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きらり

ありふれた日常 part32(ARASHI BLAST in Hawaii)

2015-05-27 19:49:40 | 山コンビ ありふれた日常





『ひらひらと~』




少し、ひと休みするつもりが


まるっと一ヶ月過ぎてしまいました。


そして相変わらず人様より何テンポも遅れて


ハワイです。






あの日。






一番感極まっていたのは


実は、翔くんだったんじゃないかと


思うのです。













コンコンとノックの音がして扉を開けると
そこには翔くんがいた。


「……?」

「……」


今はまだコンサートが終わったばかりで
部屋に戻ってから数分も経っていない。
確かにこの後みんなでご飯を食べに行こうという話には
なっていたけど、でもまだ集まるには早すぎる。


そう思いながら、どうしたんだろう? 
と翔くんを見つめると翔くんも何も言わず見つめてくる。
その顔はなんだかいつもと違って、泣きそうな顔をしていた。


「……どうしたの? まだ約束の時間には、早いよね?」

「ごめん」


その表情が気になりつつそう聞くと
翔くんはごめんと申し訳なさそうに謝った。


「……?」

「……ちょっと いい?」


そして翔くんはちょっといい? と遠慮がちに言うと
きっと疲れているのに悪いと思っているのだろう
やっぱり申し訳なさそうに部屋に入ってきた。


そして数歩部屋に入ってきたところで突然立ちどまる。


翔くんの顔を見たらやっぱり翔くんは泣きそうな顔をしていた。


「……」

「……?」


そして向かい合わせで並ぶように立つと
翔くんは何も言わずゆっくりと腕を伸ばしてきて
覆いかぶさるようにぎゅっと腕を回し抱きついてきた。


「……」

「……!」

「ごめん」

「……?」


突然のことに何も言えず、されるがままの状態でいたら
翔くんが、ぎゅっと回した腕に力を込めた状態のまま
ごめんと謝ってくる。


「……このまま」

「……?」

「もう少しだけ、このままでいて」

「……」


そしてその状態のまま翔くんは、このままでいてと言った。
その声は何だか少し震えていて泣いているみたいだった。
だからそのまま身体を預けゆっくりとその背中に腕を回す。









この人は3人兄弟の長男という立場で育ってきたせいか
ニュースキャスターという仕事をしているせいか
しっかりものというイメージが確立してしまっているせいか
いつからかあまり感情を表立って出さなくなったように思う。


昔は出してたのにね。


そんな事を思いながらぎゅっと抱きついてくる
その身体に回した手で背中を優しくポンポンとした。


「……」

「……」


どの位そうしていただろうか。


「……」

「……ふふっ」


お互い何も言うこともなくただ抱き合っていたら
突然翔くんが、ふふっと笑いだした。
だから、なんだろうとゆっくり身体を離し
その顔を見つめる。


「……?」

「充電完了」


そしたら翔くんが充電完了と言ってにっこり笑った。


「……充電 完了?」

「そう。ありがと智くん」


意味が分かんなくて翔くんに聞き返したら、
翔くんはそう言ってさっきまでの表情とは打って変わって
爽やかに笑った。

















智くんは不思議そうな顔をする。
当たり前だよね。
無事にコンサートが終わったのに
突然何も言わずに抱き付いているんだから。


「俺さ、あの挨拶の後、seasonでやばかったんだ」

「やばかった?」


そう言うと智くんはやっぱり不思議そうな顔をする。


「うん、15年分の思いが思いのほか溢れてきて、必死に堪えてた」

「んふふっ、翔くんは人前で出さない人だからね~」


そう言って智くんは、んふふっと笑う。


「でもやっぱり耐え切れなくなって会いに来ちゃった」

「ふふっそっか」


そう言うと智くんはそっかと言って笑った。



この人はいつもそうだ。
何も聞かずただ受け止めてくれる。


「やっぱかなわねえな」

「……?」


そう言うと智くんは意味わかんないって顔をして
見つめてくる。
でも、知らないでしょ?


いつもこうやって何も聞かず受け入れてくれて
新たな気持ちにリセットさせてくれるのは
唯一の年上である智くんだけ。


何でだろうね?


やっぱり長男だから下には甘えられないっていうのが
根本にあるせいなのかな?
それとも智くんという存在そのもののせい?


「……」

「……?」


そんな事を思いながら、智くんを見つめると
やっぱり智くんは不思議そうな顔をして見つめてきた。


「ごめんね、疲れてるとこ邪魔しちゃって」

「んふふっ大丈夫だよ」


舞台で涙を流していたその人は
もうすっかりすっきりとした表情になっていて
そう言って可愛らしく笑う。







15年間。


決して順調な事ばかりじゃなかった。
コンサートができない年もあった。
CDが出せない時期もあった。


あの挨拶の後
そんないろんな思いが溢れ出てきて止まらなくて
無償になぜかあなたに会いたかった。


ずっと堪えてた思いを
一人でなんてとても消化できなくて
一緒に戦い二人で下3人を支え引っ張り生きてきた
あなたとどうしても会いたくて
そしてその存在を確かめ合いたかった。


「ありがと、智くん」

「うん」

「じゃあ、また後でね」

「うん」


突然こんなことをしても
あなたは訳も聞かず、何でもない事のように
あっさりと受け止めてくれて
そして優しく大きく包み込んでくれる。


そしてこんな事があった後でさえも
きっと誰にも気づかれないくらい
何事もなかったかのようにふるまってくれる。










「好きだよ」

「んふふっ。知ってる」


いつも言ってるけどやっぱり伝えたくて
そう言うと、智くんは笑いながらやっぱり
何事もなかったかのように、知ってるって答える。


でも、どれだけその存在に救われ助けられてきたのか


あなた自身が一番知らない。




そう思いながら


もう一度だけ充電させてと


心の中で呟き




そして




その身体をぎゅっと抱きしめた。