プロポーズを受け入れてもらい、サトシを自分の村に連れて帰る。
相手が男ということで不安がない訳ではなかったが、
そんな心配は無用だった。
最初はびっくりしていた家族や村人も
サトシの容姿とその優しくて穏やかな性格に
すぐに納得し祝福してくれる。
興味本位で遠くから見に来る者もいたが、
みな顔を見ると納得し帰っていく。
そしてショウの幼馴染3人もやってくる。
「ほんと可愛い顔しているよね」
「俺が行って助け出せばよかったよ」
「俺のお嫁さんになる?」
と口々に好きなことを言っている。
「何言ってるんだよ、にのはめんどくさいって言ってたし
まつじゅんは用事があるって言ってたし
あいばちゃんは町に遊びに行くって言ってみんなこなかったじゃん」
そう文句を言う。
「そりゃまあ、そうだけどさあ」
「こんな可愛いこ連れて帰れるなら、俺が行けばよかったなあ」
などと、言いたい事を言う。
「もうダメだよ、俺のお嫁さんなんだからね」
そう言って釘をさす。
普段、ショウは外に仕事に。
サトシは家の事をしたり趣味をしたりして過ごす。
二人の生活はそれなりにうまくいっていた。
ある日のこと。
ショウが仕事から帰るとダイニングで仲良く椅子に座っている二人の姿がある。
あれは、にの?そう思いながら近づく。
よく見るとサトシの手の上に、にのの手がのっている。
にのー。何しちゃってんだよ?そう思いながら
「何してんの」
努めて冷静に話しかける。
「あ、ショウくん。おかえり」
ショウの存在に気づいたサトシは呑気にそう言ってむかえる。
「ただいま、サトシくん。
ところで、にの。何してるの?」
問いただすように、そう言うと
「サトシが寂しいんじゃないかと思って話し相手に
なっていたんですよ」
特に悪びれた様子もなくそう答える。
「じゃあその手は何?」
その重なった手が気になる。
「何かサトシの手って気持ちがいいんですよ」
なんだとー。気持ちがいいだとー。
よくそんな事俺に言ってくれるね?
そう思いながらも、ちょっと心配になり
「サトシくん、にのに何か変なことされなかった?」
そう聞いてみる。
「変なことってなんだよ?」
にのは不満そうに、横槍を入れる。
「ううん、ずっと寂しいだろうからって、話し相手になってくれてたの」
にっこりしながらそう答える。
ああ可愛い。あまりの可愛さに倒れそうになる。
「それだけ?」
なんとか持ち直し、他に何かされてないか確認する。
「あ、ちゅってされたけど」
ちゅう?だとー。にのー。叫びたくなる気持ちを抑え
「で、どこに?」
慌てて聞く。
「うーんとね、唇。でもここの挨拶みたいなもんなんでしょ?
にのがそう言ったよ。ね?にの?」
にのは、バレちゃったというように舌を出し、えへっという感じで笑っている
顔を見ると
「洒落ですよ、洒落」
と言いながら笑っている。
「にの」
強く言うと
「もうしませんってば」
そう言ってぺろりと舌を出す。
もー油断も隙もあったもんじゃないんだから、そう思いながら溜息をつく。
またある日のこと。
ソファでサトシの肩を抱いている姿があった。
またかよっ今度は誰だよ?もしかしてまつじゅんか?
二人に近づき何してるのか問うと
「いやあ困ったことはないかと思って様子見に来たんだよ」
と答える。
もう、まつじゅんが優しいのは知ってるけどさあ。
でもその手はなんなの?そう思いながら問いただすと
「ああ、これ。何だか落ち着くんだよ」
落ち着くって。もー精神安定剤じゃないんだから。
そう思いながらも、やっぱり心配になり
「サトシくん、他に何かされてない?」
まつじゅんは、にのと違って何もしていないよね?そう願いながら聞く。
「ううん。ただ頬にちゅっとされただけ」
まつじゅん、お前もかー。
もう、にのと言い、まつじゅんと言い油断も隙もないんだから。
そう思いながらも問い詰めると
「いやごめん、ごめん。なんか隣にいるサトシの顔見てたら無意識にやってたんだ」
やってたって、まつじゅーん(涙)
「すまん、気をつける。」
素直に謝る。
またある日、家に帰ると、きゃっきゃ騒いでいる声がする。
一緒にいるのは、あいばちゃんか?もう何してるんだろ?
そう思いながらも問いかけると
「サトシが暇じゃないかなって思って、一緒に遊んでたの」
あいばちゃんは嬉しそうに答える。
遊んでたってホント?
本当にそれだけ?あいばちゃんには何もされてない?そう思いながら聞くと
「うーん。ちょっと抱きつかれた」
あいばー。
「いや遊んでて、はずみでね。はずみだよ」
慌てて弁解する。
「はずみ?」
疑いの目を向けると
「ごめんなさい。気をつけます」
すぐに謝る。
んもー。どうなの?どうなの?
さとしくんー。君は俺のものだよー。
心の中で叫ぶ。
夜、ベッドに一緒に入り
「サトシくん」
そう話しかけると
「うん?」
可愛らしい顔で首を傾ける。
ああかわいい。まあこれだけ可愛らしくて魅力的だから仕方がないと言えば
仕方がないんだろうけどサトシくんが心配だよ。
そう思っていると
「ここの村の人たちみんないい人たちだね。
誰も知らない場所に来て凄く不安だったけど
みんな優しくて気を遣ってくれるから嬉しい」
そう言ってにっこり笑う。
「そうだね」
みんな優しいのはサトシくんが優しいからだよ、と思う。
そして誰も知らない土地に来て不安だろうと、
みんな、それが分かっているから頻回に顔を出してくれているんだろう。
いちいち怒ったりせず感謝しなくちゃいけないな、と反省する。
「サトシくん、好きだよ」
そう言ってぎゅっとその身体を抱きしめる。
そして少し腕の力を弱め顔を見つめる。
そしてその綺麗な顔に唇を近づけるとちゅっとキスをした。
[続けちゃったので前半削りました]