yama room

山コンビ大好き。

ブログではなくて妄想の世界です。

きらり

つないだ手 エピソード3

2012-08-28 15:10:25 | つないだ手
ある日、グループのメンバーとして活動することに決まった。

大好きなあの人も一緒に。



その人はグループで一番年上でリーダーという役割では
あったけど全然リーダーぽくなくて。
まとめたり仕切ったりするのが苦手なんだと笑っていた。


それでも歌は一番上手だし、ダンスもケタ違いだったから
メンバーはみな一目置いていた。
みんな穏やかな性格のその人のことが好きだった。

特に翔くんなんて周りから見ていてもわかるくらいで。
頭のいい翔くんはいつもさりげなくその人をフォローしたりして。
傍からみてもその人を凄く大事にしているのが分かるくらいだった。

そんなあつかわれ方が嫌いじゃないその人はその状況を素直に受け入れていた。
そして元々長男気質で、しっかり者の翔くんを
心から頼りにしているのがいるのが傍から見ていてもよくわかった。


だんだん翔くんのものになっていく。


それを見るだけしかできないでいるオレに
「いいの?」
相葉ちゃんが心配そうに聞く。
「何が?」
何を聞かれるか分かってたけどとぼけて聞き返す。
「大野くんのこと。ずっと好きだったんでしょ?」

意外と鋭いヤツと思いつつ
「仕方ないじゃん。あの人のことみんな好きでしょ。
相葉ちゃんだって好きでしょ?あの人のこと。」
そう言うと

「まあね。何だか分からないけど惹かれちゃう人だよね。
それに何故か守ってあげたくなるような人だよね」
そう笑顔で答える。
「俺たちの方が年下なのにね」
お互いそう言って笑いあった。

「しかも可愛い顔しているしね〜。」
思いがけない相葉ちゃんの言葉にびっくりして相葉ちゃんを見ると
照れたように笑っている。
「あれは反則だよね」
相葉さんもそう思ってたんだと思うと何だかおかしくて
そう言ってまた二人で笑いあった。


その人の周りにいる人たちはその人のことがみんな好きになる
同じメンバーとして活動する前からそんなの分かりきっていたことだけど
実際目の当たりにするとやっぱりそうなんだと感心さえしてしまう。


翔くんがあの人に惹かれていくのはわかってた。
翔くんには、何だか分からないけどとてもかなわない気がする。
年上の二人の中にはとても入っていけない雰囲気がある。
だから仕方がないけど見守ることに決めた。


二人きりになった時にその人をつかまえ聞く。
「オレのこと好き?」
そんな、いつものオレの言葉にも
「うん。大好きだよ」
そう言っていつものように優しく答えてくれる。

「好き」
そう言ってぎゅっと抱きつくと優しく抱きしめ返してくれる。
そういうところも好き。
その人のことはずっと大好きだけど見守ることに決めた。

「これからも優しくしてね」
抱きついたままそう言うと、その人は不思議そうな顔して
「…?うん」
そう一言だけ答えた。
「好き」
もう一度そう言って頬にちゅっとした。
「ふふっ」
その人は笑いながらも嫌がらずされるがままじっとしていてくれる。
こんな誰からも気に入られて好きになられるこの人を自分のものになんて
今の状況では所詮無理な話だよね。

「大好き」
そう思いながらそう言ってもう一度ぎゅっと抱きついた。

つないだ手 エピソード2

2012-08-18 22:39:19 | つないだ手
自分の手が好きじゃなかった。


指も形も大きさも。



その人は手のモデルじゃないかと思うほど美しい手をしていた。
細くて長い綺麗な指を持った綺麗な手。
その人のことが大好きだったけど特に大好きなのがこの綺麗な手だった。


「大野くん」
その人の姿を見つけると、かけ寄っていってその大好きなその人のその手を握る。
その人は手をつながれても嫌な顔一つせずそのままでいてくれる。

そしてつないだその手をまじまじと見つめる。
「綺麗な手だね。オレ自分の手が嫌いだからこの手が羨ましい」
そういつも思っていることを口にする。
「ええ?嫌いなの?何で嫌いなの?」
思いもかけない言葉だったようで心底びっくりしたようにそう言う。

「何でって。」
そんなのわかりきっていることじゃんと思いながら
「だって形も悪いし指も短いし…。
大野くんみたいに綺麗な手じゃないし…。」
そんな当たり前なこと、と思いながら答える。

「ニノの手は可愛らしい手だよね」
自分では想像しなかった言葉がその人の口からでる。
「か、可愛らしい?」
びっくりして聞き返す。
「うん、可愛らしい手だなってずっと思ってたよ。」
そう何でもない事のように自然に答える。
「この手が?」
今までどちらかと言えばコンプレックスだった自分の手を見つめる。

「うん。ニノの手。
可愛らしい手だからオレは好きなんだけどね」
大好きな人から思いもしなかった言葉が突然でるから
何だかわからないけど涙が出そうになる。

「好き?この手が?」
涙が出そうなのを堪えながらもう一度確かめたくて聞いてみる。
「うん、オレは好きだよ」
はっきりとその人はそう答えた。

その言葉がただその場を取り繕うための言葉じゃなくて
心からその人がそう言ってくれているというのがこの時なぜだか分かった。

「そうなんだあ、大野くんはこの手が好きなんだ」
思わず嬉しくて同じ言葉を繰り返す。
「うん」
同じ事を何度聞かれても嫌な顔もせずにっこりと微笑みながらそう答えてくれる。


「大野くん、大好き」
こういうところも何もかもやっぱりこの人が大好き。
そう思って思わずその人に抱きつく。
「ふふっ。ニノはそういつも言ってくれるね」
大人なその人は優しくて大きくて自分の中でとてもとても大きな存在。


「だって本当に大好きなんだもんっ」
そう言っていつものようにキスの真似をして
逃げようとしたらチュッと思いがけず唇にキスをされた。

びっくりしたのと嬉しさとから顔が真っ赤になったのがわかった。
「ふふっ。びっくりした?」
嬉しそうにその人はそう言った。
唇に手をあてたまま、うん、うんと頷くことしかできない。
「いつもキスしようとしてきてフリだけで逃げちゃうから
今度きたらこっちからしちゃおうって思ってたんだ〜」
そう大人なあなたは余裕の顔で嬉しそうにそう言う。


そんなあなたが大好き。
大人なあなたは二枚も三枚も上手で3つ下の自分にはとてもかなわないけど。


好き。大好き。


そして大好きなあなたがこの手を好きだと言ってくれたから
嫌いだったこの手がこの日から少し好きになった。

つないだ手 2

2012-08-07 15:48:51 | つないだ手
その人が京都に行くと聞いたのはそれからすぐの事だった。


だけどどうしてもその話が信じられなかった。嘘だと思いたかった。
そして本人に直接確認してみたかった。

でも、その人はいつもその人と同じくらいの年の人と一緒にいたから
話しかけるのは至難の業だった。
歯がゆい気持ちを抑えながら遠くからその人を見つめる。
その人はいつもと変わらず周りにいる人達と笑顔で話をしている。

その姿を見るとその人が京都に行ってしまうなんて考えられなかった。
何とか一人になった瞬間を見つけ話しかける。
誰もいない場所に連れて行き本人に直接確認する。
「大野くん、京都に行くって本当?」
嘘だと言ってもらいたくて、そんな事ないよって言ってくれると信じて、
心の中で強く願いながらそう聞く。

「うん。」
そんなこちらの思いも知らずあっさりそうだと答える。
「何で…?何で行くの?ここにいればいいじゃん」
京都だよ。京都って言ったら凄く遠いんだよ。
逢いたくてもすぐに逢えない距離なんだよ。
本当に分かってる?そう心の中で訴える。

「うーん。もう決めちゃったから」
その人はまっすぐな目をしてそう答える。
本当なんだ。その現実が重くのしかかる。

もうここにきてもあなたはいないんだ。
あなたを見つめているだけでよかったのに。
あなたのダンスを見ているだけで満足だったのに。
ここに来てももうそれができないんだと思うと絶望しかなかった。

「京都なんて行かないで」
我が儘を言っているのは分かっている。
でも言わずにはいられなかった。
その人は困った顔で黙ったまま見つめ自分を傷つけない言葉を探している。



あなたの周りにはいつも人がいた。
体つきが華奢で綺麗な顔のあなたは周りの人に
何だか守られているみたいだった。
そして自分もいつかその中に入りたいと思っていた。

自分は3つも年下で今の状況ではとてもじゃないけどあなたを
守ることなんてできない。
ましてや中学生の自分には京都についていく事さえもできない。
そんな現実が歯がゆかった。



「好き」
いつも伝えているけどやっぱり伝えたくてそう言った。
「…知ってる。」
優しいあなたは微笑みながらそう答える。
「行かないでなんて言ってごめん。
ずっと待ってるから、すぐ帰ってきて」
京都に行くと決めてしまったあなたを変えることなんて
今の自分にはとてもじゃないけどできない。
諦めてそう言うと
「たまに帰ってくるから」
ちょっと安心したようにあなたはそう言った。


「好き」
好きだという思いがあふれもう一度言った。
そしたらゆっくりゆっくり顔を近づけてきたかと思ったら
頬にチュッとされた。
びっくりして顔を見つめるとふふっといつものように笑いかける。
そして
「知ってる」
優しく微笑みながらもう一度そう言った。


「好き。大好き。」
耐え切れずそう言って抱きつくとその人は優しく身体を抱きしめ返してくれた。








大宮でした。

つないだ手 1

2012-07-24 17:35:10 | つないだ手
人に興味なんてなかった。

あの人に出会うまでは。


その人と初めて会ったのは中学の時。
その美しい顔に目を奪われた。
そしてその人の踊るダンスに夢中になった。


「大野くん、今日は何していたの?」
そう言って大好きなその人の手に自分の手を回す。
3歳年上のその人は手を繋がれても特に嫌がりもせず
「う〜ん、別にい」
と言いながらされるがままでいる。

「そっか」
そう言って大好きなその人の手を見つめる。
綺麗な手。男の人の手じゃないみたい。
細くて長くて綺麗な指。

「だ〜い好き」
そう言って腕に手を絡めると
ふふっといってその人は笑う。

こんなに一人の人に執着したのは初めて。
そんな自分に自分が一番ビックリなんだけど。

この場所に来て一番にする事はその人を探すこと。
もう日課というか癖みたいになってしまっている。
そしてその人の踊るダンスを嫌ってほど見つめる。
綺麗なダンスを踊るその人は、その周りだけ空気が違ってみえた。


あの手この手でその人に近づき、やっと話せるようになったのはつい最近。
好き、という気持ちを伝えたくて手を繋いだり好きだと言ったり。
まあ3歳年下の同性から言われてもって感じだったとは思うけど。

もっと話したくてもっと一緒にいたくて話しかける。
その人は嫌がらずに何でも聞いてくれるから。
手をつないだり抱きついても嫌がらずにそのままでいてくれるから。
ますます自分の中でその人の存在が大きくなる。
好きって気持ちが強くなる。

俺ってこんなタイプだったっけ?
もっとクールで斜めから見ているタイプじゃなかったっけ?
こんな自分から好きとか手を繋ぎに行くとか言うタイプじゃ絶対なかったはず。

でもその人は別。その人は自分にとって特別な人。