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山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

ありふれた日常 part28(アラフェス'13)

2014-05-27 18:49:23 | 山コンビ ありふれた日常





そこに映っている智くんは


切なくなるくらい美しくて


そして可憐で


何だかわからないけど


それを見ていたら胸が苦しくなった。






少し前に貰っていた2013年の国立の映像。
忙しくて全然見れてなかった。






おもむろにセットし
ぼんやりとその映像を眺める。


そこには自分たち最後の国立の映像が映っている。






それを見ながら
あの時はあんな風だったっけね、とか
あの場面ではあんな事があったよね、とか
あん時はこんな事を考えていたんだっけ、とか


そんな事を思いながら軽く流しつつ見つめる。






そしてあの時の


音、風、香り


国立競技場という一種独特の空気


だんだん色を変えていく風景


ファンの歓声


そしてメンバーの姿、声、表情


曲、歌、ダンスを


思い出す。




松潤はこの時こんな髪型だったっけ?
相葉ちゃんは相変わらず一生懸命で可愛いね。
にのは~なんて事を思いながらグラスを傾ける。






そして、智くんは


この時の智くんはいつもにも増して美しくて可憐で。
そしてソロパートの声は相変わらずクセのない綺麗な歌声で
心をこめて歌っていてそれが凄く綺麗だった。


そしてダンスナンバーは、これはいつになく
一生懸命踊ったつもりだったのに
こうして改めて見るとやっぱり智くんとの差は歴然で。
相変わらずキレキレのダンスは体重を全く感じさせない
軽やかな動きでつい見惚れてしまう。






リハでも何度もやってきたし実際コンサートもやったけど
こうして改めて画面越しに見ると見えていなかった部分が
よく見えるしよく分かる。
そしてニュースやWSなど断片的にではなく
こうして通して見るとまた違った感じを受ける。





そして智くんのソロ。


そこには同じステージなのに
いつもと違う智くんがいる。
それはソロではいつも感じることだけど
やっぱりそう思ってしまう自分がいる。


Take me farawayは以前にも披露したことがある曲で
あの時も美しくて可憐だったけど今回はまた違う。
今回はいつもにも増して大人の色気を感じる美しさと
そして情感が込められていて見ているものすべてを魅了していた。


いつもあんな猫背なのが信じられないくらい
とても美しい姿で移動していく智くん。
そしてダンスの時のあの足さばき。
手の動きもそうだけどあの足は一体どうなっているんだろうね?


いつも一緒にいるのに
ここにいるのはいつもの智くんとは別の人。
智くんだけど、智くんじゃない。
智くんには違いないけど、でもいつも見ている智くんとは違う人。


不思議なんだけど
ソロじゃないときはあまりそう思わないのに
ソロの時は何だか妙に美しくて艶やかで色気があって
そんな智くんを見ていたら胸が苦しくなった。


そんな時、お風呂からちょうど出てきた智くんが
頭を拭きながらあ~いい湯だったなんて言いながら
ヨイショとソファに座る。


その姿をつい見つめると智くんは、なあにって
不思議そうな顔をして見つめ返してくる。
そしてTV画面に気づいたのかそちらを見た。


「これ、こないだの国立?」

「そう」


智くんは風呂上がりのせいかやや頬を紅潮させ聞いてくる。
やっぱ、何か違うんだよね。


「何かさ、このソロの智くんと普段の智くん全然違うよね?」

「そっかな?」


普段の智くんはふんわりしていて綺麗というより
可愛らしい感じというイメージの方が強い。


「うん、そう。凄く色気もあるし」

「ええ? 色気?」


そう言うと智くんはびっくりしたような顔をする。


「そう」

「ん~それはバックダンサーのお姉さんが色っぽいからじゃん?」

「いやまあダンサーのお姉さんも色っぽいけど、さ」


智くんはバックダンサーの方のせいだと思っているらしいけど
そうじゃない。
智くん自体が凄く艶やかで綺麗でいつもの智くんじゃないように思う。


「何かこないだ相葉ちゃんのテレビで言ってたけど
テレビで見ると本人と何か違うって話してたじゃん。
何かそれなんだよね」

「んふふっ、そっかな?」

「うん、そう」

「でも翔ちゃんもいい笑顔たくさんしてたよ。
イケメンだったし」

「ええ? そう? それよりもう見たの?」


智くんが既に見ているなんて意外すぎる。
そう思いながら聞き返す。


「ん~ちょっとだけだけど」

「ああ、そうなんだ」

「それに、色っぽいといえば
翔くんのソロの後の顔も色っぽかったよ」

「ええ? そうなの?」

「うん。ああ、この後じゃん?」


そう言って智くんはリモコンを持つと画面を送る


「ほらこの時の翔くん。
髪の毛かきあげてて、それが何だか色っぽくてかっこいいんだよねぇ」

「えー全然気付かなかった」

「んふふっ」

「じゃあ、今日はこれ見ながら飲みますか?」

「え~?」

「何その嫌そうな顔」

「えへへっ」


そう言って笑う智くんの顔は無邪気で可愛らしくて
やっぱりあの色気のある智くんと同一人物とはとても思えない。


「何か贅沢だねえ」

「ん~?」


智くんは映像を見ながら小さく呟く。


「ここに映ってる人と一緒にこうして一緒にいるなんて」


そう言って、可愛らしくんふふっと笑う


「それはお互い様でしょ?」

「そうなんだけどさ、何か不思議で」


確かに不思議な気分ではある。
さっきまで見ているだけで胸が苦しかったのに
その当人が隣にいる。


手を伸ばしていって、ぎゅっとその手を握ると
智くんはこちらの顔を見て、ん?って顔をする。
智くんは拒否する感じもなくそのまま繋がれたままでいる。
だからしばらく手をつないだままコンサート映像を見る。


そしてそれを見ながらお互いこん時はああだったね、とか
こうだったね、とか時々思い出したように話す。


そして時々隣にいる智くんの顔を見て
ここにいる人がこの人なんだなあって
わけもなく感心したりその顔を見つめたり。
そしてさっきまで胸が苦しかったのに智くんに触れて
顔を見つめてほっと安心する。


「智くん、好き」


テレビ画面を見ながらそう言うと
智くんは、ん?って顔をして見つめてくる。


「普段の智くんも、ステージにいる智くんも
どの智くんもやっぱ好きだわ」

「んふふっ変なの」


そう言って智くんはクスクスと笑う。


「さっきさ、智くんのソロ見てて苦しかったんだ。
切ないというか。
で、なんだろうってずっと考えてて、今わかった」

「……?」

「俺、智くんの事好きすぎんだわ」


智くんはきょとんとした顔をして見つめている。
そしてクスクス笑いだした。


「ん?」

「知ってるよ」


なんだろうと思いながらその顔を見つめると
智くんはそう言って可愛らしく笑う。


「そっか」

「うん」

「そうだよね」

「うん」


そう言ってお互い視線が合うとニッと笑う。
そしてそのまま顔を近づけていってちゅっとキスをする。
唇を離すとその綺麗な顔を至近距離で見つめる。


智くんは照れくさいのか目線を落とす。
その少し目を伏せた感じがまた綺麗で可愛らしくて
思わず角度を変えてもう一度ちゅっとキスをすると
そのまま深いキスをした。

ありふれた日常 part27(BETde嵐)

2014-05-13 16:41:22 | 山コンビ ありふれた日常



[遅くなりました]




家で久々にまったりと過ごす時間。




智くんはまだアルコールもそんなに
入っていないのによほど疲れたのだろう
既にソファでウトウトし始めている。


その姿を見つめた。






今日収録した鉄骨渡り対決は、屋上に準備されていて
ただでさえ高く感じるのにそこから更に5メートルの高さから
15センチの幅しかない部分を使って渡っていくゲームだ。


かなり高い位置にあり、また周りにそれ以上の高さの
建物もないので風の影響ももろに受ける。
しかも歩く部分は不安定でかなり揺れる。


相葉ちゃんも松潤も凄かったけど
智くんはやっぱり凄かった。
何か別だった。


あんな状況下にも関わらず
相変わらず重心が安定していて
しかも余裕さえ見えた。




あの抜群の重心の安定感。


あれがあるからこそあんな不安定な状況であっても
ぐらつくことなく安定した状態で歩いていけるのだろうけど。


そしてそれがダンスにも繋がっていて
あれだけの高速なダンスを踊ったり回転しても
中心が決してブレる事がないのだろうけど。
とにかく重心が安定していてバランスがいい。





やっぱり智くんは凄い人だと思う。


こんなところでさえも


あなたは尊敬する先輩であり続ける。




ね、見た?
他のメンバーもそうだけど
ニノのあなたが渡りきった時の眼差し。


尊敬と羨望で何とも言えない顔をしていた。
あんまりそういうのは表情に出さない人だけど
智くんに対しては時々見せるよね。


昔から尊敬する先輩だと言い続けていたけど
今もまだ変わっていない。




あなたは余裕な顔で何でもない顔していたけど
凄い集中力とバランス力。
あの高さで揺れもすごいしかなり不安定な状況で
緊張感も相当なものだっただろう。


ドラマの撮影もあるしそれ以外にもたくさんの仕事をこなした上で
あれだけの状況下であれだけの事をすれば
こんなふうに疲れきってしまうのは無理ない気がした。






「あんま無理し過ぎないで」


智くんは相変わらずソファでウトウトしている。
智くんのその可愛らしい顔を見つめ
そして独り言のように呟いた。


しばらくその顔を見つめる。
そして手をその顔に近づけていって長い睫毛に触れる。
瞼がピクピク動くけど目は覚まさない。


そして今度はそのまま顔を近づけていって
その唇にちゅっと触れるだけのキスをした。


「……ん?」


ウトウトしていた智くんが薄く目を開けた。
そして目が合うとニコッと可愛らしい顔で笑う。
かわいい。


「疲れた?」

「ううん」

「ふふっ、疲れてるでしょ? ベッドいこっか?」

「え~まだ飲んでる途中」


さっきからほとんど飲むこともせず
ウトウトしてるだけだったのに
そう不満そうに言うとグラスに口をつけた。


「何か、生ぬるっ」

「ふふっ当たり前だよ」


そう言って智くんは可愛らしい顔で笑う。
だから当たり前だよって言って笑い返した。











智くんは、ずっと、前を歩いている。


グループの中では4人の後ろを歩いていて
見守っているような、そんなイメージだけど。
でも本当はデビューした時からずっと前を歩き続けている。
正確には腹をくくってからというべきか。


率先して前を歩いていくという
わかり易いものでは決してないけども
智くんはずっと前を歩き続けている。


そして尊敬する先輩であり続けている。


もう15年も一緒にいるのにそれは変わらない。






昔。嵐が結成される前。
社長からその才能を買われていた智くんには
違うグループに入るという噂もあった。





もし、


もしも、


そうなっていたなら智くんは一番年下の立場で
もっと気楽な立場で何の気負いもなく
もっと自由にやれていたかもしれない。


でも


あなたが嵐でいてくれてよかった。


一番年上でリーダーできっと見える苦労も見えない苦労も
考えられない位たくさんあったと思う。
しきったりまとめたりするのが苦手で嫌いなあなたには
負担な事ばっかりだったかも知れない。




でも


嵐でいてくれてよかった。


ずっと前を歩き続けるのは


そして尊敬する先輩であり続けるのは


本当に大変な事だったと思う。


しかも自分から口で言う人ではないし。







でも


嵐でいてくれてよかった。








「ほら、連れて行ってあげるからベッドいこ」

「え~翔くんは?」

「俺も、もういくからさ」


そう言って軽くテーブルにあるものを片付ける。
智くんはソファに体育座りの姿勢で腕で足を抱え待っている。
こういうところがかわいいんだよね。


そう思いながら一通り片付けると
そのまま智くんを抱え上げベッドルームまで運んだ。







この軽い身体。


この華奢な身体にどれだけの力が潜んでいるんだろうね?


そんなことを思いながらベッドに優しく横たえる。






「翔くん、ありがと」


智くんはそう言って、んふふっと可愛らしく笑う。


「ふふっいいよ。でも、さ、あんま無理し過ぎないで」

「え~?」


智くんは不思議そうな顔をする。


一番年上だからと
リーダーだからだと
背負い過ぎないで。


天才なのかもしれないけど
いや、実際天才だけど
でも、無理し過ぎないで。


そう思いながらゆっくりと顔を近づけていって
その唇にちゅっとキスをする。


「俺は、大丈夫だよ」


智くんは気持ちを察したのかそう言って可愛らしい顔で笑う。
そして両手で頬を包み込むように触れる。


智くんの顔を見ると智くんはにこって笑った。
そしてもう一度顔を近づけていくと
唇に唇を重ねる。
そしてそのまま深いキスをした。


山 短編6 スピンオフ

2014-05-02 23:24:51 | 短編



[前後してしまいましたが]







男子校なんてつまらない。



学校には男しかいないって訳ではないけど


同年代の女の子はいない。


通学途中に女の子に会ったりもするけど


でもそれだけ。


当たり前なのかもしれないけど


でも何だか毎日がつまらない。





この学校は偏差値だけで決めた。


有名な進学校だったし家からも通いやすい。


学校の方針にも共感できた。


だから中学の時この学校を志望校と決め


合格できた時は凄く嬉しかった。





でも半年が過ぎ


一年が過ぎ


必死になっていた時期はよかったけど


生活に余裕がでてくると、何だかつまらなく感じてきた。


もっと周りの生徒みたいに将来の事を考え


勉強に真剣になれるといいのだろうけど


そんな気分にもなれない。







そんな風に思っていたあの日。










この日は調べものだの何だので学校を出るのが遅くなってしまった。
もう昇降口には誰もいない。
急いで靴を履き替え外に出る。




ふと目の前に一人の生徒が立っているのが見えた。




あれは同じクラスの 


サクライ ショウ。 



櫻井はクラスの中だけではなく、学校の中でも目立つ存在だ。
端正な顔立ちに甘いマスク。
そして髪の毛を茶色く染め左耳にはピアス。
この学校にはあまりそういうタイプの生徒はいないせいか
とにかく目立つ存在だった。


しかもそんな格好をしてても成績は常にトップクラス。
それに加え、いいとこの坊ちゃんらしいという噂もある。
あまり話をした事はないけど一年の時からずっと知っていた。


そしてあの容姿のせいか、とにかく女の子にもモテる。
他校の女の子から待ち伏せされたり話しかけられている姿を
何度も目撃したことがある。


確かに顔は男の自分から見てもかっこいいと思う。
茶色い髪もピアスもよく似合っている。
男から見ても惚れ惚れするような顔立ちだ。


その櫻井が校舎側を振り返り少し上の方を見上げていた。
その姿を何気なく見つめた。
櫻井はしばらくじっと見つめていたが
あっと思った瞬間、走って行ってしまった。
その姿をぼんやりと眺める。




「……?」


不思議に思いながらようやく自分も歩き出す。
そしてちょうど櫻井がたっていたと思われる場所に立った。
そして同じような角度で見上げる。




そこには


大野がいた。




大野は産休の先生の代わりに来た先生で
副担任であり現国の先生だ。


何で先生があそこに?

そして櫻井は先生を見つめていたのだろうか。




「……」


一体なぜ?


色々なことが謎すぎてよく、分からない。



そんな事を思いながらもう一度見上げる。
先生はコーヒーカップ片手に優雅な姿で外を見ている。
目線は少し遠く、校庭の方だろうか見つめていた。
その姿を見つめる。


「……」


何故か分からないけど、その姿を見て胸がドキドキした。


そんな自分がよく、分からない。







そして




現国の授業の時間。


先生は教科書を読んでいる。


先生の声は何だか妙に心地がよい。



ゆらゆら

ゆらゆら



あーこういうの、なんて言うんだっけ。


あぁ、そうだ。


1/fのゆらぎ。



ゆらゆら

ゆらゆら

ゆらゆら



心地よくて

癒される。



ゆらゆら

ゆらゆら



その声は自分にとっての、1/fのゆらぎ。





いつも聞いていたはずなのに


今日は何だか妙に心地よくて


5時限目のせいか眠りを誘う。






「オイ」

「オイってば、金井、指されってんぞ」

「え? うあ、はい」


急に隣の席の川田から声をかけられて慌てて立ち上がる。
思わず声が裏返った。
クラスのみんながクスクス笑っている。


先生の顔を見ると先生も、ふふって笑った。
その顔があまりにも綺麗で思わずドキっとした。




「……」


そんな自分がよく、分からない。





オオノ サトシ


先生は産休の代わりに来た先生で2年3組の副担だ。
そして美術部の顧問をやっている。
そのせいか先生は放課後毎日美術室にいて
それを知った生徒がなぜか毎日美術室に訪れ
とうとう美術室は美術部の学生以外出禁になったという。



そんな話を聞いて最初意味がわからなかった。


でも最近は何だかわかる気がしている。




あのほんわかした存在。
綺麗な容姿をしているけど時々見せる可愛らしい笑顔。
この進学校という独特の空気の中
ある意味オアシスのような存在であり場所だったのだろう。


そう言えば初めて先生がこの学校に来た時、
綺麗な先生が来たと少し騒ぎになったのを覚えている。


でもそうは言っても男だよ?
綺麗って言っても、男だよ?


そんな風に思いながら最初は全然興味がなかった。
だから美術室にみんなが訪れているって聞いても
何とも思わなかったし綺麗な顔してっけど
それだけ、みたいな。


でもあの日からちょっと違う。


教室に先生がいるとその姿を見つめる。


その綺麗な顔
時々見せる可愛らしい笑顔
その一つ一つを見逃したくなくて
つい、じっと見つめた。



そして同じように見つめるヤツがもうひとり。









「なぁ?」

「ナニ?」


放課後一人でいる櫻井に声をかけた。
やっぱ、かっこいい顔してんな。


「あいつの事好きなの?」

「は?」


櫻井はムッとした顔で見る。
当たり前だ。
あまり話したことない奴に突然そんなこと言われて
ムッとしないほうがおかしい。


「大野の事」

「好きだけど」


櫻井はまっすぐな視線で答えた。
マジかよ。
しかも何の躊躇いもなくはっきりと答える。


「でも、男だよ?」

「それが、何?
俺は男とか女とか関係なくあの人だから好きなだけ。
で、用はそれだけ?」

「まぁ、そうだけど」

「あっそ、じゃあ、俺行くから」

「……」


マジかよ。
あの櫻井が。
あんなに女の子にモテモテなのに?
いくらでも選り取りみどりなのに?



でもあの顔から、はっきりとした強い意思を感じた。



よっぽど好きなんだな。











そんな風に思ってたのに




最近




何だか先生が




そして櫻井が気になって仕方がない自分がいる。




そんな自分がよく、わからない。




そしてそんな自分が何だか笑える。


























「先生、次はどういうとこ?」

「……」


先生が呆れた顔をして見つめる。


「またそんな顔してぇ」

「また、家きてるし」


先生が呆れた顔をしていたからそう言うと
先生はやっぱり呆れた顔をしてそう言った。


「え~だって先生が教えてくれたんじゃん」

「それはあまりにしつこいからでしょ。
まさか本当に家にまでくるなんて思わなかったし」

「んふふっ」

「んふふじゃねーよ」

「だって先生に会いたいんだもん」

「……」


そう言うと先生は黙ったまま見つめた。


「受験生でしょ? 勉強は?」

「大丈夫。俺、頭いいからさ」

「……」

「ねぇそれより次はどんなとこ?」


4月から先生は新しい学校に就任することが決まっている。
それが気になって気になって仕方がなかった。


「……そこに資料あるでしょ」

「……これって 共学?」


先生が指さした資料に目を通す。


「そうみたいだね」

「共学かぁ、何かヤダなぁ。
かと言って女子高? 何かそれは、ちょっとヤダ。
かと言って男子高? いや、それはもっとヤダ」

「何ぶつくさ言ってんだよ」


先生はやっぱり呆れた顔でそう言ってきた。


「ねーねー、もういっその事、小学校とかいいんじゃない?」

「持ってねーよ」

「あぁそっか。じゃあ中学校?
いや今の中学生は早熟っていうし」

「自分だって3年前までそうだったくせに」


先生はそう言ってクスクス笑う。


「まぁそうだけどさぁ。あ~できることなら
先生の事ずっとどこかに閉じ込めておきたい」

「何いってんだか」


先生はそう言ってまた呆れた顔をした。


「本当だよ。絶対どこいってもアイドルだろうし」

「アイドルて」

「もう自分の事わかってないの先生だけだよ。
うちの高校でだってアイドルだったでしょ。
先生にみんな会いたくて押し寄せて美術室が出禁になったでしょ」

「そんな事もあった、ね」

「あー心配すぎる」

「ふふっ」


こちらの心配をよそに先生は余裕の顔で笑っている。


「……」

「……?」


何だか悔しくて先生の顔を見つめた。
先生は不思議そうな顔をする。


「ね、先生、キスしたい」

「……してるでしょ」


いつもねだってしているせいか先生は
不思議そうな顔をしたままそう答える。


「違う。もっと……」

「もっと?」

「もっと、濃いの したい」

「ふふっ。高校生が生意気」


先生はそう言って、ふふって笑う。


「もう俺のガッコの先生じゃないんだからいいでしょ」

「……」


先生は仕方ないなあって顔をして笑っている。
でも心配なんだ
どこへ行っても
だからどんなに呆れられても
ちょっとでも確かなものが欲しくなる。


先生はこちらの思いを察したのかじっと顔を見つめる。
そしてゆっくりと手を伸ばしてきた。
そして先生の綺麗な手が頬に触れる。


そのまま先生はまっすぐな目で見つめる。
そのまっすぐな視線に照れくさくなって目線を落とした。
先生が、ふってまた笑ったような気がした。


そしてそのまま先生の顔が角度を付けゆっくりと近づいてきた。
そして唇と唇が触れた。
いつもならその一瞬で唇は離されて終わりだ。


でもこの日は


唇と唇が触れて
そして少し先生の口が緩く開く。
ドキドキしながらそれに合わせるように口を開くと
先生のが入ってきた。
それに夢中で応える。


ドキドキが止まらない。


そしてゆっくりゆっくりと唇が離された。


「満足?」


先生はまっすぐ見つめたままそう言って、ふふって笑う。
何も言うことができず、うんうんと頷く。
顔が自分でも真っ赤になっているのがわかった。
先生と目が合うと先生はまた、ふふって笑う。


「先生、好き。大好き」


そう言って先生の身体にぎゅっと抱きつくと
先生も腕を伸ばしてきて身体を包み込むように
ぎゅっと抱きしめてくれた。