クリニカルパスパス学会で以下を報告してきました。
山形県鶴岡地区では、2006年より運用している電子化された大腿骨近位部骨折地域連携パスを運用している。
登録は、全例を原則として、蓄積されたデータを分析することで当地区の実態を本学会などで報告してきた。
2008年から2018年現在までの登録数は2419、年平均219例
観察項目数は478.
一方で、病態による退院時アウトカムは設定されておらず、また、全例登録が原則な故、他地区では除外されることが多い認知症患者もパスの対象となっており、認知症を加味したアウトカム設定が課題となっている。
認知症がリハビリテーション効果に与える影響に関しては、獲得歩行能力が優位に低下するという報告(文献1)がある一方で、90%の症例で受傷前の能力を再獲得することができたとの報告(文献2)があるなど、意見が分かれている。
そこで、前回のクリニカルパス学会では、BI(Berthel Index)と認知症自立度とで5分類(下表)し、それぞれの群のBIの推移を分析することで、
認知症は、運動自立群(B群)ではBIの回復に影響を与えていると考えられたが、受傷前に運動機能に何らかの問題がある患者群(C・E群)では、認知症の有無はBI回復にそれ程の影響を与えてはいなかった。
寝たきり~準寝たきり群(D・E群)では認知症があっても、BIを損失せずむしろ獲得して退院していた。
という知見を得た。
今回は、よりシンプルで実用的なマトリックス分類を試み、当初からの目的であった退院時アウトカムを設定を試みた。
縦軸にBIとして、BIの区切りを90以上、40以下、その中間に分類。
認知症の程度は、Ⅱa以下、Ⅱb以上を区切りとし、マトリックス分類した。
それぞれの群の状態は、下の表に示す。
各群のおもな観察項目の平均値、やパーセンテージをまとめた表である。
年齢、在院日数、女性の%などには著変がない。
看護必要度Bは、AからFの順に高い傾向にあるが、B群は例外である。
受傷前、後の自宅%は、A群が高いが、他群では大きな変化はない。
受傷前・後の施設%は、AからFの順に高くなる傾向にはある。
各群のBI、受傷前、受傷2週後、4週後、退院時の推移である。
ACD群の回復には、大きな差はなく、
特徴は、B群の2週後の低下が大きく、回復も悪いことと
E、F群では、受傷前よりむしろBIが改善している例が多いことにある。
BI取得(ADLの改善)における認知症の影響のまとめである。
概ね運動機能が自立している群では、Ⅱb以上の認知症の併存は、ADL改善に大きな負の影響を与えていた。
ある程度の運動障害がある群では、Ⅱb以上の認知症の併存は、ある程度の負の影響を与えていたが、自立群ほどではなかった。
準寝たきり~寝たきり群では、認知症の有無に関わらず、ADLが改善する例が多かった。
さて、今回の研究の目的であるアウトカムの設定であるが、
各群の受傷前と退院時BIの差(損失BI)の平均+標準偏差を超えるポイントをアウトカムとして設定した。
バリアンス分析は、バリアンス入力画面で、損失BIを含め自動で入力できるようにシステムを改良し、
来年1月から運用開始予定である。
受傷前BIと認知症自立度により6群にマトリックス分類し、受傷前BIと退院時BIの差異を比較検討した。
認知症自立度Ⅱb以上の認知症の合併は、とくに運動自立群(B群)において、BIの回復に大きく影響を与えていた。
過去のデータを分析し、損失BIの平均値+標準偏差を超えるポイントで各群の退院時アウトカムを設定した。
退院時アウトカムを設定したことで認知症を加味した退院時BIを予測でき、バリアンス発生事例を検討することで、より効果的なリハビリテーションに寄与できる可能性がある。
山形県鶴岡地区では、2006年より運用している電子化された大腿骨近位部骨折地域連携パスを運用している。
登録は、全例を原則として、蓄積されたデータを分析することで当地区の実態を本学会などで報告してきた。
2008年から2018年現在までの登録数は2419、年平均219例
観察項目数は478.
一方で、病態による退院時アウトカムは設定されておらず、また、全例登録が原則な故、他地区では除外されることが多い認知症患者もパスの対象となっており、認知症を加味したアウトカム設定が課題となっている。
認知症がリハビリテーション効果に与える影響に関しては、獲得歩行能力が優位に低下するという報告(文献1)がある一方で、90%の症例で受傷前の能力を再獲得することができたとの報告(文献2)があるなど、意見が分かれている。
そこで、前回のクリニカルパス学会では、BI(Berthel Index)と認知症自立度とで5分類(下表)し、それぞれの群のBIの推移を分析することで、
認知症は、運動自立群(B群)ではBIの回復に影響を与えていると考えられたが、受傷前に運動機能に何らかの問題がある患者群(C・E群)では、認知症の有無はBI回復にそれ程の影響を与えてはいなかった。
寝たきり~準寝たきり群(D・E群)では認知症があっても、BIを損失せずむしろ獲得して退院していた。
という知見を得た。
今回は、よりシンプルで実用的なマトリックス分類を試み、当初からの目的であった退院時アウトカムを設定を試みた。
縦軸にBIとして、BIの区切りを90以上、40以下、その中間に分類。
認知症の程度は、Ⅱa以下、Ⅱb以上を区切りとし、マトリックス分類した。
それぞれの群の状態は、下の表に示す。
各群のおもな観察項目の平均値、やパーセンテージをまとめた表である。
年齢、在院日数、女性の%などには著変がない。
看護必要度Bは、AからFの順に高い傾向にあるが、B群は例外である。
受傷前、後の自宅%は、A群が高いが、他群では大きな変化はない。
受傷前・後の施設%は、AからFの順に高くなる傾向にはある。
各群のBI、受傷前、受傷2週後、4週後、退院時の推移である。
ACD群の回復には、大きな差はなく、
特徴は、B群の2週後の低下が大きく、回復も悪いことと
E、F群では、受傷前よりむしろBIが改善している例が多いことにある。
BI取得(ADLの改善)における認知症の影響のまとめである。
概ね運動機能が自立している群では、Ⅱb以上の認知症の併存は、ADL改善に大きな負の影響を与えていた。
ある程度の運動障害がある群では、Ⅱb以上の認知症の併存は、ある程度の負の影響を与えていたが、自立群ほどではなかった。
準寝たきり~寝たきり群では、認知症の有無に関わらず、ADLが改善する例が多かった。
さて、今回の研究の目的であるアウトカムの設定であるが、
各群の受傷前と退院時BIの差(損失BI)の平均+標準偏差を超えるポイントをアウトカムとして設定した。
バリアンス分析は、バリアンス入力画面で、損失BIを含め自動で入力できるようにシステムを改良し、
来年1月から運用開始予定である。
受傷前BIと認知症自立度により6群にマトリックス分類し、受傷前BIと退院時BIの差異を比較検討した。
認知症自立度Ⅱb以上の認知症の合併は、とくに運動自立群(B群)において、BIの回復に大きく影響を与えていた。
過去のデータを分析し、損失BIの平均値+標準偏差を超えるポイントで各群の退院時アウトカムを設定した。
退院時アウトカムを設定したことで認知症を加味した退院時BIを予測でき、バリアンス発生事例を検討することで、より効果的なリハビリテーションに寄与できる可能性がある。