無性に照れくさい。
何を話したらいいのかと妙に緊張する。


「……」

「……」

「……緊張してる?」


智が顔を覗き込んできたかと思ったら
そう言ってクスクス笑った。


「……」
ハイ、緊張しています、なんて言えなくて
黙ったままその姿を見つめる。


「俺は何か変に緊張してる。おかしいね?」
そう言って可愛らしい顔で笑った。


“完敗だ”


「俺も、緊張してる」
この人にはとてもかなわない、そう思いながら
何とかそう答えるだけで精一杯だった。
だけどめったにない二人きりの時間、
このままバイバイしてしまうのはもったいないとも思った。


“もっと一緒にいたい”


「俺んちで宿題して く?」
もしかして断られるかもしれない。
そう思いながらも勇気を振り絞ってそう言った。
その言葉に智は一瞬考える顔をしたが素直にうん、と頷く。


まだ一緒にいられるという嬉しい気持ちと、
そして何だか分からないけど襲ってくる変な緊張感と。


家に着き部屋に入る。
そして宿題を広げた。
智は時々シャープペンを口もとにやりながらうーんと考えている。
こないだみたいな変な沈黙や緊張はない。


考えている姿が何ともいえずかわいい。
そして下を向いている姿は鼻筋が通っていてとても綺麗だ。
じっとその姿を見つめていたらその気配に気づいたのか
智が何?って表情で顔を上にあげた。


目と目が合う。
そのまま顔を近づけていってちゅっと
その唇に触れるだけのキスをする。
唇が離れると智がまっすぐな目で見つめる。
そのまっすぐな視線に何だか気恥ずかしくなってしまって目をそらした。


あの時から2週間たっていた。
その間は今まで通りの関係で4人で仲良く遊んだりはしていたけど
二人きりになる事はなかった。
そしてお互いにその事については触れなかったし
まるで何事もなかったかのように過ごしていた。
だから今回が2度目のキス。


そのままその身体を優しく押し倒す。
智の瞳が不安そうに揺れる。


「……こわい?」

「こわくない よ」


智の瞳が不安げに揺れていたから怖いかと聞くと、
ふっと笑って怖くないと答える。


「……俺の事、好き」

「好き だ」


上から智の顔を無言のまま見つめていたら智が好きかと聞いてくる。
好きだと答えると智の頬が赤く染まった。
ゆっくり顔を近づけていくと瞼がゆっくりと閉じられる。
そのままそっと唇に唇を重ねる。


そしてゆっくり唇を離すとお互いに見つめあう。
「好きだ」
もう一度そう言って角度を変えてまた唇を近づけていって
ちゅっとキスをすると
智の腕がゆっくりと背中に回ってきた。







「ね、智となんかあったでしょ?」

「へ? 別に 何もねーよ」


この人は嘘をつくのがヘタクソだ。
しかも表情で丸わかりなんだよね。
悔しいから、さーとしって言って抱きつくと
翔ちゃんの顔が真っ赤になる。


「もう、離しなよ。智くんだって嫌がってんじゃん」

「そんな事ないですよね~」


そう言って抱きついたまま頬にチュッとすると
益々翔ちゃんの顔が真っ赤になる。
俺だって智の事がずっと好きだったんだから
これ位いいでしょ。


「ほら、誰が見てるかわかんないから」


そう言って今度は青い顔をしながら
引きはがそうとしてくる。
智はそんな翔ちゃんを笑いながらみている。


もう、この男は。
おっとりというか何というか。
智の事本気で好きだったけど、もういいや。
智が幸せそうに笑ってるから諦める事にした。
最初からお互い意識し過ぎてぎくしゃくしていたのも分かっていたしね。


「智の事泣かしたりしたら俺が今度こそ奪いますからね」


翔ちゃんに近づくとそう耳元でささやいた。