4月6日(土曜) 、Net4Uのユーザー会を新潟県瀬波温泉大観荘で行いました。
庄内医療情報ネットワーク協議会はおもに「ちょうかいネット」の運用を協議する会議体です。
https://www.nihonkai-hos.jp/choukai-net/
今回の協議会では、介護施設を含めた、参加割合が報告されました。
医科診療所において、酒田地区の参加率が59.6%、鶴岡地区は26.5%と大きな差があります。
また、介護施設においては、
地域包括支援センター 酒田地区:51.6%、鶴岡地区16.7%
居宅介護支援事業所 酒田地区:67.4%、鶴岡地区46.2%
訪問看護 酒田地区:54.5%、鶴岡地区83,3%
介護老人保健施設 酒田地区:35.7%、鶴岡地区7.7%
と、訪問看護以外は酒田の参加率が高くなっています。
ちょうかいネット
はじめに
3月2-3日に日本医師会館で開催された日本医師会医療情報システム協議会を聴講したので報告します。今回の協議会のメインテーマは、「医療DXで何が変わるか!~国民と医療者が笑顔になるために~」でした。ところで、医療DX(Digital Transformation)とは具体的に何を指すのかご存じでしょうか?医療DXは、「全国医療情報プラットフォームの構築」、「医療情報の標準化」、「診療報酬改定DX」が3本柱ということになっていますが、本協議会では、厚労省から、オンライン資格等確認システム、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービス、診療報酬DXの現状と今後が報告されました。以下、テーマに沿って報告します。
・オンライン資格確認システム
オンライン資格確認システムは、義務化されてこともあり、全国97%の医療機関に導入されています。医療機関・薬局と支払基金・国保中央会のサーバ間に閉鎖されたネットワークを構築することで、保険証の資格を確認できるだけではなく、本人の同意のもと、本人が通院している医療機関での処方や処置内容を閲覧できるようになります。アクセスするには基本的にはマイナカード(マイナ保険証)を利用しますが、従来の保険証情報でも資格確認は可能です(他院からの処方などの情報は閲覧できません)。また、また患者本人もマイナポータルを利用することで通院している医療機関からの処方を参照することができます。
今年の12月5日には紙の健康保険証が廃止されマイナ保険証に一本化されますが、現状でマイナ保険証の利用率は全国平均で5%を下回っており、マイナ保険証がどこまで普及するのか不透明な状況が続いています。国としては、マイナ保険証普及へむけて、保険者からの周知、医療機関などへの支援金制度、診療報酬での評価などの導入を考えていますが、反対意見も多く困難が予想されます。
・電子処方箋
電子処方箋は電子処方箋管理サービスを利用し、現在紙で行われている処方情報および調剤情報のやりとりをオンライン化する仕組みです。処方箋の電子化により、薬の重複や併用禁忌などが正確かつ迅速にチェックできるようになりますので、より安全で無駄のない処方が可能となります。また、救急や大規模災害、パンデミックでの活用も期待されています。しかしながら、電子処方箋を導入するには電子カルテあるいはレセプトコンピュータの改修が必要であり、診療所では40-59万円程度かかります。19.4万円を上限に国が負担しますが、電子処方箋の有用性は理解していたとしても、今のところ医療機関にとって経済的メリットは少なく、医療機関の普及率は1%以下にとどまっているのが現状です。(なお、薬局での普及率は、10数パーセント程度、全体で6%)また、電子処方箋はその仕組みから、地域の多くの医療機関が参加しないと十分な有用性を享受できません。病院を中心に地域全体で一斉に導入する成功事例を積み上げていく必要があるのではというのが私の意見です。
なお、日本海総合病院は電子処方箋のモデル事業(全国から4地区)に参画し、先行事例として実証事業を行いました(参加施設:病院2,診療所2,調剤薬局17)。
・電子カルテ情報共有サービス
医療DXの3本柱の一つとして、オンライン資格確認システムを拡充し、レセプト・特定保健等情報に加え、予防接種、電子処方箋情報、自治体検診情報、電子カルテ等医療情報などを共有・交換できる全国医療情報プラットフォームの創設が挙げられています。全国医療情報プラットフォームの優れた点は、ほぼすべての医療機関の公的保険の患者情報が繋がっていることにあります。
・診療報酬改定DX
従来、診療報酬改定時のレセコンの改修作業は、期間も限られるためITベンダーにとっては大変な作業を強いられていたようです。診療報酬改定 DX では、デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、SE人材の有効活用や費用の低廉化を目指すとされています。具体的な取組には、①共通算定モジュールの導入、②診療報酬改定の円滑な施行があげられており、開発主体・体制、費用負担のあり方を含め対応方針を検討し、今年度中に結論を得るとされています。
・全国医療情報プラットフォームと地域医療情報ネットワーク
オンライン資格確認システムで構築したネットワークを利用した全国レベルでの医療情報共有のしくみを全国医療情報プラットフォームと呼んでいます。一方で、地域にはすでにさまざまな地域医療情報ネットワークが構築されています。例えば、当地区でのNet4Uやちょうかいネットがそれに当たります。これらネットワークは地域に定着し活用されていますが、今後は全国医療情報プラットフォームとどのように棲み分けていくのか、あるいはどのように融合していくのかが議論になると思わわれます。同時に、本人・家族の意思のもとで生涯にわたって健康・医療情報を活用できる社会の実現へ向けてPHRサービスの普及も期待されています。
・おわりに
数多くの施設患者に対応する在宅医療
ほたる多職種研修会を開催しました。今回はヒアリングフレイルという目新しいテーマで、その概念の提唱者である中西 真一路 氏から、とても分かりやすく、貴重な講演を拝聴しました。
日時:R6年2月9日 18:45-20:15
場所:ニコフル
演題「ヒアリングフレイル ~高齢者の耳を学ぼう~」
一方で、難聴の人からみれば、何度も大きな声で説明してもらうことに恐縮し、理解したふりをすることも容易に想像できます。このようにコミュニ―ケーションがうまくいかないことが原因となり、社会から孤立し、人との接触が疎遠となるケースも少なくないようです。
以上のように難聴が要因で、コミュニケーションが低下し、引きこもりや孤独、さらには認知症が進みフレイル状態に至る状態をヒアリングフレイルと呼びます。
ヒアリングフレイルを予防するには、早めに聴覚機能の低下に気づき、適切な対応をすることが重要で、コミュニケーションの質が改善されるとことでQOL維持につながる可能性があります。
一方で、難聴の解決策のひとつである補聴器は高額であることもあり、軽度から中等度の難聴者の10~20%程度しか所有しておらず、買ってはみたものの使っていない人が多いとのデータがあります。
このような背景から、今回の演者である中西氏らは、難聴者に聴こえやすいスピーカーシステムの研究に携わり、耳につけない対話支援システムコミューンを開発し、その普及に努めています。
https://cpos.u-s-d.co.jp/detail/CS6WNW-WSG
われわれが難聴の人と接するときに知っておくべきことを列記しておきます。
・音量の設定
大声は控え、通常の声より少し大きめの声にする。
(大きすぎる声は逆に聴こえにくいことがある)
・耳までの距離の確認
至近距離(耳元)での大声のコミュニケーションは、双方で表情がみえず、むしろ伝わらないことが多い。
対話支援システムの利用を検討する。
・話すスピード
相手の話すスピードの75~80%程度とする
包括的な地域医療のおけるNet4Uを活用の現状を寄稿文として書かせて頂きました。下記にアップロードしてあるようですので、参照下さい。▼HTML版 https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2024/3551_02 ▼PDF版 https://www.igaku-shoin.co.jp/application/files/7117/0599/3189/3551_02.pdf
12月9日、東京第一ホテル 鳳凰の間
荘内病院が主催して、地域医療連携推進協議会・鶴岡地区医師会・登録医・荘内病院 合同懇談会が開催されました。
病院、医師会、歯科医師会、薬剤師会から70名程の出席がありました。
第一部の話題提供として
1「当院腹腔鏡手術の現状と展望」
荘内病院産婦人科主任医長兼婦人科医長 矢野亮氏
腹腔鏡手術は、開腹手術に比較して圧倒的に患者にメリットがあり、今後進めていくべき手技、
一方で、山形県の産婦人科内視鏡技術認定医は7名(荘内病院2名)、腹腔鏡認定研修施設は3施設のみであり、他県に比し非常に少ないのが現状である。2020年に荘内病院は山形大学に次いで県内2施設目である認定研修医となった。2022年では子宮全摘の9割以上が腹腔鏡で行われ、全体の腹腔鏡手術件数は73件であった。2023年んからは、国立がん研究センター東病院との連携のもと、全国でも先駆的な取り組みである遠隔アシスト手術が開始された。一方で、糸球体癌に対する腹腔鏡手術は施設基準を満たしておらず、今後の課題である。今後、荘内病院が婦人科領域の県内における腹腔鏡手術の指導的役割を担っていきたい。
2「当院における骨粗鬆症遅漏の現状と課題」
荘内病院整形外科副主任医長 土屋潤平氏
骨粗鬆症は放置することで、骨折のリスクとなる。高齢者の骨折は寝たきりへのきっかけとなることが多く、予防すべきである。
予防薬の第一選択はビスホスホネート製剤であり、閉経~70歳までの比較的若年者には選択的エストロゲン受容体作動薬を、重症骨粗鬆症と判断した場合には、副甲状腺ホルモン製剤や抗スクレロチン抗体製剤を推奨している。
骨粗鬆症と骨折予防を継続していくためには、整形外科医師単独では限界がある。そのためFLS(Fracture Liasion Service、骨折リエゾンサービス)を立ち上げ、多職種連携による治療、服薬、説活指導を行う取り組みを開始している。
3「MRONJ(薬剤関連顎骨壊死)予防に向けて医歯薬連携の取り組みについて」
荘内病院歯科口腔外科副主任医長 武石 越郎 氏
MRONJを年間数例経験する。
ビスホスホネート製剤内服+抜歯で顎壊死へ至る例が典型であるが、それ程多い疾患ではない。
歯槽膿漏~歯周病など感染病変が契機になるので、十分な観察が重要である。
そのためには、ビスホスホネート製剤を内服しているという注意喚起が必要であり、
ビスホスホネート製剤内服患者には、それと分かるようなシールをお薬手帳に薬局で貼布する取り組みを開始した。
<懇親会~二次会>
病院の先生たちを交えて、楽しい時間を共有しました。
付記
荘内病院は地域医療支援病院には、地域の連携を推進するための協議会設置が義務付けられています。この会は、連携推進協議会の活動の一環として行われいます。
地域医療支援病院とは、
患者に身近な地域で医療が提供されることが望ましいという観点から、紹介患者に対する医療提供、医療機器等の共同利用の実施等を行い、かかりつけ医等への支援を通じて地域医療の確保を図る病院として、平成9年の医療法改正において創設(都道府県知事が個別に承認)。※承認を受けている病院(令和5年9月現在) … 700
趣 旨
• 紹介患者に対する医療の提供(かかりつけ医等への患者の逆紹介も含む)
• 医療機器の共同利用の実施
• 救急医療の提供
• 地域の医療従事者に対する研修の実施
主な機能
• 開設主体:原則として国、都道府県、市町村、社会医療法人、医療法人等
• 紹介患者中心の医療を提供していること。具体的には、次のいずれかの場合に該当すること。
ア)紹介率が80%以上であること
イ)紹介率が65%以上であり、かつ、逆紹介率が40%以上であること
ウ)紹介率が50%以上であり、かつ、逆紹介率が70%以上であること
• 救急医療を提供する能力を有すること
• 建物、設備、機器等を地域の医師等が利用できる体制を確保していること
• 地域医療従事者に対する研修を行っていること
• 原則として200床以上の病床、及び地域医療支援病院としてふさわしい施設を有すること 等
医師会、歯科医師会、薬剤師会、荘内病院、鶴岡市、三川町、庄内保健所、ほたる による定例合同ミーティング。