
栃木駅構内の栃木市観光案内所に「吾一からくり時計」があった。
一日に何回か作動する。12時に動いたので観てきた。

昭和初期の蔵の街のにぎわいと巴波川(うずまがわ)に浮かぶ舟などを表している。

蔵が少し動いて、奥から山車が出てきた。山車は栃木の秋まつりに繰り出して大いに賑わうらしい。

山車の上に乗っているのは静御前のようだ。山車のことは明日にでも書くことにしよう。

街角には一人の少年がいる。
栃木市出身の山本有三の小説「路傍の石」の主人公・吾一だ。
吾一は頭が良くて中学に行きたかったが、父親の放蕩のせいで諦めざるを得なかった。
小学校を卒業した吾一は父親の借金のカタとして、街一番の呉服商・伊勢屋に丁稚奉公に出される。
母を亡くした後、東京に出て苦労しながらも成長していく。

駅前に「路傍の石」の碑があった。
たったひとりしかない自分を、
たった一度しかない一生を、
ほんとうに生かさなかったら、
人間、生まれてきたかいがないじゃないか。
吾一は貧しさ故に中学校に行けないことを悲観し自暴自棄になって汽車の鉄橋にぶら下がって死にかける。
その時に担任の次野先生が吾一に語りかけた言葉だ。
小説「路傍の石」は「真実一路」とともに小学生の時に出会ったが、内容はすっかり忘れていた。