yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

いつか part2

2013-04-30 17:59:51 | いつか





あの人に会いたくて、何度も通う。



街でもその姿を追い求める。




“重症だな”



自分自身に苦笑いした。





でもそう簡単に会えるはずもなく、もう無理だと諦めかけていた


その時。


一目だけでも、という思いは


思いがけない形で実現する。








それは雑誌だった。


たまたま会社の隣のデスクのやつが
雑誌を開きっぱなしにして休憩に行ったので
何気なくその雑誌に目をやるとあの人が写っていたのだ。


「……」

「どうかした?」


あまりの衝撃に絶句していると
戻ってきた同僚が不思議そうに話し掛けてくる。



「……これ」

「ああ、最近よくテレビに出てくるようになったよね〜」


何とか声を絞り出すと
何も知らない同僚はそう言って笑う。


テレビ?


芸能人?



だからあんなに綺麗で惹きつけるものを持っていたのか。


信じられないという気持ちと納得する気持ちが交差する。



「どうかした?」


あまりにも呆然としていたせいか
同僚が心配そうに聞いてきた。


「……いや、何でもない」


でもそう答えるのが精一杯だった。









その日は同僚の誘いも断りすぐに家に帰った。
あの人のことが知りたい。
今すぐ知りたい。
どんな小さなことでもいいから知りたい。
片っ端からネットで情報を集めた。


そしてその人がオオノ サトシという名前である事。
自分よりも随分年下に感じていたが実際は一つ年上な事。
そして大手芸能事務所に14歳から入所している事。
歌手、そして俳優として活躍していることを知った。


“アイドルだったんだ”


確かに最近はニュース位しか見ない日々が続いていて
芸能関係に疎くなってたがまさか芸能人だったとは。
気がつかない、気にも留めてないって事は恐ろしい事だと思う。
これだけ街でも家でも情報が溢れかえっているのに全然気が付かなかった。



せっかく出会えたと思ったのにまさか芸能人だったなんて。
その人の事が分かった嬉しさと、その現実に落胆で目の前が真っ暗になった。










テレビで見るその人は実物で見かけた彼と同じように
ほんわかした雰囲気を持っていた。
そしてその人が出しているコンサートDVDを買いまくった。


そして改めて見るその人の存在感に衝撃を受ける。


とても同じ人間とは思えない動き、ダンス。
そして透き通るような綺麗な声。


“才能の塊じゃないか”


あのお墓で出会った時も打ち抜かれたが
DVDを見た時の衝撃はそれ以上だった。
その圧倒的な美しさ、しなやかな身体、そしてダンス。
どれをとってもアイドルという枠から外れている。


そしてダンスや歌ばかりではなく
俳優としても活躍する彼はまさに役者そのものだった。
役を完璧に掴んでいて別人になりきっている。
そして絵などの芸術的才能もあるようで個展を開いたこともあるという。


どれだけ才能を持ってるんだろう。
そんな事を思いながら毎晩その人のDVDを見つめた。


“とんでもない人だったんだな”


そうビール片手に独り言のように呟いた。









その日から毎日テレビやラジオの出演番組のチェックをしてDVDの予約をして、
その人の載っている雑誌を購入して、コンサートDVDや主演作品のドラマのDVDを見てと
すっかりファンの一人として日常生活を送るようになった。


そしていつかその人とまた偶然出会えるかもしれないと
少しだけ期待しながら今までほとんどしなかった
お墓参りに暇さえあれば通った。










そして、ある雨の日。







そこにその人がいた。




ありふれた日常 part8(VS嵐)

2013-04-24 18:47:25 | 山コンビ ありふれた日常


「あれ、しばらくこっちにはこないんじゃなかったっけ?」
智くんの家に帰ると、智くんは特にびっくりする訳でもなく
ソファに寝そべったまま、そう言ってふんわりと笑った。


「うん、そう思ってたんだけどね…」
あの収録の時の智くんお顔があまりにも綺麗だったから
何だか我慢出来なくなって来ちゃったんだよね。
そう思いながら曖昧に返事をする。


「仕事は大丈夫なの?」
忙しいことが分かっている智くんは、心配そうにそう聞いてくる。
「うん、今日はもうこれで終わり」
そう言って笑いかけるとそうなんだ、
と言って智くんも笑った。
その顔を見てなんだか無性にほっとする。


「でも、家での仕事はまだ残ってるんでしょ?オレ先に寝てるよ」
智くんは気を遣って一人にしてくれようとする。
そしてそのままソファから起き上がると部屋を出ようとした。
その智くんの手を行かないでと思わず掴んだ。
「……? 翔くん?」
智くんは手を掴まれたまま困った顔を見せる。


「まだここにいて。そうじゃなきゃここに来た意味がないじゃん」
そう言ってそのままその手を引き寄せると
智くんは困った顔のまま素直にソファに座り直した。


「オレ、先シャワー浴びてきたいからここで待ってて」
そう言い残し、シャワーを浴びにいく。
そしてシャワーを終えリビングに戻ると、智くんはすでにソファの上で
まるくなってウトウトしていた。


“相変わらずだけど、寝るの早くね?”
そう思いながら智くんの寝ているソファの前に腰掛け
頬にふれるとゆっくりと瞼が開かれた。
「ふふっ。眠くなっちゃったの? っていうか既に寝てたか」
そう笑いかけると智くんはまだ寝ぼけているのかボーっとしている。


しばらくぼーっと見つめていたがようやく目が覚めてきたのか
「ソファにいるとすぐ眠くなっちゃうんだよねぇ」
ソファに寝そべったまま照れくさそうに笑った。


“カワイイ”
収録時はやたら綺麗な顔をしていると思っていたが
照れくさそうに笑っている姿は、めちゃめちゃ可愛らしい。
そう思いながらその可愛らしく微笑むその顔を
手で包み込むようにふれた。


「しばらく一人でいるんじゃなかったの?」
智くんはいたずらっ子のような目になるとそう言ってきた。
「……そうは思っていたんだけど、ね」
やっぱりそんなことは到底無理だったと思いながら答える。
すでに1週間と耐え切れず今日ここに来てしまった自分に思わず苦笑いをする。


智くんは不思議そうな顔をしたままその後に続く言葉を待っている。
「…そうは思ってたけど、やっぱ無理だ。止めた」
そう智くんに宣言した。
「そうなんだ、オレは別に翔くんがいいならいいんだけどね」
智くんはそう言ってクスリと笑った。


今日の収録は、ドラマをやっている関係上対戦チームだった。
これまでもそういう事は他のメンバーも含め何度もあったけど
いまだ慣れる事はない。


いつまでも違和感が続いていて、そっち側が自分の場所だと痛感するばかりだった。
ゲーム中も寂しかった。たとえ隣に座っていてもチームが違うという事で
見えない壁のようなものを感じていた。
そしてやっぱり自分はそっち側の人間だと、
そちら側にずっといたいと強く思った。


「オレって嵐なんだよね?」
思わず確かめるようにそう聞くと
「んふふっ。当たり前じゃん」
智くんはおかしそうに笑う。
「そうだよなぁ」
そう言って二人で笑い合う。


「これからもずっと嵐でいたいし、智くんとも一緒にいたい」
今日どうしても智くんに逢いたかった理由がわかった。
「んふふっ。オレもだよ」
何も知らない智くんは無邪気に言う。


「智くん、好きだよ」
頬にちゅっとキスをすると今日の翔くん何か変だよ、と言って笑った。
その顔を見つめながらやっぱり自分にはメンバーや、ましてや智くんのいない生活なんて
とても考えられないと思った。


「愛してる、ずっと一緒にいたい」
その身体を確かめるようにぎゅっと抱きしめると
智くんは腕を背中に回し抱きしめ返してくれる。
そのまま顔を近づけていき唇を重ねると
その存在を確認するかのように深い深いキスをした。





[“5人で嵐”な嵐さんたちが大好きなんですよね]

ありふれた日常 part7(はなまるまーけっと)

2013-04-17 18:34:17 | 山コンビ ありふれた日常


そう言えば今日だっけ。


そう思いながら
朝の情報番組をつけると何やら翔さんが
嬉しそうに誕生日にもらったプレゼントの紹介をしていた。


“って大野さんのだけかいっ”
思わずテレビに向かって突っ込む。


“あまりにも、あからさますぎるでしょ”
そうは思ったがデレデレの表情を浮かべながら
嬉しそうに紹介している翔さんの姿を見て
何だかやたら楽しそうだからまぁいっかって思った。











「その服、番組で出したんだってね?にのから聞いたよ」
家に帰っていつものように部屋着に着替えると
智くんがそう言ってきた。


「そうなんだ〜。いいネタじゃないかなって思ってさ〜」
にの見てくれたんだ、さすがだね。
そして、その言い方だとあなたはきっと見てくれてないね?
と思いつつ返事をする。


「そんなもんですかね?」
智くんは不思議そうにそう聞いてきた。
「そんなもんですよ」
そう言って笑いあった。


「んふふ。でもにの、俺たちのあげたプレゼントの写真は
どうなったんだって言ってたよ」
智くんはそう言っておかしそうにクスクス笑う。


「あ〜」
思わぬ事を言われああそうか、とつい声に出したら
智くんが不思議そうな顔をして見た。
「実は、これしか撮ってなかったんだよね」
正直に答える。
「ひでぇ」
智くんはそう言いながらまたクスクスと笑った。


「にの怒ってた?」
確かにメンバーにもらったプレゼントの写真がなかったのは
不自然だったかなと思いつつ聞く。


「まさか、怒るはずないよ。相変わらずだなって言ってた」
智くんはニコニコしながらそう答える。
「相変わらずってなんだよ」←自覚がない人
そうブツブツ言っていると智くんはおかしそうに笑った。


「それ、気に入ってる?」
智くんが心配そうに聞いてきた。
「当たり前じゃん、この通り毎日着させていただいています」
智くんからもらったもので気に入らないものなんて
何一つないんだけどね、と思いながらそう即答する。


「確かに」
智くんは納得したように答える。
「凄く気に入ってるよ。ありがとうね、智くん」
そう言うと智くんはうん、と嬉しそうに頷いた。
その嬉しそうな顔が可愛くて思わず頬にチュッとキスをする。





家での仕事を終え、ベッドルームに行く。
そこにはすでにすやすやと眠っている智くんがいる。


その寝顔をしばらく見つめる。
長い睫毛だな、と思いながらそこに手をやると薄く目を開いた。
「あっゴメン。起こしちゃった?」
そう言うと智くんは終わったの?と心配そうに聞いてきた。


終わったよ、と言うと
凄く忙しそうだね、と心配そうな表情をうかべた。
「オレは大丈夫だよ。それより起こしちゃってごめんね。
おやすみ、智くん」
そう言って顔を近づけるとその額にちゅっとキスをした。


「……身体が心配」
智くんは眠る気配はなく顔を見つめたまま腕を伸ばすと顔を手で挟みそう言った。
「大丈夫だよ」
この人は健康や怪我などに人一倍敏感な人だから
心配するなという方が無理な気がした。


「無理しないで…」
そう言って顔を胸にうずめぎゅっと抱きついてきた。
「……分かってる、大丈夫だよ」
大丈夫としか言えないもどかしさを感じながら
その身体を抱きしめると胸にうずめていた
その綺麗な顔をゆっくりと上げる。


「好きだよ」
そう言ってその言葉の後に続く
“あまり心配しすぎて悩まないで”
という言葉を胸の中にしまい込む。


その顔を見つめゆっくりと唇に唇を重ね合わせる。
そしてその身体を強く強く抱きしめた。






[ちょっと削りました。  智くんは翔くんのあまりの多忙さにかなり心配しているんじゃないかな、と]

眠れる森の… part4

2013-04-11 18:53:14 | 眠りの森の…


[また続けちゃった。←山のイチャイチャが書きたいだけ]





幼馴染の翔ちゃんが連れて帰ってきた人は


不思議な雰囲気を持った人で


そしてとても綺麗な顔をしていた。



同じく幼馴染であるまつじゅんやにのが
その人にあって来たという話を聞き
すぐに会いに行くことを決める。



「こんにちはー」
そう挨拶をすると
「こんにちは」
そう言ってその人はふにゃんと笑った。


“あ〜カワイイ”
黙っていると綺麗な人だと思ったけど
喋るととたんに可愛らしい顔になるんだと感心しつつ
その顔を眺める。


その人は不思議そうな顔をして見つめ返す。
ちょうど自分との身長差でその人は上目遣いになる。
“何だ?この目線。ちょー可愛すぎるんですけど”
「あ、あのさ、まだここにきたばかりで退屈かな?って思って遊びに来たんだけど」
そう自分の顔が真っ赤になったのをごまかすように慌てて答えた。


「そうなんだぁ。んふふっ」
そう言ってまたふにゃんと笑うと家の中に通してくれた。


「……ねぇ、智は動物は苦手?」
部屋に通され、ドキドキしながら智にそう尋ねる。
智は唐突な質問にも関わらず特に気にする素振りもなく
大丈夫だと答える。


「ふふっ」
笑いがこらえきれずつい声を出して笑うと
智は怪訝そうな顔で見つめた。
「ふふっ。実はねぇ、連れてきちゃったんだ〜」
そう言って智がどんな反応を示すだろうと
ワクワクしながら服の中に手を入れると、
そこからふわふわしたものを取り出した。


「……これ、何?」
智は相変わらず怪訝そうな顔を浮かべたままそう聞いてくる。
「じゃーん。フェレットだよ」
そう言ってその顔を智の方へ向けた。
「何?これぇ?」
智はフェレットと見つめ合いながらそうおかしそうに笑った。


「フェレットといってアラシって名前なんだよー。
このこ大人しいから触ってみる?」
そう言ってアラシを差し出すと
智はちょっとおっかなびっくりといった感じで手を差し伸べてきた。


「ふわふわしてる」
アラシの身体を撫でながら智は頬を赤く染めそう言った。
“うわぁ、その顔も可愛いすぎ”


智がアラシと楽しそうに戯れている姿を見つめる。
智は次第に慣れてきたのか顔を突っついたり
見つめ合ったりしている。


「あー何だかオレ、智と合うみたい」
その姿を見ながら思わずそう呟くと智は、ん?
という顔をしてニッコリと微笑んだ。
“だから可愛すぎるから〜”
そう思いながら微笑み返す。


アラシもだんだん慣れてきたのか部屋中を駆け回る。
二人で追いかけながら走り回って遊んでいると
アラシが急に方向転換をした為ぶつかりそうになった。


「おおっと」
そう言って倒れないように智の両腕を掴む。
智は腕を掴まれたままゆっくりと上目遣いで顔を見た。


その顔があまりにも綺麗でそのまま目が離せない。
そして思わずその身体を自分の方へ引き寄せると
ぎゅっと抱きしめた。


ドキドキが伝わってしまうのではないかと
思ったがその手をどうしても離すことができず
しばらくそのまま抱きしめていると
「……相葉ちゃん?」
智がどうしたの?って顔で聞いてきた。


「あっ。ごめん ごめん」
慌ててその身体を離す。
「あいつどこいった?」
無言のまま見つめる智の顔を見ることができずそう言ってごまかした。


そうこうしているうちに翔くんが帰ってくる。



「何かされなかった?」
翔ちゃんは心配そうに智に聞いている。
何かってナニ?と思いつつ翔ちゃんを見る。
「うーん。抱きしめられた」
智はあっさりそう答える。


“ぎゃー智!それは言っちゃだめなやつでしょ”
そう思った時にはすでに遅し
翔くんに問い詰められ謝った。




「今日は相葉ちゃんと遊んでたんだ?」
あいばちゃんが帰った後、智に尋ねる。
あいばちゃんはああ見えて結構人に気を遣うタイプで
人見知りなはずなのに珍しいなと思いつつ智の顔を見ると
智は、ん?と見つめ返した。


「ううん、何でもないよ」
そう言ってその顔を見つめたままその唇にゆっくりと唇を重ねた。
そして唇を離しその顔を見つめる。
「……何でそんな切なそうな顔なの?」
智はゆっくり手を伸ばし頬を挟むと不思議そうに聞いてきた。


「おれ、切なそうな顔してる?」
そう聞くと智は頬に手をやったままうん、と小さく頷いた。
「……きっと智が愛おしすぎるせいかな?」
そう言って笑った。


「……オレ、翔くんのお友達と遊ばないほうがいい?」
智はそう言って少し考えるような顔をした。
「……そんな事ないよ。みんなイイやつらだし。
ただ ちょっと嫉妬しちゃっただけ。バカだね?」
そう言って笑いかけると、翔くんはバカじゃないよと言って智は小さく笑った。


「……智、愛してる」
好きだ。
どうしようもなく好きだ。
バカみたいに好きだ。
こんな事でも嫉妬してしまう位。


そんな心の中を見透かしたのか
「翔くん、好き」
そう言って腕を伸ばしてきたかと思ったらぎゅっと抱きついてきた。
今の自分はどんな顔をしているのだろう。
やっぱり切ない顔をしているのだろうか。


智が愛おしくてたまらない。
愛してる。
愛してる。


その顔を包み込むように手を添えると
その唇に唇を重ねた。
そしてそのまま深い深いキスをした。

ありふれた日常 part6(ひみアラ最終回)

2013-04-01 18:43:24 | 山コンビ ありふれた日常


「…終わっちゃった」
いつものように家に戻りソファと
リビングテーブルの間に座ってパソコンをやっていると
隣で同じように座っている智くんが
テーブルに顔を伏せたままそう小さく呟いた。


「……ああ、ひみアラ?
終わっちゃった ね」
そう言って横にいる智くんを見た。


5人でやってきた番組が終わってしまうのは
やはり悲しくて寂しい事だ。
たとえ自分がその後に番組をやる事が決まっていても
それは同じ事で寂しい事に変わりはない。


「寂しいね」
そう操作していた手を止めその頭に手をやると
智くんはうん、と小さく頷いた。


“また落ち込んでるな”
そう思いながらその頭を自分の方に引き寄せると
素直に頭を寄せてきた。


5人でやってきた番組が一つなくなるというのは
自分達にとってとても大きな事だ。
一番それを敏感にそして強く感じているであろう
智くんにとって多少なりとも影響を与えてしまう事は
仕方がない事のように思えた。


「おいで」
そう言ってテーブルを前側にずらすとその身体を引き寄せる。
智くんはそのまま素直に身体を寄せてきた。
そして自分の足と足の間に智くんの身体が
入るように座らせるとその身体を包み込むように
腕を回し抱きしめた。


こんな時、
5人はずっと一緒だから大丈夫だよ、とか
これからまた5人で新しい番組ができるように
頑張ろう、とか
そんな言葉を掛けたところで
智くんにとってはとても無駄なことのように思える。


智くんは人に相談したりするタイプではなく
自分の中でじっくり考え解決し前に進んでいく人だ。
それが嫌ってほど分かっているので何も言わない。
そのまま二人無言で過ごす。


どれ位そうしていたのか。
気がつくとスースーと寝息が聞こえてきた。
「……えっ?ちょっ、寝ちゃったの?」
その言葉に返事はなく虚しく寝息だけが響く。


“そのまま寝ちゃったのか”
こんな時でさえやっぱり可愛いなと思ってしまう
自分に苦笑いをする。


“ま、強い人だから明日にはいつもの智くんに戻ってるだろう”
そう思いながら身体をゆっくりとずらすと
その身体を抱え上げて寝室まで運ぶ。


“何かしょっちゅう俺が運んでない?この人の事”
運びながらも何だかおかしくなってきて
その身体を抱きかかえながらつい声を出して笑ってしまう。


ベッドに寝かせるとその顔を眺める。
その寝顔はいつみても年上とはとても思えないくらい
無邪気で可愛らしい寝顔をしている。


でもどれだけの実力と人気を兼ね揃えていても
この人はまだ少しの劣等感と不安が消せてはいない。
羨ましい位の才能を持ち合わせながらも
今回の事はまた置いていかれると不安を感じているのだろうか。


“愛している”
その眠っている顔に向かって独り言のように呟くと
頬にちゅっとキスをした。
しばらく飽くこともなくその寝顔を眺めていたが
その眠っている顔におやすみ、と言って額にキスをすると
リビングに戻り仕事を再開した。