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山コンビ大好き。

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きらり

山 短編6 前 

2014-02-27 21:16:28 | 短編



産休の教師が出たとの事で赴任した学校は

進学校として有名な高校だった。




まだ夏の暑さが残る中
2年生の副担任として初めて教壇に立つ。
一通り自己紹介をし改めてクラスを見渡すと
一人の生徒が目に入った。


端正な顔立ち
明るく染めた髪
左耳にはピアス


こんな高校で珍しいな、と思う。


人目を惹くその容姿は、少年が持つ独特の儚さと
美しさを兼ね揃えていてそれがとても印象的だった。







その高校では、趣味で応募したコンクールに
入賞したことがあるという理由だけで美術部の顧問になった。


こういうのって美術の教師がホントはやるんもんじゃねぇの?
そんな事を心の中で愚痴りながら、最初はメンドくさいだけだと嫌がっていた。
しかしいざなってみると部員数が10人ちょっとで殆どすべてが幽霊部員。
誰もめったに美術室に訪れることはない。
その場所は、自分にとって絶好の隠れ家となった。


職員室にいて息が詰まる思いをするよりも
ここで過ごす時間が至福の時間となる。
放課後、美術室で一人翌日の授業の準備をしたりテストの採点をしたり。
そして疲れたら自分で煎れたコーヒー片手に窓の外を眺めたり。
大切な場所になった。


美術室は校舎が2列並ぶ建物の後ろ側にあった。
前側の校舎は右側に少しずれて建てられていて
美術室は左側の端にある。
そしてその下の一階には生徒全員の下駄箱があった。


美術室からは学生の帰る姿
そしてその奥には校庭の左側3分の1位が見え
運動部の生徒が汗を流す姿が見えた。


その姿を何も考えずただ眺めているのが好きだった。








そして今日も放課後、職員室を早々に退室すると美術室に向かう。


そしていつものように仕事が一段落着くと
コーヒー片手に生徒たちが戯れながら校門に向かいそれぞれ帰っていく姿
そしてその奥のグラウンドでは陸上部の生徒が走っている姿
そしてそのもっと奥の方では野球部が練習している姿


そんな生徒たちの姿をゆっくりと眺めた。






そんな空間を満喫していたら
突然、ガラっと美術室の扉が開いた。


ここの高校は伝統ある高校ということだが建物も古い。
その横開きに開く扉の大きな音にびっくりして音のする方を見ると
あの端正な顔立ちをした茶髪にピアスの男子学生が立っていた。





「……」

「……?」


確か 櫻井 っていったっけ?
その男子生徒の名前を思い出しながら
お互い無言のまま見つめ合う。


その顔を改めて見ると色白で目がクリクリとしてて
とても綺麗な顔立ちをしていた。


「……」

「……えっと、美術部 だったっけ?」


その生徒は扉を開けたまま無言で立っている。
ここの学校の美術部の顧問になってから10日あまり。
それまで誰も姿を見せたことはなかった。
だから進学校の美術部なんて運動部と違ってこんなもんかな
なんて思いながら一人この部屋を満喫していた。


最初に美術部の生徒の名簿も渡されたけど憶えていない。
だから確認するようにそう話しかけた。


「……いえ、違います」

「あ、そうなんだ?」


少しの沈黙の後、その生徒は違うと小さな声で答える。
なんだ違うのか?
そう思いながらその顔を見つめた。


「……」

「……どうして、ここに?」

「……さっき帰る時たまたま後ろを振り返ったら
大野先生が見えたので」

「……? あ~俺、ここの美術部の顧問なったんだ」


黙ったまま見つめているだけの櫻井に話しかけると
そう小さな声で答える。
美術室にいる事が不思議だったのかな?



「……」

「……?」

「そうなんですか?」

「うん」


そんな事を思っていたらしばらくの沈黙の後
少しびっくりした表情でそう聞いてきたのでそうだと答えた。


「……じゃあ、俺はこれで失礼します」

「……へ?」


そう言ったかと思うと櫻井はそのまま深々とお辞儀をして
ガラガラっと扉を閉め行ってしまった。


「……?」


呆然とその姿を見送る。
そしてゆっくりと外に視線を戻しそのまま眺めていると
櫻井が昇降口から出てきた。
櫻井は少し歩いたところでこちらを振り返ると、ぺこりと深々とお辞儀をする。
そしてそのまま一度も振り返ることもせず走っていってしまった。


「……」


4年前まで自分も高校生だったけど


高校生の考えてることって


わかんない。



そんな事を思いながらその姿を見つめた。













新しくきた副担の先生はなんというか
とても可愛らしい顔をしていた。


といっても大学を出ているから自分たちより5コは年上のハズ。
だけどどう見ても年上とは思えない容姿をしていた。


オオノ サトシ


黒板に書いた名前は妙に綺麗な字だった。


そして簡単に。
すごく簡単に
自己紹介をするとぐるっとクラスを見渡した。


一瞬目が合う。


まぁ、こんな学校でこんな髪の色でピアスなんかしてるの
あんましいないし目立つんだろうな。
そんな事を思いながら目をそらさず見つめた。


その人は少し驚いた表情を浮かべたものの
そのまますっと視線をぐるりと回し
そしてこれからよろしくと挨拶をした。


その姿を瞬きをすることもせずじっと見つめた。








その人は今までにないタイプの先生だった。


その容姿
その佇まい

そして存在感。




筋の通った綺麗な鼻
可愛らしい容姿
華奢な身体
綺麗な手
時折見せる美しくて
そして憂いのある表情


その姿を見るだけで何とも言えない気持ちが沸き上がってきて
ゾクゾクした。








ある日の帰り。
ふと校舎を振り返るとその人が外を見ている姿が見えた。


先生?


思わず校舎に走って戻りその人がいたと思われる
教室の扉を開けた。


扉を開くとそこにはコーヒーカップ片手に
窓に寄りかかって外を見ているその人の姿があった。
扉のガラガラという音にびっくりしたのか
少し驚いた表情でこちらを見る。


視線が合う。


「……」


そのコーヒーカップを持ち窓に寄りかかっている
姿がとても優雅で美しくて何も言えなくなる。


それからは何を話したか覚えていない。
ただ、聞かれるまま答えるだけで精一杯だった。


そして逃げるように退散した。


先生の普段の姿とはまた違うその美しさにドキドキした。


呼吸を整えながらゆっくりとゆっくりと靴を履き変える。
そして胸に手を当てた。
まだドキドキしている。


そして思い切って歩みだす。
少し歩いたところで後ろを振り返った。
上を見上げると先生がさっきと同じ体勢で外を見ていた。


そのまま深く深くお辞儀をすると
振り返ることもせずそのまま駆け出した。


心臓はまだドキドキしている。


学校が見えなくなってようやく歩調をゆるめた。



ありふれた日常 part25(ミュージックステーション 2/14)

2014-02-18 18:50:21 | 山コンビ ありふれた日常



[遅くなりました。そろそろ短編を、とも思ったのですがMステが素敵だったので]








「何でいつも照れくさそうなの?」

「へ?」


家に帰りまったりしていたら突然智くんがそう言ってきた。

……相変わらず主語がないし。


「あの向き合ってのダンスのところ」

「ああ~」


智くんが振り付けをしたBittersweet。
確かに言われてみると自覚はある。


「翔くんが照れくさそうな顔をするからさ~」

「……え?」

「何かさ、こっちまで照れくさくなってきちゃうんだよね~」

「ふふっごめん」


智くんが可愛らしく口を尖らせそう言ってきたので思わず謝った。
確かに間奏中の半円になって向き合って踊る場面、
智くんの顔を見ると何だか妙に照れてしまう自分がいる。


「ごめん、じゃねぇよ」


智くんは、怒ってるふうでもなく
ごめんじゃねぇよって笑いながら言ってくる。


「ふふっ何ていうかさ、智くんの振り付けだと思うと
何とも言えない気持ちになるんだよね~」

「何とも言えない気持ち?」


そう答えると智くんは不思議そうな顔をした。


「そう」

「そんなの、今までだってやってたじゃん」


智くんは納得がいかないって顔で見つめる。
確かに今までもソロはもちろん嵐の曲も何曲か
振り付けを担当している。


「そうなんだけど、さ」

「……?」

「でも、シングルでっていうとやっぱり特別っていうか、テレビだしさ」

「まぁ、それはそうだけど」


そう説明をすると智くんはやっぱり不思議そうな表情を見せた。


「で、その振り付けをした智くんが目の前で踊ってるって考えるだけで
何か照れくさくなってきちゃうんだよね~」

「……? そんなもんなんですか?」

「そんなもんなんですよ」


そう言ってきたからそんなもんなんですよって言って
二人で顔を見合わせ笑った。
何というか嬉しいって気持ちはもちろんあるのだけど
なぜか少しだけ気恥ずかしさもある。
だから本人を目の前に向き合って踊るって何だか妙に照れるんだよね。


「それにしてもあの振りホントかわいいよね」

「んふふっ」

「智くんってソロだとチャキチャキしてるのに嵐の曲ってなると
いつも可愛らしい振りなんだよね~」

「そんなこと前にも言ってたね」

「だって本当にそうなんだもん」


まぁ、曲のイメージもあるんだろうけど
嵐で踊るダンスはどれも可愛らしい感じがしていた。


「智くんにとって嵐は可愛いイメージなの?」

「んふふっそうなんだよねぇ」


そう言うと智くんは可愛らしい顔で、そうなんだよねぇと言って笑った。


「ふふっ結構みんないい歳なんだけどね」

「んふふ」


そう苦笑いをしながら言うと智くんは、んふふっと笑う。


「でも智くんがソロで踊るようなかっこいいダンスもいいよね。
ついていけるか自信はないけど」

「んふふっそんな事ないよ。それに今回翔くん忙しいのに大変だったでしょ?」


そう言えばデビュー当時。
智くんと自分たちのダンスのレベルが違いすぎて
智くんは自分たちのレベルに合わせるように言われていたんだっけ。


「今日って、バレンタインだったんだねぇ」

「そう言えば、そうだったね」

「なんかMステでもすごい特別感があったよね」


そんな事を思っていたら智くんがバレンタインの話をしてきた。
確かにMステではバレンタインで特別バージョンって言われてたっけ。


「あんな風に特別仕様でやってもらえるなんて感謝しなくちゃだね」

「うん、そうだね」


売れるようになって知名度があがり今回のように
特別にしてもらえることが以前より断然多くなった。
けど智くんはいつもそのことを当たり前と思わないようにしている
というのを言葉の端々や態度でいつも感じている。


スタッフの事もちゃんとスタッフさんって呼んだりしてるしね。
おごったりすることなくいつも感謝の気持ちを忘れないんだよね。


「バレンタイン、なんにも用意してないんだ。ごめんね」

「ふふっいいよ。俺も何も用意してないし」


そんな事を思っていたら智くんが申し訳なさそうにそういってきた。
だから自分もなにも用意できなかったから大丈夫だよと言うと
智くんは何とも言えない顔をした。


「……翔くんから?」

「ふふっおかしい?」

「うん、翔くんからバレンタイン貰うのって何か変な感じ」


そしてその言葉に智くんはそう言ってクスクス可愛らしい顔で笑った。


「そんなに変かなぁ? でもまぁ、俺はオリンピックの最中なのに
こうして一緒に過ごせるだけで大満足なんだけどね」

「んふふっ翔くんほんと忙しそうだもんね」


まさかバレンタインの日に一緒に過ごせるなんて
思ってもみなかった。


「そんな事ないよ。智くんだって今度ドラマ始まるんでしょ?」

「うん。ニノも」

「そうだったね。俺、密かに智くんの楽しみにしてるんだよね」

「んふふっ見てくれるの?」

「当たり前でしょ?」


智くんがそう聞いてきたから見ないわけ無いでしょ?
と思いながらそう答えると智くんは嬉しそうな表情を見せる。
こういうところがホントに可愛らしい人なんだよね。
それに本当にお世辞じゃなくって楽しみにしているんだけどね。


「あ~あ。やっぱ買っときゃよかったなぁ」

「ふふっホント大丈夫よ?」


そんな事を思っていたら、智くんは残念そうな顔をしてそう言う。


「……何か今日さ、翔くん イケメンなんですけど?」


だから大丈夫だよ? と言って智くんの顔を見ると智くんはまじまじと
顔を見つめそんなことを言ってくる。


「ふふっ今日だけ? いつもイケメンでしょ?」

「そうなんだけど。髪型かな? 何か照れる」


今日だけ? と不満に思いつつそう聞くと
智くんはそう言って照れくさそうな顔をした。
突然そんな事を言われるとこっちのほうが何だか妙に照れくさいんですけど。


「ふふっ嬉しいんだけどね。智くんもかわいいよ」

「可愛いって何だよ?」


だから照れ隠しにそう言うと智くんはそう言って頬を膨らませた。
それも可愛いんだけどね?


「ふふっ何だろうね? 智くんってかわいいって感じなんだよね」

「変なの」


そう思いながら答えると智くんは変なのって言って
そしてまた二人顔を見合わせて笑った。








そろそろ寝よっかと言って、いつものようにベッドに一緒に入る。


行ったり来たりで移動は大変だけどこうしてメンバーと会ったり
智くんと一緒に過ごすと心からほっとするんだよね。


「やっぱ嵐っていいね」

「んふふっ翔くん結構嵐好きだよね?」


そんな事を思いながら思わずそう呟くと智くんが、んふふと笑いながらそう言ってきた。


「うん。でもみんな結構好きじゃない? 智くんも好きでしょ?」

「んふふっ好き」


自分たち5人は何故か嵐というこのグループが昔から大好きだ。
こんな風になる前。
シングルが出せなくて不遇の時代と言われた時期もあったけど
それでも何故かみんな嵐が好きだった。


「ふふっ。相葉さんなんて年の3分の1は会いたいって言ってるしね」

「言ってた言ってた」

「どれだけ好きなんだかってね?」


相葉ちゃんはそう言っていたけど意外と5人とも
不思議とそう思ってたりするんだよね。


「んふふっいいグループだよね」

「ふふっ自画自賛してる」


智くんがしみじみとそう言うからおかしくなってそう言って笑った。


「だって本当にそう思うんだもん」

「まぁね。でも俺もそう思う」

「んふふっ」


そう言ってまた二人で笑った。


そして嵐のことはもちろんだけど智くんの事もね。
そんな事を思いながら顔を近づけると
そっとその唇に触れるだけキスをする。


「好きだよ」

「うん」


そう言うと伏し目がちにしていた目を大きく開ける。
そして目と目が合うとふっと笑う。


「Happy Valentineだな 」

「んふふっなにそれ?」


そのまま顔を近づけた状態のままそう言うと
智くんはクスクス笑う。


「ふふっ何となく言ってみたかっただけ」

「んふふっ変なの」


照れくさくなってそう言ったら智くんは変なのと言ってまた可愛らしい顔で笑った。

ありふれた日常 part24(VS嵐 1/30)&誕生日

2014-02-04 13:27:09 | 山コンビ ありふれた日常



『パーフェクト』


目標は、との質問に智くんはまっすぐな視線で
何の躊躇いもなくそう答えた。
そして自身の言葉を噛み締めるように頷いた。


そして智くんの順番になると相変わらず体重を感じさせない
軽々とした身のこなしと鮮やかな手の動き足運びで進んでいき
そしてあごの部分に難なく到着する。


そこからは自身の持つ筋力をフルに活用し
最後は体力と気力で見事に登りきって
宣言通りパーフェクトを達成した。


その姿を手すりをギュッと掴み
息をする事も忘れただただ見つめた。










「あれ? 今日約束してたっけ?」

「んふふっ、してなかった。
けど差し入れついでに顔見に来ちゃった」


ドアを開けると智くんはどこかから買ってきたらしい袋を
ブラブラさせそう言って可愛らしい顔で、んふふっと笑った。


「ふふっ嬉しいんだけどね。智くんも疲れてるんじゃない?」

「大丈夫。あ、でも邪魔だったら帰るから言って」


約束していなかったせいか智くんは
遠慮がちにそう言って立ち止まった。


「邪魔なんて事ある訳ないでしょ。
丁度、やめようと思ってたところだったし」

「ふふっ。相変わらず、資料すげぇね」


そう言いながら部屋に通しテーブルにあるものをどけようとしたら
智くんはそう感心したように言う。


「まぁ、もうすぐだしね」


オリンピックまで日も迫り取材やインタビューなど
事前に勉強しておきたい事が山ほどあった。
それ以外にも普段のゼロとかの資料もあるから
部屋の中は凄いことになっていた。


「そうだよね……そう言えばさ、大学ん時も凄かったよね」

「へ?」


そんな事を思っていたら思いもかけず学生時代のことを言われ
間抜けな返事をしてしまう。


「何かさ、休憩とか移動の合間にたくさんの本とか資料とか読んでたよね」

「そうだったっけ?」

「そう。翔くんはホントよく勉強してるよね」

「ふふっ。まぁ、仕事だからね」

「仕事でも、だよ。俺なんて学生時代から全然だもん」

「ふふっ後悔してるの?」


そう言えば以前から番組の夢診断でも時々そんなようなことを
言ってたり言われていたりしていたのが気になっていた。


「ん~わかんない。けどもっと勉強しておくべきだったのかもなって
翔くん見てると思うんだよね。俺には絶対そんな仕事できないし」

「ふふっ。そんな事ないよ。
でもさ、考えてみると16とか17で親元から離れてそこで2年間
一日何公演もしてって、そっちのほうが何か凄い事だよね」


智くんは自分たちが東京にいる時一人京都に行ってたんだよね。
もちろん一人だけってわけではなくて仲間も一緒だったけど。
でも10代で親元を離れてってどれだけ勇気がいった事だろう。


「んふふっ、今思うと若かったよね~」


そんな事を思っていたら智くんは可愛らしい顔で若かったよねぇ
なんて言っている。


「でもそれを乗り越えてきた智くんだから
精神的にも体力的にもタフなのかなって最近思うんだよね」

「そうかな?」

「うん、そうだよ。それにいいんじゃない? 
これまで通りお互いが出来る事を頑張っていけば」


自分には自分の得意分野が。
そして智くんは智くんの得意分野がある。


「んふふっそうなのかな」

「そうだよ。俺には芸術的才能もないし、
それに振り付けなんてとてもできないしね。
そう言えば新曲の振り付けも曲に合っててかわいいって凄く評判もいいんだよ」

「ふふっありがと」

「それにさ~さっきちょっと気分転換にって
VS見てて何だかシビれちゃったんだよね」

「んふふっVSで?」


智くんは意外って顔をして笑う。


「そう。智くんのクリフクライム見ててシビれた」

「んふふ、変なの」


智くんはやっぱり意味わかんないって顔してクスクス笑っている。


「だってあれって、いつも思うんだけどさ顎っていうよりか
ねずみ返しって感じがしない?」

「んふふ」

「あんなねずみ返しどう考えたって登れっこないでしょ」

「翔くんはあそこで筋トレやってるのって言われてたもんね」


そう言って智くんはやっぱり可愛らしい顔で笑っている。


「イヤ、あれどうやっても無理でしょ。2回連続でやってみてホント痛感した」

「ふふっこの腕についているのは何なんだろうね」

「筋肉ですけど何か?」

「その割には腕相撲も一番弱いけどね~」

「ふふっうるせーよ」


そんな事を言いながら二人で笑った。


でも実際やってみるとよく分かる。
あれを登りきるのがどんなに大変なことか。
しかも小柄な智くんにとってリーチ面でかなり不利だ。


でもそんな事をものともせずパーフェクトにしちゃうんだよね。
腕の力と足の力。そして腹筋と背筋。
技術とセンス。そして気力、体力。
そしてそのしなやかな身のこなしで見ている人を魅了するんだよね。


パーフェクトと言い切った姿は本当にかっこよかった。
有言実行だしね。
普段はふんわりしていて可愛らしい人なのにいざという時は
めちゃめちゃかっこいい人なんだよね。


弱そうに見えて本当は芯が強い人
京都では涙を流すこともあったと言ってた。
今でもその話を聞くとその時の智くんのもとに行って抱きしめたくなる。
でもそこを乗り越えてきたから人に優しくて自分に厳しくて
そして考えられないくらいタフで強い人なんだよね。


いつもその姿勢に感心している。
でも本人に言っても、そうかなって返されちゃうと思うけどね。
これだけ一緒にいてもその姿を見てはシビれている。
ずっとその姿を追いかけていきたくなる。


「今日来てくれてありがとね」

「うん」


そんな完璧ですごい人なのにその顔を見ると
なぜかホッとして穏やかな気持ちになる。
いっぱいいっぱい詰め込んで疲れきっていた頭が、
そして心が満たされ癒される。


もしかしてそれが分かっているからわざわざ来てくれ た?


きっと本人に聞いてもごまかされて
本当のことは言ってくれないだろうけどね。


「……智くん、好きだよ」

「うん」


そう言って顔を近づけると触れるだけのキスをする。


その持っているものすべてを尊敬している。
これだけ自分と正反対で自分にないものを持っている
同年代の人ってなかなかいないよね。


そんな事を思いながらその身体を優しくソファに押し倒し
その綺麗な顔を上から見つめる。
智くんは照れたように笑って伏し目がちになる。
その額にちゅっとキスをした。


そしてそのまま瞼に、頬に、と口づけを落としていく。
唇が離れると智くんがまっすぐな目で見つめる。
目と目が合ったから、ふっと笑いかけると
智くんも、ふって笑う。


「どうしたらいいんだろうね?」


そう言うと智くんは、ん?って不思議そうな顔で見る。
可愛くてかっこよくて、それでいて謙虚で穏やかな人柄で。
好きな気持ちと尊敬の気持ちがいっぱいすぎて
他が見えなくなりそうになる。


そんな事を思いながらその唇に唇を重ねた。









1月25日誕生日2014 (part2) 甘いだけOKの方のみ↓








まだ隣で眠っている智くんはすぅすぅと静かな寝息を立てている。
その寝顔を見つめた。


その顔はとても年齢を感じさせない可愛らしい寝顔。
昔からこの人の眠っている顔を見るのが好きで
よく眺めていたっけ。


そんな事を思いながらその顔を飽きることなく眺める。
そしてその唇にそっと指で触れてみる。
小さくて可愛らしいプルプルの唇。


そのままそっと顔を近づけていってちゅっとその唇に
触れるだけのキスをした。
唇を離しその顔を見つめると薄くまぶたが開く。


「……翔 く ん?」


まだ寝ぼけているのか目が合うとそう言って
またゆっくりと瞼を閉じた。


その顔がやっぱり可愛くてもう一度そっとキスをする。


「ふふっ。なあに」


そう言って目をこすりながらゆっくりと眠りから覚醒する。
その可愛らしい姿を見つめて思わず笑が浮かぶ。


「ごめん起こしちゃった?」

「ふふっ全然ごめんって顔してないけど」


そう言って智くんは、んふふっと笑う。


「あ、そっか」

「……?」

智くんは思い出したようにそう小さく呟いた。


「今日、誕生日だったね」

「ふふっ気づいてくれた?」

「んふふっ何日も前から言ってたしね」

「ふふっ」

「翔くん、誕生日おめでと」

「……それだけ?」

「ふふっ不満そうな顔してる」

「そりゃそうでしょ」


そう言うと智くんはゆっくりと身体をあげ頭の横に手を着くと
顔を近づけてきてちゅっと唇にキスをした。


そして唇が離れるとお互いにふっと笑った。
上にあるその綺麗な智くんの顔を見つめる。


「足りない?」


智くんがふっと笑ってそう聞いてきたから無言のまま
うん、と頷く。


智くんはまた、ふふって笑うと仕方ねえなって顔をして
もう一度顔を近づけてくる。
そして角度を変えながらちゅっと小さなキスを繰り返す。
唇が離れ目が合うとお互いにふふって笑う。


「もっと?」


智くんがそう聞いてきたからやっぱりうん、て頷いたら
少し呆れた顔をしながらも可愛らしい顔で、ふふって笑った。


そして小さく唇を開き唇を重ねてきたから
そのまま絡み合う深いキスをする。
その華奢な背中に腕を回す。
そしてそのままその身体が離れないようにぎゅっとその腕に力を込めた。


唇が離れるとお誕生日おめでとと智くんがにっこり笑って言ったから
ありがとって言ってその身体をまたぎゅっと抱きしめた。


そしてまたキスを強請った。