「もうちょっとで誕生日だね。
何が欲しい?」
すでにベットの中に入って眠そうにしている
智さんにそう聞くと
「うーん。
…愛情?」
ちょっとの沈黙の後そんな返事が返ってくる。
「愛情?」
毎日たくさん愛情を届けているつもりデスケド。
しかも俺以外からもたくさんの人から散々気に入られて愛されて。
嫉妬で狂いそうなんですけど。
本人はきっと分かってないだろうけど誕生日の日には
本気のお誘いメールと、おめでとうメールがわんさか届くよ。
そう思いながら
「それって俺からの?」
一応聞き返す。
「うん」
……即答だし。
どれだけ愛情に貪欲なのか、あるいは鈍感なのか。
「いつもたくさんあげているでしょ?
足りない?」
布団から顔だけ出して可愛らしく微笑んでいる智さんに問いかける。
「うーん。足りないって訳ではないけど…」
そう言ったかと思うとゆっくりと両手を広げ
おいでという風に待ち構えている。
その腕の中におさまろうと身体を近づけると
嬉しそうな顔を見せる。
こういうところが本当に可愛いらしいんだけどね。
そう思いながら望むまま身体を預ける。
もういいかなって思ってゆっくりとその身体から離れて
顔を見つめると少し不満そうな表情を見せた。
「どうしたの?」
その何か言いたげな瞳にそう問いかけると
「これからもずっとそばにいて支えててね」
まっすぐな目でそう言う。
「…?うん」
当たり前じゃん、俺が智さんから離れられるわけ無いでしょ
そう思いながらぎゅっとその華奢なカラダを抱きしめると
背中に腕が回ってきてぎゅっと強く抱きしめ返される。
昔から、
今も、
これからも、
ずっと智さんとずっと一緒にいたい気持ちに変わりはないよ。
そう思いながらちゅっと唇に触れるだけのキスをして顔を離すと
両手がゆっくりと伸びてきた。
そしてもっと、というかのように頬を包み込んでじっと見つめる。
「好きだよ。」
そう言ってもう一度唇を近づけたら軽く口がひらかれた。
そのまま差し入れると絡みあう深いキスをした。
隣ですでに眠ってしまっているその綺麗な顔を見つめる。
“何か不安だったのかな?”
この人はいつまでたっても少しのコンプレックスと
不安が解消できずにいる。
どんなに周りが凄い凄いといってもそれはいつまでたっても
変わらないまま。
“どうしたらいいんだろうね?”
その答えの出ない問題を、安心しきってスヤスヤ眠っている
顔に問いかける。
どれだけの言葉を言ってもどれだけずっと一緒にいても
不安を消し去ることはできないのかな。
“愛してる。ずっとずっとそばにいるからね。”
そう何度も何度も本人に伝えている言葉を
寝ているその顔にもう一度言うと頬にちゅっと口づけた。
そして“おやすみ”と言って目を閉じた。