鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

三条市医師会学術講演会

2018-11-24 10:23:27 | 日記


三条市医師会から、鶴岡の在宅医療への取り組みを参考にしたいとの要請を受け、先日講演してきた。
三条市の人口は10万程度であるが、診療所、医師の数が鶴岡の2/3程度と少なく、在宅医療へ取り組む余裕がないという課題があるとのことであった。鶴岡のとくにほたるの活動が多少なりとも参考になればと思う。


三条市医師会学術講演会
脳卒中・在宅医療を考える
~寝たきりにならない為に~

日時:2018年11月22日 19:00~20:45
会場:越前屋ホテル

講演1

 「脳卒中抑制と高血圧治療」
  演者:堀内 陽介 (三之町病院 内科部長)

講演2
 「多職種連携を基盤とした在宅医療への取り組み
  ~鶴岡地区医師会地域医療連携室「ほたる」の活動」

  演者:三原一郎(鶴岡地区医師会理事、三原皮膚科院長)

以下、講演のイントロ部分から

三条市と鶴岡市の介護、医療必要度の将来予測比較


介護では、ともに、2030年まで需要は増加するとみられているが、三条市の方が需要度は高い
医療需要では、鶴岡はすでに縮小傾向に入っており、2040年度には現状の20%減
三条市は、2025年度までは現状維持だが、その後縮小に転じる。


診療所の数であるが、対人口10万当たり、鶴岡の67に対し、三条市は53
内科、外科、小児科が鶴岡の2/3程度。マイナーの診療科は、鶴岡よりやや多い。
病院は、鶴岡の5に対し、三条市は7
歯科、薬局は、鶴岡より多い


在宅療養支援診療所は、鶴岡の40%以下、


病床数は、鶴岡の944に、対して1415と、圧倒的に多いが、
一方で、医師の数は、全国平均より低い鶴岡より更に少ない。


介護系の資源に関しては、三条市の施設数は少ないが、入所定員数は、鶴岡市を上回る。
一方、介護職員は、鶴岡の90に対し、三条市は64と、7割程度。

三条市まとめ
診療所の数が少ない分、病院(病床数)が多い。
一方で、全体の医師数は不足しており、とくに病院医師は相当に疲弊しているのではと想像される。


鶴岡の診療所の数は、全国平均、
訪問診療・往診をしている医療機関は60%であるが、内科系に限れば80%程度は在宅医療に取り組んでいる。
在宅専門の診療所はない。


山形県の在宅医療実態調査。
内科系診療所の70%は、在宅医療に取り組んでいる。さらなる普及の対策として、今後取り組みたいと考えている数%の医療機関への参入を促す取り組みと共に、現在、在宅医療に取り組んでいる医療機関が、より負担なく、多くの在宅医療を行える環境づくりが重要と考える。そのために必要なのは、訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、歯科などとの多職種協働のしくみづくりであり、ITの活用も考慮すべきである。とくに、訪問看護師は在宅医療の要であり、在宅医療を実施件数を増やすためには不可欠な職種である。また、人材不足や運営面での困難さも課題となっていることから、訪問看護ビジネスに参入できるインセンティブや、病院看護師が訪問看護へ無理なく移行できる制度的な配慮も必要と考える。一方で、在宅医療に特化した診療所を増やすことも、現実的な対策かも知れない。


20年以上にわたる歴史がある。
スタートは、健康管理センターの設立であり、地域の医療は、医師会が守るという先達の理念があった。
1997年、医療情報元年、まだインターネットが普及していない時代にイントラネットの構築し、これがNet4U開発のきっかけとなった。
Net4Uの成功で、全国から注目され、OPTIM受託に至る。
一方、急性期病院の危機感から始まった大腿骨地域連携パスの電子化し運用となるが、医師会の経済的サポートなくては実現しなかった。
OPTIMから続く事業として在宅医療連携拠点事業を受託、現在の地域医療連携室「ほたる」の活動につながる。

ほたるは、「つなぐ」をキーワードに職種間の話し合い~学びの場を数多く実施、今年は、ほたるを食べるを支援し隊という在宅での食を支援するチームを結成、活動を開始した。また、病院の連携室の事務職であった瀬尾氏がコワーキングスペースみどり町文庫を設立。医療・介護の連携だけではなく、異業種連携を含む社会連携へも積極的に取り組み成果をあげている。


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