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きらり

ありふれた日常 part38(untitled)

2018-06-30 07:28:30 | 山コンビ ありふれた日常






嵐を、嵐さんたちを好きでよかった。






それはいつものダンスとは全く違う動き。


身体の動かし方、体幹のバランス、力の入れ方、動くタイミング


関節の動き、そして身体全体の可動域、姿勢、体勢、手の動き足の動き


そして歩き方、糸が突然緩められた時の倒れ方、その状態からの起き上がり方…








それは今まで培ってきたものがまるで通用しないダンス。









『めちゃくちゃあの人凄い怒っていたね』


だからその言葉一つをとってもどれだけ苦労したかが分かる。


『(汗で)つむじのチョイ下までぬれてた』


その言葉にどれだけ大変だったかが分かる。





映像にはフラットの状態から心電図のような波形が映し出される。
それは無の状態から生の状態になったことを事を指し示すのか。


意思がなくまさに人形の状態で操られていた状態から
やがて自分の意思を持ちながらも意志とは無関係に操られる状態へと変化し
そして自らの意思で動き出し操られていた糸を断ち切るまでの事を現すものなのか。


これを見ていると、松潤が生で糸を垂らしていたらもっと臨場感があったのに
という言う言葉の意味がよく分かる。
そして無音の状態にして見てみると智くんの動きがより深く強く伝わり人形感が増す。













『ほんと人形だよ』


ニノが言った。


そう、その身体の動き、そして関節の動きは、
まるで意志を持たない人形が誰かに糸で操られ動かされているような動きだ。
糸で操られ引っ張られているかのように、意志とは関係なく立ち上げられる。
そして引っ張られている部分だけで身体の体勢が決まりそしてそこから動きへと変わる。


そう、それはまるで操り人形。
自分の意思とは無関係に動かされ立ち上がされ歩かされ踊らされる。


そして意志を持たない、いや意志を持っていないように見える智くんの腕は
動かされるたびにまるで人形の様に関節より先が動いた反動で揺れる。
そして意志を持たない状態からだんだんと意志持った状態へと変化していくのを
意志を持たない操り人形から意志を持った操り人形へと変わっていくのを表現していく。










『あの状態で立てんのかなって毎回思う』


智くんはあっけらかんとそう言っていたけど
あの姿勢からのあの立ち上がり方。
見ているだけでもどれだけ大変かが分かる。
どこがどうなっているのかさえもはや理解できないほど
どこに力が入ってどうやって立ち上がっているのかわからない。


『難しいの? パペット。 難しそうに見えるけど、難しいの? やってみたら意外と、なの?』


でも智くんの場合。
あまりにもあっけらかんとしたその物言いに時々わからなくなる時がある。
だからニノは聞きたかったのだと思う。


身体能力が高く大抵の事を何でもない事の様に器用にこなしてしまう智くんにとって
そのパペットダンスと言われるものはどうだったのか。
智くんにとって難しい事だったのかそうではなかったのか。
大変だったのかそうでもなかったのか。
でも、智くんは難しいとも難しくないとも、
そして大変だともそうでもないとも直接的に答える事はない。
だから本当の事は誰もわからない。











ニノとはいつも一緒にステージの下からその姿を見ていた。
そして尊敬と憧れと羨望の眼差しと、そして少しの心配を感じながら
じっと智くんを見つめるニノを見ていた。


『何、あれ俺見てんの? 何だ言ってよ、もっと応援したのに』


そう言って少し照れくさそうにしながらも嬉しそうに笑うニノ。
その顔を見ながらまだ昔から変わらずこの人にとって
智くんの存在は特別な存在なんだと思う。


『このつなぐかかった時凄かったよね、初日。出てきてるだけなのにすげえキャーって』


それは直前に智くんのパフォーマンスがあったからこその言葉。
観客が息をのみ見つめていた智くんのステージの後だからこそのその言葉。
その言葉一つが大きな意味を現す。


『この時のリーダー汗だくだもんな。もうこの辺までぬれてるからね』


そしてあれだけのパフォーマンスを。
それでなくても夜の影から始まりバズりナイトそしてこのパペットダンス
そしてつなぐ、抱擁、お気に召すまま、Bittersweeet、GUTS!、Doors
とMCまでハードに歌い踊りパフォーマンスし続けるのだ。


『ここずっとふざけていたもんね』


だからニノはいつものコンサートとは比べ物にならない位
尋常じゃないくらいの汗をかいている智くんを心配しながらいつも見ていたのだと思う。
だからあの時いつもふざけていたとは言っていたけど
それは声をかけずには、構わずにはいられなかった状態だったのだと思う。



















「また見てんの?」


風呂から出てきた智くんが頭をふきながらソファに座った。


「だってさ今回の凄くね?」

「ん?」 

「何つーか自分で出てて言うのもあれだけど、壮大っつうか、まあ松潤がすげえんだろうけど」

「んふふっ。昔から凄いステージの才能とセンスを発揮するよね~」

「うん、それにみんなのパフォーマンスも何度見ても飽きない」

「んふふっ翔くん相変わらず嵐好きね~」


そう言うとおかしそうにクスクス笑う。


「そうなんだよね~なんでだろ~?」


確かに嵐の事が好きだ。
しかも不思議な事に年々自分の中での嵐の存在が、そしてメンバーの存在が
大きく大切なものになっている気がする。


「いいじゃん。それに割とみんなそうじゃない?」

「そーかなー?」

「うんそうだよ。それに翔くんは偉いよ」

「へ?」

「この嵐会だってさ俺みたいなやつだけだったら、ただひたすら食べて飲んで見てるだけだよ?」

「ふふっ」

「だから翔くんがいてよかったって凄く思ったもん」


そう言って笑ってるけど。


でも、今見てる嵐会もすでに3回見てるんだよね。
っていうか大きな声では言えないけど本編の智くんのなんて多分引かれるほど見てる。
パペットダンスはもちろん、バズりNIGHTはめちゃくちゃ女の子みたいで可愛いし。
何だあれ?ほんとあの年であの可愛さ信じられない。衣装も似合っているし。
そもそもオタクの状態でも可愛いってどういう事?


そして夜の影はダンスは相変わらずキレキレでめちゃくちゃカッコいいし。
しかもジュニアの前で軽く踊って見せているだけも
凄くなめらかさとしなやかさがあってカッコいいんだよね。
あれだけ見ているだけでも本当にダンスの上手な人って違うなってわかるもん。
それ以外でもダンスはどれもやっぱり見惚れるし歌を聞くとやっぱり聞き惚れるし。
それにUBも見るし、Song for youもそれ以外も見る。
ってどんだけ自分は智くんや嵐の事が好きなのだと思う。






でも。




そんな中でもあのパペットダンスはやっぱり特別だ、と思う。






『やっぱり教えてくれた先生のようにはならない。細かい事が』


そう智くんが苦笑いを浮かべながら言っていたあのパペットダンス。


『あれ毎回不安になる。ホントいけんのかな? あの体勢からホントいけんのかなって』


そう言いながらも完璧にパペットと化し座った状態から操り人形の様に立ち上がっていた。







でもあんな高い身体能力とバランス力と体幹がしっかりしている智くんをもってしても
そう言わせる難易度の高いパペットダンス。
でもあんなに凄い事をやり遂げているのに。
それでなくても歌もダンスも誰よりも長けているのに。
なんでいつもそんなに控えめなのかといつも思っていた。


もともと多くを語る人ではない。


でも。


『めちゃくちゃ凄く怒っていた』


そんな状態から、どれだけの練習を重ねあの状態まで持っていったというのか。
確かに凄い人だけど最初から何でもできてしまえるスーパーマンじゃない。


努力をする天才なだけだ。


先生がめちゃくちゃ怒っていたというその状態からずっと見てきたから。
その状態からずっと知ってるから。


「やっぱ、かなわねえな」

「え?」


でも決して難しいとか大変だったと言わない。
でも陰でどれだけ努力を重ねてきたかだなんて
あの先生の言動を見てきたからわかる。


決して天才だからできてしまえたことではないという事を知っている。
努力をしてのあのパフォーマンスがあるってことをわかっている。
でもそんな事を微塵も感じさせないその言動と姿。


だからこそ多くを語らないこの人に、みんな色々と聞きたくなってしまうのだろうか。
話しかけたくなってしまうのだろうか。
色々と構いたくなってしまうのだろうか。
そりゃあ、おいでおいでと指でちょいちょいとなんてされたら
松潤じゃなくてもあんな嬉しそうな顔にもなってしまうよねと思う。





そしてなぜか。


この人と一緒だという事を不思議とみんなに伝えたくなってしまうものなのだろうか。


相葉ちゃんにしてもニノにしても松潤にしても、そして自分も例外ではなく
智くんと一緒だったことや一緒に何かをしていたというようなことを口々に話し出す。


本当に不思議な人。












「好き」



そう言ってその身体を抱きしめると、優しいあなたは
そのまま何事もなかったかのようにすっと受け入れてくれる。
好きが溢れだして止まらなくなると、その思いを瞬時に察知し
そして受け止めてくれてぎゅっと力を入れ抱きしめ返してくれる。


一緒にこんなに過ごしていてもやっぱりあなたはいつも自分の前を歩いている。
憧れと尊敬の羨望の眼差しで見ているのは、ニノだけではなく自分の同じなのだと思う。
そんな事を思いながら軽く抱きしめていた腕の力を弱めると智くんが、ん?って顔で見る。
その可愛らしい顔を見つめながら
唇に少しだけ躊躇いながらちゅっと触れるだけのキスをした。







「遠慮なんてしなくていいのに」



唇が離れると、智くんが肩に手を押し当て突然がばっと俺をソファに押し倒してきた。
びっくりして上を見あげると智くんと目が合って智くんがにっと笑う。
そして遠慮はいらないんだよとばかりにそう言ってクスッと笑うと
そのまま覆いかぶさるように唇をふさがれ深いキスをしてくる。
だからそれに応じるように舌を絡め背中に腕を回す。



「するわけねーだろ」



そして唇が離れると今度はお返しにとそのままその華奢な身体を反転させた。
そして今度は下になった智くんを見つめると目が合ってお互いにっと笑う。
そのまま智くんの両方の手首を耳の横で押さえると
照れくささを隠すようにするわけねーだろとそう言って
唇を重ねキスをすると、そのまま飽きる事無く求めた。


ありふれた日常 part37

2018-02-16 18:10:00 | 山コンビ ありふれた日常





すみません。
すっかり神出鬼没状態になってます…







「中村監督って本当に智くんの事好きだよね~」

「へ?」

「いや、前から思ってはいたけど特典映像見て確信した」

「特典映像って、見たの?」


もうすぐオリンピックが始まるせいか
智くんは驚いたようにそう言って目を丸くした。


「見るよ」


当たり前でしょ?
忍びの国だよ?
無門だよ?
見ないなんて選択肢ないでしょ?
そう思いながら当たり前のように答えると、ますます智くんはびっくりした顔をする。


「見るよって、もう現地入りしなきゃでしょ? 資料だってこんな山積みだし…」

「ふふっ散らかってるって言いたいんでしょ~」

「でも準備だってあるだろうし…」

「それとこれとは、別」

「別って…」


この時期忙しいのが分かりきっているせいだろう。
途端に戸惑いの表情を浮かべる。


「凄く良かったよ? 未公開映像とか見どころ満載だったし、
監督の深意とか意図とか舞台の裏側とかも知れて凄く面白かった」

「まあ俺も、知らないこといっぱいあって面白かったけど…」

「細部の細部まで考えられた監督のこだわりの作品だもんね」

「うん、もう、監督凄すぎちゃって頭の中どうなってるのかわかんない」


そう言って、んふふっと可愛らしく笑う。


「ふふっでもその中村監督は智くんに絶対的な信頼をおいているよね?」

「そっかなぁ?」

「そうだよ」


それまでにも散々監督の口から語られてきたことだけど、あれを見たら一目瞭然だ。


演技を指導する立場である監督が、智くんには
何を考えてのあの表情だったの?って嬉しそうに聞いていたし
それに智くんが場面場面でどんな表情を魅せてくれるのかと
監督自身がワクワクしているようにしか見えなかった。


でも考えてみるとあれって、
智くんがあの時どう考えてああいう表情になったかというよりか
無門としての智くんがどういう事を考えていたか知りたくて聞いていたんだよね。
完全に役を掴んでいるからこそのその言葉。


普通はこういう表情でとか演技指導するのが監督なのに
その監督がこの表情がいいんだよねえとか嬉しそうに語っていたのは
やっぱり凄いことだと思った。


しかも本人が全くその時の心情を覚えていないっていうね。
それがまた役に入っている智くんらしい答えというかなんというか。
そのやり取りを見ながらやっぱり智くんは凄い人だなと思う。








「何度見ても見ごたえあるし、見るたびに新しい発見があるから
何度だって見れる不思議な映画だよね」

「んふふっ」


監督も18回見たという人がいるという話をしていたけど
でもその人だけが特別というわけではなく回数に差こそあれ
他にもそういう人が多くいたという話をよく聞いていた。


「だから俺、現地にも持っていくんだ~」

「マジで⁉」

「だって気分転換によさそうでしょ」

「気分 転換?」


智くんが意味わかんないって顔で見る。


「そ。頭がパンクしそうになった時に、智くんの凄いアクションや殺陣を見たり
ゆったりしたトークを見たりして気分転換するんだ~」

「変なの」


そう言って説明するとおかしそうにクスクス笑った。


「だって色々面白いんだもん。あの亮平くんのやり取りで
圧をかけるためにわざと殺陣の練習をしてたっていうのもうけたし」

「あれねぇ、亮平くんホント酷いよねぇ」

「あん時の唖然とした智くんの顔面白かった~」

「もう信じらんないよ」


そう口をとがらせ文句を言いながらも笑っている姿が可愛いなと思う。









そんな事を思っていたら、ふと智くんが何か言いたげにじっと見つめてきた。


「ん? どした?」

「……」


そしてそのままゆっくりと右手を伸ばしてきて、優しく俺の前髪をかきあげた。


「……!」


突然の事に驚いて何も言えないでいると、智くんはその額をじっと見つめた。




それは。




ずっと髪の毛で隠し続けていた場所。







あの日。


心配そうな眼差しを向けられていた事を知っていた。
でも心配をかけたくない一心で気付かないふりをして
何でもない事の様にふるまっていた。


でもけがとか病気とかに特に敏感な智くんの事だ。
ずっと心配し続けていたのだろう。


そのかきあげた智くんの手を包み込むように握る。
そしてその手を掴んだまま静かにおろした。
智くんは右手を握られたままの状態で静かに見つめている。
その瞳は不安げにゆらゆらと揺れていた。


「もう、大丈夫だから。綺麗になっていたでしょ?」

「…うん」


そう言うと、小さな声でうんと答える。



あの日。


あの後。


そのまま正月休みに突入してしまい連絡は取りあっていたけど
お互い家族に会ったりなんだりで暫く会えない日々が続いた。





だから。


今日、来たのだと思った。



無理してでもここに来て、俺に会っておきたかったのだろうと思った。
いつもは忙しいとわかっていたら絶対に遠慮してこない智くんが。
自分としては嬉しかったけど、けがや病気を誰よりも心配する人だから
どうしても出国する前に会っておきたかったのだろう。
智くんだって忙しいのにその気持ちが痛いほどわかって申し訳ない気持ちになる。


「ホントは俺もついていきたいくらいなんだよね~」


でもその俺の気持ち瞬時に察したのか、
負担をかけたくないと思ったのかおどけるようにそう言って誤魔化す。


「おっいいじゃん。選手の取材とかしちゃう?」


だから気付かなかったふりをしてそれにのっかる。


「それは、絶対無理」

「ふふっ智くんが取材したら面白そうなんだけどなあ」

「面白くねえよ」

「そうかな~」


そんな話をしながらゆっくりとその身体を自分の方へ引き寄せ抱きしめた。


「テレビの前で応援してるから」

「うん、たくさん選手の応援してね」


そしてお互い抱き合ったまま話をする。


「ううん」

「え?」

「俺は翔くんを応援をするの」

「え?俺? 選手の皆さんを、じゃなくて?」

「うん、テレビの前で応援してる」

「ふふっありがと。じゃ俺は毎日無門見て元気貰うわ」

「んふふっ」








そしてその華奢な身体を抱きしめながら
心配しているのは実は自分の方なのだ、と思った。


忍びの国は本当に素晴らしい作品だった。
殺陣は言わずもがなすごい迫力と演技だったし
そして無門の心情の移り変わり、そしてその表情。
どれをとっても素晴らしかった。





でも。





智くんの凄いアクションや殺陣を見るたびに。
ため息の出るような芝居を魅せられるたびに
そして圧倒的なダンスを魅せられるたり歌を聞くたびに
心の底では不安を感じている自分がいる。


凄い事を次々にやり遂げてしまう智くん。
でもその時に智くんがやりきったと満足してしまって
何の躊躇も迷いもなくこの世界から去ってしまうのではないかと無性に心配になる時がある。


今の立場にも、芸能界にも、何の未練もないあなたの事だから。
昔ダンスを極めたからと言ってあれだけの才能がありながらも
あっさりとジャニーズを辞めようとしていた時のように
何の躊躇いなくこの世界から去ってしまいそうな気がして、時々無性に不安になる時がある。


丁度今回の映画を見た時の様に、凄いものを魅せ付けられるたびに
この手からふっといなくなってしまうような気がして、怖くなる時がある。









「待っててね?」

「うん、待ってる」


そんな事を思いながら待っててねと言うと
何も知らないあなたはにっこりと笑って待ってると答えてくれる。
その言葉に嬉しくなって身体をきつく抱きしめると
背中に手が回ってきてぎゅっと抱きしめ返してくれる。


「智くん」

「ん?」

「まだまだ嵐でいてね?」

「うん」


そう言うとやっぱり何も知らないあなたは不思議そうな顔をしてうんと答えてくれる。
きっと本人は全然わかってはいないだろうけど、その言葉にほっと安心する。


「よかった」

「当たり前でしょ?」


そして、いたずらっ子みたいな顔をしてくすくすと笑う。






「好きだよ」

「知ってる」


そして好きだというと、
あなたはいつものように少し照れくさそうに笑って
知ってると答える。


まだまだここにいてと、この腕の中にずっといてと
そう願いながら、その身体をきつく抱きしめると
背中に回った腕に力が込められる。


そして。


今日来てくれてありがとうと言うと真っ直ぐな目で見てうんとうなずく。
そしてもう一度好きだとつぶやくと嬉しそうに笑って俺もだよと答えてくれる。


そして。


ゆっくりと智くんの腕が頬に伸びてきて優しく頬が包み込まれると


智くんの優しいキスがおりてきた。





ありふれた日常 part36(Bad boy)

2017-10-31 20:37:20 | 山コンビ ありふれた日常







ツアーも発表されて、新しいアルバムも発売されて、Mステにも出演して
自分でも今さら? とすごーく思いますが
しやがれを見て何だか書いてみたくなったのでした。
そしてお話というよりかは、
またまたファンブログみたいな感じです。。









その曲はテクノサウンドというのだろうか。
歌声にもエフェクトがかけられていて
智くんの楽曲としては珍しいタイプの曲だった。


アップテンポでカッコいい曲。
そして一度聴いたら耳に残るサウンド。
その曲をエフェクトに負けない声で見事に歌い上げる。


だからきっと。


ツアーではかっこよく歌って踊って
また会場中を魅了するんだろうなと、そう思っていた。







でも。







それは今までに見たことがないダンス。
それを表情一つ変えず歌い踊りあげる。
一つ一つの動きが様になっていてかっこいい。


そしてストーリー仕立てになっているのだろうか
時折見事なパントマイムを交えながら歌い踊る。


そして蹴り上げるような動作で見事なステップを踏んでいく。
もはや足の動きはどうなっているのかわからない。
でもどれだけ難しいダンスを踊っているのかわかる。
それなのに相変わらず軸は真っ直ぐ保たれたまま。


そしてそこからのターンの見事な動き。
その美しいターンに見惚れる。
そして相変わらずの高速のステップ。
手の動きも足の動きもめちゃくちゃ高速なのに
一つ一つが丁寧で美しくてかっこいい。


そしてあれだけの高速のダンスを踊りながらも
動きが綺麗なせいかどこで止めても決まっていて
一切無駄な動きがない。


そんな美しくもカッコいい歌とダンス。
そのノリのいいサウンドと圧倒的な歌とダンスは
会場中の視線を集め魅了する。







それなのに。







最初はカッコいい智くんのシャワーシーンが映し出されていたスクリーンは
なぜか智くんの変顔がこれでもかってくらい映し出される。
そのカッコいい歌とダンスと後ろに映し出される変顔との
あまりのギャップに会場中にどよめきが起きる。


でもそんな状況の中でも智くんは気にも留めず
表情一つ変えずカッコいいダンスを歌い踊り続ける。


見た事のない凄いステップと高速の動き。
かなり体力も使うのだろう、空中に汗が舞い踊る。
でも相変わらず智くんは息一つ乱すことなく
何でもない顔をして見事なダンスを踊り続ける。




そして。




そんなめちゃくちゃカッコいいダンスを踊っているのに。




後ろのスクリーンには相変わらず変な顔をしている智くんが出てきたリ
バックでの智くんではあり得ないほど下手なダンスを踊っていたり
ターンを失敗して転んでいたり
ステップが分からなくなって踊るのをあきらめていたり
隣の人を覗き込んだりしている智くんがいて
会場中の笑いを誘う。





「……」





そしてそんな状況の中でも、智くんはまるで気にすることなく踊り続ける。


かっこいいダンス。
かっこいい智くん。


でも後ろにはとんでもないことをしている智くんがいて
相変わらず変顔をしている姿が大画面で映し出される。
それはもうカオスな状況。


何百人といる智くんが踊っている姿は圧巻で
その前で踊る智くんはめちゃくちゃかっこいいのに
画面が切り替わると変顔の智くん。
そしてその前で平然とカッコいいダンスを踊り圧倒し続ける智くん。







その姿を見ながら凄い人だと、



やっぱりかなわないと



そう思った。












久々に二人でまったりと部屋でお酒を飲みながら過ごす時間。
この時間が最高なんだよねと思いながら至福の時を過ごす。


「DVD貰った?」

「貰った、貰った」

「改めて見てみて、智くんのやっぱ凄かった」


あれだけのカッコいい歌とダンス。
あれを魅せるだけでも十分なのに、
あの演出は一体どこから思いつくのだろう。


「そっかな?」


でも智くんはいつもと同じように何でもない事のようにそう答える。


「相変わらず進化し続けているんだなって感心しちゃった」


一体智くんの頭の中はどうなっているのだろう。
その才能は遠く果てしなくて、時々分からなくなる時がある。


「んふふっそれ去年も言ってなかった?」

「だって最初見た時もみんなして度肝抜かれたもん」


前の年は暁に魅了された。その前の年も、その前の年も…
そして今回はBad boyに見事にやられた。
智くんは何でもない事のように笑うけどこの年になってもまだ
進化し続けるって凄い事だ。






そう言えばzeroにゲストに来てくれた時に言っていた(2016)。






『これから40に向かうじゃん、俺も同じだけどさ。
若い人たちも増える中で意識を変えていこうみたいのはあるの?』

『ちょっとはあって。考え方とかじゃなくて
30過ぎて体力的にとか身体的に勝手な意識で
みんな劣っていくじゃない、こんな腹になっちゃったみたいな』

『実際そうじゃなくてもね。何となくそうなっちゃうよね』

『俺も一瞬なったんだけど、でもそれいやだなと思って、改善してるね』

『(カウコンで東山さんと共演して)年齢ももう50近くて、
それでほぼぶっつけでやられたときに
こんな人いるんだ、この人カッケーって思って。
同じジャニーズの先輩にああいう方がいるとやっぱりまだまだ
だなって思って。たるんじゃいけないって』





その言葉に。



新しいダンスに挑戦し続けること
新しい演出にこだわり続ける事は
そういう意味もあったのかなとも思う。







「やっぱ智くんはかっこいいよね」

「え~翔くんの方がカッコいいよ」

「……」


いつもそういうと何でもない顔をしてそう言う。
でもその才能は一体どこまであって
そしてどれだけ隠し持っていて
これから先どれだけ進化をしていくのだろう。


もともと努力を見せない美学を持っている人だと思っていたけど。
かっこいいのにそれだけを見せない美学をも持ち合わせていているけど。


以前、自分のステージになると、会場中の観客が
急にシーンと静まり返ってしまうのが嫌なのだと言っていた。


そのせいなのかはわからないが楽しませたいという気持ちが強く
いつも貪欲に先へ先へと追い求めている気がする。


リーダーとしては珍しく後ろから見守るタイプだと
自分でも言っているし周りからもそう思われているけど
実は違うのではないかと思う。


本当は誰よりも前にいて引っ張っていっているのは
実はこの人なんじゃないかなと思っている。
どれほどかっこいいかだなんてまるでこだわらない。
自分がどれほど凄い事をやってのけているのかなんて考えない。
真のエンターティナーなのではないかと思う。








「でもまあ、あれは嵐だからできたことなんだけどね」

「嵐だから?」

「そうだよ、じゃなかったらできなかったよ」


そう言って智くんは何でもない事のように笑う。


嵐じゃなかったら?
嵐じゃなかったらできなかった?
そう言えばあの時のzeroでも言っていた。



『やっぱり一人じゃ無理だなって思う。メンバーがいて安心感がある
一人だと多分その冗談いう事すら怖い、みたいな』

『5人でいるから大野智のリーダーでいられるって事?』

『いられるし、成立しているんじゃないかな、みたいな』



その言葉が凄く嬉しかった。










「何か俺やっぱり智くんの事好きすぎるわ」

「好き過ぎるって」


その考え方も
その生き方も


好きという言葉だけじゃ全然足りない。


「だってそうなんだもん」

「変なの」


そう言って笑う。


でも。


その存在に、
その姿勢に


いつも感心している。
いつも新しい事に挑戦し続けるその姿も
圧倒的なパフォーマンスも
とどまることを知らないその進化にも


いつも尊敬してやまない。


「嵐として一緒にいられて本当によかった」

「おれもよかったよ」

「ほんと」

「うん」


その言葉に嬉しくなって、その身体をぎゅっと強く抱きしめる。


ここにくるまでに色々あった。
苦しい時代も辛い時代もあった。
後輩に先を越され色々辛らつな言葉を言われたこともあった。
事務所にお荷物扱いされた事もあった。



「好き」


そう言ってキスをする。



今こうして二人で一緒にいられることが
嵐として今の立場に5人で一緒にいられることが
夢みたいな気がする。



そして唇がはなれるとお互い顔を見合わせてくすっと笑った。
そしてそのままその華奢な身体を押し倒し上からその綺麗な顔を見つめると
智くんが真っ直ぐな視線で返してくる。



ずっと昔から智くん才能に気付いていた自分にとって
その才能をずっと世に出したいと思っていた。
これほどまでに才能があるのに埋もれてしまうのは
もったいないとずっと思っていた。








そして、今。









『逆に櫻井さんに聞きたい事ってありますか?』

『嵐としての夢って何ですか』

『……』

『でかすぎた?』

『難しいね』

『……』

『……』

『……』

『ま、夢って何ですかって言うと、この夢から覚めない事かな』








「何だか真面目な顔してる」


そう言って智くんがくすくす笑う。


「……」

「……」


過去の事、今の事、智くんの事、色々な思いが溢れて止まらなくなって
何も言えず見つめていると下にいる智くんが俺の身体を引き寄せた。


そして吸い寄せられるようにその唇にキスをする。


「くち あけて」

「……!」


唇が離れると智くんが小さくそう、呟いて唇に手を置いてふっと笑った。


その言葉に導かれるように軽く口を開くと


そのまま引き寄せられる。


そして吸い込まれるように唇を重ねると


そのまま舌を絡ませ合い深いキスをする。





夢みたいなこの時間。


夢みたいな今の状況。




そう。




嵐としての夢は、この夢から覚めないこと。






ありふれた日常 part35(Japonism 暁)

2016-09-01 20:47:00 | 山コンビ ありふれた日常








『心にも あらうでき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな』








その曲は、百人一首の言葉も引用されている


日本語の美しい響きがとても印象的な曲だった。





言葉の響きが美しい歌詞とそしてその綺麗なメロディ。


そして、それにその人ののびやかで美しい歌声が重なって


聴くものを魅了する。





その『暁』という美しい曲を


その人がどう表現し、どう魅せてくれるのか


ずっと楽しみにしていた。









『暁』




傘を持ったその人が現れる。





そして





その傘を振りかざすと


一瞬にしてお面をかぶった姿となり


そこは異空間へと変わった。






コンサート会場という事を忘れる、それは別世界。


息をのむ。言葉ではとても表現できない。





5万人を超える観客がペンライトを持っていることさえ忘れ


静寂の中、その世界に入り込んでいく。


まるで異次元の中の世界に迷い込んだかのような


そんな空間に、息をすることさえ忘れ見つめる。






お面をしている智くんはもう智くんであって智くんでない。


白い着物を着てお面を外していく動作は神がかっていて


まるで誰かがのりうつって支配しているかのようだ。





お面は次々と流れるように可憐で美しく


見事な動きで外されていく。





そして最後のお面が外れた時。


凛とした佇まいの智くんが現れた。





それと同時に、時が現在に一瞬にして戻ったような気がした。







智くんが振り付けをした『暁』は
バックで踊るジュニアの踊りまですべて計算しつくされていて
まるでその曲がその踊りのためにあるかのようだ。
その美しい言葉と動きの表現が見事にまでに合っている。


流れるような動きはとても可憐で美しく
その美しい歌声とともに魅せられそして引き込まれ
その世界へと入り込んでいく。


なんて凄い人なのだろう。
一つ一つの動きが言葉一つ一つにあっているのに
流れるような動きで一切の無駄がない。


そして高音でのびやかなその歌声。
その姿を見つめながらこの人はどこまで
進化し続けていくのだろうと思った。


その踊りは伝統古来の動きをアレンジしているのか
今までにないダンスで観客を魅了する。
そしてあれだけ動いているにも拘らず
息一つ乱さず情感込めて歌い上げる。








美しい動き。


優雅で流れるような動きは手の先足の先まで
神経が行き届いていてとても綺麗だ。


綺麗でしなやかなそのダンス。


柔と剛
儚さと強さ
繊細さと大胆さ。
本当にこの人は天才だと思う。


ステージというものを知っていて
そして観客の目というものをわかっている。
計算しつくされたその踊り、そして舞台。


一つの曲が一つのストーリーの様に
言葉とダンスと歌で智くんによって表現されていく。


にのが以前コンサート中に俺らは前座と、
そう自虐的に言ってたけど
ニノにとってもそう言いたくなるほど
智くんはやっぱり別格だったのだろうと思う。


考えられないような美しく圧倒的なパフォーマンスは
何度見ても魅了されそして見るたびに溜息しか出てこない。










「また見てんの?」 

「え?」

シャワーからあがってきた智くんが
頭をふきながらそう言って呆れたように
ふふっと笑うとソファの隣に座った。


「コンサートでも見てたでしょ?
よくそんなに同じもの見て飽きないね?」


バレていたか。


確かにリハの時もコンサート中も舞台の片隅から
ずっと飽きることなくその姿を見ていた。


でもどれだけ見ても飽きない。
何度見ても見飽きる事なんてない。
何度だってずっと見ていたい。


「だって凄過ぎるんだもん」

「え~?」

「智くんって一体どこまで進化するの?」

「進化って」


信じられない思いでそう言うと
智くんは意味わかんないって顔をして
くすくすと笑った。








「毎回毎回すげえなって思いながら見てるけど
いつもそれを上回ってくるよね?」

「ん~そうかな?」


あまりそういうことに自覚がない智くんは
そう言って不思議そうな顔をする。


「特に今回はそう。だから智くんも一緒に見よ?」

「だからって意味わかんないんですけど。それより翔くんの見ようよ?」

「え 俺の?」


その言葉に思わず聞き返す。


「そう。俺、あの翔くんのダークぽい感じが好きなんだよねぇかっこいいし」

「ダークっぽいって」

「翔くんぽいでしょ?」


その思いがけない言葉に軽くショックを受けながらも
そう言うと智くんは無邪気な顔でクスクスと笑った。


「俺って、ダークなイメージ?」

「んふふっ冗談だよ。でもこの翔くんの影がありそうな感じも曲調も好き」


そう言って可愛らしい顔で、んふふと笑った。
ふわふわした可愛らしい顔でふにゃっと笑うその顔は
あの時の凛とした表情とは全然違う。


このギャップが信じられないんだよねと思いながら
その顔を見つめた。






でも知らないでしょ?
どれだけ凄いパフォーマンスをしているか。
どれだけの人を魅了し離さないか。
そしてそんな智くんと同じメンバーでいられるということを
誇らしく嬉しく思っているか。


「……?」


そんな事を思いながら智くんを見つめると
智くんがどうしたのって顔をして見た。


「暁、見せてくれてありがとうね」

「へ?」

「智くんが凄い人なんだってまた再確認しちゃった」

「……?」


そういうと智くんはきょとんとした顔をする。
あれだけのステージを魅せておきながら
やっぱり本人には全く自覚がないらしい。


「それに、さ。やっぱり智くんのこと好きだって思った」

「……う ん?」


進化し続けるその姿も
その圧倒的なパフォーマンスも
透き通るような歌声もダンスも全部が好きだ。


「好き」

「うん、ありがと」


だからやっぱり好きだと伝えたくてそう言うと
智くんはありがとと照れくさそうに笑った。







「ずっと、そばにいてね?」

「ふふっ翔くんがそんな事言うの珍しいね?」

「うん、何だかあまりにも智くんが神がかっていたのをみたせいかな?」

「んふふっ変なの」


そのままどこか遠くへふわりと飛んで行ってしまいそうな気がして
思わずそう智くんに向かってつぶやいた。


「好き」

「さっき聞いたよ?」


何度でも伝えたくてそう言うと
智くんは可愛らしく、んふふっと笑う。


「ずっとそばにいてね」

「それも聞いたよ?」


そうやっぱりまた智くんに伝えたくてつぶやくと
智くんはそう言っておかしそうにくすくす笑う。


でも。









「俺、変だよね?」

「まあ、ね。けどそんな翔くんも嫌いじゃないよ」


尊敬と羨望でもう他が見えなくなりそうだ。
どれだけの人のステージを見ても
どれだけの素晴らしい舞台を見ても
自身の中で智くんのステージを超えるものはない気がする。


どんなに有名で素晴らしい舞台を見ても
これほどまでに心を揺さぶられ惹きつけられる舞台は
ない気がする。


でもそれは


ずっと一緒にやってきたメンバーのステージだから?
いつも苦楽を共にし一緒に過ごしてきた人の舞台だから?
それともやっぱり智くんという人が凄すぎるせい?


自分の中でとても答えは見つけられない。








何だか智くんが遠くに行ってしまいそうな気がして
その身体をぎゅっと抱きしめた。


智くんは嫌がることなくそのまま抱き締められたままでいる。
だからその華奢な身体を思いっきり力強く抱きしめた。


「ずっと一緒にやっていこうね?」

「ふふっ当たり前でしょ?」


抱きしめたままそうつぶやくと智くんは
ふふっと笑いながら当たり前でしょと答える。


「やっぱ俺、今日おかしいかも…」

「……」


その智くんが魅せるステージに圧倒されていた。
それと同時に何だか漠然と不安を感じていた。








「……?」


そんな不安が伝わったのか智くんが
無言のままじっと見つめてくる。
そして無言で見つめたまま智くんの腕がゆっくりと
自分の顔へと伸びてきた。
そして優しく智くんの手が頬を包み込んだ。


「ずっと一緒にやっていくよ」


智くんは見つめたままそう言ってふッと笑った。
そしてゆっくりと顔を近づけてくる。


そして唇に唇をゆっくりと重ねた。
柔らかくて暖かいぬくもり。
智くんの唇だと思った。


そしてゆっくりと唇が離れると


「当たり前でしょ?」


と、そう言って妖艶に微笑んだ。


そして今度は角度を変え口を緩く開き
今度は深いキスをしてくる。


もう何も考えられない。


何度も角度を変え深いキスをしてくる。
その動きにただ無我夢中でついていく。
不安も悩みも何もかもが吹っ飛んでいく。








そして。


ようやく唇が離れると


「俺が翔くんから離れられっこなんてないでしょ」


と、そう言ってまたふふっと妖艶に微笑んだ。


そして


今度は身体全体に体重をかけてきて押し倒される。






そして押し倒された状態のまま、上を見上げると


智くんの美しい顔があって視線が合うとふふっと笑う。







そして


今度は上からゆっくりとその整った小さな唇が降りてきて


ふっと微笑んだかと思うと


ちゅっと優しいキスをした。








ありふれた日常 part34(VS嵐 翔くんverプラス)

2016-08-19 14:15:10 | 山コンビ ありふれた日常







part33を翔くんバージョンで書いてみたりして💦
次回からは続きものに戻ります。









あのタッキーと大野さんが一緒にいる。


しかも一緒に歌って踊っている。


これって、凄くない?







タッキーとは年代も近くジュニア時代は
一緒に踊ったり歌ったりしていた。


でも自分たちのデビューが決まり
タッキーのデビューが決まり
そういう機会があまりないまま今日まで来てしまった。


事務所のメンバーが一斉にそろう年末の恒例行事でさえ
舞台があったりして一緒に踊ったり歌ったりという機会が
ほとんどなかったように思う。


だからあのタッキーと大野さんが二人で
一緒に踊って歌っているなんてすごく珍しくて貴重で
もうこんな二人の姿が見られるなんて
二度とないかもしれないと夢中で
写真を撮りまくった。





その画像をパソコンで眺めながら


その時の興奮が


またよみがえる。








「ちょっ、これ凄すぎない?」

「……」


でもこちらの興奮とは裏腹に
智くんは大して興味もなさそうな顔で
よっこらしょっと言って隣に座った。









あのタッキーと智くんが一緒に並んで歌って踊っている。


自分の中ではあり得ないくらい凄い事だ。


ジュニア時代の代表的存在だったタッキーと
自分自身の憧れの存在だった智くん。


そんな自分の中のジュニア時代のツートップが時を変え
その時代を彷彿とさせる姿で目の前にいる。


やっぱ信じられない。







「って、その顔~」


そんな事を思いながら画像を見つめていると
智くんが呆れたような表情をしてそう言った。


「だって」

「……?」

「だってタッキーと智くんが一緒に歌って踊ってんだよ?
貴重すぎじゃない?」

「めっちゃ興奮してるし…」


あまりにも興奮していたせいか
写真がたくさんあったのを見てびっくりしたせいなのか
智くんがちょっと引き気味にそう言った。


「だってこんなのジュニア以来だよ?
めちゃくちゃ貴重だよ? お宝だよ?」

「……」


きっとこのツーショットがどれだけ凄い事で
貴重な事なのか智くんはわかってない。










「すげえよ、コレ。俺のお宝コレクションとして永久保存版にしよっ」

「……俺の一番のファンって、実は翔くんなんじゃね?」


画像を見ているだけで嬉しくなってきて
何だかウキウキしながら整理していると
智くんがそうつぶやくように言った。


「え? そうだよ」


そんなの当たり前だ。
以前から智くんのファンであることを公言してきたし
本人にだって何度も伝えているのに
何を今さらと思いながら答える。


「そうだよって平然と答えてるし…」

「だってそうなんだもん」


昔からその才能を近くで見てきて
他の誰よりもファンだった。



「凄いね?」

「凄い?」


だからそう答えると智くんは不思議そうな顔をして言った。









「だってずっと一緒にいて俺の嫌なところとかダメダメなところとか
散々見ているのにファンでいられるって…」


智くんは少し困惑したように言う。
でも、そんなの知ってる。
そんなの、わかりきっている。


「まあね」


でも誰よりも一緒にいてずっとその姿を見てきたから
嫌いになんてならない。
なるはずなんてない。


「でしょ?俺が逆の立場だったらもうダメだコイツって言って
とっくのとうに辞めてる」

「え?」


だからファンを辞めるなんてあり得ないのに
智くんはそう言って自嘲気味に笑った。









「でも翔くんは変わらず一緒にいてくれるね。何で?」


そして智くんは少し考えるような顔になると
そう聞いてきた。


何でって。
何でなんてそんなの決まってる。


「それは俺が智くんのコアなファンだからかな」

「……」


昔からその才能を知るたびにファンになった。
その人柄を深く知れば知るほど好きになっていった。


「ダメなところももちろんたくさん見てるし、
知ってるけどそれ以上のものを見せてくれるから
ファンを辞める事なんて全然考えられないんだよね」

「……」


そう言うと智くんが真っ直ぐな視線で見る。


「俺、何だか凄く好きみたい。智くんのこと」

「……何か恥ずかしいんですけど」


その言葉に智くんはちょっと俯いて照れくさそうに笑った。
可愛い。
そしてその顔を見ながらこういう可愛らしいところも好きだなと思う。









「だってジュニアの頃からずっとファンなんだもん」

「……」


でも誰がどうこう言おうとそれがすべてなのだ。
出会った時から。
最初に手本にして踊れと言われたその日から
多分ずっと、ファンだった。


「だからジュニア時代しか見られなかった貴重な2ショットには
めちゃくちゃ興奮したし嬉しいし。
だからこれはもうお宝ファイルに保存するしかなくない?
いや、いつでも見られるように待ち受けにでもする?」

「ほんとに、好きだね?」


そう言うと智くんは少し困惑しながらも
照れくさそうにそう言って笑った。


「うん、好き。ずっと好き。
だからずっと何があってもファンでいられる自信ある」

「すげえな」


そう断言するように言うと智くんが感心するようにすげえなと言った。


「昔からコアなファンですから」

「……」


確かに色々あった。
目にしたくないことも耳にしたくないことも
全くないと言えばそれは嘘になる。
それでもやっぱり好きなのだ。
ずっとファンなのだ。
そしてそれが、まぎれもない事実なのだ。













「だから、ファンの分際でこうして一緒にいられることが幸せなんだよね。
それにこんなこともできるし」


そう言って智くんの顔を見つめ
そしてゆっくりと手を伸ばすとその華奢な身体を抱きしめた。


「……役得」

「役 得?」


そしてその身体を抱きしめたまま
そうつぶやくように言うと智くんが
意味わかんないって顔をして聞き返す。


確かにこういう時に使う言葉ではないことはわかってる。
でも、同じメンバーでなかったら
お互い違う人生を選んでいたら
こんなことはできなかった。


「そ。同じメンバーだからファンである智くんとずっと一緒にいられるし
こんな事も出来ちゃう」

「……」


そう言って抱きしめたその身体にぎゅっと力を込めた。










「好きだよ。どんなあなたも。ダメなところもいいところも全部知ってる。
いつも控えめでどこか自信なさげなところも知ってる。
でもそういうあなたも全部好き」

「なん…」


きっとそういうあなただからずっと好きなのだ。


でも智くんは納得できないようで
何でって顔をしてそう言ってくる。
だからもう言葉はいらないよとその小さな唇に指をあてた。


何で? なんて聞かれても理由なんてない。


その才能に惚れファンになり
その人柄を好きになり
そしてその美しい顔も、
透き通るような歌声も、
体重を感じさせない美しくキレのあるダンスも
秘めた才能の数々も
そしてそれをひけらかさない所も
そしてそんな才能がありながらも
なぜかどこかいつも自信なさげで控えめなところも
そういうあなたのすべて好きなのだ。


そんな事を思いながらゆっくりと顔を近づけていく。


そしてゆっくりとその唇にあてていた指を離すと
代わりに自身の唇をその唇に重ねた。


「好きなのに理由なんてないでしょ?」

「でも…」


そしてゆっくりと唇を離すと智くんがでも、と言う。


「何がそんなに不安なの?」


こんなに好きだと伝えているのに
誰よりもあなたの事を知っていて
ファンだと伝えているのに
やっぱり信じきれずにいるあなたはそう言って目を伏せる。









その身体をそのままゆっくりと倒し上から
その美しい人を見つめた。


「どう言ったら伝わるのかな?」


どれだけ好きだと伝えても
あなたはまだ信じられないって顔をして
いやきっとわかっているのだろうけど
でもその自信のなさからなのか
丸ごとは信じきれずほんの少しの疑いの眼差しを向ける。


「何かいっぱい考えているみたいだけど
好きなことには変わりないから」

「……」


そう言ってその人を見つめる。


「好きだよ」


何度も伝えているけどまた伝えたくてそう言うと目を伏せ気味にする。
そのままゆっくりと顔を近づけていって唇を重ねると
智くんの口が小さく開く。
そのまま自分の舌を差し入れ深いキスをした。


唇が離れるとその人の顔を見つめる。


そして視線が合うとやっぱりその人は照れくさそうな顔をして
目を伏せがちにするからそのまままた唇を重ね
ちゅっと触れるだけのキスをした。


そしてまた唇が離れると角度を変え今度は深いキスをする。


その身体を抱きしめて体温を感じあう。


そして腕の力を緩めるとお互いの視線が合って
お互い照れくさくて思わずくすっと笑いあう。
そしてまたその華奢な身体を抱きしめた。






どのくらいそうしていただろうか。






『俺も好き』






智くんが背中に回している腕に力を込めてきて
力強くぎゅうっと抱きついてくるから
そのままぎゅっと抱きしめ返す。


そして力を弱め少し身体を離し智くんを見ると
智くんも真っ直ぐな視線で見つめてくる。


何? とわらいかけるとその人は、俺も好きと
つぶやくように言った。


その言葉に思わず笑みが浮かぶ。


智くんは照れくさいのか視線を落とした。


だから俺も好きだよとそう言って
またその身体を強く強く抱きしめた。








翔くんバージョンでした。