鶴岡地区医師会だより

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医師会勉強会:皮膚を診れば、何でも解かる?

2017-07-01 11:54:35 | 日記
第114回 鶴岡地区医師会 勉強会

皮膚を診れば、何でも解かる?
~内臓疾患に伴う意外な皮膚兆候・dermadorome~
獨協医科大学 皮膚科 准教授 濱崎洋一郎先生


 長崎県佐世保市出身
 1983年、川崎医科大学卒
 2005年から獨協医科大学皮膚科、講師を経て現在准教授


内臓疾患に伴う皮膚症状(兆候)をデルマドロームという。

Part1:皮斑を呈する内臓疾患
 皮斑(リベド)の分類
 -大理石様皮斑 閉じた網目状紅斑、一過性のことが多い
 -網状皮斑  おもに静脈性
 -分枝状皮斑 樹枝状 おもに動脈性 

・コレステロール結晶塞栓症
 71歳、男性、指尖部潰瘍、皮斑
 動脈の閉塞性変化、弾性板の断裂、クレステロール結晶の沈着
 
 「診断とは病名を付けることではなく、その病変がなぜ生じたかを知ること」

・クリオグロブリン血症
 69歳、女性、C型肝炎
 左下腿の発赤、腫張、
 クリオグロブリンを検出
 C型肝炎に、クリオグロブリン血症の合併は、40-60%
 
 「見えないのではなく、気づかないだけ」

・褐色細胞腫
 12歳、女性、両下腿の網状皮斑、
 倦怠感などの全身症状、
 生検で血管炎(多分動脈炎)、コンドロイチン硫酸の沈着
 副腎腫瘍摘出で皮疹も軽快した

・サルコイドーシス
 下肢の網状皮斑
 生検で、真皮内に肉芽腫が多発、
 自然の経過で治癒

part2:内臓悪性腫瘍にみられる皮膚症状

・黒色表皮腫
 頚部、腋窩にざらざらした黒褐色の局面を呈する疾患
 胃癌に合併することがある、
 急速に拡大し、強い痒みがある場合は、胃癌を疑う

 HAIR-AN症候群

・Leser-Trelat症候群
 多発する脂漏性角化症
 小さく、痒い、脂漏性角化症が急速に増大する場合は癌を疑う

・紅皮症、
 全身の瀰慢性紅斑を生じる疾患群
 原疾患は多岐にわたる
 皮膚T細胞性リンパ腫の一型として、Sezary症候群がある
 腫瘍性紅皮症の特徴として、痒み強い、脱毛、色素斑がある

・bazex(バゼー)症候群(腫瘍随伴性先端角化症)
 掌蹠、鼻尖、耳介などに、乾癬様皮疹が生じ、その数か月後内臓悪性腫瘍が顕在化する
 40歳以上の男性に多く、肺、食道、咽頭などの扁平上皮癌が多い

・腫瘍随伴性天疱瘡
 口腔、口唇などの粘膜に、広範にビラン、潰瘍、血痂を生じる。
 悪性リンパ腫、白血病に随伴することがほとんど。
 
・多中心性細網組織球症 reticulohistiocytosis
 手指、爪囲、手背などに硬い丘疹~結節を生じる。
 単球~マクロファ-ジが増殖する肉芽腫性疾患
 18%が悪性腫瘍(癌腫はさまざま)に合併
 
・皮膚筋炎
 眼瞼のヘリオトロープ疹、手指背のゴットロン兆候、多形皮膚委縮などの皮疹が特徴
 CPK、アロドラーゼ高値
 3割に悪性腫瘍、
 癌腫は多様
 50歳以上で高度の浮腫、痒みがある場合は高率に癌を合併する。


Part3:各種内臓疾患に伴う皮膚症状

・糖尿病
 糖尿病性浮腫性硬化症
 汎発性環状肉芽腫 約半分に合併
 前脛骨部委縮性色素斑
 
・バセドー病
 脛骨前粘液水腫
 
・甲状腺機能低下症
 粘液水腫 びまん性
 ミオパチーもみられ、皮膚筋炎と類似症状が多い

・ペラグラ
 ナイアシンの欠乏による皮膚炎、下痢、認知症の3Dを主徴
 皮膚症状は、痒みを伴う日光過敏症、色素沈着、皮膚委縮など特異的
 治療:ニコチン酸の補充

 ビタミンD抵抗性クル病Ⅱ型
  多発性嚢腫を伴うことがある
  
・黄色爪症候群
 肺疾患、リンパ浮腫を合併したものを黄色爪症候群という。
 日本人では副鼻腔炎を合併しやすい(副鼻腔炎の手術で軽快して事例を経験)
  
 
   
 


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